わたしの名はロクサーヌ。
狼人族で16才の獣戦士、そしてご主人様(加賀道夫)の一番奴隷。
大好きなご主人様、かわいい後輩奴隷のセリーと三人で、
クーラタルの一軒屋でしあわせにくらしている。
お仕事は迷宮探索。
少し前までクーラタルとベイルの2つの迷宮を同時に探索していたが、最近はハルツ公爵からの依頼でハルバー、ターレ、ボーデの迷宮を優先的に探索している。
ちなみにクーラタルは11階層、ベイルは11階層、ハルバーは12階層、ターレは13階層まで到達。
発見されたばかりのボーデは1階層を探索中だ。
いま私たちは、新しいパーティーメンバーを探しに帝都の商館に来ている。
2日前の夕食時、ご主人様からパーティーメンバー増員の話があった。
「12階層の魔物からはかなり強くなる。戦力の充実は必要不可欠だ。新しいパーティーメンバーを入れることも考えていきたい」
「......はい」
「ベイルの商人のアランから帝都の商人への紹介状をもらっている。
鏡の受注も残り二枚だ。全部売り終わったら、あさっては新しいパーティーメンバーを探しに帝都へ行きたい」
本当はパーティーメンバーは増やしてほしくはないけれど、
現状迷宮探索が12階層前後で行き詰っている状況なので今回ばかりはしかたがない。
私がうなずくと、セリーも横でうなずいた。
「新しく仲間が増えるのですね」
「いいメンバーがいれば、そうしたい」
「はい。もちろん戦力の充実は必要なことですから」
パーティーメンバーを増やすことに同意すると、ご主人様は明日の昼はお休みにすると言い出した。
しかも、私と一緒に迷宮に入ってくれるとのこと。
セリーは前回と一緒で図書館のため、迷宮には二人っきりで行くことになる。
ご主人様は飴のつもりかもしれないけれど、素直にうれしいので楽しみだ。
「あと、明日は俺の髪を切ってもらえるか。さすがに伸びすぎた」
「はい、ご主人様」
「頼む。ロクサーヌやセリーの髪は大丈夫そうだよな」
「えっと。私も少し伸びてきました」
セリーはそう言って、髪先をいじった。
「全然余裕だろう」
「まだ大丈夫ですよ、セリー」
「そうですね。少しでも伸びるとごわごわしてくるのですが、
髪の毛をよく洗っていただいてるせいか、今はそうでもありません」
「ロクサーヌとセリーはもう少し伸ばしてもいいかもな」
「そうですか?」
「ああ。俺はそのほうが好きだな」
「はい」
「あ、別に強制するわけじゃないぞ。切りたかったら遠慮なく言えよ」
「分かりました」
「わ、分かりました」
そうか、ご主人様はもう少し髪が長いほうが好みなんだ。
私はご主人様の好みが一つわかって、少しうれしくなった。
その夜、ご主人様はすごかった。
ご主人様は私とセリーを交互に可愛がってくれた。しかも全力で。
2回目のとき、私はご主人様が果てるのと同時にあたまの中が真っ白になった。
そして気がつくと、となりでセリーが激しくあえいでいた。
セリーはうつ伏せになり、うしろからご主人様に責められていて、嬌声をあげて何度もいっている。
ビクンッ ビクンッ って痙攣しながらイキ続けている。
少ししてご主人様が果てたとき、セリーは動かなくなっていた。
イキ過ぎて気を失ったようだ。
ご主人様はゆっくりセリーから離れると、私の左胸を揉みしだきながらキスしてきた。
「ごしゅ...... あむ......」
私はご主人様の舌にくちの中を蹂躪され、一瞬で息が絶えだえとなった。
ご主人様は私のくちを解放すると、耳もとでささやいた。
「ロクサーヌ、悪い。抑えがきかない」
そう言いながらも左胸を揉んでいる手は止めず、親指で乳首をなぶり続けている。
「ご...... ご主人様...... あんっ...... 私は...... ご主人様に...... んんっ...... 可愛がっていただける...... のは、うれしいです。 あっ......
その...... いっぱい...... してください」
「ロクサーヌ、ありがとう」
ご主人様は返事をすると、右の乳首に吸い付いた。
「あっ...... んんっ」
右の乳首をなぶりつくすと左の乳首に吸い付いてなぶり始め、右の乳首は指で転がした。
左の乳首をなぶりつくすと右の乳首へ...... ご主人様はそれを何度も繰り返す。
先ほど2回もしているせいか、私のからだはすぐにご主人様を受け入れる準備が出来た。
そして、ご主人様が欲しくて我慢できなくなる。
「ご主人... 様... も、もう...... んくっ...... お...... ねがい... しま... す」
我慢できず、すがる気持ちでお願いすると、ご主人様のアレが私の中にはいってきた。
同時に、私の心が歓喜に満たされる。嬉しい。そして...... 気持ちいい。
歓喜と快感で気が狂いそうになる。
ご主人様はしばらく私を責め立てたあと、不意にわたしを抱き起こした。
すると、座ったご主人様の上に私が乗り、向かい合う体勢となった。
ご主人様とキスをしながら、胸も揉まれながらいれられている。
この体勢は初めて...... すごく気持ちいい...... 今までよりも深くアレがはいってくる。
私はご主人様が果てるまで、何度も何度もいってしまった。
その後、ご主人様は私の中で果てたけど、それでもアレを抜かずに私を寝かせ、再び腰を振りだした。
すると、私の中でご主人様のアレがふたたび大きく、硬くなりだす。
一度なかにだしているせいか、ご主人様にアレを抜き差しされるたびに、グチョッ!グチョッ!とイヤらしい音が室内に響き、秘部から汁が溢れだす。
気持ちよすぎてご主人様につかれるたびに頭の中にモヤがかかり、からだはビクビクとけいれんしたみたいに反応する。
そして、あたまのなかが真っ白になり、“気持ちイイ”ということ以外なにも考えられなくなった。
私は再びいかされて...... その後もなんどもいかされて、また気を失ってしまった。
気がつくと、ご主人様のすまなそうな顔が目に映った。
「ご、ご主人様...... す、すごかった......です」
「む、無理をさせてすまなかった。大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。無理はしていません」
ご主人様の目が、いつもの優しい目に変わった。
「何度も......嫌じゃなかったか?」
「嫌じゃないです。ご主人様に何度も求めていただけるなんて、嬉しいです。それに...... とても気持ちいいので」
「ロクサーヌ、ありがとう」
「こちらこそありがとうございます。これからも、いっぱい可愛がってください」
「ああ......」
私はご主人様の胸板に顔をうずめ、それからご主人様の顔を見上げて目を閉じた。
ご主人様がくちびるを重ねてくれたので、もう一度舌を絡ませてご主人様を求めてしまった。
「ロクサーヌ、もう一度...... いいのか?」
「はい...... その...... ご主人様が嫌じゃなければ、私は何度でもしてほしいです」
「お、俺がロクサーヌを嫌うわけないだろ」
「はい。ありがとうございます。ご主人様、大好きです」
結局......
気を失ったあと、そのまま寝てしまったセリーの横で、夜が更けるまでご主人様とからだを重ねてしまった。
◆ ◆ ◆
翌日、早朝の探索を終えて朝食を食べた後、ご主人様は予定通りセリーを図書館に送っていった。
私はイスを庭の前に持ち出し、はさみとかがみ、手桶に水を少し汲んでご主人様の髪の毛を切る準備をした。
20分ほどでご主人様が戻ってきたので、イスの所に連れていった。
「あまり巧くないかもしれませんが」
「俺の場合はロクサーヌに嫌われない程度の髪型でじゅうぶんだからな。
ロクサーヌが責任を取ってくれればそれでいい」
「わ、私がご主人様を嫌うことはありえません。ただ...... わざと失敗して、責任をとってご主人様にいっぱいご奉仕するのはどうですか?」
「あはは、それはいいかも。ただ、迷宮に行けなくなるけどな」
「それは困りますね。じゃあ、失敗しないよう頑張ります」
「ありがとう。では頼む」
「はい」
私はご主人様の髪の毛を少しだけ濡らし、前髪を指で挟んではみ出た部分をはさみで切った。
だいたい小指の半分くらいの長さ。
同じ長さを切るように注意しながら、前、右、左、後ろの順番で下から上にむかって切りそろえた。
そして、最後に全体的に毛先を斜めに切ってバランスを整えた。
私はかがみをご主人様の正面に構えて声をかけた。
「ご主人様、このくらいでどうでしょうか」
「少しはかっこよくなったか?」
「ご主人様はいつも最高です」
「あ、ありがとう」
ご主人様は少し恥ずかしかったのか、話題をそらした。
「えっと。迷宮はどこがいい」
「数が多いと大変なのでボス戦がいいです。ラピッドラビットが、
動きも速くて鍛錬になると思います。ベイルの迷宮がいいでしょう」
「わかった」
それから二人でイスやカガミなどを片付けた後、
ベイルの迷宮9階層のボス部屋近くの小部屋にワープした。
装備をつけてボス部屋にむかい、ラピッドラビットと戦った。
戦闘が終わりボス部屋を抜け、すぐにボス部屋近くの小部屋にワープ。
またボス部屋にむかい、ラピッドラビットと戦うことを繰り返した。
ベイルの迷宮9階層は空いていて、他の探索者に会うこともなく周回をかさねることが出来たので、
休憩を入れつつも4時間で50回くらいラピッドラビットを倒した。
すると、ご主人様から帝都に買い物に行くことを提案された。
ウサギの肉も大量に拾ったし、さすがに飽きたのかもしれない。
ちょっと申し訳なく思ったので、ご主人様の提案に乗ることにした。
「帝都ですか。よろしいのですか?」
「大丈夫」
「はい。ありがとうございます、ご主人様」
「ほしいものがあったら、何でも言え」
その後、帝都に移動し、ご主人様と話しながら町の中を歩いた。
そして、今まで入ったことがないお店にも入ってみた。
帝都の表通りは高級店ばかりだけど、裏通りには意外と安いお店も多い。
服屋が目についたので入ってみると、その店は新品の服でも二百ナールくらいで買えるものが多かった。
「んーと。
こっちの服が似合うと思います」
私はご主人様の胸にシャツを当てて1着選び、そのあとセリー用の小さい服を探した。
自分用に気になった服もあったけど、お小遣いは銀貨五枚なのでセリーの服を選ぶことにした。
セリーの服を選び終わったのでご主人様に渡そうとすると、首をかしげられた。
「ロクサーヌは買わないのか?」
「こちらのが三百ナール、この服が二百ナールになりますので。これで銀貨五枚のはずです」
「あー。まあ全員ぶん買うんだし、服は必要経費として俺がだそう」
「えっと。それではセリーへのプレゼントになりませんし」
「なるほど」
「それに、これは私からのプレゼントです」
私は最初に選んだご主人様の服をつまんでみせた。
「ありがとう。じゃあ、今日はロクサーヌの服を一着俺が買うことにしよう。俺からのプレゼントだ」
「よろしいのですか」
「好きなものを選んでいいぞ」
「ありがとうございます」
私はさっき気になっていた服を選び、ご主人様に手渡した。
服を買ったあと、ご主人様はふいに私と手をつないで顔を赤らめた。
「つ、次はあそこの店に行ってみようか」
「......はい」
ちょっと恥ずかしいけど......うれしい。
私はご主人様に手を引かれ、そのあとも買い物を楽しんだ。
その後、ご主人様は雑貨屋で変わった形のざるを見つけた。ご主人様いわくセイロというらしい。
「よし。これを買って帰るぞ」
「は、はい」
「今日はこれでちょっとしたデザートを作ろう」
「デザートですか」
「楽しみにしててくれ」
ご主人様はセイロを2つ購入。
私たちはすぐに帰宅し、ご主人様はさっそくデザートづくりを開始した。
小麦粉、砂糖、牛乳、卵とシェルパウダーを混ぜ合わせて生地を作った後、
その生地を丸めてカップに入れた。
1時間くらいこのまま材料どうしがなじむまでおいておくとのこと。
何ができるのかワクワクしながら生地を見ていると、ご主人様は急に私を抱き寄せた。
「ロクサーヌ、1時間あるんだけど...... いいよな」
私はご主人様の表情で全てをさっした。
「はい。では、時間が限られているので、その...... 急ぎましょう」
私はご主人様に手を引かれて寝室に行き、すぐに服を脱いで可愛がっていただいた。
時間がないって思ったら、なんかすごく盛りあがってしまった...... 恥ずかしい。
1時間後、さっき作った生地はカップいっぱいにふくれていた。
ご主人様は中華鍋に水を少し入れて先ほど買ったセイロをかぶせ、お湯を沸かし始めた。
セイロの中にカップを並べ、もう一つのセイロを逆向きに乗せて網の部分にふきんをかぶせ、ふたをした。
こうするとセイロの中に湯気がこもり、その熱でデザートが出来るとのこと。
ご主人様は火加減を調節したあと、私に火加減を見ておくように申しつけ、セリーを迎えに行った。
私は中華鍋の火加減を気にしつつ、夕食を作りながら二人を待った。
少しすると、セイロから甘い香りが漂ってきた。
私はセイロの中をのぞきたい気持ちを我慢しつつ夕食を作っていると、ご主人様がお酒の匂いをさせたセリーを連れて帰ってきた。
前よりはお酒の匂いが弱いので、セリーは飲む量を少し抑えたみたいだ。
「甘くていいにおいがします」
ご主人様に報告すると、にやりとほほえんでうなずいた。
その後、食卓に夕食を並べていると、ご主人様は中華鍋からセイロをおろしていた。
夕食のあと、ご主人様はカップからデザートを取り出し、私とセリーに手渡した。
「ご主人様、これはなんというデザートですか?」
「蒸しパンだ。久しぶりに作ったのだが、まあ、それなりに出来たと思う」
「そうですか、とてもおいしそうです」
「じゃあ食え」
「はい」
「いただきます」
口に含むと暖かく、もっちりしていてほのかに甘い。
「お、おいしいです、ご主人様」
「これはすごいです」
セリーも感心している。
私はデザートを楽しんだあと、買ってきたプレゼントを取り出した。
「それでは、ご主人様。改めて、私からのプレゼントです。これからもよろしくお願いします」
「ありがとう、俺のほうこそよろしくな」
私は買ってきた服をご主人様に渡すと、席を立って受け取ってくれた。
「はい。それから、これはセリーへ私からのプレゼントです」
「あ、ありがとうございます。大事にします、ロクサーヌさん」
私は買ってきた服をセリーに渡すと、彼女も席を立って受け取ってくれた。
セリーは服を受け取ると、この前ペルマスクで買ってきたカガミの前でからだに服をあてながらニコニコしていた。
よほど嬉しかったのか、いつもの冷静なすがたと違い、とてもはしゃいでいる。
私はふだん見ないセリーのすがたが見れて、一生懸命選んでよかったと思った。
◆ ◆ ◆
その夜、ご主人様は私とセリーを1回ずつ可愛がってくれたあと、すぐに寝てしまった。
しばらくすると、セリーから話しかけられた。
「ロクサーヌさん、おきてますか?」
「おきてますよ。ご主人様はお休みになられたようですね」
「そうですね。なんとなくお疲れのようでしたけど、なにかあったのですか?」
「そうですか? セリーを図書館に送って、戻ってきてからずっと一緒にいましたけれど、
特になにもなかったと思いますが」
「そうですか...... 昨日に比べるとアッサリしていたので疲れているのかと思ったのですが...... 確か、迷宮に行ったのですよね?」
「そうです。ベイルの迷宮9階層でボス狩りをしてきました」
「ボス狩りですか?」
「はい。でも、50回ぐらいですよ」
「えっ、ベイルの迷宮9階層だとラピットラビットですよね。それを50回も......」
セリーにあきれた顔をされてしまった。
「いけなかったのでしょうか」
「そうですね、ラピットラビットは素早いですので、体力だけでなく精神的にも疲れます。
私だったら倒れてるかもしれません」
「そうですか? 鍛錬するにはいいのかなって思ってラピットラビットにしたのですけど」
「ご主人様は体力はあります。速さにもスキルで対応出来ますけど、
スキルを連発すれば精神的に厳しくなります。
スキルなしでも速さに対応できるロクサーヌさんは大丈夫でも、ご主人様には厳しかったのかもしれませんね」
「そうでしたか...... はあ...... 私は自分のことしか考えていませんでした......
ご主人様には大変申し訳ないことをしました」
「ロクサーヌさん......
でも、精神的な疲れって感じでもないような気もするのですよね。
気持ちが沈んでいたようには見えませんでしたし」
「そうですか」
「はい。精神的っていうより肉体的に疲れていたようなきがするのですが......」
「肉体的にですか? 心当たりは......」
確かにボス狩りはしたけど、途中で休憩したからそれほど疲れるとは思えない。
あとは帝都で買い物して、帰って来て、蒸しパン作って......
「あっ!」
「どうしました?」
「いえ、なんでもありません」
「そうですか......」
「昨日すごかったので、疲れが残っていたのかもしれませんね......」
そうだった...... ご主人様がセリーを迎えに行く少し前まで、可愛がってもらってたんだった......
セリーは...... 気づいてる?
「そうですか...... 確かに昨日は凄かったので...... でも、今朝は少し眠そうな感じはしましたけど、疲れているような感じはしなかったと思うのですが......」
セリーはジト目でこちらを見てる。
「セリー、その...... 帰ってきてからも色々あったので......」
「まあ、ご主人様も...... なんだかんだで今日は楽しめたのではないでしょうか」
「そ、そうですね」
「私たちに蒸しパンをふるまっているときもうれしそうだったし、昼間も楽しめてなかったらあんな顔は出来ないでしょう」
「そうですね。
迷宮のあとに帝都に買い物に行ったのですけれど、雑貨屋でセイロを見つけてからのご主人様はすごく生き生きしてましたし、蒸しパンを作っているときも、私たちが食べているときも、「どうだっ!」って顔をしてましたね。ご主人様は楽しい休日が送れたと思います」
「......ロクサーヌさんもですよね?」
セリーはジト目のままだ。
「......はい。私も楽しい1日でした......
もう、こんどセリーがご主人様と二人っきりになれるようにしますから、きげんをなおして下さい」
セリーの目もとがやわらいだ。
「はい。
ごめんなさい、ちょっとうらやましかったので......
でも、無理に二人っきりにしなくても、大丈夫です。
そ、そういうのは...... その...... 自然とそうなれれば」
セリーは耳まで赤くなってうつむいた。
「ふふ。ところでセリー、図書館はどうだったのですか?」
「はい。まえにロクサーヌさんが気にしていた、インテリアとかガーデニングとかの本がありました。
ダイニングテーブルやキッチン回りでも、ちょっとした工夫ですごくいい雰囲気になるみたいですよ」
「そうなのですか?」
「はい。さっそく明日やってみようと思います。
あと、庭と道の境界の柵があるじゃないですか、あそこの見栄えをよくする方法も調べてきたので、
こんど一緒にやってみましょう」
「わかりました。楽しみにしてますね。他にはどんな本を読んできたのですか?」
「魔物関係の本とジョブ関係の本、あとは、冒険譚とか物語とか」
「物語ですか?」
「はい。でも、冒険譚とか物語の本は5冊とか6冊、場合によっては20冊ぐらいで一つの話になっているので、ちゃんと読むと時間がかかります。
ですので、なんとなく内容がわかる程度にかいつまんで読んだだけです」
「そうですか。それは残念でしたね」
「いえ、本に触れられるだけでも贅沢なのですから、1日図書館にいることが出来て私はとてもしあわせです」
「それならよかった。セリーもいい休日を過ごせましたね」
「はい。ご主人様には感謝しきれません。本当に......
私は奴隷になったとき、いろんなことを諦めたんです。
そしてもう、普通の人の生活はおくれないって思いました。
それなのに、ご主人様は私を人としてあつかってくれます。とても大切にしてくれます。鍛冶師になるって夢も叶えてくれました」
セリーはそう言いながら、いとおしそうな表情でご主人様を見つめた。
「ほんとに...... ほんとに優しいひとですよね......
ご主人様。 私...... いま...... とてもしあわせです」
セリーは顔をご主人様に近づけ...... おもむろにキスをした。
「せ、セリー?」
「......あ! す、すみません。つい......」
セリーはハッとしてわれに返り、オロオロしはじめた。
「ふふ。 セリー、気持ちがあふれちゃったんですね。わかります。私も同じ気持ちですから。
でも、ご主人様が寝ているときは控えないとダメですよ。おこしてしまいますからね」
「は、はい。ごめんなさい。あの、もう寝ます」
セリーはそう言うと向こう側をむいて寝てしまった。
セリーったら、ほんとに可愛い。
でも、セリーだけじゃずるいから...... 私もしちゃおう。
私はセリーに気付かれないよう、ご主人様にそっとキスしてから眠りについた。
◆ ◆ ◆
そして今日。
早朝ハルバーの迷宮を探索。
家に戻って朝食を食べたあと、ご主人様はセリーにモンスターカードを融合させた。
ご主人様のロッドを強化したようだ。
その後。早速ハルバーの迷宮11階層に行き、魔物と対戦。ご主人様の魔法が強くなっていた。
そして、午前中のうちに11階層のボスであるハチノスを倒し、12階層に上がった。
セリーの説明では、ハルバー12階層の魔物はグラスビーとのこと。
私はグラスビーとは戦ったことがなかったけれど、かいだことのない魔物のにおいがするので、
そちらに二人を案内した。
するとグラスビーが現れ、たおすと蜜蠟を落とした。
「ご主人様、蜜蝋は革の装備品を手入れすることに使えます。
よろしければ、一つ使わせていただけますか」
「わかった」
「ありがとうございます」
「今日はここまでにする。
前に話したとおりこのあと帝都に行くが、二人はどうする。一緒に行くか?」
「はい。ついていきます」
「えっと。よろしいのですか」
私は絶対についていくつもりだったので即答したが、セリーは躊躇していた。
「二人にとっても仲間になるわけだからな。
意見も聞いてみたい」
「大丈夫ですよ、セリー」
「そういえば、私のときにもロクサーヌさんがいました。それでは私もご一緒させてください」
その後、帝都の冒険者ギルドにワープし、そこから歩いて商館に移動した。
少し歩くと敷地の周りを塀に囲まれた大きな建物が見えた。
「ここだろうか」
「そのようですね」
門をくぐると、ひとりの男が近づいてきたので、ご主人様はベイルの商館のアラン様から頂いた紹介状を渡した。
そして、建物入口よりこの部屋に案内された。
しばらくすると、商館の人がやってきた。
「ようこそおいで下さいました。私が当商会のあるじでございます」
「よろしく頼む」
「それでは、こちらにお越し願いますか」
商会のあるじに応接室に案内され、ソファーに座ると給仕の人が私たち三人の前にハーブティーを三つ置いた。
その後、ご主人様は商会のあるじに、ここに来た目的を話した。
「迷宮で戦える女性がいたら紹介してほしい」
「冒険者、探索者向けの戦闘奴隷ということですか。他にご条件は」
「ブラヒム語を話せるもので」
ご主人様...... もう増員するメンバーが女性ってことを隠しもしないのね。
しかも、ご主人様のことだから...... ぜったい可愛い子を探してるはず。
でも...... メンバーにご主人様以外の男性が入るのは何か嫌だし、
どちらかというなら女性のほうがいいけど...... 一番は譲らないですからね!
そんなことを考えていると、条件の合う人を見に行くことになっていた。
ご主人様のあとについていくと、女性が20人くらいいる部屋に案内された。
「探索者のお客様がパーティーメンバーを探しておられる。ブラヒム語を解するものはこちらに並べ」
商会のあるじが問いかけると、10人の女性が並んだ。
ご主人様は気になった女性にひとことふたこと話しかけ、感触をつかんでいる。
ひととおり確認すると、次の部屋に移った。
次の部屋、その次の部屋と何度か同じことを繰り返したが、ご主人様が好みそうな人はいなかった。
「まだあるのか」ご主人様がつぶやくと、商会のあるじは顔をニヤつかせながら言った。
「次の部屋はまだ男性経験のないもののみを集めております。
そのぶん、戦闘奴隷としてはいささかねが張りますが」
「大丈夫だ」
あ、ご主人様のテンションがあがった。もうっ!
次の部屋にはひとり美人がいた。私と同じくらいか少しだけ年上に見える。
ご主人様はしっかりチェックしているけど、視線を合わせないしやる気もなさそう。
この人はダメね。
「それでは、お次の部屋でございます」
「頼む」
次の部屋に入り、女性たちが並ぶと、奥の方に座っていた女の子が遅れて立ち上がり、並ぼうとした。
すると、商館のあるじは急にバーナ語で叫びその子を追い返した。
猫人族でかなりの美少女。元気良さそうだしご主人様が好みそう。猫人族なら相手に依存する性格じゃないし、いいかも。
でも、いま商館のあるじは
『ブラヒム語が話せるやつだけ並べって言ったんだ。ミリア、お前は戻れ』って言われてた......
ミリアか...... ダメかな......
ご主人様をちらっと見ると、ミリアを興味深げな目で見ていた。
「なんで追い返されたんだろう」
「バーナ語ですね」
「バーナ語?」
「はい。帝国の中東部辺りに住む獣人の話す言語です」
「なるほど。ブラヒム語が分からないのか」
ご主人様が思案している。
ミリアに興味はあるけれど、しゃべれなければパーティーには入れられないって考えてるのね。
「すみません。彼女はまだここに来て間がありませんので」
「いや。別にいい」
「それでは、ご覧いただけますか」
ご主人様は商館のあるじのうしろについて、並んでいる女性を確認した。
表情を見る限りめぼしい女性はいないようだ。
「ロクサーヌはバーナ語が話せるのか?」
「はい。私が住んでいたところで使われていた言葉もバーナ語でしたから」
「セリーは」
「私は話せません」
ご主人様はもう一度考えてから、私に聞いてきた。
「彼女は猫人族だよな」
私はバーナ語でミリアに話しかけた。
『ちょっといい? あなたは猫人族ですね』
『え? えっと、魚が食べたいです』
何を言っているの?突然話しかけたからちゃんと話を聞いてなかったのかな?
「なんだって」
「えっと。魚が食べたいそうです」
「魚?」
私はもう一度バーナ語で聞いてみた。
『ちゃんと聞いて、あなたは描人族ですか?』
すると、ミリアははっきりうなずいた。そして、私にむかって話し始めた。
『あの、お魚を食べさせてくれるなら喜んで働きます』
私はご主人様に通訳する。
「猫人族ですね。魚が食べられるなら喜んで働くと言っています」
「魚かぁ」
商館のあるじはミリアと話されるのは困るのか、私たちに声をかけてきた。
「このものがいかがいたしましたでしょうか」
「一応、彼女との面談も頼めるか」
「まだブラヒム語も解しませんし、罪を犯して売られてきたものですが」
「だめか?」
「いえ。お客様がよろしいのであれば」
商館のあるじは顔がヒクついてるわね。
理由はわからないけど、ミリアは売りたくないみたいね。
その後もふた部屋見て回ったが、ご主人様は、めぼしい女性がいないようだった。
そして、全ての部屋を見おわると、商館のあるじから面談を行う女性を確認された。
ご主人様は、最初の部屋に居たそこそこやる気がありそうだった人、
途中で見たやる気のない美人、
それとミリアの三人を指名した。
ご主人様が商館のあるじに「ブラヒム語が話せなかった描人族の彼女」って指名したとき、
思わず「やった」って声が漏れてしまった。
私は声が出てしまったことに気付き、あわててご主人様の顔をのぞいてみたけれど、
気付いてないようだったのでほっとした。
ほっとして、セリーのほうをみると、怪訝そうな顔をされてしまった。
どうやらセリーには聞こえていたみたい......(気を付けよう)
その後、応接室にもどり、ひとりずつ面談を行った。
ひとり目は最初の部屋に居たそこそこやる気がありそうだった人。
迷宮探索は問題ないそうだけど、特にひいでた技術はないみたいね。
ご主人様と同じ人間族だけど...... 好みじゃなさそうね。
可もなく不可もなくってところかな。
ふたり目はやる気のない美人。
こちらが質問したことに対して最低限しか答えないわね。目も合わせないし迷宮で戦う自信がないって言ってる。
こういう人は、あとで「私はあのとき自信がないって言いましたよね」とか言って、迷宮に行くのを断ってきそう。
なんで探索者向け戦闘奴隷の部屋にいたのか不思議ね。
当然この人もナシだけど...... 顔だけならご主人様の好みかもしれないから、注意しておこう。
三人目はミリア。
「ロクサーヌ、通訳は大丈夫?」
「はい。おまかせください」
「えっと。まず魚なんだが、どのくらいの頻度で食べたい?」
『ミリア、魚はどれくらい食べたいの? 毎日ってわけにはいかないわよ』
『三日に一度、ダメなら五日に一度食べられれば......』
「三日に一度、いや五日に一度でいいそうです」
ご主人様が少し考えていると、ミリアは自分の答えがまずかったと思ったのか、要求を下げてきた。
どうやら空気が読める子らしい。
『あの、十日に一度でもいいです。お願いします』
「十日に一度でいいそうです」
十日でいいと言ったあと、ミリアは期待をこめた目でご主人様を見つめている。
ご主人様は、やれやれといった顔になり私たちの意見を聞いてきた。
「ロクサーヌやセリーはそれでもいい?」
「はい。嫌いではありませんので」
「私も大丈夫です」
私に続いてセリーも答えた。
「そのくらいなら問題はない」
そう言ってご主人様はミリアにうなずいてみせた。
ミリアは意味が分かったみたいで、私が通訳する前に返事しながらあたまを下げた。
『ありがとうございます』
すると、ご主人様は魚の素晴らしさについて語りだした。
私はミリアに伝わるように同時に通訳してみた。
『魚はおいしい。そのまま塩焼きにして油が落ちたところを食べるのもいいし、小麦粉をまぶしてムニエルっていう料理にしてもおいしい。オリーブオイルで炒めてもおいしいし、オリーブオイルとワインで煮込むのもおいしい。魚醤を使って浅く煮つけてもおいしい。塩だけで煮込んでも魚のエキスが出てすごくおいしくなる』
ミリアは身を乗り出して聞いている。
『あの、是非私のご主人様になってください』
「是非主人になってほしいそうです」
私が通訳するとご主人様は次の質問をしだした。
「料理は出来るのか」
『ミリア、料理は出来ますか』
『はい、まかせてください』
「おまかせくださいと言ってます」
「毎日魚料理ばかりでも困るが」
『料理は魚料理だけじゃなくて、他の料理も作れますか』
『はい。魚料理以外も作れます』
「大丈夫だそうです」
「迷宮に入るのも問題ないか」
『ミリア、迷宮探索は大丈夫? 魔物と戦うことになるけど』
『はい。大丈夫です。迷宮で魚人もやっつけます』
「迷宮で魚人もやっつけるそうです」
「ブラヒム語は...... まあ覚えなければ魚抜きといったら覚えるだろう」
『ミリア、ブラヒム語をちゃんと覚えないと魚は食べさせません。よろしいですか』
私の言葉を聞いた途端、ミリアはご主人様をにらんだ。
しまった。ちょっと言いかたがきつかったかも。
『わかりました。これから頑張って覚えます』
ミリアはちょっとふてくされぎみに答えた。
仲間にするなら考えをただしておかなくちゃダメね。
『ミリア、ご主人様はすごい人です。将来は迷宮討伐を成し遂げて、貴族になれるかもしれないようなかたです。
それなのに、奴隷である私たちに対してとても優しくしてくれます。
あなたが仲間になったら、ちゃんとあなたのことも大事にしてくれますし、魚も食べさせてくれますよ。
でも、迷宮ではパーティーを組んで魔物と戦いますし、指示を守らないと最悪死ぬことになります。
ブラヒム語が分からなかったなんて言い訳はききません。
あなたがわがままを言ってご主人様に迷惑をかけるようなら、私はご主人様にあなたを買わないように言いますし、
一度仲間になったとしても、必ずあなたを追い出します。
どうですか? しっかりやっていく覚悟はありますか?』
私の言葉を聞くと、ミリアの表情が変わった。
『は、はい。ちゃんとブラヒム語を覚えてご主人様の役に立ちます。
私は集団では漁をしなかったので、パーティーで戦うことは得意じゃないかもしれませんが、頑張って覚えます』
ふう。 分かったみたいね。
『よろしい。じゃあ、ご主人様にあなたを推薦します』
『よろしくお願いします』
「えっと。ご主人様は優しいので大丈夫だと説明しました」
「ロクサーヌ。ありがとう」
面談が一段落したのをみはからったのか、商館のあるじが声をかけてきた。
「そろそろよろしいでしょうか」
「ああ、いいだろう」
「では、わたくしは一度さがらせていただきます」
そう言うと、商館のあるじはミリアを連れて退出した。
ご主人様はハーブティーをひとくちすすり、私たちの意見を聞いてきた。
「三人面談してみたが、どうだ」
「二人めの人は危ないですね。迷宮で足を引っ張りかねません」
「やっぱりそうか」
私とご主人様の意見が一緒でほっとした。
「......全員私より胸が......滅びればいいのです」
セリーは...... はあ...... まったくもう、今日はもうダメそうね。
私が頑張らないと......
「ひとり目の女性は悪くないと思います」
「悪くはない。が、よくもないというところか」
「はい......」
やっぱりご主人様は乗り気ではないようね。
「えっと。ご主人様が好まれるのであれば」
「まあ、ロクサーヌやセリーのほうが美人だからな。波乱を起こさないという点では悪くないかもしれん」
「あ、ありがとうございます。三人めの女性はいいですね。猫人族ですし」
「猫人族だといいのか」
あ、余計なことまでいっちゃってた。どうしよう......
「す、すみません。猫人族というのは、つがいになっても相手にべったりとくっついたり、つきまとったりしない種族なのです。
だから、毎日短い時間だけ相手をすれば、依存されることはないと思われます」
申し訳なく思いながら答えると、ご主人様は私の気持ちをさっしてくれたようだ。
「ロクサーヌをないがしろにすることは断じてないが」
「あ、ありがとうございます。集団での漁はしないので、パーティーで戦うことはあまり得意ではないようです。
そこはきっちり教えなければなりません」
「大丈夫か?」
「はい。おまかせください。通訳するのも問題ありません」
私はご主人様にミリアを選んでほしいので、力強く返事した。
ご主人様の表情を見る限り...... ミリアで決定だと思う。あとは値段次第ね。
しばらくすると商館のあるじが戻ってきた。
値段はひとりめの女性は25万ナール、ふたりめの女性は45万ナールだったが、
買う気がないのでご主人様は聞き流している。
ミリアの値段はオークションに出せば60万とか70万ナールになるけど、教育できてないから今回は45万ナールでよいとのこと。
そうか、だからご主人様が奴隷の部屋でミリアを選べるか聞いたときに、商館のあるじは売りたくなさそうな顔をしていたのね。
商館のあるじはミリアの値段をなかなか下げなかったけど、ご主人様がねばりづよく交渉し、40万ナールで交渉がまとまった。
その後、ご主人様が亡くなったときはミリアはセリーに相続させるよう遺言変更をかけたところ、
商館のあるじはとても感動し、ご主人様の覚悟に敬意をあらわして28万と210ナールまで値段を下げていた。
ご主人様がお金を支払うと、商館のあるじはミリアのしたくをしてくると言って退出した。
すると、今まで黙っていたセリーが復活した。
「素晴らしい交渉ぶりでした」
「そうか。ありがとう」
「とりわけ、なぜ商人が最後に大きく値を下げたのか、私にはまったくわかりませんでした」
セリーはご主人様を尊敬のまなざしで見つめている。
「さすがはご主人様、見事な人徳です」
「ありがとう。まあ人徳というほどでもないが」
ご主人様は謙遜してるけど、商館のあるじにはご主人様の素晴らしさが伝わったのでしょう。
「いえ、すばらしいことです」
「神域を侵したらしいが、問題はないだろう」
「ご主人様がそうおっしゃられるのでしたら」
「神罰など迷信です。本当に神罰があるなら、禁漁区で漁をした時点で下されているはずです」
神罰のことも知ってるなんて、さすがセリーね。ミリアには問題はないってことね。
私はセリーにむかってうなずいた。
しばらくすると商館のあるじがミリアを連れて戻ってきた。
ミリアは私たちの前まで来るとおじぎしながらお礼を言った。
『お魚ありがとうございます』
商館のあるじに何を言われたのか疑問に思ったけど、聞き返さずにそのままご主人様に伝えた。
「お魚ありがとうございます、だそうです」
ご主人様は苦笑いしながら答えた。
「そのうちにな」
『いきなりは失礼ですよ。そのうちちゃんと食べさせてもらえますからね』
ミリアはじーっとご主人様を見つめた。あれは無言の要求ね。
はあ、さっき言ったこともう忘れているのかしら、この子には繰り返し教えていかないといけないわね。
「それでは、インテリジェンスカードの書き換えを行います」『ミリア、インテリジェンスカードを書き換えるから、左手を出せ』
商館のあるじが言うと、ご主人様、セリー、ミリアの三人が腕を伸ばした。
書き換えが終わるとご主人様は自分のインテリジェンスカードを確認していた。
セリーとミリアも自分のインテリジェンスカードを確認していたので、
私は皆のインテリジェンスカードを横からこっそり見た。
ミチオ・カガ ♂ 17才 探索者 自由民
所有奴隷 ロクサーヌ セリー(死後解放) ミリア(死後相続)
セリー ♀ 16才 鍛冶師 初年度奴隷
所有者 ミチオ・カガ(死後解放)
所有奴隷(所有者死後相続 ミリア)
ミリア ♀ 15才 海女 初年度奴隷
所有者 ミチオ・カガ(死後相続 セリー)
ミリアは15才... ってことはひとつ下ね。 海女ってたしか猫人族の固有ジョブだったような......
あとでセリーに聞いてみよう。
◆ ◆ ◆
商館を出るとご主人様はアイテムボックスから革の靴を取り出してミリアにわたそうとした。
「じゃあこれをはけ」
ミリアはおどろいて、靴を受け取らずに固まった。
『魚を食べさせてもらうのに靴まで履かせてもらえるなんて申し訳ないです』
「魚を食べさせてもらううえに靴まで履かせてもらうのは申し訳ないそうです」
「迷宮にはいる以上はこれも装備品だから」
『迷宮にはいるためには靴が必要です。装備品ですので、ちゃんと履いてください』
『わ、わかりました』
ミリアは返事しながらうなずくと、ご主人様から革の靴を受け取って履いた。
ミリアが靴を履くと、ご主人様はミリアをじっと見つめた。するとミリアが目をみひらいておどろいた。
『えっ?』
『ミリア、あとで説明するので黙ってパーティーにはいりなさい。』
私はご主人様がいつも通り無詠唱でミリアをパーティーにさそったことに気付き、騒ぎだす前に小声でさとした。
冒険者ギルドにむかって歩きながら、私はミリアに話しかけた。
『ミリア、私はロクサーヌ。ご主人様の一番奴隷です。よろしくお願いしますね』
『よ、よろしくお願いします』
『ミリア、ご主人様はすごい人です。今のことだけでなく、常識では考えられないようなことが色々出来ます。
しかし、それは他人に知られてよいことではありません。なぜだかわかりますか?』
『えっと。わかりません』
『ご主人様の能力を知ったとき、それを利用したり、ねたんでおとしいれようとする人がいるからです。
そして、そのような人はどこにいるかわかりません。どこで聞いているかもわかりません。
ですので、おどろくようなことがあっても、声に出してしゃべってはいけません。わかりましたか?』
『......はい』
『どうしても聞きたいことがあるときは、家に帰ってから私に聞いてください』
『はい。あの、家ですか?』
『はい。今から帰りますので、それまで質問はなしです。いいですね』
『わかりました』
帝都の冒険者ギルドからクーラタルの家に飛ぶと、早速ミリアが質問してきた。
『ここはどこですか?』
『ここは私たちの家です。場所はクーラタルです』
『フィールドウォークは冒険者じゃないと使えなかったと思うんですけど』
『今のはワープというご主人様の魔法です』
『ワープですか? 探索者のはずなのにすごいです』
ご主人様が何を話しているのか心配そうに見ていたので、報告した。
「探索者のはずなのにすごいと言っています」
「適当に言っておいてくれ。あと、内密にするようにともな」
「かしこまりました」
『ミリア、ご主人様は移動魔法だけでなく治癒魔法や攻撃魔法も使えます。
しかも全て無詠唱です。他人に聞かれると問題なので内密にすること』
『わかりました』
『さっきも言いましたが、ご主人様は人には出来ないことがたくさん出来ます。
魔法も使えますし、すごい武器も持ってます。そして、低階層の魔物なら一撃で倒せるほど強いです。
遠い国から来たらしく、たまにこちらの常識で知らないこともありますが、
とても頭がよく、私たちの知らないことをたくさん知っています。本当にすごい人です』
『はい』
『それなのに奴隷の私たちをとっても大事にしてくれます。最高のご主人様ですよ』
『はい。わかりました』
ミリアがご主人様を見る目が尊敬のまなざしになった。
これなら大丈夫ね。