英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『虐さt……』

あれから数時間……

 

「……ここが、《中枢塔》(アクシスピラー)……」

 

「大きい……」

 

エステル達が解放したレールハイロゥでアクシスピ ラー前駅に辿り着く

 

…いや、確かにクローゼのご先祖の件とかグロリア ス突入とか色々あったんだけどな

 

リク曰わく、「俺達が介入しなくても変わらない」 だそうで…

 

決して作者の手抜きじゃないのであしからず

 

「やっと来たわね」

 

「全員無事みたいだね」

 

「…お前らが早すぎるだけだっての」

 

俺達も介入したとはいえ、グロリアス攻略までの時 間が二時間ってどんだけだよ…

 

「……で?やっぱりここが?」

 

「ええ、教授達がいる場所よ」

 

中枢塔……アクシスピラー

 

その名の通りこの都市の中枢部って訳か

 

そして、突入前の最後の休憩となった

 

「(……ケビン)」

 

「(何や?)」

 

「(ヨシュアのアレ……もう処置は終わったのか? )」

 

「(ああ、アレか…とりあえず一通りは終わったで 。後はヨシュア君の心の強さと状況次第や)」

 

「(…そうか。ならちょっと手伝って欲しい)」

 

「(ええけど…何やるん?)」

 

「(何……ただ俺の眼を治すだけだ。

 

………不本意だけど。本っ当に不本意だけど!!)」

 

「(………何やらされるんや?俺)」

 

――――――

 

「……なるほど、『変若水(をちみず)』か。確かにそれやった らどんな傷、病も治るやろうけど…」

 

「ああ……治るだけならいいんだがな…」

 

変若水。前世で言う日本の霊薬で、若返りの薬とも 言われている

 

…だが、この世界では古代遺物扱いで、なおかつ教 会内だけだが、最高の薬として知られている

 

ただし使用に関しては騎士団総長か司祭の許可が必 要だし、守護騎士…と言うか聖痕を持ったやつしか 効果が無いとか言う無駄に厳しい制約があるが

 

……しかもこの薬、本っ当に厄介な性質がある

 

それが…

 

「まさか一人一人副作用が変わるとかなぁ…ほんま にやってられへんで」

 

「全くだよ…」

 

そう、副作用が全くわからない。わかるのは副作用 は確実にあるって事実だけ

 

しかもその副作用がまた…こう、人のプライドをこ とごとく打ち砕くようなものばかりなのだ

 

……因みに、総長は幼児化(年齢的にも)、ジュリ オは性転換、おまけにリーブはキス魔だったらしい

 

しかも性格系以外は記憶にきっちり残るってのも憎 い。そして効果は約二時間

 

それでも俺達のプライドを打ち砕くには充分なのだ が

 

「……ケビンはどんなんだった?」

 

「………めっちゃ甘えん坊になってたらしい。目が覚 めたらリースに膝枕されとった

 

…目が、生暖かかった。死にたくなった」

 

すんごい虚ろな目をして語るケビン

 

…本気で飲みたくなくなってきた…でも飲まないと 天照も須佐能乎も使えねぇし、何より視界が遮られ るしな…

 

「…一思いにいかなだんだん嫌になるで?」

 

……………

 

「……南無三!!」

 

「おお!?」

 

とにかく一気に飲んでさっさと終わらす!!異論は 認めない!!

 

ゴクッゴクッゴクッゴクッ………

 

……………?飲み干したのに変化が無い?いや、すぐ に左目は開いたんだが…

 

…まさか、副作用無しで済んだ?マジで?ヒャッホ ーイ!!

 

…ん?ケビン?お前肩震わせてどうした?

 

「どうしたケビン?何かあったか?」

 

「い、いや………クク……お、おまっ、お前…ククク… 」

 

そう何かを堪えるようにしながら黙って俺に鏡を差 し出す…というかよく鏡何て持ってたな

 

そして貰った鏡を覗き込むと……

 

「…………な、ななななななななななな…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんじゃこりゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「アハハハハハハハ!!もう無理!!もう無理や! !アハハハハハハハ!!!」

 

――――――

 

「あ、ケイジ!!もう!どこに行っ………て……?」

 

「ケイジさん!探してたんで…………すよ……?」

 

「……オイ何だ。言いたい事があるならはっきり言 えコノヤロー」

 

俺を見るなり一瞬で固まるクローゼとリーシャ

 

……気持ちは痛いほどわかるけど。俺も知り合いが 急にこんなんなってたらそうなるだろうし

 

「………ケイジ、まさかコスプレ趣味があったなんて ……」

 

「違ぇよ!!」

 

「大丈夫ですケイジさん!!なんとか許容してみせ ますから……頑張りますから……!!」

 

「許容すんな!頑張るな!俺にそんな趣味はねぇぇ ぇぇぇぇぇ!!」

 

結果だけ言おう。俺に狐耳と尻尾(九本)が付きま した

 

……流石変若水……俺の尊厳的な何かを的確に砕いて きやがる……!

 

それから二十分二人を説得し続けてようやく誤解が 解けた…

 

「薬の副作用……そんな薬あるのね」

 

「でも確かに左目が開いてますし…ケイジさんがそ んな自分の利にならない嘘を吐くとも思えませんし …」

 

わかってくれて何よりです

 

さて…

 

「とりあえずアクシスピラーに乗り込むんだろ?さ っさと行こうぜ。今なら《グロリアス》すら粉々に なるまで破壊できる気がする というか何でもいいから全力でぶっ壊したい」

 

「…何かケイジは連れて行っちゃダメな気がするん ですけど」

 

「あはは…」

 

よしよしエステル、ヨシュア。お前ら後で死後の桓 公コース~全身バラバラ車裂きコース~を痛覚つき で実感させてやるから…カクゴシトケヨ?

 

…とにかく、アクシスピラーに侵入組は…エステル 、ヨシュア、俺、クローゼ、オリビエ、リク、シャ ル、ジンさん、シェラさんになった

 

――――――

 

塔の前に何か獣っぽい兵器が出てきたが、サンダー ブレード一発で焼け焦げた

 

全く脆い…俺のストレスがこんなもんで発散できる と思うなよ…!

 

「クカカカカカカ…!!」

 

「何故だか今のケイジは下手な敵より恐ろしく思え るんだが…」

 

「気にしないでジンさん…僕はもう諦めたから…」

 

「…シャル、あの状態のケイジさんを止める手段っ て無いの?その内また囮にされそうで怖いんだけど …?」

 

「クローゼ」

 

「無理」

 

「…らしいよ?」

 

「もうちょっと考えてよ!?」

 

――――――

 

何だかんだで行き止まりに行き着き、横にあった扉 を出ると、外だった

 

「随分高い所まで来たわね…」

 

「んなもんどうでもいい…さっさとストレス解消相 手(敵)を出せや…」

 

「コイツ本当に誰よ?もう冷静とかそんな面影微塵 も無いんだけど」

 

「多分尻尾と耳が消えるまであの調子だと思います …でもこの尻尾……凄く気持ちいい…♪」

 

クローゼ、モフモフしてんじゃねぇ。それは俺だっ てやりたいんだ!!

 

…でも出来ない。何故なら尻尾は背中側だから…

 

そうして俺がさっさと端末みたいな物に近づこうと した時だった

 

……キィン

 

『!!』

 

「ほぉ…流石は《白烏》…気配は完全に隠していた はずなのだが」

 

そんな声がしたと思えば、何か無駄に派手な演出で 変な仮面野郎が現れた

 

…………敵キター!!

 

「オイリク…」

 

「ああ、奴は…」

 

「わかってる………変態だろ?」

 

「違う!!」

 

全力の反論が返って来た

 

全く…何が不満だったんだ…

 

…というかクローゼさん?何でアイツが現れた瞬間 に俺の背中に隠れて袖を握ってんですか?

 

……ちょっとキュンと来たじゃねぇかコノヤロー

 

…これがギャップ萌えという奴か!!

 

「フフ、これはまた大勢で…そしてまさか我が姫と 好敵手まで共にいるとは…」

 

「フッ…これはまた芝居かがった演出をしてくれる じゃないか」

 

…なるほど、好敵手ってのはオリビエか

 

「ケイジ、あの仮面男は…」

 

「さっきので大体わかった…オリビエの同類だろ? 」

 

「……概ね間違って無いから訂正しにくい!」

 

ほれみろ

 

「私が拘る理由はただ一つ…そこに盗む価値のある 美しい物があるかどうかだけだ」

 

俺がエステルと会話していると、知らない間に話が 進んでいた

 

「ふむ…一体それは何だい?」

 

「フフ…それは諸君の『希望』だ」

 

…………は?

 

「痛い痛い痛い!痛いよ~~。ここに信じられない くらい痛い人がいるよ~~」

 

「本当に君は今日、色々ぶっ込んでくるね」

 

うるさいぞヨシュア。この世界、地味になったら負 けなんだ

 

「……私はその希望が潰えようと構わない。希望が 輝く、その極みを見てみたいのだ!」

 

そう言うと、何か杖みたいな物をこっちに向ける変 態仮面

 

すると…

 

ドガッ×2

 

機械兵器が二機、俺達の背後に落ちて来た

 

「くっ…!」

 

「さぁ、見せてくれたまえ!希望と言う名の宝石が 砕け散る時の煌めきを!!」

 

「ならば逆に証明しよう…愛があれば希望の灯火は 永遠に燃え続けるという事を!」

 

「そして美しい女性はそれだけで正義だと言う事を !!」

 

あっ、てめっ、リク。お前何最後に地味にでしゃば ってんだ

 

…つーか

 

「…あ~、前置きはもういいのか?」

 

「「「…………………………へ?」」」

 

前に出てたバカ三人が揃って声を上げる

 

まぁそりゃ…三人共足が腿まで凍りついてりゃそう なるわな

 

「ちょ!?ケイジくん!?味方に一体何を!?」

 

「いや、何か大体オリビエの所為ってのがわかって 来たからつい…」

 

「何故私まで!?」

 

「いや、敵だし」

 

「何で俺まで!?」

 

「いや、最後に出しゃばられてイラッときたし」

 

「それ何て理不尽!?」

 

因みに機械兵器は三人の足を凍り付かせた時に切り 刻んだ

 

「…さて、ここにお前らの処け……ゲフンゲフン」

 

「ちょっと待て!今処刑って言いかけただろ!!」

 

「チッ…まぁ、言いかけたけど?」

 

「開き直った!?」

 

おっと、つい本音が…

 

「ケイジ、楽しんでるわね…」

 

「彼は生粋のドSだからね…」

 

そこのバカップル。お前らは後で車裂きの幻術(痛 覚付き)だと言う事を忘れるな。俺は忘れない

 

「さて…何が出るかな♪何が出るかな♪フフフフン フン、フフフフーン…」

 

「……うわぁ、三人の目が虚ろになってきてるぞ…」

 

「多分諦めて悟りを開いたんだと思いますよ…」

 

…おっ、これは…

 

「シャル~、こっち来い」

 

「僕?」

 

トテトテとこっちに来るシャル。俺はクローゼに袖 を握られてるので攻撃できないからな

 

…さっき機械兵器切り刻んでから戻ったら泣きそう になってたし…

 

「えっと…―――――――――――を、――――で」

 

「……いいの?」

 

「俺が許す」

 

「は~い♪」

 

そう言うと、素早く銃を二丁抜き、三人に向けて構 えるシャル

 

…その銃口の先には、桃色の譜力が収束していく

 

「お、おいケイジ……それってまさか………」

 

震える声で俺に聞いてくるリク

 

…ふっ、流石にお前は気付くか…

 

「そのまさかだ!!」

 

「あ、終わった…終わったよ……助からねぇ………」

 

某ボクサーの如く悟りの境地に至ったリク

 

「ちょ!?リクくん!?諦めてはダメだ!!ほら、 あの花の盾を…」

 

「無駄。アレはシールドの類は全部抜いてくるから …魔王の奥義だから…」

 

「僕魔王じゃないもん!!」

 

リクの発言に怒ったのか、止まりかけていた譜力の 収束がまた元のスピードに戻る

 

「お、お嬢さん?争いは何も生み出さないと思うの だが…」

 

「ごめんね?特に恨みは無いんだけど…一応僕従騎 士だから逆らえないんだ♪」

 

オイ、さらっと責任押し付けんな

 

「……この前の幽霊騒ぎ…本当に怖かったんだよ…… !!」

 

そして思いっきり私怨じゃねぇか

 

「…星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ!!」

 

「「ちょ、タイム!!」」

 

「アハハ……アハハハ……」

 

……リクが何か取り返しのつかない所までイってる ような気がして仕方ないんだが…まぁいいや

 

「スターライト……ブレイカー!!!」

 

「「「ぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

 

そうして、変態仮面と愉快な仲間達はお星様となっ た……

 

…うん、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満 ッ ッ ッ 足 ♪

 

P,S, 耳と尻尾はSLB発射の時に消えました

 

…ヤッタネ!


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