~封聖省~
「……なんつーか、チョロいな」
認識阻害を使ったらなんの障害もなくあっさり侵入 できた
……ただ、騎士団の本部じゃないからある程度は仕 方ないが…騎士の数が少なすぎる。しかもほとんど 全員が新人レベルの奴らだ
…ホラ、今俺の目の前でアホ面下げて欠伸してやが るし。普通気付かないにしても違和感くらい感じる だろ
「オイ、聞いたか?騎士団が粛正にあったって噂」
「ああ?所詮噂だろ?だって聖杯騎士団だぞ聖杯騎 士団。正騎士の人達は勿論、守護騎士の人達なんざ 人外だよ人外」
とりあえずこの新人はいつか徹底的にしごいてやる と心に決めた
「でもよ~…流石にこの人数の少なさは異常だって 」
「確かにな~。そういや法王様が配流されたらしい ぞ。何か今の自称聖王が大声で部屋の前で喋ってた 。何でも総長に恨みがあったんだとか」
と、そこまで聞いたところで何人もの新人騎士が集 まってきたのでその場を離れた
……ま、とりあえず…まずはバカ共を助けに行くとし ますか
ーーーーーーーー
「何度も言うが………いい加減この氷解除してくれな いか?」
「何度も言いますがダメです。………今のレーヴェさ ん下手な厨二より厄介ですから」
「ええい!HA・NA・SE!!」
「お願いだから元のレーヴェに戻ってくれないかな ………」
「全く……皆揃って誰かさんの悪い影響ばかり受け て…」
レーヴェはリーシャの氷によって簀巻きにされ、リ ーシャとシャルはそんなレーヴェに呆れ、ティアは 就職先間違えたかな…と若干諦めモードに入ってい た
「ケビン、お腹空いた」
「お前さっきから何回同じ事言うとるんや!?とい うか一分に一回飯の事聞くんはやめい!」
「いや、だって朝と昼の間のご飯がまだだから」
「お前一日に何食食べてるんや!?」
「基本は七食。最低でも五食は譲れない」
「通りで俺の貯金がいつまで経っても貯まらんわけ や……!」
ケビン・グラハム。リースの食費の大半が彼の元に 請求書として送られる男
………ちなみに、その請求書の大半はケイジがリース に奢らされかけた分である
「………仕方ない」
「やっとわかってくれたか………ほんなら昼まで大人 しくーー」
「ケビン、何か作って」
「材料はおろか調理器具も火も無いここで何を作れ と!?」
いつでもどこでも誰とでも、自分のペースは崩さな いリースであった
「カオスだね」
「カオスだな」
「言ってる場合ですか」
さっきよりはだいぶマシになったとは言え、まだま だカオスな状況に溜め息を吐くアッバス。心なしか 背中から哀愁が漂っている
そんな時だった
「………あれ?シャル。貴女アホ毛跳ねてるわよ?」
「え?……………あ、ホントだ。ティア、ブラシ持っ てない?」
「むしろ持ってると思ってるの?」
「ですよね~」
当然、牢屋に入れられる前に没収されている
「……………あれ?じゃあレーヴェ、どうやって剣を 持って入れたの?」
「気合いだ」
「私小さい子供じゃ無いからね?」
「シャル、そんなの見ればわかるよ?」
「リーシャは身長は年長の学生(平均13歳)だけ どね」
「アホ毛引き抜かれたいの?」
「ごめんなさい」
「…………お前ら何やってんのさ」
「あ、ケイジ。いや~久しぶりにアホ毛が跳ねちゃ って…」
『…………………………………………………………………………………… ……………………………………え?』
「え?何その反応」
いつの間にか牢屋の中にケイジが入って来ていた
そして、第二師団の三人娘がいち早く復活し、ケイ ジの肩をあり得ない握力で掴む
……普段のケイジなら何だかんだで逃げていただろ う。…しかし、逃げられなかった。何故ならわざわ ざ牢屋の中に入っていたから
そして、三人娘のスピードがその時だけ光の速さだ ったから……
「ケイジ……」
「今までどこで何をやっていたのか…」
「きっちり話してもらいましょうか………!」
「………………え?ちょ、まーーーー」
~お取り込み中。暫くお待ち下さい~
「もう!!生きてたなら連絡してよ!!」
「本当に心配したんですからね!!」
「心配していたのにその仕打ちか…」
「レーヴェ?何か言ったかしら?」
「いや、何も
……………ケイジ、生きてるか?」
「………………」
へんじがない。ただのしかばねのようだ
ーーーーーーーーーー
「…………総長、俺ちゃんと連絡してたよな?ついで にティア達にも話しといてくれって言ったよな?」
ティア達の折檻を受けて、三途リバーを全力で逆走 して何とか
それで今は諸悪の根源の総長を問い詰めているとこ ろなんだが………
「すまん。きっちりかっちりまるっと全て忘れてい た」
「オイコラクソ上司」
そのせいでかわいいいたいけな部下が一人死にかけ たんだぞ!!
「まぁいいじゃないか。面白かったことだし」
「そりゃ見ている分には楽しいだろうよ。アンタら は楽しかったでしょうよ」
される側の身になって見やがれアホ上司が…!
「ああ、この上なく楽しかったが?」
「何で総長が開き直ってんの!?
……総長、昔の人はこう言った。『いじめられてい る人がいじめだと思えばそれはいじめだ』と」
「いじめ、カッコ悪いな」
違う!!いや、あってるのはあってんだけど俺が言 いたいのはそういう事じゃ無い!!
…………あれ?結局俺は何て言おうとしてたんだ?何 かわからなくなって来た
「…………ねぇ、やることないんなら早く脱出しない ?」
『…………あ』
ワジの一言で本当の当初の目的を思い出し、脱出し た
P.S. 武器はあらかじめ回収して置きました
後、10人に完璧な認識阻害をかけるのは割ときつ かったです