英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『市長邸の戦い』

ダルモアの放った魔獣…ファンゴとブロンコが同時 に俺達に襲いかかってくる

 

「ちっ…」

 

「このっ!」

 

コイツは…連携されると面倒だな

 

倒されはしないが倒せもしねぇ

 

「くそ…何か決定打があれば…」

 

…仕方ねぇ、か

 

「…俺が片方を抑える。その隙にお前らはもう片 方をやれ!」

 

「ケイジ!?無茶だよ!」

 

「クローゼの言う通りよ!4人で二匹を抑えてる のに!」

 

「だったらいつまでもこうしてるのか!?今は余 裕かましてのんびり突っ立ってるがいつダルモアが 逃げてもおかしくねぇんだぞ!」

 

「それは…」

 

言いよどむエステル

 

「…信じていいんだね?」

 

「ヨシュアさん!?」

 

「任せろ。あの犬に格の違いを教え込んでやる」

 

俺はニヤリと笑って魔獣を見る

 

それでヨシュアは心を決めたのか

 

「無茶はしないでよ?クローゼが暴走しそうだか ら」

 

「ちょ!ヨシュアさん!?///」

 

「おーおー、怖い怖い。こりゃあケガできねぇな 」

 

ヨシュアの軽口に俺も軽口で返す。クローゼは何故 か慌てていたが

 

…なんだかんだ言っても余裕あるじゃねぇか

 

「…じゃ、頼んだよ。親友」

 

「任せろ。むしろ俺がケリ着けてやるよ」

 

魔獣と対峙しているにも関わらず、俺とヨシュアは ハイタッチをして、そこから一気に作戦通りに別れ る

 

俺が相手する方…ファンゴだったか?はダルモアの 指示を待っているのか、身じろぎ一つしない

 

そしてその後ろにダルモアがいた

 

「悪徳市長の割には空気読めるじゃねぇか」

 

「何、最後の別れを邪魔する程私は無粋ではない さ。 …こちらに一人で来たという事は君は囮だな?仲間 に捨てられるとは…いやはや何とも哀れな事だ」

 

かなりハイになっているのか、やたら一方的に喋り 倒すダルモア

 

「はっ。勘違いすんなよ」

 

「何がかね?君が死ぬ。その後に彼女らも後を追 う。その事に変わりは無いよ」

 

「こっちに俺が一人で来たのはなぁ…俺一人で十 二分に戦えるからだ」

 

そう言った瞬間、ダルモアは高笑いをする

 

「ははははは!ついに気が触れたか!4人で抑え るのが精一杯だった魔獣の片割れを一人で倒すと! ?」

 

「…もう、面倒くせぇ舌戦は終わりだ」

 

実際、終わりそうにねぇし、何よりコイツの声を聞 くたびにイライラする

 

「そろそろかかって来いよ…その犬っころ共々ブ った斬ってやる」

 

「ははは!自ら死期を早めるとは愚かな!いいだ ろう!ファンゴ!やってしまえ!」

 

ダルモアの号令と共にファンゴが雄叫びをあげて襲 いかかってくる

 

「はっ…魔獣風情が… ケイジ・ルーンヴァルト…推して参る!」

 

side クローゼ

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「せいっ!」

 

「行きます…やぁっ!」

 

相手の魔獣…ブロンコは向こうのファンゴと違って 完全に自立して暴れ回っている

 

…そして、まずい事に、少し押されている

 

現に今もエステルさんとヨシュアさんの攻撃を避け 、私のアーツは当たったものの、あまりダメージが 無いのかそのまま二人に反撃していた

 

「くぅ…いつもみたいに棒を振り回しにくいわね …」

 

「エステル」

 

「ん?」

 

「君は後衛に回って欲しい」

 

「ええ!?何で!?」

 

…確かに、ヨシュアさんの言う通りですかね…

 

「エステルさん、私からもお願いします」

 

「クローゼまで…何か理由、あるんでしょうね? 」

 

「うん」

 

「…わかったわよ」

 

そう言ってエステルさんもアーツの準備にかかる

 

…理由は、エステルさんの武器。棒術具はいわば長 柄武器なので、突き、払い、薙ぎを主に戦う

 

けれど、今は屋敷の中で戦っている。突きはともか く、払いや薙ぎでは確実にどこかに引っかかってし まうからだ

 

「僕がアイツを攪乱するから、その隙に大きいの を頼むよ」

 

「了解!」

 

「はい!」

 

そう言ってエステルさんはダークマターを、私はダ イヤモンドダストを準備する

 

「行くよ…」

 

――漆黒の牙

 

ヨシュアさんがSクラフトを決め、その直後に私と エステルさんが同時にアーツを叩き込む

 

ブロンコは断末魔をあげて、ゆっくりと倒れた

 

「戦闘終了…」

 

「…そうだ!ケイジ!」

 

私は急いでケイジの援護に入ろうとしたけど…

 

「――鳳仙華!――閃華!」

 

「へ?」

 

目に入ってきたのは、ファンゴにトドメを刺してい たケイジだった

 

side out


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