英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『最新の……』

前回のあらすじ

 

回収された

 

目が覚めた

 

確保された←今ココ!

 

「はいケイジ、あ~ん♪」

 

…(精神的に)ピンチなう

 

現在、ベッドに寝たきりの状態でクローゼに介g… いや、かi…………いや、か……………

 

もういいや、介護されてます

 

須佐能乎の副作用だか何だか知らんが…指一本動き ません、はい

 

ちなみに今はヴァレリア湖の宿屋に泊まってます

 

……どうやら俺は相当な時間意識が戻らなかったら しく、ロレント→ボース→ヴァレリア湖と、意識が 無いまま移動してたらしい

 

…え?どうやって移動したか?

 

…聞くな。理由は察しろ

 

と、言う訳でクローゼとか時々リーシャが俺のいる 部屋に篭もりっきりになる訳で…

 

「あ~ん♪」

 

「…いや、だからなクローゼ?俺は別に飯抜いても 「あ~ん♪」いや、だから「あ~ん」話を聞「あ~ ん」………あ~ん(泣)」

 

そのせいで最近の食事はずっとこんな感じだよ…( 泣)

 

逃げるにしても身体動かないわ、身体が動いたとし ても目が見えないわ…

 

わかってるよ?こうしなきゃ飯食えないって事くら い…でもこう…何かこれ以外の俺(の精神)に優し い療養生活の仕方は……え?ない?ソウデスカ…

 

……あれ?詰んでね?

 

そんな感じで軽く色々諦めていると…

 

「クローゼさん!ケイジさん!」

 

「?」

 

「どうしたんだリーシャ?」

 

突然リーシャが部屋に乱入してきた

 

…声音からして嬉しそうだな。何か良い事でもあっ たのか?

 

「ティータちゃんが『アレ』完成させたみたいです !」

 

「本当!?」

 

「…アレ?」

 

アレって何だ?何か軽く面倒な予感がするんだが…

 

「あ、そうか…ケイジには言ってなかったっけ」

 

「ああ…で、『アレ』って何だ?」

 

「昔ケイジが言ってたでしょ?病気とかで動けない 人でも負担なく外に出れる機械…」

 

まさか…

 

「…『車椅子』か?」

 

「正解♪」

 

…俺あの時結構冗談半分で言ったのに

 

「とにかく、クローゼさん車椅子をここまで運ぶの 手伝って下さい。今シャルちゃんが階段の下に運ん でくれてますから」

 

「あ、はい。わかりました……ケイジ、くれぐれも 安静にしててね?」

 

「心配しなくても動けねぇっての…」

 

俺がそう言うと、二人は(多分)一緒に部屋を出て 行った

 

――――――

 

結局、三分くらいでシャルが+された状態で戻って きました

 

「ケイジ…大丈夫?」

 

「精神的なダメージを除けばな」

 

「「それどういう意味かな(ですか)♪」」

 

Oh…殺気が凄まじい

 

今視覚が無い分余計に殺気を感じるしな…

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いてってば」

 

「「………」」

 

何かジト目で見られてる気がする

 

「それで?車椅子持って来たのはわかるが…どうす るんだ?」

 

「そうよね…」

 

「とりあえず、外に出ませんか?」

 

そう言うリーシャの言葉で、俺達は外に出る事にな った

 

――――――

 

カラカラカラカラ…

 

「………」

 

「………」

 

今、クローゼと二人で湖畔を散歩している

 

…二人で

 

シャルは一階に降りた瞬間に運悪くシェラさん(あ の感じは多分飲んだくれモード)に捕まり、リーシ ャは誰か(聞いたことがない声だった)に拉致され てった

 

「………」

 

「………」

 

正直、気まずい。別れ方があんなだったからか、何 話したらいいかが全くわからない

 

…俺が目覚めた時はクローゼから話してたから楽だ ったが…今になって恥ずかしくなったらしい

 

さて…どうしたもんか…

 

「…ねぇ、ケイジ」

 

「………ん?」

 

そんな事を考えていると、不意にクローゼが話しか けて来た

 

「私の気持ち、変わってないから」

 

「………」

 

違う。漠然とそんな答えが頭をよぎる

 

…クローゼの好きは“LOVE”ではなく“LIKE”…言わば 家族に向ける親愛に近い

 

身近に異性がいなかった事、話し相手が俺かユリ姉 しかいなかった事、そして何より家族や他人に甘え る事が少なかった事…

 

そんな色々な事象が重なって…近くにいた俺を“そう いう対象”として見てしまった

 

まぁ…簡単に言えば、お年頃特有の“恋に恋した”っ てやつだ

 

…だからこそ、俺にはその勘違いを晴らす義務があ る

 

「クロー「ケイジ」

 

俺の声に被せてクローゼが泣きそうな声で言う

 

「…もう、どこにも行かないよね?」

 

「………」

 

「ねぇ…答えて?」

 

「………」

 

「行かないって言ってよ…」

 

ぐすぐすと鼻をすする音が聞こえる…クローゼの泣 くとき特有の音だ

 

『泣くなよ…』

 

『だって…』

 

『大丈夫だ。俺がお前を守ってやる。お前を泣かせ る奴は全員俺が叩っ斬ってやるよ』

 

『え…』

 

『だから泣くんじゃねぇよ…結局ユリ姉に怒られん の俺なんだぞ?』

 

『ふふ…わかった。でも…』

 

『…あ?』

 

『ちゃんと私の事、守ってね?』

 

『ああ、約束だ』

 

何故か昔の事が俺の頭をよぎった

 

…泣かせない、か…何言ってんだかな

 

今、クローゼを泣かせてるのは…他でもない俺なの に

 

――――――

 

???side

 

「ぐぬぬぬぬ…」

 

「何で私まで…(本当に真顔でぐぬぬって言う人、 いたんですね…ケイジさん、鼻で笑ってすみません でした…)」

 

今俺は茂みからリーシャと一緒に(ここ重要!)野 郎とクローゼを見ている

 

「野郎…!俺のクローゼに迷惑かけやがって…!何 様のつもりだ…!!!」

 

「…はぁ(あなたの方が何様ですか…)」

 

…ん?リーシャがこっちを見てるな…何だ?嫉妬か ?

 

「どうした?」ニコッ

 

「…こっちを見ないで下さい(気持ち悪いです…目 線が)」

 

一瞬で目を逸らされた。…ふっ、また一人俺に惚れ た女の子を増やしてしまった

 

「ああ、悪い悪い。ゴメンな?」

 

「どうでもいいですけど…私戻ってもいいですか? 」

 

「ああ、悪かったな、つき合わせて。今度何かお礼 を…」

 

「いりません」 そう言って早足で戻って行くリーシャ…全く、恥ず かしがり屋だなぁ

 

まぁそういう所も可愛いんだが

 

「まぁとにかく…あのクソ野郎に俺のクローゼから 手を退かせねぇとな…」

 

仕方なく俺は野郎に声をかけてやる事にした

 

――――――

 

「はい、あ~ん♪」

 

re;(精神的に)ピンチなう

 

「あのさぁ…もう食わされんの自体は諦めたから何 も言わんが…せめてそのあ~んって言うの止めてく んない?」

 

「……あ~ん♪」

 

「無視か!?」

 

いくら何でも酷いと思います

 

「だから本当に「あ~ん♪」いや、「あ~ん」本当 に「あ~ん…」わかった!わかったから泣くな!」

 

…俺、クローゼに勝てる日って来るのかな…

 

そんな感じで泣く泣く(泣けないけど)クローゼの あ~んを受け入れて、精神をガリガリ削っていると ……

 

バタン

 

「ケイジ・ルーンヴァルト!話が………何て羨ま…も といけしからんことを!!」

 

突然何かよくわからんが誰かが部屋に入って来た

 

「………誰だ?」

 

「なっ!?…俺はお前の“元”!部下のリク・クレシ ャナだ!!」

 

リク?…………………………………………………………………………… ………………………………………………………………………………………… …………………………………ああ!

 

「ティアの後釜か!」

 

「そうだ!何故貴様俺を隊長に推さなかったんだ! いや、そもそも俺はお前が隊長だと言うのも不満だ ったんだ!実力、容姿、その他諸々俺の方がお前の 数倍は実力があると言うのに!!」

 

好き放題喚き散らすリク

 

…正直面倒くさい。俺の隊にいたなら間違いなく俺 の訓練受けてたはずだよな?

 

「俺確か訓練で俺に勝ったらその中から隊長を選ん でいいって言ってたよな」

 

「ぐっ…あの時はたまたま体調が悪かっただけだ! !」

 

確か一年に二回くらいはあの訓練やってたような…

 

それに容姿って必要か?

 

「…まぁ隊長は結構前からシオンにするって決めて たしなぁ…」

 

「「前から!?」」

 

クローゼ…何故にお前が反応した?

 

「ケイジ!前からってどういうこと!?」

 

「そうだクローゼ!もっと言ってやれ!」

 

「前から私の側からいなくなる事計画してたの!? 」

 

若干涙声で怒るクローゼ

 

…リクが「そっち!?」とか言ってたが…まぁいい や

 

「あ~…悪かったから泣くなって…」

 

指一本動かないから頭撫でる事もできん

 

…早く治さねぇとな…そういやジンさんいるんだっ たか?気で治癒とかできねぇのかな?

 

「…ケイジ、また後で来るから…覚悟してね?……私 、リク苦手だから…」

 

クローゼがそう俺に呟いて部屋を出て行く…ああ、

 

俺オワタ\(^o^)/

 

「…ふぅ、クローゼは行ったか…オイ!」

 

そう言うと、リクは何か急に偉そうに―割と始めか らだが更に―なって俺に話しかけてきた

 

「…なんだ、今ちょっと絶望してるから後にしてく れ」

 

「はっ…クローゼに嫌われたからか?ざまぁねぇな 」

 

それだけだったらどんだけ良かったか…!命かかっ てんだよ畜生!!

 

するとリクは声を低くして…

 

「単刀直入に言うぞ…クローゼを解放しろ」

 

「……はぁ?」

 

解放?何から?

 

「いい加減クローゼを解放してやれって言ったんだ よ!!無理やりあ~んとかさせやがって!滅茶苦茶 嫌がってただろうが!」

 

見られていた…だと…?

 

…いや、待て。鬱るのは後でも出来る。今は何かこ の不名誉な誤解を解く方が先だ

 

「とぼけんじゃねぇ!!クローゼだけじゃ無くリー シャやシャルもお前が何か洗脳して好意を抱かせて るのはわかってんだよ!!」

 

「してねーよ」

 

洗脳って…やれんことは無いがやるわけねぇだろ。 馬鹿か

 

「じゃあ何でクローゼはお前に付きっきりなんだ! 」

 

「俺が聞きたいわ!!」

 

いや、割とマジで。毎日あ~んとか耐えられるか! !その内精神が擦り切れる自信があるぞ!!

 

「往生際が悪いぞ!!お前が転生者だってことはと っくにわかってんだよ!!」

 

「あ、お前もなのか?」

 

「…は?」

 

何びっくりしてんだ?聞いたのお前だろうが…

 

と言うか転生者を見たのは初めてじゃない。シオン もそうだし、今まで騎士団にも何人かいた

 

……全員が全員ティアとかリースにやらしい視線送 ってたからティアにボコボコにされた後に〇玉マジ で潰されたり、ケビンに訓練と言う名の処刑(魔槍 ロア使って)されたり、総長に守護騎士用の任務に 行かされてそのまま帰って来なかったりしてたしな ~…

 

「…で?何でそんなにつっかかって来んの?」

 

俺クローゼにどうやって詫びいれるか考えるのに忙 しいんだけど

 

……指一本くらいで許してもらえっかな?

 

「俺の容姿とニコポとナデポが通用しないからだ! !」

 

……何自慢気に言ってんだこの阿呆

 

「お前…そんな変な能力貰ったのか」

 

声の方向を頼りに軽蔑の視線(だから送れないけど も)でリクを見る

 

「はっ!…羨ましいか!」

 

全く。むしろキモい

 

「とにかくだ!俺のクローゼ達にこれ以上近寄るな !!」

 

そう好き勝手言い切った後、リクはこれまた勝手に 部屋を出て行った

 

達って…アイツハーレム願望でもあるのか?

 

…にしても『俺の』…ねぇ

 

面倒なことにならなきゃいいがな

 


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