英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『教団』

「グラトニアス教団…二年前にカルバードの首都で 始まった新興宗教…と、言うより始まりはとある違 法娼館の裏メニューに快感を覚えた男が始めたカニ バリズムの飲食店みたいね」

 

今現在カルバードに向かう鉄道の中(個室分けの一 等車。代金は樽豚につけてやった)で、ティアに騎 士団が掴んでいる情報を読んでもらっている

 

「…娼館始まりかよ。救いようがねぇな」

 

「全くね。しかも…どうも自分達の嗜好を満たすた めにかなりの犯罪を犯してるみたいよ」

 

「マジかよ…共和国軍は?」

 

「それが…議員の上役と軍将校の一人が教団の幹部 らしくて…政治的にも軍事的にももみ消しが入って いるらしいわ」 「…腐ってやがるな」

 

こういう報告を聞いていると、リベールは本当にい い国なんだなと思う

 

「犯罪って具体的に何やったんだ?」

 

「ええと…まず殺人と死体遺棄は確定ね。こっちは 憶測らしいけど、誘拐と監禁も」

 

「その心は?」

 

「東方人街の周辺で立て続けに若い人が行方不明に なっているらしいわ」

 

「………」

 

誘拐…そして教団の犠牲になるまで監禁ってか

 

「他には…」

 

「ああ、とりあえずはもういいや」

 

「でも…」

 

「後は現地に入ってから地力で調査すんぞ」

 

何もかも報告に頼ってたら、そのイメージがこびり ついてしまう

 

最低限連中の罪と成り立ち、構成がわかればそれで いい

 

そして俺達はカルバード共和国入りした

 

――――――

 

「あ……」

 

俺達が駅に降りると、ピンクブラウンの髪のシスタ ー…リースがベンチに座って待っていた

 

「よぉ。久しぶりだなリース」

 

「うん。三年前くらいにケイジがアルテリアに来た 時以来」

 

「総長に絞られたって?よく生きてたな」

 

「ホントよ…私はケイジに絞られた時、3日は筋肉 痛で動けなかったわよ?」

 

「多分ケイジの訓練よりはマシだったと思う。あれ は見てるだけでヤバかった…」

 

リースが口に手を当てて顔を青くする

 

ティアも思い出したのか、青い顔で俺を睨んでくる

 

…ちょっと始めの2日はひたすら走らせて中3日は 延々と1対1で模擬戦やって、最後の2日に俺から 逃げ切るっていう48時間耐久サバイバルリアル鬼 ごっこやっただけじゃねぇか

 

…確かに食事休憩の時もずっとフォンスロットの拡 張させ続けてたけど

 

*原作でルークもやってましたが、結構な集中力が 必要です

 

……でもな

 

「頼んできたのはお前じゃねぇか」

 

「それは…そうだけど…」

 

「…そこは謝ってご飯でも奢るべき」

 

「それはお前の願望だろ?」

 

「うん。お腹すいた」

 

クゥ~

 

キュクゥ~

 

バギュン

 

「「(…お腹のピストル!?)」」

 

おっと。そういや俺もティアも朝から何も食ってね ぇな。リースが腹ペコなのはいつもの事として

 

「…ティア、とりあえずどっか店入ろう。そろそろ 俺の腹が限界だ」

 

「そうね」

 

「(…ピストル?)」

 

という訳で、まずは腹ごしらえをすることになった

 

――――――

 

「…で?情報は?」

 

ティアが持っていた情報はいわばリースが共和国に 入る前に調べたやつだ。今はできるだけ新しい情報 が欲しい

 

総長が直々にしごいたらしいし、そこらへんの調査 はキッチリやってるだろう

 

「目に見える方は…私が共和国入りしてから今日ま で、行方不明が11件あった」

 

「「!!」」

 

11件…この一週間でか!?

 

治安が悪いとかそんな問題じゃねぇぞ!?

 

「行方不明者は全員12~17歳の女の子。しかも全 員この東方人街周辺に住んでる」

 

「周辺…」

 

「そう、周辺。東方人街自体に住んでる人には一件 も被害がないの」

 

…何かあるな。とりあえず気には留めておこう

 

「目に見えない方は…裏で教団が何か凄いものを手 に入れた、って噂が流れてる」

 

「凄いもの…なぁ」

 

「アーティファクトかしら?」

 

「多分違うな…最悪魔道具の類だろ」

 

魔道具。古の錬金術師達が自らの手でアーティファ クトを作ろうとして出来た道具。

 

アーティファクトには及ばないが、今の技術では再 現できないものを魔道具と呼ぶ

 

「まぁどのみち回収には変わりない。とにかく早く 調査をして早く教団を潰さにゃならん」

 

「そうね」

 

「うん」

 

「ティアは教団そのものを、リースは行方不明事件 の被害の詳細を調べてくれ。俺は東方人街で本当に 行方不明事件がないのか検証してくる」

 

「「ja(ヤー)」」

 

「とりあえず陽が沈んだら駅前の旅館に集合な。俺 が部屋取っておくから」

 

そうして、俺達は本格的な調査を始めた

 

「お会計、52000ミラになります」

 

「領収書貰えますか?ケビン・グラハムで」

 

…昼飯に万単位で払ったのは初めてだ


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