英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『護るために』

「…ほいっ、と」

 

城壁から撃ち落とされたが、割と地面まで距離があ ったので体勢を立て直して着地する

 

…え?人間技じゃない?うるせぇバーロー

 

にしても…リシャールはアレを見つけてどうするつ もりだ…?

 

この国をひっくり返そうとしているのは間違いない

 

可能性としてはカルバードと組んでの帝国侵略…

 

「………」

 

とりあえず先に止血しようか ――――――

 

「…っし」

 

止血完了…

 

ん~…わりと時間喰ったかな

 

俺をこの程度の怪我で足止めしようってくらいだか ら間違いなくリシャールはひと月以内に行動を始め る

 

…結局、一旦王都に戻るしかねぇか…

 

俺はさっさと王都入りする事に決めた

 

――――――

 

「通行止め?」

 

「ああ。今なんか王都に帝国の密偵が侵入したとか でね。情報部のリシャール大佐が厳戒玲をしいてい るのさ」

 

ちっ…先を越された!

 

帝国云々はブラフ。実際はクーデターを成功させる ための時間稼ぎ…!

 

「お袋が病気で倒してんだ…何とか通してくれない か?」

 

「う~ん…………………ゴメンね、やっぱり無理だよ。 ある意味国民全員の命に関わる問題だから」

 

…仕方ない。一旦ツァイス…いや、エルモに隠れる か

 

「わかった…また出直してくる」

 

「ゴメンね…力になれなくて…」

 

そうして俺はエルモに向かった

 

「毎度の事だけど、厄介事に巻き込まれてるわね」

 

「いつもの事っスよ」

 

エルモに向かう途中でツァイスのギルドに寄り、依 頼の報酬を払うと、キリカさんに傷を見抜かれた

 

「あまり無理はしないでおきなさい。遊撃士も騎士 も体が基本なんだから」

 

「善処しやーす」

 

「………はぁ」

 

気の抜けた返事に、自重する気が無いのを確信する キリカ

 

「まあいいわ。あなたがケガをすればあのお姫様が 激怒するだけだから」

 

「…………」(汗)

 

「それが嫌なら気をつけなさい。ただでさえあなた は敵が多いのだから」

 

「…わかりましたよ。あとコレ、アネラスに」

 

「確かに受け取ったわ」

 

とりあえずこれ以上面倒な事にならない内にギルド を出ようとすると…

 

「待ちなさいケイジ。あなたに教えておかなければ ならない情報よ」

 

「…何ですか?」

 

首だけキリカに向ける

 

「王都が情報部に占拠されたわ。」

 

「!…詳しく」

 

「三日ほど前、王都のギルドとの連絡が途絶えたの 。その後、王都の遊撃士から王都占拠の知らせが入 った。アネラスに一度確認に行かせたのだけど検問 で追い返されたわ」

 

「そして今王国軍内で陛下と意見が真反対でかつこ んなことをしでかせる権力がある人物は…」

 

「リシャール大佐だけ。彼の軍拡思想は民の間でも 有名だから」

 

流石はキリカさん…こんな少ない情報で此処まで展 開できるとは

 

「…で?それを踏まえて俺にどうしろと?」

 

「全く…鋭いわね

 

…遊撃士協会から王国軍…いえ、あなた個人に正式 な依頼よ。内容は王都の調査、できるなら遊撃士協 会の解放、かつクローディア殿下の保護。 事前情報は一切なし。難易度はS~SSSよ」

 

「王都への侵入経路の確保は?」

 

「例の王都の遊撃士が手に入れた通行証があるわ」

 

「…ふっ、契約成立だな」

 

白き烏が王都に舞い戻り、太陽の娘と月の少年と交 わる時…歯車は動き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――、準備の程は?」

 

「現在五割程完了しています。…しかし本当にこん なモノを人間が制御できるのですか?」

 

「やってみせるさ…例え出来なかったとしても

 

『たかが王都が消えるだけなのだから』」

 

歯車は動き出す

 

例えそれが破滅に繋がっていたとしても…

 


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