シンジュ団の捻くれ者   作:ユフたんマン

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第1話

「ショウです!よろしくお願いします!」

 

俺は余所者が嫌いだった。この自由なヒスイの地で、ポケモンの自由を縛る道具を使うギンガ団が嫌いだった。

我らが長、カイが時空の裂け目から落ちてきた調査隊の彼女を認めた時には大層驚いたものだ。長は甘い。見ず知らずのノボリとか言う奇天烈な奴をキャプテンに任命した時にも同じことを思った。

 

「フン、こちらはよろしくするつもりはない。余所者はさっさと何処かへ行ってくれ」

 

だから俺は彼女を、ギンガ団を拒絶した。当然だ。若いシンジュ団の奴らは彼女を受け入れ始めてはいるらしいが、未だ俺と同じように身元不詳の余所者を拒絶している者の方が多い。

荒ぶっていたキングやクイーンを鎮めた?本当にキング達は荒ぶっていたのか?本当に鎮めなければならなかったのか?そう疑問は絶えない。

 

だから俺は確かめることにした。純白の凍土で荒ぶるクレベースとの戦いを陰ながら見ていた。

 

凄まじい…その一言に過ぎた。

クレベースの身体は山をも思わせるほどの巨体、それに怯む様子を見せず、シズメダマなるモノを投げ付ける。何度かクレベースの攻撃に被弾し、血を流すも諦めじとクレベースに立ち向かう。長が言うには彼女はまだ15歳だそうだ。俺よりも若い少女が荒れ狂うクレベースに立ち向かう。俺にはそれが出来るのだろうか、いや出来まい。俺ならばクレベースと立ち会った同時にミミロルの如く逃げ出すだろう。

傷つきながらも強大な相手に立ち向かう少女の姿に、いつの間にか心を奪われていたのかもしれない。

 

 

 

見事クレベースを鎮めた少女。

 

「は、クレベースを鎮めた?それがどうした。クレベースは何かしたのか?例え好物だとしてそれを投げ付けるなどと無礼千万ッ!」

 

しかしそれでも俺は妙に意地を張り、余所者を認められなかった。

ポケモンとの信頼関係、それを疑うまでも無いものだった。そんな彼女がポケモン達の自由を縛ることは無いとは分かりきっていたというのに。

 

 

 

 

 

空が赤く変色した。時空の裂け目は大きくなり、皆が不安を覚える中、長がコトブキ村という余所者の集う村から暗い顔をして帰って来た。なんでも少女が今回の騒動の関係者であると疑ったギンガ団の長、デンボクに追放されたらしい。銀河団との関係が拗れることからシンジュ団やコンゴウ団は助けられない。頼れる者がいない。つまりは実質死刑判決のようなものだ。

 

俺はそれに納得がいかなかった。キング達が荒ぶっていたのは彼女の仕業?彼らを鎮めて信頼を得ようとしていた?

クレベースと対峙していた少女の表情を思い出す。

恐怖を感じながらも、一生懸命立ち向かう勇気を絞り出して、恐怖を誤魔化すように少し口角が上がっていたあの顔を。

あれは策を企む者が出来るような顔ではない。断じてだ。

だが、所詮は余所者、俺には関係ない。奴が何処で野垂れ死のうとも俺には、シンジュ団にはなんら問題は無い。関係ないのだ。

 

俺が黒曜の原野に来たのも少女とはなんら関係ない。ただただ何処の祠を守っているという親分のヌメルゴンの様子を見に来ただけだ。

その帰りの途中に小さな洞穴を見つけて、そこに入ればポケモン達に囲まれながら眠るボロボロになった少女を見つけたが、俺には関係ない。

 

俺はそこで食事をとる事にした。自宅で作った特製おにぎりをポーチから取り出し食す。

おにぎりを食べながら鍋を用意し、そこに具材をたっぷり入れて煮込む。

彼女のポケモン達は俺を警戒しているが俺には関係ない。寝ながら苦悶の表情を浮かべ唸る少女も俺には関係ない。

よく煮込み、野菜が柔らかくなったところで、ウォロという余所者…余所者なのか?から買ったモーモーミルクとやらを入れて混ぜ込む。いい感じに混ぜ合わせ自分好みに味付けする。そして具材を掬い口の中に入れる。いい味だ。

 

ううっ、と彼女が唸り声と共に身体を揺らした。ふむ、起きられると面倒くさい。その場から立ち去る。

鍋?忘れた。俺は村に帰るまで鍋を置いたままだということに気づかない。具材やおにぎりの作り過ぎた分も落としてしまった。まぁまた取りに行こう。しかしきっと腹を好かせたポケモンに食べ物は食べられてしまっているかもしれないなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

良い匂いが鼻腔をくすぐった。目を覚ますとそこには心配そうに私を見つめるポケモン達と見慣れぬ焚き火跡と鍋、壁端には多くの食材とおにぎりが置かれていた。誰が…何のために…

明らかに人が居た痕跡を見て警戒する。つい最近、身を粉にして働いたというのに犯罪者扱いされ村を追い出されたのだ。警戒しないはずもない。人間不信になりかけていたのかもしれない。

そんな私を見て、相棒のバクフーンが手を引く。行き先は鍋の近く。近づいてよく見ると火は止まっているが、鍋の中にはまだ中身が残っていた。シチューだ。

ここに来てからイモモチばかり食べていたから、その他の料理というのは新鮮だった。残っている量からして誰も手をつけていないのだろう。まだ暖かく、湯気が立ち上り、その匂いに釣られお腹が大きな音を鳴らす。

律儀にもしっかり皿とスプーンが用意されており、バクフーンが勝手に皿にシチューを盛り付け私に手渡して来た。

食べていいのだろうか…バクフーンを見ると眠そうな顔で大きく頷いた。

私は誘惑に負け、シチューを口にかき込んだ。この持ち主に怒られたら最悪ポーチの中身を譲ればいいし、なんならお金を払ってもいい。そんな事を考えながらシチューを食べる。美味しい。暖かい。瞳から涙が溢れるが気にしない。

懐かしい、家に帰りたい…

あっという間にシチューを食べ終え、おにぎりを頬張っていると、洞穴の入口から足音が聞こえた。

 

「ショウさん!探していましたよ!お得意様が居なくなるのは困りますからね!」

 

そう言って洞穴に入ってきたのはイチョウ商会のウォロだった。ウォロはいつも通りの態度で話しかけてくる。今はそれが有難かった。

 

「あ、ウォロさん…もしかしてこの料理はウォロさんの…?すみません、勝手に食べてしまって…」

「いや、私は今ここに来たばかりなので…ふむ…なるほど、彼も素直じゃないですね」

 

私の手に持つおにぎりをじっと見て、納得したように微笑む。首を傾げると、ウォロは提案した。

 

「まぁそれはひとまず置いておいて、今貴女には居場所がないようですね。ご安心ください、誰もがヒスイ地方の全て知っている訳ではありません。いい所ありますよ、自分にお任せあれ!」




続くとしても後日談。

ノボリのことを嫌う素振りを見せているが、決め台詞やポーズを見てかっけえ!ってなってリスペクトして決め台詞とポーズをこっそり練習してる。
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