英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『迷子』

~ジェニス王立学園~

 

「エステルさん」

 

「クローゼ!」

 

王立学園の正門。現在エステル達とクローゼ達で感 動の再会がなされているのだが…

 

「……(う~ん、僕蚊帳の外だね…)」

 

一人だけ全く入っていけてなかった…

 

――――――

 

「―――と言うわけで、さっさと見回りと諜報を強 化しろ」

 

「いきなり『と言うわけで』とか言われてもわかる わけ無いだろうが…」

 

グランセルで降りた俺とリーシャはすぐにレイスト ン要塞に来た

 

まぁリーシャはツァイスにほっぽりだして来たが…

 

今頃半泣きになってオロオロしてたら………面白いの になぁ

 

それで今カシウスのオッサンと話してる訳だが…

 

「とりあえず理由を説明してくれ」

 

「かくかくしかじかまるまるうまうま」

 

「判るかァ!!お前ただ単に『かくかくしかじかま るまるうまうま』って言っただけじゃないか!!」

 

チッ……面倒くせぇ」

 

「オイ…声に出てるぞ…」

 

「あんれまぁ」

 

まぁワザとだけども

 

「全くお前は…俺をからかいに来たのか?」

 

「That's right!!」

 

「久しぶりに銃の訓練でもするかな~…お前を的に して」

 

そう言って机の下から銃を取り出すオッサン…って ストップストップ!!

 

「大人をからかってすいませんでした不良中年」

 

「分かればいい…って今ナチュラルに罵倒しなかっ たか?」

 

「気のせいだろ」

 

「本当に何しに来たんだお前」

 

「いや…そうだな。そろそろ本題に入るか…

 

帝国が新型戦車の大量生産を始めた」

 

「!!…詳しく」

 

「正確にはかなり旧式で燃費の悪い燃料式の戦車だ 。明らかにエステル達の報告にあったゴスペルの導 力停止現象の備えだろうな」

 

「………」

 

「そして『鉄血の子供達』数名がリベールに侵入し てる。まぁこれは結構昔からだが…」

 

「…帝国がリベールに攻め入る気だと?」

 

「それこそ昔からだろうが…不戦条約だって拘束力 は絶対じゃない。条約違反としてカルバードがこっ ちに味方すると決まってるわけでもない。アンタな らそのくらいわかってるだろ?」

 

「…近々リベールで大規模な導力停止現象が起きる ということか。まぁ、それはいい。諜報も強化する 方向で行く。だが…根拠くらいは教えてくれないか ?」

 

根拠、なぁ…

 

「結社。輝く環。最悪の破戒僧」

 

「なっ!?」

 

「まだ必要か?」

 

「いや、いい…どういうことだ?輝く環はどこかへ 飛び去ったはずじゃないのか?」

 

「飛び去ったんだろうさ。多分時空の狭間にでもな 」

 

「ならばどうやって「一つ良いこと教えておくよ」 …?」

 

「最近カルバードで解決した教団事件…あれの本拠 地に微弱だったがうっすら導力停止現象が起きてい た」

 

そうで無ければ俺の姿がクライフに見つかった訳が ない。認識阻害を“かけっぱなし”だったんだから

 

「俺の瞳は察知不能な幻属性の導力を放ってる。だ から認識阻害が成立してる…」

 

「だがカルバードの事件ではそれが効かなかった… か?」

 

「いや、ある部屋の中でだけ効かなかった。それと その時回収した魔道具は『血の継承』…水と時の魔 道具だ。とてもじゃないが認識阻害を破るなんてで きる訳がない」

 

写輪眼なんか一時聖痕扱いされかけた代物だしな

 

「ふむ…帝国はわからんが結社はゴスペルを完璧に モノにしていると言う訳か…」

 

オッサンがすぐに対策を考え始める。このあたりは 流石なんだよな…

 

「ああ、後…万が一アリアンロードとか言う金髪女 の使徒が出てきたら絶対にオッサンが相手しろ」

 

「……そんなにか」

 

「……今この国でヤツを倒せるのは多分オッサンだ けだ」

 

「お前は?」

 

「…追い込むまでは何とか出来ると思うが…倒すの は無理だ」

 

十中八九倒す前に俺が…死ぬ

 

「わかった」

 

「…頼むぜオッサン

 

―――“あの時”をもうくり返さないでくれよ…」

 

「!!」

 

そして俺は認識阻害を使ってレイストン要塞を出た

 

「アイツ…やはりまだ戦没の時の事を…」

 

――――――

 

「ケイジさーん!……困ったな…どこに行っちゃった んだろ…」

 

一方その頃リーシャはケイジの予想通り半泣きにな ってさまよっていた

 

……“ルーアン地方”を

 

「参ったなぁ…街で一番大きい建物の地下を探して たはずなのに…」

 

要するに、ZCF→カルデア隧道→街道に着いた訳で ある

 

…というか、隧道出た時点で気づけよ。門兵は何を やっているんだってな話である

 

「ケイジさーん……ケイジさーん……」

 

懸命にケイジを探し続けるが、やはりまだ15歳。 目に溜まる雫が少しずつ大きくなっていく

 

そしてそんな時だった

 

~~~~♪

 

突然楽器の音が鳴り響く

 

「ふっ……嬉しいことだね。まさかこんな所で迷子 の仔猫ちゃんに出逢ってしまうとは…」

 

リーシャが声の方を向くと、ボートに乗って川を流 れながらワケのわからない事を言っている危ない人 (←リーシャ視点で)がいた

 

「やぁ、何かお困りかい?人捜しなら不肖ながらこ のオリビエ・レンハイムが力を貸そうじゃないか! 」

 

「………」

 

「だからとりあえずこのボートを陸に上げるのを手 伝ってくれたまえ…」

 

「………」

 

「ん?どうしたんだい?さぁ、僕をこの矮小なる檻 から解き放って「…ケイジさーん」くれたまえって どこに行くんだい!?ちょっと待って!いや、待っ て下さいお願いします!!」

 

――――――

 

「いや~助かったよ」

 

結局、最終的には見てられなくなったリーシャがオ リビエを救ったのであった

 

「…で、何であんな所で遭難してたんですか?」

 

「いや~…実はエステル君達に見捨てられてね。ア ガット君まで『別に放っておいても問題ないだろ』 と言い出してね」

 

「要するに見てみぬフリされたんですね」

 

「はっはっは、面白い事を言うね。ただの彼女達の 照れ隠しさ!」

 

超ポジティブ発言の後、別に頼んでないのにポーズ をとるオリビエ。心なしかリーシャの視線も冷たい

 

「よしたまえ…そんな目で見られると…

 

ゾクゾクしてしまうよ…」

 

「すいませーん!兵隊さーん!!」

 

「ちょっと待って!?そんな迷いなく兵隊呼ばなく ても!?」

 

「だってケイジさんが『危ない人を見たらすぐに軍 に頼れ。リベールの軍人は市民の味方だから』って …」

 

良くも悪くもケイジ中心のリーシャであった

 

「それはそうとケイジ君とやらとはどこではぐれた んだい?」

 

なんだかんだできちんとケイジ捜索を手伝っている オリビエ

 

「いえ…ZCFって所のフロントロビーで待ち合わせ をしていたんですけど…」

 

「ZCF?ならツァイスに戻らないと」

 

「へ?ここはツァイスじゃ…」

 

「ここはルーアンだよ?」

 

「………え?」

 

「………え?」

 

…果たしてリーシャは無事にケイジと合流できるの だろうか


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