英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『追い込み』

「ふぅ…ちょっと熱くなりすぎたか…?」

 

今俺は学園の自分の部屋に戻って来ている

 

理由は自分の武器…蒼燕と仕事着を取るためだ

 

ハンス?生徒会だが?

 

クローゼには一足先にエステル達に合流して貰った

 

流石に二人だけってのは何か不安だったからな…

 

「…さて、こっちも急いで行きますかね」

 

俺はダルモア邸に瞬動を使って向かった

 

sideエステル

 

私達は今ダルモア市長のお屋敷に向かっている

 

あの黒装束の奴らのおかげで今回の黒幕が市長だっ た事がわかったからだ

 

自分のやりたい事をやるためだけに他人を不幸にす るなんて…絶対に許せない!

 

「…エステル?わかってるよね?僕達の役目はあ くまで時間稼ぎ。僕達じゃ市長を逮捕出来ないんだ からね」

 

「わかってるわよ。怒らせてもいいから市長を足 止めするんでしょ?」

 

「わかってるならいいんだ」

 

正直私が直接ぶっ飛ばしたいけど…こればっかりは しかたないよね

 

納得はいかないけど

 

~市長邸~

 

屋敷に到着。

 

「しっかし、大きな屋敷よね~。やっぱりあくど い事してるからこんな屋敷に住めるのかしら?」

 

いかにもお金使ってますって感じだしね~

 

「それは無いと思うけど…」

 

「ダルモア市長は元は大貴族の家柄ですから。こ の屋敷も代々の当主に受け継がれたモノだと思いま す」

 

クローゼが丁寧に説明してくれた

 

「そっか…確かに屋敷に罪は無いわよね。まあ、 いいや。なんとかあの市長を問い詰めてやらなくち ゃ」

 

待ってなさいよ!悪徳市長!

 

side out

 

やって来ました市長邸。

 

俺が庭に侵入したのと同じタイミングでエステル達 が入って来たが…なぁ?

 

ヨシュアあくどっ!!

 

よくあんな口からデマカセが出てくるもんだよ。し かもオマケにメイドさん落としてるしな

 

…この天然たらしが!!(←人の事言えない)

 

まあ、エステル達はヨシュアがいる限り大丈夫だろ うと判断してさっさと屋敷に侵入して市長を探す

 

…な~んかあのキノコ辺りが絡んでそうな気がする んだよな~…

 

まあ、いいや。この事件が終わったら一回帰って情 報部とキノコの事を調べて回ろう

 

そんな事を考えながら屋敷を探索していると、やた ら騒がしい部屋を見つけた

 

すぐさま扉に近づき、耳を当てると、中には既にエ ステル達がいて、市長と口論していた

 

…ついでに認識したくなかったけど、キノコの存在 も認識した

 

「な、何っ!?」

 

お、何か驚いてる

 

それにつられてかなりがっつりと会話を聞く

 

「今回の事件の犯人、それは…ダルモア市長!あ んたよ!」

 

エステルが声を張り上げて言うと、市長が物凄く慌 てた声を出す

 

「秘書のギルバートさんは既に現行犯で逮捕しま した。あなたが実行犯を雇って孤児院放火と寄付金 強奪を指示したという証言も取れています。この証 言に間違いはありませんか?」

 

「で、デタラメだ!そんな黒装束の連中など知る ものか!」

 

…馬鹿だね~このオッサン。自分で自分の首締めて ら

 

「あれ~?おっかしいな。あたし達、黒装束なん て一言も言って無いんだけど~?」

 

「うぐっ」

 

流石にそんな失言を逃す筈もなく、しっかり追い込 みにかかるエステル達

 

「知らん!私は知らんぞ!全ては秘書が勝手にや った事だ!」

 

「往生際の悪いオッサンねぇ」

 

全くもって同感だな

 

「高級別荘地を作る計画のために孤児院が邪魔だ ったと聞いています。それでもまだ容疑を否認しま すか?」

 

いいね~この徐々に追い込んで行く感じ。燃えるね ぇ~

 

「しつこいぞ、君達っ!確かに随分と前から別荘 地の開発は研究されている!だがそれはルーアン地 方の今後を考えた事業の一環にすぎん!どうして性 急に事を運ぶ必要があるのだ!」

 

まだ、あがくか…それも無駄だってのに

 

「そ、それは…」

 

…まさか、忘れてるのか?ちょっと前に俺が言った ぞ?

 

しゃあねぇ。助けてやるか

 

「借金…だろ?」

 

『ケイジ!?』

 

ふっふっふ、いい感じだな

 

「君は…」

 

「…答える必要はない。ダルモア市長…あんた、 市の予算を相当使い込んでるな?」

 

「それは…土地開発の費用として…」

 

「馬鹿かお前?そんな言い訳通る訳無いだろ。な んせまだ工事なんざ準備すら始まって無いからな~ …しかもあんた、ちょくちょく共和国に出掛けてん だろ?何してんだかな~」

 

「た、ただの観光だ…」

 

「あはははは!嘘はいけねぇなぁ!あんたは共和 国で相場に手を出して大火傷したんだ。取り返しの つかない程、な」

 

後ろでエステルが相場が何かヨシュアに聞いていた がスルーだ。

 

因みにわかりやすく言えば株の事だよ

 

「よくもまあ、つぎ込んだもんだな。一億ミラも 」

 

「い、一億ミラぁ~!?」

 

「ひっく…一億ミラとな。私もミラ使いは荒い方 だがお主には完敗だぞ」

 

黙ってろキノコ。誰も勝負なんざしてねぇんだよ

 

「くっ…」

 

逃げ場を失って苦い顔をするダルモア

 

「なに競ってんだか」

 

「ま、そういう訳で莫大な借金を抱えたあんたは ルーアンの予算に手を出した。でも返すアテが無く て別荘地を作ろうとしたが…まさか土地確保のため に放火や強盗までやるとはな。計画制皆無な上に市 長失格だな」

 

ダルモアはしばらく黙っていたが

 

「…ふん、そんな証拠がどこにある」

 

「あらま、開き直った」

 

「貴様らもそうだ!市長の私を逮捕する権利は遊 撃士協会には無いはずだ!今すぐここから出て行く がいい!」

 

「む、やっぱりそうきたか」

 

「流石に自分の権利はちゃんとわかってるみたい だね」

 

まあ、それがこの場でのコイツの切り札だからな。 俺がいる時点で意味ないけど

 

そんな呑気な事を考えていると、壮絶な悪寒が俺を 襲った

 

「…………市長、一つだけお伺いしてもよろしいで すか?」

 

こ、これは…

 

「なんだ君は!王立学園の生徒の癖にこのような 輩と付き合って…とっとと学園に戻りたまえ!」

 

「………」

 

「うっ」

 

クローゼが市長を睨むと、途端に市長の勢いがなく なる

 

…間違いないな。クローゼがキレてる

 

「どうしてご自分の財産で借金を返さなかったの ですか?確かに一億ミラは大金ですが…ダルモア家 の資産があれば返せない筈じゃ無いはずです。例え ばこの屋敷なんか一億ミラで売れそうですよね?」

 

「ば、馬鹿な事を…この屋敷は先祖代々から受け 継いできたダルモア家の誇りだ!どうして売り払う 事ができよう!」

 

「馬鹿はお前だ。カス野郎」

 

クローゼには悪いが、そろそろ俺も我慢の限界なの で割り込ませて貰う

 

「あの孤児院だってなぁ…沢山の思い出がある大 切な場所だったんだ。それこそ俺やクローゼ、孤児 院の子供達、先生…あそこで育った奴らなんかにと っては特にかけがえの無い程のな。お前は知ってん のか?何の力も持っていない子供がレイヴンの連中 が犯人だと聞いてかなわないとわかっていても戦い に行った事を…」

 

「そ、そんな事を私が知るものか!」

 

「だろうな。…だからこそお前は市長失格なんだ よ。 …逮捕する前に聞いておく。何故孤児院を襲った! 自分の屋敷を売ればそれで済む話じゃねぇのか!! 」

 

ダルモアは怯んで縮こまっていたが

 

「あ、あんなみすぼらしい建物と我が屋敷を一緒 にするなぁぁぁ!!」

 

ついに喚きはじめた

 

「あなたは結局自分自身が可愛いだけ… ルーアン市長としての自分とダルモア家の当主とし ての自分を愛しているだけに過ぎません。可哀想な 人…」

 

クローゼが心底憐れんだ目で市長を見る

 

するとダルモアは突然笑いはじめ…

 

「よくぞ言った、小娘が…こうなったら後の事な ど知るものか!」

 

俺を無視したような発言の後、壁のスイッチをダル モアが押すと、隠し扉が開いた

 

「ファンゴ!ブロンコ!エサの時間だ!出て来い !」

 

扉の奥から足音と何かの気配がしてくる

 

「な、なんなの…?」

 

「獣の臭い…!」

 

そして扉から現れたのは二匹の巨大な魔獣だった

 

「ま、魔獣ぅぅぅぅ!?うーん、ブクブク…」

 

「公爵閣下!?」

 

泡を吹いて気絶するキノコと駆け寄るフィリップさ ん

 

キノコがそのまま食われれば万々歳だが、フィリッ プさんがいるから無事なんだろうなぁ…チッ

 

そんなこんなで意識をキノコの方に向けていると、 急にダルモアが狂った笑いをし出した

 

「こ、こんな屋敷で魔獣と戦う事になるなんて… 」

 

「でもこれで市長を現行犯として逮捕できる」

 

「あなた達に恨みは無いけれど…人を傷つけるつ もりなら容赦はしません!」

 

「とりあえずはコイツらを片付けるのが先だ……… 来るぞ!!」

 

戦闘が始まった


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