英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『決断』

「………」

 

「ああ、おかえりNO,ⅩⅣ」

 

「番号で呼ぶんじゃねぇ…」

 

「ふふ…君は番号で呼ばれるのが嫌いだったっけ? それは失礼」

 

「……前から言ってんだろうが。馴れ馴れしく話し かけんじゃねぇ。俺はお前らの仲間になったつもり は無い」

 

「いいよ別にそれで。君が僕らの計画に携わってく れている…その過程があればそれでいいのさ」

 

「………」

 

「ただね…第二位への助言はいただけないね。アレ は僕の獲物なんだ。狩人が獲物に狩られるなんて格 好つかないじゃないか」

 

「獲物…?アイツが…?ハハハハハッ!!」

 

「…何かおかしな事を言ったかな?」

 

「ああ言ったな!アイツが獲物でお前が狩人!?ケ イジが獲物でおわるタマかよ!!」

 

「…もう一度殺してやろうか?」

 

「おーおー…やれるもんならやってみろや。『アレ 』はもうねぇがお前に負けるほど落ちぶれちゃいね ぇよ…」

 

「ッ…君が次に出るのはロレントだ。それまでは好 きにするといい」

 

「言われなくても好きにすらぁ…」

 

「…何であんなバカをわざわざ蘇らせたんだ盟主様 は…」

 

――――――

 

「やぁ、よく来てくれたね」

 

「…話ってなんなんだオリビエ」

 

日付が変わった頃、俺はオリビエに呼び出されてバ ーに来ていた

 

「イヤァ、実は君に愛の告白を…」

 

「冗談言うだけなら俺は帰るぞ」

 

ただでさえ今はそんな気分じゃねぇってのに…

 

「やだなぁケイジくんってば照れちゃって……って 待って!?結構真面目な話!結構真面目な話だから !!」

 

「…次ふざけたら帰るぞ」

 

仕方なしにオリビエの横の席に座る

 

「…僕が皇子って事は前に説明したよね」

 

「ああ」

 

「実を言うと帝国ではすでに皇帝に力は無い状態な んだ」

 

「…どういう事だ?帝国では国事事業の全てに皇帝 の承認が必要なんだろ?」

 

現代で言う絶対王政のちょっと緩い版みたいな感じ だったはずだ

 

「ああ…だが今それが形骸化しつつあるんだ…かの 鉄血宰相の手によってね」

 

「…なるほどな」

 

三国志の司馬イ、日本の宇喜多直家、松永久秀…

 

国のトップで無かったにも関わらず国を操った宰相 や軍師はたくさんいる。それがこの世界では鉄血宰 相だったという事だろう

 

「そこで僕のリベール訪問の目的が…“剣聖”カシウ ス・ブライトと君…“白烏”ケイジ・ルーンヴァルト との接触だったんだよ」

 

……ああ

 

「つまりは“皇帝に立候補した際の国外からの後ろ 盾”が欲しかったと」

 

「流石だね。その通りさ。僕は皇帝に立候補する。 けどそうなればきっと国外へ出る機会なんて数える 程度になるだろうし、パイプを作る時間なんて勿論 無いだろう。だからこそ今、行動を始めたんだ。庶 子の皇子なんて誰も注目しないだろうしね」

 

「驚いたな。ただのバカかと思ってたが…とんだ曲 者じゃねぇか」

 

ただのバカでナルシで女好きで変態のバイセクシャ ルかと思ってたぜ

 

「ふふ…お褒めに預かり光栄至極。それでどうだい ?協力してもらえるかな?」

 

「…条件だ」

 

「ほう…?」

 

「リベールに危害を与えない…これを守る限り俺は お前の味方になろう」

 

「ふふ…交渉成立かな」

 

オリビエと握手をする

 

…だが…もし鉄血宰相に結社がついていた場合…俺は アイツ等に勝てるのか…

 

「…さて、仕事の話はここまでだ。…君は何を悩ん でいるんだい?」

 

「………」

 

「黙っていてもバレバレだよ?さぁ、恋患いだろう が愛しい人ができたのだろうが何でも話してくれた まえ!」

 

「恋愛ばっかりじゃねぇか…」

 

つーか本当に曲者だなコイツ。シリアスと普段の切 り替えが半端なく早ぇ

 

「さぁ話してごらんよ!さぁさぁさぁ!」

 

………ウゼェ

 

だが、あまりにもしつこいのでとうとう話すハメに なってしまった

 

「ふむ…僕から言える事は一つだね…

 

自惚れるな」

 

「!?」

 

「君一人で全部背負おうなんて自惚れもいいところ だ。クローゼくんは護る対象か?確かに君が大佐だ った時は護衛対象だっただろうさ。しかし今君は大 佐じゃない。それに彼女はずっと護ってあげなけれ ばいけないほど弱くない」

 

「………」

 

「それは僕らだって同じだ。僕は一人じゃ何もでき ないと思った。だから今味方を増やすためにこうし て行動している。エステルくんだって一人でヨシュ アくんを連れ戻せるなんて思っていない。だからた めらいなく仲間に頼み事ができる」

 

「………」

 

「君はどうだ?この数ヶ月で何かが変わったのか? 」

 

俺は…

 

「もういいんじゃないのかい?本当に君が必要なら 彼女達から追って来るさ」

 

「……そうだな」

 

確かに…少し過保護になってたかもしれない

 

護られるだけじゃない…か

 

「そうだな…

 

俺は…アルテリアに“帰る”よ」


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