英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『やっぱりそうだよね君は!』by ヨシュア

クラムのイタズラで迷惑を掛けてしまった新米遊撃 士のエステルとヨシュアにルーアンのギルドまで案 内をする俺とクローゼであった!」

 

「ケイジ、途中から口に出てるから(どうせわざ とだろうけど)」

 

「嘘っ!?」

 

「というか誰に喋ってたの?」

 

「さあ?何か天の声が…」

 

「はいはい」

 

何かクローゼにあしらわれた気がしなくもないが、 実際今かなり面倒くさい状況にはなっている

 

手配魔獣の…たしかジャバとかいうのが急に出てき て戦闘になってるからな

 

クローゼがこっちに近づいて来て

 

「(ケイジ、二人に手を貸さないの?)」

 

「(アホか。いくら何でも時期尚早だ。エステル はともかく、ヨシュアに俺の正体がばれそうな気が するしな。)」

 

「(でも…)」

 

二人を心配そうに見るクローゼ

 

「(大丈夫だって…いざとなったら…)って早速 か よ!?」

 

チラッと二人の方を向くと、周りのザコは潰してい たが、ジャバ本体に苦戦していた。

 

「あ。そういやアイツは倒せば倒しただけ強くな るヤツだった」

 

今まで何体潰したっけ?…五体は軽いな

 

「もう!早く手助けしてあげて!」

 

「あいさ~」

 

まあクローゼの周りのザコは一瞬で切り払ったしい けるか…

 

そう考えて俺はエステルとヨシュアが二人がかりで 押さえていたジャバに閃華を食らわせ、その追加効 果で葬った

 

「え…!?ケイジ!?」

 

「助かったよ。…というか戦えたんだね」

 

エステルは純粋に驚いた目で、ヨシュアはジト目で 俺を見て来る

 

「や~悪い悪い。アイツが倒したら倒しただけ強 くなる事忘れてたわ。しかももう五回以上は倒して たしな」

 

「「それを早く言え!!」」

 

ナイスハモりで~す

 

「もう…ケイジが始めから手伝ってくれてたらこ ん なに疲れなくても良かったんですけど」

 

「まあ…ドンマイ?」

 

適当にはぐらかしてさっさと先に進む俺とヨシュア とクローゼ

 

ヨシュアはどうやら言っても無駄だと割り切ったら しい

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ~!」

 

~ルーアン市~

 

「うわ~…ここがルーアンか。何て言うかキレイ な 街ね」

 

「蒼い海、白い街並み。まさに海港都市って感じ だね」

 

その前にエステル、お前機嫌治るの早いな

 

口に出したらまた怒るだろうから言わないが

 

「ふふ、色々と見所の多い街なんです。すぐ近く に灯台のある海沿いの公園もありますし」

 

「…クローゼ。何でそこで俺をチラチラ見るんだ お 前は?」

 

「もう…ケイジのバカ…」

 

「何が!?」

 

最近クローゼがわかりません。マジで

 

「(ねぇヨシュア、クローゼさんってケイジの事 好きだよね?)」

 

「(多分ね。…ケイジの方は気付いてないみたい だ けど)」

 

そしてクローゼは気を取り直して

 

「でもやっぱり一番の見所は“ラングランド大橋” か しら」

 

「“ラングランド大橋”?」

 

「この北街区と川向こうの南街区を繋ぐ橋だ。巻 き上げ装置を使った跳ね橋になってんだよ」

 

「跳ね橋か…それはちょっと面白そうだな」

 

「その前にギルドに行くんじゃねぇのか?」

 

「え?………あ、うん」

 

忘れてやがったなコイツ

 

「全く君って人は…」

 

「あはは…遊撃士協会は表通りの真ん中にありま す 。ちょうど橋の手前ですし、早く行きましょうか 」

 

「ああ、俺は橋ん所で待ってるな」

 

「わかったわ。それじゃあ後でね」

 

と、俺はギルドに向かう所で別れた。ぶっちゃけ面 倒だったからだが…

 

まあどうせこの後街を案内とかするんだろうし、今 のうちに休んでおくか

 

~15分後~

 

「やっと来たか…」

 

「あはは、ちょっと時間掛かっちゃって…それに し ても、これが“ラングランド大橋”かぁ…」

 

そう言って落ち着きなく周りを見渡すエステル

 

どうやら予想通りルーアン見物になったみたいだな

 

「やっぱり大きいわね。ヴェルデ橋の倍くらいは ありそう」

 

「この橋が作られたのは今から40年ほど前だそ う です それまでは渡し船で両岸を行き来していたん ですっ て」

 

「え?どうして橋を作らなかったの?」

 

「この川は湖と海を結ぶ唯一の川だからな…橋を 掛 けると船が通れなくなるだろ?」

 

「それも導力革命によって跳ね橋を作る事で解決 したんです」

 

「なるほど…」

 

エステルが納得した所で、次は南街区に渡る事にな った

 

しかもエステルはどんどん倉庫区画に進んで行った 訳で…

 

クローゼが倉庫区画について説明した後さらに奥に 進む

 

すると

 

「ど、どうしてこんな場所に若い女の子たちが…」

 

…やっぱりいたな

 

「やいやい、ここは立入禁止だ!て、てめえらみた いなガキ共が入っていい場所じゃねぇんだよ!」

 

と、若干震えた声で不良A君が言った

 

「いや、別に入りたいなんて一言も言ってないん だけど…ところで、なんでそんなに緊張しちゃって る訳?」

 

「あ、やっぱり緊張してるように見える…?」

 

やっぱりしてたんかい

 

「…じゃなくて!とにかくここは立入禁止だ!とっ とと向こうに行っちまえ!」

 

最後まで照れた感じで言う不良A…ここまで来たら 照れ隠しにしか聞こえねぇな

 

隣でヨシュアもクローゼも呆れてるしな

 

エステルは不良を見た事が無いのか興味津々だが

 

まだ話し掛けようとするエステルを引きずって、倉 庫区画の出口辺りに来た時に…

 

「待ちな、嬢ちゃん達」

 

「やっぱり来たか…」

 

倉庫区画の方から三人組の男がやって来た

 

「え、あたし達?」

 

「おっと、こりゃあ確かに当たりみたいだな」

 

「ふん、珍しく女の声が聞こえてきたかと思えば… 」

 

因みに上からディン、ロッコ。で、まだ喋ってない のがレイス。俺曰わく、“三バカトリオ”だ

 

「あの、何か御用でしょうか?」

 

「へへ、さっきからここをブラついてるからさ、 ヒマなんだったら俺達と遊ばないかな~って」

 

そう言って明らかににやけるディン

 

「おお、クローゼ良かったな。今モテてんぞ?お 前」

 

「全く全然微塵も嬉しく無いから黙ってて」

 

俺のジョークに即答で返してくるクローゼ

 

…流石に酷くねぇか?

 

ほら、ディン若干涙目になってるし

 

「何よ、今時ナンパ~?悪いけどあたし達ルーア ン見物の最中なの。他を当たってくれない?」

 

ここらへんは流石エステルだな。クローゼだけだっ たら「え、あの…」とか言ってどもりそうだ

 

「お、その強気な態度、オレちょっとタイプかも ~♪」

 

「ふぇっ?」

 

止めとけ。ヨシュアが睨んでるから

 

「見物がしたいんだったら俺達がしてやろうじゃ ねぇか。そんな生っちろい小僧共なんか放っておい て俺達と楽しもうぜ」

 

「………………」

 

もう止めて…ヨシュアが怖いから

 

しかも…

 

「あの~…クローゼさん?何故俺の腕に抱きつい て いるのでせう?」

 

「え?駄目だったの?」

 

「止めてくれ。主に周りの視線が痛いから。俺の 心に突き刺さってるから」

 

「いいじゃない。今更そんな事を恥ずかしがる関 係じゃないよ?」

 

「いやどんな関係だよ。ただの幼なじみじゃねぇ か」

 

と、クローゼと半分コントみたいな会話をしていた のだが…

 

「ちょっと!何が生っちろい小僧よ!あんた達み たいなド素人、束になってもヨシュアには…」

 

「いいよ。エステル。別に気にしてないから」

 

どうやら無視らしいです

 

「なに、このボク…余裕かましてくれてんじゃん 」

 

「ムカつくガキだぜ…上玉二人とイチャつきやが っ て」

 

俺の存在無視ですか?シバくぞ?

 

「世間の厳しさを教えてやる必要がありそうだね ぇ」

 

そう言って三バカトリオがじりじりと距離を詰めて くる

 

「ちょ、ちょっと…!」

 

「や、止めてください…!」

 

こいつら…調子にのるまえに潰すか…?

 

そこで俺とヨシュアが二人をかばうように

 

「…僕の態度が気に入らなかったなら謝りますけ ど …彼女達に手を出したら…手加減、しませんよ」

 

「まあとりあえず遊ぶ云々はまだ見逃すとして… 」

 

「「オイ」」

 

「これ以上クローゼを怯えさせたら…消すぞ?」

 

後ろでエステルが「あたしは!?」とか叫んでいる が気にしない

 

すると、俺とヨシュアの威圧感(俺の方は結構台無 しだが)に気圧されたのか、三バカトリオが後ずさ る

 

「なっ…」

 

「なんだコイツら…」

 

「は、ハッタリだ、ハッタリ!」

 

後ずさって言うセリフじゃねぇよな、それ

 

「へっ!女の前でカッコ付けたくなる気持ちも判 るけどな、あんまり無理をし過ぎると大ケガをする 事になるぜ…」

 

「いや、お前ら程度、1秒以内に無力化できるけ ど?」

 

「言うじゃねぇか…やれるもんならやってみろよ … 」

 

ロッコが凄む。プレッシャーも何もないが

 

「言われなくてもやってやるよ…ヨシュアがな! 」

 

「やっぱりそう言うよね!君は!」

 

「当たり前だ!面倒くさいしな!」

 

そう言いながら戦闘体制に入っていると…

 

「お前達、何をしているんだ!」

 

と、市長邸の方から青髪のいかにもキャリアですみ たいな男が歩いてきた

 

「げっ…」

 

「うるせぇヤツが来やがったな…」

 

どうやら三バカトリオにとって天敵らしい

 

「お前達は凝りもせずまた騒動を起こしたりして… いい年をして恥ずかしいとは思わないのか!」

 

「う、うるせぇ!てめぇの知った事かよ!市長の 腰巾着が…」

 

「なんだと…」

 

一触即発ですね~…あっはっは

 

「…おや、呼んだかね?」

 

突然、オッサンが口を挟んできた

 

「だ、ダルモア!?」

 

どうやらこのオッサンが市長らしい

 

ついでに青髪の方はギルバートと言う名前だとクロ ーゼが説明してくれた

 

…つーかいつまでコイツは腕に引っ付いてるつもり なんだ?

 

「ルーアンは自由が象徴の街だ。君達の服装や言 動についてとやかく文句を言うつもりはない。しか し他人に、しかも旅行客に迷惑を掛けるというなら 話は別だ」

 

そう市長が言うと、また三バカが文句を言ってギル バートが言い返す不毛な口喧嘩になるが、エステル 達が遊撃士だと言う事でとりあえずは落ち着いたら しく、三バカは去って言った

 

と言うか「覚えてろ」って…今時レアな捨て台詞だ な

 

「なんて言うか…めちゃくちゃ陳腐な捨て台詞ね 」

 

どうやらエステルも同じ考えだったらしい

 

「まあ、ああいうのがお約束なんじゃないのかな ?」

 

「済まなかったね、君達。街の者が迷惑を掛けて しまった」

 

「ああ、別にいいですよ。結果的に何も被害はあ りませんでしたし」

 

「そうか…申し遅れたが私はルーアン市の市長を 務 めているダルモアと言う。こちらは秘書のギルバ ート君だ」

 

「よろしく。君達は遊撃士だそうだね?」

 

「あ、ロレントから来た準遊撃士のエステルと言 います」

 

「同じく、ヨシュアと言います」

 

「そう言えば、受付のジャン君が有望な新人が来 ると言っていたが…ひょっとして君達の事かい?」

 

そんなに評判良かったのかコイツら?

 

そう言えばハーケン門に向かう途中に“凄く優秀な 二人組の新人遊撃士がいる”って聞いたような…

 

「えへへ…有望かどうかはわからないけど」

 

「暫くルーアン市で働かせて貰おうと思っていま す」

 

「おお、それは助かるよ。今、色々と大変な時期 でね。君達の力を借りる事があるかも知れないから 、その時はよろしく頼むよ」

 

「大変な時期…ですか?」

 

「まあ、詳しい話はジャン君から聞いてくれたま え。…ところでそちらの二人は王立学園の生徒のよ うだが…」

 

「はい、王立学園二年生のクローゼ・リンツと申 します」

 

「同じく、二年のケイジ・ルーンヴァルトです」

 

ヨシュアの真似をして自己紹介する

 

…今更だが、ルーンヴァルト性を名乗るのまずかっ たか?

 

「(ルーンヴァルト…ケイジ…やっぱりどこかで 聞 いた事が…?)」

 

「そうか。コリンズ学園長とは懇意にさせて貰っ ているよ。…そう言えばギルバート君も王立学園の 卒業生だったね?」

 

…………え゛

 

「ええ、そうです。クローゼ君とケイジ君と言っ たかい?君達の噂は色々と聞いているよ。ケイジ君 は万年主席で、クローゼ君はジル君と次席の座を争 っているそうだね。優秀な後輩がいて僕もOBとし て鼻が高いよ」

 

「そんな…恐縮です」

 

「…そりゃどーも」

 

クローゼに肘でつつかれたが気にしない

 

俺が主席なのはテスト限定だからな…テストで点数 稼がないと、自由に動けない訳だし

 

「はは、今度の学園祭は私も非常に楽しみにして いる。どうか頑張ってくれたまえ」

 

「はい。精一杯頑張ります」

 

「内容で頑張りたくなくなるんだけどな…」

 

うん、アレはねぇよ。何が楽しいんだ?アレで誰が 得するんだ?…ジルか

 

「…?まあ、それじゃあ私達はこれで失礼するよ 。 先程の連中が迷惑を掛けたら私の所まで連絡して くれたまえ。ルーアン市長として、しかるべき対応 をさせて頂こう」

 

そう言って市長とギルバートは去って行った

 

「うーん…なんて言うかやたらと威厳がある人よ ね 」

 

「確かに、立ち振る舞いといい、市長としての貫 禄は充分だね」

 

「ダルモア家はかつての大貴族の家柄ですから。 貴族制が廃止された後も、いまだに上流階級の代表 者と言われている方だそうです」

 

「まあ、俺からしたら胡散臭いだけだけどな。現 に今も借金を抱えているらしいし」

 

「そうなんだ…しかし、それにしてもガラの悪い 連 中もいたもんね」

 

「そうですね。ちょっと驚いちゃいました」

 

「でも良かったじゃねぇか。嫁の貰い手が見つか って」

 

「……………」

 

「冗談だからダイヤモンドダストは勘弁してくれ … 」

 

もう凍るのはごめんだ。

 

クローゼをからかう度に凍ってたら命がいくつあっ ても足りないな

 

「もう!…ごめんなさい、不用意な場所に案内し て しまったみたいです」

 

クローゼがエステル達に謝る

 

「君が謝る事はないよ。ただ、わざわざ彼らを挑 発に行く事はなさそうだね…倉庫区画の一番奥を溜 まり場にしてるみたいだからなるべく近づかないよ うにしよう」

 

「うーん…納得いかないけど仕方ないか」

 

この世で不良を叩きのめさないと納得いかない女は エステルだけだと思う

 

その後、またギルドに戻って、それからラングラン ド大橋の巻き上げを見て、エステル達がホテルにチ ェックインしたのを見届けてからクローゼと学園に 帰った

 

…途中あの我が儘放蕩キノコ頭を見た気がするけど …気のせいだよな?


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