英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『王都の異変』

「よぉ、ティア~。そっちは終わったか~?」(キ ラキラ)

 

黒こげになったリーシャを担いでメルカバに戻ると 、すでにティアが離陸準備をしていた

 

「無駄にイキイキしてるわね… 終わったわよ。アホ二人、無事に保護したわ」

 

「そーかそーか…ってアホ?」

 

ティアが面倒くさそうに指を指す方向を見ると…

 

「だから何度言ったらわかるんですか。ステーキの ジューシーさにはほんのり甘い醤油ベースのオニオ ンソースです」

 

「いえ、おろしポン酢です。ジューシーにはあっさ りで対抗してこそ、両方の旨味が引き立つんです」

 

なん…だと…?

 

「救出した時からずっとあの調子なのよ…ケイジ、 収拾つけてくれない?」

 

「ああ。これは見過ごせねぇ…

 

 

テメェ等ぁぁぁぁ!!ステーキはシンプルに白醤油 とわさびがベストなんじゃぁぁぁぁ!!」

 

「そっち!?更に煽ってどうするのよ!?というか 選択がマニアック!!」

 

「「その発想は無かった!!」」

 

「え!?それで落ち着くの!?何!?私が何かおか しいの!?」

 

わかってくれたようで何よりだ

 

――――――

 

「……さて、マクダウェル市長の娘さんだな?」

 

「え?はい、そうです」

 

その後、マクダウェル市長の娘さん…エリィと話を する事に

 

…書類に必要なんだよ。すんごい面倒くさいけど。 すんごい面倒くさいけど!

 

「とりあえず何で帝国貴族なんかに捕まってたんだ ?」

 

「え~と…わかりません」

 

「んじゃ適当に子爵がロリ巨乳好きだったからと… 」

 

バキッ

 

「殴りますよ?」

 

「や、殴られてから言われても…」

 

「それに私16です。結婚できる年齢なんですけど 」

 

「16…いや、やっぱ低いだろ。ティアの口ら辺まで しか無いし」

 

「ティアさんが高すぎるんです!!」

 

ティア…大体168センチくらいか?高いのかコレ?

 

え?俺?この前測ったら183だったけど

 

「じゃ、アレだ。誘拐された心当たりとかは?」

 

「……多分、クロスベルの政治情勢が原因だと思い ます」

 

「……なるほどな」

 

クロスベルはアルテリア法国が自治を認め、宗主国 が帝国と共和国の二国もあるという厄介な状況にあ る

 

その為、宗主国はこぞってクロスベルの統治を主張 しあい、長年水面下の争いが続いている

 

「……確か、今のクロスベルの議長は帝国派のハル トマンだったな?」

 

「…はい」

 

…つまり今回のは市長を脅してクロスベルの政治部 分を完全に帝国が掌握しようってわけか

 

後今更だが俺が目の前にいても大丈夫って事はそう いう事もされてない、と

 

「じゃ、後はティアが色々聞くと思うから…素直に 答えろな?」

 

そう言って俺は部屋を出る

 

「…どうだった?」

 

「やっぱりクロスベル問題の件だな。…後、あっち 系は大丈夫だ。心も覗いてみたが俺に対する怯えと かは一切無かった」

 

つーか殴られたし。空気を和まそうとしたのに何て 仕打ちだ

 

「そう…後、シャルが帰って来てるから宥めてあげ てね」

 

「…何故に?」

 

「『何で僕だけ出番無いのさ~!!』って言って凄 い拗ねてたから」

 

メタ発言禁止

 

「…それに、その所為かは知らないけど…シークに 散々撃ち込んで動けなくした後に…アレ、ぶち込ん だらしいわ…」

 

「マジでか…死んでなきゃいいけども…」

 

「トラウマは確定ね」

 

無邪気って…恐ろしいな

 

その後シャルを宥めていると、今度は何故かリーシ ャの機嫌が悪くなっていった

 

……解せぬ

 

そしてエリィはまだ帝国に留学中らしく、駅まで送 ってから別れた

 

――――――

 

「……ただいま」

 

「リースぅぅぅぅぅぅ!!」

 

帰って来るなり、総長が全力でリースを拉致って行 った

 

「………は?」

 

「あ~…リーシャは初めて見るのか。あの人基本的 に書類が関わるとポンコツだから。面倒なくらい子 供だから」

 

「書類仕事全部私に押し付けてる人の言えるセリフ かしら?」

 

「キオクニゴザイマセンナァ」

 

「声が震えてるわよ」

 

まぁそんなどうでもイイ事は永遠に置いといて…

 

「とりあえず俺達はもう一度リベールに戻るぞ」

 

「ふぇ?何で?」

 

「いや、ちょっと前にリベールに空中都市が出現し たって知らせがあってな…」

 

『!?』

 

お前ら…さては一度も外見て無かったな?

 

「多分だが…アレはゴスペルとやらと同じ物の類だ 。下手すれば国単位で導力停止現象が起きる」

 

「!!」

 

そうなれば間違いなく帝国が何らかのアクションを 起こす。仮に俺が鉄血のオッサンと同じ立場だった ら絶対に放っておかない

 

「だったらどうやってリベールまで行くの?」

 

「忘れたか?俺達だけが使える力があるだろう?」

 

「まさか…」

 

「そう………譜で、メルカバを飛ばす」

 

――――――

 

~リベール王国・王都グランセル~

 

街が燃える

 

突如として侵入してきた“身喰らう蛇”の執行者達に よって王都は蹂躙されていた…

 

~グランセル城・空中庭園~

 

「ふむ…あれが女王宮のようだ」

 

遂に執行者達は女王宮の手前まで来てしまっていた

 

「…どうでもいいよ。早く終わらせよう」

 

「相変わらずお前は第二位以外には興味を示さねぇ な…」

 

執行者は五人。怪盗紳士、痩せ狼、幻惑の鈴、殲滅 天使、そして…影奏

 

「ホラ…油断するから面倒な事に…」

 

女王宮からも親衛隊が出てくるが、影奏の影の攻撃 により、一瞬で制圧される

 

そしてエステル達が着いた頃には…

 

「…ほう、君達か」

 

執行者達にクローゼ、そしてアリシア陛下が捕らえ られていた

 

「無駄よ。ヨシュア…あなたの穏形ならあるいは私 達の隙をつけただろうけど…」

 

「そうだね…でも、隙を作るのは僕がする必要はな さそうだ」

 

ヨシュアがそう言うと、突如閃光のような速さで誰 かが横から奇襲を入れる

 

そこに現れたのは…シード中佐

 

「やあ、みんな、遅くなったね

 

――陛下、殿下。遅くなってしまい申し訳ありませ んでした」

 

「…いえ、よく来てくれました」

 

そして、間髪入れずに鳥の鳴き声が聞こえたかと思 うと、突如としてジークが現れ、ルシオラを下がら せ、その隙をさらに誰かがこじ開ける

 

「間に合ったか…」

 

「おいおい…」

 

「リ、リ、リ…

 

リシャール大佐っ!?」

 

「…まだ、甘いよ?」

 

「それは…どうかな?」

 

そして影を介してアリシア陛下を連れ去ろうとする 影奏に西洋剣が振り下ろされる

 

「……まだいたのか」

 

「もっといるかもしれないね?」

 

「シオンさん!!」

 

「陛下、殿下…すみませんでした。そしてご無事で 何よりです」

 

クローゼの言葉に、黒髪黒目の青年…シオンは笑っ て答えた

 

「《剣聖》を継ぐ二人……そして《漆黒の牙》と腕 利きの遊撃士たち……更には《白烏》の後継者か」

 

『……ええ!?』

 

「…あ、そう言えば初めましてだったね。王国親衛 隊大隊長代理、シオン・アークライトです。よろし くね」

 

そう言って微笑んではいるが、隙が無い

 

というか…

 

「(いい人オーラがでてるわね…)」

 

「(あのドSの後継者とは思えないな…)」

 

割とエステルとヨシュアのケイジの評価は酷かった

 

「…ちょっと遊びすぎたかしら」

 

「市街地の方も手を打たせてもらって

 

――――――

 

東街区は原作通りカノーネと元情報部が制圧した

 

そして…

 

~西街区~

 

「………」

 

グランセル城に通じる道。そこにリクは立っていた

 

…作戦では、情報部の奴らがここに西街区の全猟兵 を集める事になっている

 

後は…

 

―――体は剣で出来ている

 

血潮は鉄で 心は硝子

 

只、俺が奴に劣っていないと証明するために

 

―――幾たびの戦場を越えて不敗

 

只の一度も敗走はなく

 

只の一度も理解されない

 

只、俺が俺であるために

 

―――彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う

 

故に、生涯に意味はなく

 

只、あの背中に追いつくために

 

―――その体は、きっと剣で出来ていた

 

「……王室親衛隊、大隊長補佐『代理』、リク・ク レシャナ」

 

―――――無限の剣製(アンリミテッド・ブレード・ワークス)

 

あの敗戦の後、エステル達と別れてすぐにリクはカ シウスに特訓を頼んでいた

 

…これが、その特訓の成果にして、英霊エミヤの能 力の真骨頂

 

「……会って早々に悪いんだが…今はお前らに費やし てる時間が無いんだ

 

………消えろ!!」

 

その瞬間、猟兵達を囲むように、そして間を縫うよ うに地に突き刺さっていた全ての剣が爆発した

 

そして、執行者が退いたことにより、執行者による 王都襲撃事件はなんとか食い止められた


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