英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『宗教革命~強襲~』

ーーAM4:30

 

~アルテリア法国・封聖省~

 

「敵襲!敵襲!!」

 

「第七師団と第十二師団は聖堂へ!第六師団は本庁 警護へ回れ!!残りは私と侵入者の発見、迎撃に向 かうぞ!」

 

「Ja《ヤー》!!」

 

響く警報、轟く怒号。以前…数ヶ月前より遥かに動 きの遅い騎士達……

 

指揮官の正騎士はその全てに内心舌打ちしていた

 

……敵はほとんど真っ直ぐに本庁に向かっている。 それはわかっている。わかっているのに止められな い

 

…騎士団の練度が下がっているのはわかっていた。 だが、第一師団や第五師団、それに第二師団がいれ ばまだ立て直せるレベルであった

 

だが、そんな時にクーデターが起きた。法王は配流 され、守護騎士達に加えて第一師団、第五師団、更 には第九師団までが騎士団を離れた

 

……そのせいでこの騎士は暫定的に守護騎士の座に 就けたのだから本人は複雑な気持ちではあったのだ が

 

「師団長!」

 

「っ!………ああ、済まない」

 

騎士の一人が自分に話しかけたことで我に帰る

 

ーーー今の自分は守護騎士。この座に据えてもらっ た恩は返さなくてはいけない

 

………例え、その主が好きになれないような人物であ っても

 

そう気を取り直す

 

「よし!(みな)私に続け!可及的速やかに侵入者を……… 」

 

『貴方が指揮官ですか』

 

突然どこからともなく声が聞こえ、警戒する指揮官

 

しかし、姿は愚か気配さえ掴めない。なのに声は聞 こえる……

 

指揮官を含む騎士達の不安を煽るには十分すぎるフ ァクターだった

 

『貴方に恨みはありませんが……そちらに付いた以 上、容赦はできません

 

…申し訳ないですが…少し眠っていて下さい』

 

「何を言って…」

 

そう言葉を発した騎士が振り向いた瞬間に目に入っ たものは、先程まで自分達に指示を出していた指揮 官の氷像だった

 

ーーーーーーーーーーー

 

「…ケイジさん、聖杯騎士団の無力化はあらかた終 わりました。玉座の道以外の場所にいる騎士はレー ヴェさんやケビンさんが相手してくれてます。一般 の職員や修道女(シスター)さん達もワジさんが避難させてくれ てます」

 

「騎士達含めて死人は?」

 

「0です」

 

「そうか……あらかた総長の計画通りだな」

 

総長の計画は至極簡単。全員での封聖省強襲だった

 

……初めに聞いた時は説明が簡単過ぎて全員で総長 を吊し上げたが、詳しい説明を聞くと総長にしては 珍しくちゃんと考えてられていた策だったので採用 したのだ

 

その内容は、まず、リーシャが指揮官を無力化、そ してレーヴェとケビンが他の場所を警護している騎 士の足止めをし、ワジが避難を担当。時間は警戒が 一番弛む夜明けの直前

 

そしてこの作戦で唯一納得がいかない所………聖王強 襲。担当、俺一人

 

つい総長を天照で焼こうとした俺は悪くない。

 

そしてその後に総長の役割を聞いたら良い歳のクセ に『ひ・み・つ☆』とか抜かしやがった総長を再び 吊し上げた俺は悪くないんだ!

 

………まぁ、聖王とやらの正体が何となく予想付いて るから嫌なだけなんだが。俺アイツ大っ嫌いなんだ よね

 

「リーシャ、ところで総長は?」

 

「えっと……確か私達がここに着く前にはどこかに 行ってましたよ?」

 

あのババァいつかシメル

 

…とりあえず、現実逃避してても仕方ないので渋々 玉座に向かう事にした

 

………やれやれ、気が重いなぁ…


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