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『隠密作戦……開始』
~アルセイユ・船橋~
「それにしてもよくアルセイユなんて使えたな~ 」
「ちょうど試験運転中にジークが来たんだ。まぁ 、リシャール大佐には偶然捕まえたとでも言ってお くさ」
ナイスタイミング、クローゼ!
「…それより、この前の…」
「『情報部に注意しろ』って件か?」
「ああ。情報部は王都では評判もいいし実績もあ げている。正直頼もしく思っているしな」
「まあ、それはそうだろうな…クーデターを起こ す前に問題は起こしたくないだろうしな」
「なっ!?」
驚くのも無理はない。実際、トップのリシャール大 佐の悪い噂なんかは一度も聞いた事がないしな
けどそれは明らかに不自然な事でもある
人間は生きている限り必ずミスをする。どんなに偉 い人でも、凄い人でも一度は必ず大ポカをしでかす
逆に言えば、ミスを一度もしていないのに優秀な人 間にはなりえない。そんなのは物語の中だけの話だ
「…あのリシャール大佐がか…?いくらケイジの 話とは言えど、信じられん…」
「今はまだそんな疑いもある、くらいの認識でい いよ。確信も持ててないし」
そう言ってケイジはニヤリと悪い笑みを浮かべる
「お前…まさか…」
「そのまさかさ♪」
「ハア…どうせ言っても聞かないんだろう?勝手 に行って将軍に派手に怒られて来い」
「そんじゃあ遠慮無く行ってくるわ」
そう言ってケイジはアルセイユを後にした…