英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『休日』

「…どう?見える?」

 

「いや…まだ無理だな。というか目開かねーし」

 

リーシャ救出から三日。俺は治療と言う名目で監禁 されていた

 

「だったらまだ外には出せないわね …リーシャ、今日も頼むわよ?」

 

「はいっ!」

 

「って待てリーシャ。お前ただの見張り役だろうが !何で毎日毎日俺の膝の上に乗る!?」

 

軽いから始めはまぁいい。でも何時間も座られたら 足が痺れてしゃあねぇんだよ!

 

…羨ましい?じゃあ変われコノヤロ―。あのティア でさえ遠慮しやがったってのに

 

「…駄目…ですか…?」

 

「…ケイジ?まさかリーシャを泣かせたり…しない わね?」

 

「………」(汗)

 

止めろリーシャ!そんな捨てられた子犬みたいなウ ルウルした目でこっち見るな!!ティアが怖いから !子犬の世話する鬼に睨まれてる気分だから!!

 

だがしかし!俺はNOと言える日本人(元)!ここ はきっちり…

 

「…もう好きにして下さい」

 

「よろしい」

 

…言えませんでしたが何か?

 

というか俺上司だよな?何か最近うだつの挙がらな い亭主みたいになってんだけど

 

「~~~♪」

 

「良かったわね、リーシャ」

 

「はいっ!♪」

 

…ま、今まで迷惑かけた分、しばらく好きにさせて やるか

 

「…ってリーシャ!お前好きにしろとは言ったけど 抱きつくのは止めろ!流石に絵的に…」

 

ガチャ

 

「………」

 

「…そ、総長?」

 

「あ~…ケイジ?お年頃なのはわかるが…流石にリ ーシャは年齢的に犯罪になるんじゃ…」

 

「違ぁう!!」

 

「?私15ですけど?」

 

「なっ!?…成る程、洗脳か」

 

「だから違うって!?」

 

「む~…何か失礼な事考えられた気がします…」

 

「…まぁ、双方が合意しているなら文句は言わない が…… 避妊はしっかりな?」

 

「だから違うって言ってんだろうが!ちょ!?待っ て!?そーーちょーーー!!」

 

「ティアさん、ひにんって何ですか?」

 

「リーシャにはまだちょっと早いかな?」

 

「むー…ティアさんまで私を子供扱いして…」

 

「(どっからどう見ても子供だしな…体型的にも、 精神的にも…はぁ、総長思い込み激しいからな…ど う説明したもんか…)」

 

「(そういう所が子供っぽいんだけどね…今回は流 石にフォローしてあげよう)」

 

――星杯騎士団、第二師団。現在活動休止中

 

――――――

 

「………」ムスッ

 

「?どしたのクローゼ?」

 

「いえ…何故か無性にこう…イライラして…」

 

「…?」

 

「…いえ、すみません。何でもないです」

 

「そう?」

 

…何とも勘の鋭いクローゼであった

 

――――――

 

ピーン!←アホ毛が立った音

 

「むむっ」

 

「どうした?」「む~…何か最近どんどん僕のポジ ションを誰かに取られてる気が…」

 

「何の事だよ」

 

アガットとティータは全く訳がわかっていない。む しろ二人共何故アホ毛が立ったのか、と考えている

 

「だって最近僕の出番ないし!ティアなんて最近主 役並みの登場率なんだよ!?リーシャなんてクロー ゼ抜かして正ヒロインの座奪ってんじゃないかって くらいのイベント率なんだよ!?」

 

「いや知らねーよ!?それにリーシャってあのリー シャか!?」

 

「というかメタ発言ダメー!!」

 

…上には上がいるものであった

 

――――――

 

「ああ…何とか疑惑は晴れたな…」

 

「総長ってあんなに思い込み激しかったのね…」

 

リーシャを何とか部屋に置いて来て、総長に全力で 弁解すること一時間。やっと総長の誤解を解く事に 成功した

 

…アイツがついて来たら確実に背中に引っ付いてく るからな。それで俺の精神がガンガン削られんだよ …周りの奴らの生温かい目によって

 

「ま、誤解も解けたことだしよしとするか」

 

「そうね…貸し一つよ?」

 

「はいはい…で?今日は?」

 

「そうね…リーシャの好きなものにしましょうか」

 

「じゃあさっさと部屋に戻るか」

 

――――――

 

『…と言う訳さ。今回はミュラーもしてやられたよ うだね』

 

「だからミュラーって誰だよ…」

 

現在俺の執務室の前。ティアとリーシャが今日の昼 飯をどこで食うか相談してる間にオリビエにリベー ルの様子を説明してもらっている

 

…この前逆さ吊りにした時に色々条件つけて解放し た。これもその一つだ

 

『僕の護衛さ。普段はなんやかんやで撒いて好き勝 手させてもらっているけどね』

 

「護衛の意味なくね? …まぁ、とにかくヨシュアはやっぱり結社には戻っ てないと」

 

『そうだけど…君はどうやらヨシュアくんの動きを 知っていたようだね』

 

「別に知ってた訳じゃない。アイツがやろうとして る事を知ってただけだ」

 

『…やっぱり戻って来てあげてはくれないかい?空 元気を見せてはいるけど、エステルくんも、シャル くんも日に日に弱っているように見えるんだよ。 …それに、何よりクローゼくんが誰より待ちわびて いるよ?』

 

「………そうか」

 

『そうかって…』

 

「何もアイツらまで闇に引き込むことも無いだろ。 それとも…死の危険を犯してまでこっちに連れて来 いと言うのか?』

 

『………』

 

「…どうやらティア達の相談が終わったらしい。そ ろそろ切るぞ」

 

『え?ちょっ!?』

 

プツッ

 

「…通信?」

 

「ああ、ちょっとな…決まったか?」

 

「はい!ちょっと前に私の故郷の料理専門店を見つ けたんですけど…ちょっと高くて手がでなかったん です」

 

「…え゛」

 

「でもケイジさんが奢ってくれるんですよね?あり がとうございます♪」

 

「ごちそうさま。先に言っておくわ」

 

ニヤリと腹立つ笑みを浮かべるティア

 

…コノヤロー…確信犯だ

 

「てめ、ティア!お前あえて高い店選んだだろ!? 」

 

「さて、何の事かしら?文句なら店を見つけたリー シャに言いなさい」

 

「リーシャぁぁぁ!!」

 

「えぇ!?結局私なんですか!?」

 

「黙って大人しく捕まれ!今ならウメボシと悪夢三 十分で許してやる!」

 

「絶対嫌ぁぁぁぁぁ!!」

 

俺がリーシャを捕まえにかかり、リーシャが必死に 逃げ回る そしてそれをティアが薄く微笑んで見ている

 

「ほらほら、先にご飯食べに行きましょう?早くし ないと混んじゃうかもしれないし」

 

「くっ…リーシャ、命拾いしたな」

 

「ほっ…助かりました…」

 

「けど残念だったな!帰ったらウメボシと石畳三時 間だ!」

 

「更に刑が重くなってる!?ティアさん!助けて下 さい!」

 

「もう何でもいいから早く行きましょ?私昼から書 類仕事あるのよね」

 

「ティアさぁん!?」

 

「ならさっさと行くか…ククククク…これで昼から は暇つぶしのネタができたな…」

 

「私暇つぶしで処刑されるんですか!?」

 

「ほ~ら、ワガママ言ってないでさっさと行くぞ~ 。ティアも行っちまったし」

 

「ワガママ!?私が悪いんですか!?私が悪いんで すか!?」

 

俺がリーシャをいじり、リーシャが必死になって逃 げ回り、ティアが止めたり止めなかったりする

 

こんな何でもないような一日に…俺は安らぎを感じ ていた

 

願わくば、また、こんな日が訪れるように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「私(僕)は!?」」

 

「きゃ!?…突然叫んでどうしたのよ?」

 

「「いや、何か捨て置けないくらいの嫌な感じが… 何か仲間外れにされた感が…」」

 

つくづく感のいい女の子達だった

 

 


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