わたしの名はロクサーヌ。
狼人族で16才の獣戦士、そしてご主人様(加賀道夫)の一番奴隷。
大好きなご主人様、かわいい後輩奴隷のセリーとミリアの4人で、
クーラタルの一軒屋でしあわせにくらしている。
お仕事は迷宮探索。
クーラタル、ベイル、ハルバー、ターレ、ボーデの5か所の迷宮を探索している。
ちなみにクーラタルは12階層、ベイルは11階層、ハルバーは12階層、ターレは13階層、ボーデは1階層を探索中。
ここ数日は、ハルツ公爵がキッチリ管理しているハルバーの迷宮12階層に行くことが多くなっている。
今朝も早朝からハルバーの迷宮12階層の探索を開始したけど、私には一つ気になっていることがあった。
ここ数日、ハルバーの迷宮12階層のある場所から、ずっと動かない人がいることに気が付いているからだ。
迷宮探索では、トラブルを避けるために他のパーティーと会わないようにすることは基本であり、特に私たちのパーティーは内密にしないといけないことも多いので、人がい続けている場所を避けていたのだが、一向にボス部屋が見つからないのでその場所を調べないといけないような状況となっていた。
私は迷宮の1か所にずっといつづける理由が思いつかないので、初めのうちは勘違いかもしれないと思っていたけれど、その場所に近づくと、今日も人のにおいがした。
もはや間違いない。これからどうするか、みんなと考えないといけないと思い、ご主人様に話しかけた。
「おかしいですね」
「何がおかしい」
「この先に人がいます。こんな時間なのに、です。昨日も、一昨日も、ずっと同じ場所にいました」
「人のにおいがする魔物とか」
「聞いたことがありません。なるべく人のいるところを避けているので、このままずっといられると、先に進めません」
みんなでどうすべきか考えていると、セリーがハッとした顔になった。
「そういえば、聞いたことがあります」
「何をだ、セリー」
「それほど人の来ない迷宮では、十二階層で盗賊が待ち伏せをすることがあるそうです。すみません。小さいころに聞いたことなので、忘れていました」
盗賊かあ、そう言えば......
ご主人様と私、セリーの3人で迷宮探索していた頃にもターレの13階層で盗賊に会ったことがある。
そのとき盗賊は13階層入り口付近に待ち伏せしていて私たちの後ろを付け回したので、返り討ちにしたのだったわね。
つまり、迷宮にいる盗賊は、待ち伏せするのが常套手段というわけね。
「なぜ人が来ない迷宮なんだ」
「クーラタルのように人の多い迷宮ではすぐに見つかってしまいます。まったく人の来ない迷宮では仕事になりません。あまり人が多くなく、たまに来るくらいの迷宮が一番いいのです」
「十二階層なのはなんでだ」
「十二階層からは魔物も強くなります。ですから、十二階層に来る人は装備も整えてきます」
「それを頂戴しようということか」
「そうです。十二階層に入るくらいではまだまだ中級者ですから、盗賊の方も強いメンバーをそろえれば十分に圧倒することができます。それにあまりよい装備品を盗賊が持っていても買い叩かれるだけでしょう。中級くらいの装備品がもっともよいのです」
「そうすると、どうすべきだろうか。いなくなるまで待つか」
待ったらいなくなるのか?
いや、気にしたときは必ずいたので、早朝から夕方までもう何日もずっといつづけているはず。そう簡単にはいなくはならないだろう。
それに、においから考えて、そんなに多くない。突破するなら今しかないような気がする。
私はそう考えて発言した。
「こんな時間にいるとなると、一日中いると考えた方がいいかもしれません。多分、早朝なので人が少なくなっていると思います。突破するなら今がチャンスです」
「騎士団に報告するという手も」
「ハルツ公爵家の家人でなければ、動いてはもらえないと思います」
ご主人様の考えをセリーが即座に否定してくれた。私もそう思う。
「そうなのか?」
「家人は保護の対象ですから」
私はご主人様がいまいちわかっていないようなのでセリーの言葉を補足した。
「ご主人様は自由民ですよね」
「そうだ」
「では難しいですね」
「自由民であれば、自力救済が基本です。自由民には自力救済をする権利があります。保護を求めることは庇護した者の家父長権の下に置かれることを意味します。それはあまり得策ではないでしょう」
「得策ではないのか?」
「はい。家父長権の下に置かれるということは、命令に従わなくてはならなくなるということ。
つまり、自由を失うということです」
私とセリーの説明を聞くと、ご主人様の顔が曇った。
他人には頼れないということがようやく理解できたようだ。
「そうなるのか......」
「自力で突破するのが当然です」
『ミリア、この先に盗賊がいます。たぶん戦うことになりますので、覚悟しておいてください』
「大丈夫。です」
ミリアは返事をしながらうなずいた。
「大丈夫です。そんなにたくさんはいないようです。盗賊ごときに後れを取ることはありません」
「私もそう思います。盗賊が待ち伏せしているのなら十二階層で戦うパーティーを念頭においているでしょう。普通のパーティーは魔物を倒すのにもっと時間がかかります。私たちは他の十二階層で戦っているパーティーに比べてかなり強いはずです。私やミリアが足を引っ張るかもしれませんが、連携すれば大丈夫でしょう。盗賊がいても簡単に負けることはありません」
私とセリーが交互に説得するとご主人様は少し考え、そして覚悟を決めたようだ。
「ミリアもそれでいいか」
『ミリア、もう一度聞きます。この先に盗賊がいます。たぶん戦うことになりますし、殺すことになります。本当に大丈夫ですか?』
「大丈夫。です」
ミリアは真剣な目をして返事を返した。
「では、一度行ってみるか。俺が剣を持つ右手を上げたら攻撃の合図、左手を上げたら全員退却の合図だ」
「かしこまりました」
「わかりました」
「はい」
そうして人がいつづけている場所に近づくと、私は判断間違いをしていることに気付いた。
「すみません。多分この先に隠し扉があって、その向こう側にいるのだと思います。扉があるとは思いませんでした。扉があれば、においはあまり出てこなくなります。思ったより多くいるかもしれません」
私がご主人様に謝罪すると、軽く背中をたたかれた。
「大丈夫だ」
突き当たりの隠し扉に近づくと、ご主人様から号令がかかった。
「全員、俺の後ろに回れ。ロクサーヌは最後尾を頼む」
ご主人様は愛剣を抜き、先頭に立った。
そして洞窟の突き当りまで進むとガラガラと音を立てて扉がスライドし、小部屋が現れた。
その中には、6人の男がいた。
男たちは私たちに気付くと話しかけてきたが、ご主人様が首をかしげると、わざわざブラヒム語で話しかけてきた。
「おはようございます。ボスのいる部屋はあっちです。俺たちはまだ少し休んでから行きますんで」
ご主人様はその言葉を聞き一瞬止まったが、すぐに警戒しながらも、小部屋の中に入ったので私たちもついて行った。
私たちが部屋に入ると、男たちはばらばらに分かれて部屋の中に広がり、ボス部屋と言った方向の通路以外をふさいだ。
男たちが動いたのでご主人様はもういちど一瞬止まったが、一言お礼を言って、すぐにボス部屋と言われたほうの通路にむかって歩き出した。
男たちはご主人様のうしろを歩く私たち3人を見て、明らかに下品な笑みを浮かべていた。
小声で「ヒヒヒ」と笑う男やゴクリとツバを飲みこむ男もいる。
ボス部屋と言われたほうの通路に入ると、セリーが小声でつぶやいた。
「……滅びればいいのです」
「大丈夫。すぐに滅ぼしてやりましょう」
私はセリーに小声で返しながら一番後ろをついて行った。
少しすると、洞窟の先のほうから人のにおいがしてきた。3、4人いる。
わたしはご主人様に小走りで追いつき、小声で報告した。
「ご主人様、曲がった先に3、4人います。さっきの6人もこちらに向かい始めたようです」
ご主人様は軽く舌打ちすると、私たちに指示をした。
「あいつらは盗賊だ。一戦は必至だろう。襲ってきたら、ロクサーヌが前、セリーは後ろを頼む。ミリアはロクサーヌの後ろから援護しろ。盗賊は俺が倒すから、守備に重点を置いて戦え。俺は自由に動く。俺の動きにはつられるな」
『ミリア、あなたは私の後ろから援護してください。ご主人様は自由に動いて盗賊を倒しますので、動きにつられないようにして下さい』
「はい」
ミリアはご主人様から銅の槍を受け取り、木の盾と交換した。
曲がり角まで進むと、ご主人様はこちらを確認した。
盗賊はまだ先にいるので、私は小さく首を振った。
角を曲がると、洞窟の先の方に4人いた。
それを確認すると、ご主人様は早足で進みだした。
前の4人は先ほどの6人と比べて、明らかに強者の雰囲気を出している。
4人のうち、前の3人が通路をふさぎ、その後ろ5メートルくらいの所に1人が控えていた。
通路の少しさきに壁が見えるので、どうやらこの通路は行きどまりのようだけど、何故か洞窟の一番奥には行かせないように立ちふさがっているように見えるので何だか違和感があるけど、今はそんなことはどうでもいいわね。
一番後ろの男が偉そうに踏ん反り返っているので、たぶんあの男が盗賊のかしらなんだろう。
でも、盗賊のかしらのような男より、前の3人のうちの真ん中の男から強者の雰囲気を感じる。
私と同じ狼人族で細身の長剣をもっている。
鋭い眼光で顔にも傷があり、名のある盗賊であることが窺える。
あの男はすごく強そうね。倒せないとは思わないけど、私では時間がかかりそう。
でも、ご主人様と比べると、ちょっと可哀想かな。
あの男ではご主人様の足元にも及ばないと思う。
ご主人様ならきっと盗賊たちを全員倒してくれるはずだから、そのあいだ私たちは、自分自身をしっかり守らないといけないわね。
そんなことを考えながら盗賊たちに近づくと、前の3人が口々にはやし立てだした。
「ボスがいると思ったか」
「残念だったな、盗賊だよ」
『お前は狼人族だな。うまそうなカラダだ』
真ん中の狼人族の男は私を見ながら目をギラつかせ、バーナ語でおどしている。
そして、なめるように私たちを見だした。
「ぐひひひ、いい胸してるな。すぐに気持ちよくさせてやるぜ」
「へへへ、俺のはデカイぜ、そんなひ弱そうなやつより満足させてやるぞ」
『ククッ、お前は俺さまが飼ってやる。ありがたく思ってしっかり奉仕するんだぜ』
盗賊たちは私たちを犯すところを想像しているようで、気持ち悪い顔でにやけている。
見ているだけで、鳥肌が立ってくる。
前の3人が言いたいことを言っていると、後ろに控えていた盗賊のかしらと思われる男が声を発した。
「持っているものと女を置いていくなら、命だけは助けてやってもいいぜ」
その言葉を受けてもご主人様は黙ったままだった。
すると、すぐに後ろの曲がりかどからさっきの6人も歩いてきた。
後ろの6人とはまだ距離はあるが、盗賊10人に挟み撃ちされる状態となってしまっている。
なおも黙っているご主人様にイラついたのか、前の男たちはしびれを切らしたように叫び始めた。
「おら。さっさと全員武器を捨てな」
「命あってのものだねだぜ」
すると、ご主人様がいきなり呪文を唱え始めた。
いつもは無詠唱なので、不謹慎にも少し新鮮な気持ちでご主人様を見てしまったのは秘密にしておこう。
「入り組み惑う迷宮の、勇士導く糸玉の......」
盗賊たちは一瞬警戒したが、ご主人様が唱えはじめた呪文がダンジョンウォークの呪文と気づくと、あざ笑いながら言葉を吐き出した。
「この洞窟には遮蔽セメントを塗ってある。逃げられないぜ」
「ガハハハ、残念だったな」
「おまえをやったあと女どもは可愛がってやるから、安心してあのよに行け」
ご主人様は、盗賊の言葉を無視して「ダンジョンウォーク」と唱えると通路の左側に黒い壁が現れ、中に飛び込んだ。
「馬鹿な。ダンジョンウォークが使えただと」
「いや。逃げたのは1人だ。女をほっといて逃げるとは、馬鹿なやつだ」
盗賊たちは一瞬おどろいたが、私たち3人が残っていたことに気付いてご主人様をバカにする言葉を吐いた。
私は前の4人の後方右側の壁からご主人様が飛び出したことに気付き、盗賊たちの注意をひくため剣をかまえながらとっさに大声で返事した。
「馬鹿はどっちですか!」
次の瞬間、こちらに注意をそがれた盗賊のかしららしき男の首にご主人様の剣がつき刺さった。
盗賊のかしららしき男が崩れ落ちると、その音で他の盗賊たちが事態に気づいた。
「馬鹿な。どうなってやがる」
「とにかく、全員でやっちまえ」
盗賊たちが身構えた瞬間、今度は私たちと後ろの盗賊6人との間にファイヤーウォールが出現した。
「な、もう一人いやがった。どこかに魔法使いが隠れてるぞ」
盗賊たちがあわてだした。
ファイヤーウォールは通路の左よりに張られたので右側には人が抜けられるスペースがあったが、セリーが素早く回り込んで槍を構えたため、後ろの盗賊6人は前に突っ込んでこれなくなった。
すると、前の3人はこちらではなく、ご主人様にむかって駆け出した。
私はご主人様を援護するため前に駆けだそうとしたが、3人のうちの真ん中の盗賊のからだが吹き飛んだので立ち止まった。
次の瞬間、残りの2人の首がご主人様に切り飛ばされた。
あっと言うまだった。
私はすぐにきびすを返してセリーに並び、ファイヤーウォールが収まった後の盗賊の襲撃に備えた。
ミリアを少し下がらせて真ん中に配置し、私とセリーの2人が前衛、ミリアがサポートの三角形の布陣で後ろの盗賊6人に相対すると、すぐにファイヤーウォールが消える。
ファイヤーウォールは消えたが、盗賊たちは奥の4人が全員倒されていることに気付いたようで、明らかに動揺していてこちらに突っ込んでこなかった。
「な、首領たちが死んでる!」
「どうなってるんだ!」
「知るか!」
すると、盗賊たちの後ろからご主人様の声がかかった。
もう一度ワープで盗賊たち6人の後ろに飛んだようだ。
「こっちだ。逃げられないぜ」
ご主人様はわざわざ声を掛けて姿をさらし、自分を気づかせていた。
私は一瞬なぜ気付かせたのか疑問に思ったが、盗賊たちは激的な反応を見せた。
「な、挟み撃ちか!」
「う、うしろは一人だ。囲んでやっちまえ!」
6人はうしろからかけられた声に一瞬ひるんだが、一人が叫ぶと一斉にご主人様にむかって駆け出した。
しかし、次の瞬間、駆け出した6人のすぐ前にファイヤーウォールが出現した。
1人すり抜けたように見えたが、ファイヤーウォールの向こうでドサッと倒れる音がした。
たぶん一瞬でご主人様に切られたのだろう。
2人がまともにファイヤーウォールに突っ込んだ。あれは即死だと思う。
1人は半身を焼いたまま横っ飛びで逃れたが、衣服の火を消そうと気をとられた次の瞬間、ご主人様に袈裟切りにされて絶命した。
1人は片足を突っ込んでから引き抜いたが、しりもちをついて焼けただれた足を伸ばし、動けなくなっていた。
最後の1人はファイヤーウォールの手前で止まったが、私たち3人のほうには戻らずご主人様を警戒している。
ファイヤーウォールが消えると、ご主人様はしりもちをついている盗賊に注意しながら歩を進め、私たちに少し下がるよう指示を出した。
次の瞬間、ご主人様は跳躍してしりもちをついている盗賊の首をはねにかかる。
すると、1人無事だった盗賊がご主人様に切りかかった。ご主人様の剣が止まったところを狙うつもりのようだ。
しかし、ご主人様の剣は尻もちをついていた盗賊の首をなめらかに切り飛ばしたので、まったく体勢を崩していない。
ご主人様は最後の1人の剣を余裕をもってかわすと、愛剣を横腹に突き刺した。
それからゆっくり剣を引き抜くと、最後の1人が崩れ落ちた。
私たちは全員倒されたことに安堵してご主人様に駆け寄った。
「ご主人様」
「全員無事か」
「はい」
「ロクサーヌとミリアは他に逃げた者がいないか確認を頼む。セリーは、インテリジェンスカードの回収を手伝ってくれ。手首を包むから、盗賊の服を切り取れ」
私はご主人様の言葉にハッとして気を引き締めなおし、先ほど盗賊6人がいた小部屋にむかって走り出した。
小部屋まで戻り、ミリアに周囲に不審なものがないか確認させ、私はにおいをかいだが、近くに人のにおいは無かった。
ミリアも特に不審なものはないと言っているので、逃げた者はいないと判断した。
私とミリアがご主人様の所に戻ると盗賊たちの死体は消えていた。
たぶん私とミリアが逃亡した者がいないか探しているあいだに迷宮に飲まれてしまったのだろう。
だけど、セリーが袋を持っていたので、手首の回収はなんとか間に合ったようだ。
私はご主人様に誰もいなかったことを報告した。
「逃げた者はいないと思います」
「そうか」
「それにしてもすごい戦いでした。さすがはご主人様です」
「ありがとう。ロクサーヌたちも無事でよかった。三人とも怪我はないな」
「はい」
「ファイヤーウォールを張っていただいたおかげで、後ろから来た盗賊はこちらに手出しできませんでした。ありがとうございます」
『す、すごかったです』
「ミリアもすごかったと言っています」
私たちは盗賊の装備品の回収を行いながら話をつづけた。
「大変な目に遭わせてしまったな」
「いえ。それに、ご主人様が全部倒してくださいましたから」
「このくらいのことはいつでも起こりえます。助かりました」
私とセリーが答えると、ご主人様は少し考え事を始めた。
少しすると、緊張が解けたのか、ミリアが興奮して話し出した。
『おねえちゃん。ご主人様がこんなに強かったなんて知らなかったです』
『ふふ。おどろきましたか?ご主人様はすごく強いのですよ』
『はい。すごく驚きました』
ミリアがご主人様を尊敬することはいいけれど、忘れっぽいからまた釘を刺しておかないといけないわね。
私はそう思ってミリアに話しかけた。
『ミリア、いいですか。ご主人様は本当に強いですが、他人に知られていいことではありません。
下手に知られると、ご主人様にたかったり、力を利用したり、場合によっては排除しようとしたりする人がいるかも知れません。
ですから、くれぐれも内密にしなければなりませんよ』
『わ、わかりました』
私が少しきつめにミリアに口止めしていると、ご主人様が困惑したような顔で見ていたので説明した。
「ミリアはかなり驚いているようですが、ご主人様ならこれくらいは造作もないことなので内密にするように言っておきました」
「......」
ご主人様は微妙な顔になり、無言のまま装備品の回収を再開した。
あれ?何か間違えた?
「ん、これは...... レイピアか......」
装備品を拾っていたご主人様が一言漏らし、私のもとに細身の剣を持ってきた。
一番強そうだった狼人族の盗賊が持っていた剣だ。
「ロクサーヌ、ちょっといいか?」
「はい。刺突剣ですね。より上位の片手剣は切るよりも突き刺すことで魔物を攻撃します。
戦闘スタイルも若干変わってきます」
「ロクサーヌは大丈夫?」
「おまかせください。それに、レイピアには刃もありますから、今までどおり切っても使えます」
「じゃあレイピアはロクサーヌに、あと、この鋼鉄の盾もな。シミターと鉄の盾はミリアに回せ」
「ご主人様、ありがとうございます」
「俺のアイテムボックスはそろそろ容量が厳しいから、ミリアには交換した装備品はセリーに渡すよう言ってくれ。セリー、頼むな」
「わかりました。私のアイテムボックスにしまっておきます」
セリーはご主人様に返事をすると、ミリアに向きなおった。
私はご主人様からレイピアと鋼鉄の盾を受け取り、シミターと鉄の盾をミリアに渡す。
『ミリア、あなたの装備はシミターと鉄の盾に変更です。ダガーと銅の槍はセリーに渡してください』
『はい』
「セリーおねえちゃん。おねがいします」
「はい。ミリア」
セリーはにっこりほほえんで、ミリアからダガーと銅の槍を受け取りアイテムボックスにしまった。
ミリアはダガーと銅の槍をセリーに渡すと、シミターを振り回してバランスを確かめていた。
ほどなくして盗賊の装備品をすべて回収すると、ご主人様は回収品の中に黄魔結晶を見つけて考え事をしていた。
私はご主人様の服が盗賊の血にまみれてしまっていることに気付いていたので、このまま迷宮探索をつづけるのは難しいと考えてご主人様に声をかけた。
「えっと。まだ早いですが、一度いえに帰って、体を拭いた方がいいです。服もすぐに洗います。装備品も手入れしたほうがいいですね」
「わかった。みんな、一度いえに戻ろう」
「かしこまりました」
私たちはご主人様のワープでいえに戻った。
いえに戻ると、セリーとミリアには休憩してもらい、ご主人様にはからだを洗うようすすめた。
「ご主人様、すぐにお風呂場でからだを洗ってください」
「わかった」
私はご主人様とお風呂場にむかい、脱衣室で服を脱いだ。
ご主人様は一瞬なぜか不思議そうな顔で服を脱ぐ私を見ていたが、すぐに何かに気付いたような顔になり自分も服を脱いだ。
私はご主人様から汚れてしまった服を受け取り、一緒に風呂場に入った。
風呂場に入るとご主人様はウォーターウォールでかめに水をため、ファイヤーボールでお湯を沸かした。
そして、かめからタライにお湯をそそぐ。
「では、ご主人様。おからだをお拭きします」
「そう言うと思ってたけど、からだは自分で拭くからロクサーヌは俺の服を洗ってくれ。
着ているときは気付かなかったが、ひどい汚れようだしな」
「そ、そうですか...... そうですね。ひどい汚れなのですぐに洗います」
私はちょっと残念に思ったが、ご主人様に手拭いを渡してとなりで服を洗い始めた。
少しして、私がご主人様の服を洗い終わろうとしていると、セリーが様子を見に来た。
「ご主人様、ロクサーヌさん。何か手伝うことはありますか?」
「そうですね。こちらは大丈夫です」
「風呂を上がったら盗賊から回収した装備品の手入れをお願いするから、取り急ぎ俺たちの装備品を手入れしててくれるか?」
「わかりました」
セリーが風呂場から出ていき、私がご主人様の服を干していると、ご主人様は私に話しかけてきた。
「ロクサーヌ、今日は悪かったな。結果的には倒せたが、盗賊10人に囲まれたのは、俺の判断ミスだ」
「そんなことはありません。盗賊と戦うようすすめたのは私やセリーのほうですし、10人もいることを察知出来なかったのは私のミスです」
「いや、でも、戦うことを決めたのは俺だからな。
12階層にいるぐらいの盗賊なら簡単に倒せるだろうと甘く考えていた。
結果的には勝てたけど、一歩間違えば俺は殺され、ロクサーヌたちがひどい目にあっていたかもしれない。
俺はどうでもいいが、ロクサーヌたちがけがされることには耐えられない。
彼我の戦力差について、もっと慎重に判断してもよかったんだ。
結果的に、俺はみんなを危険な目に合わせてしまった。済まなかった」
ご主人様はよほど自分を許せなかったのか、少しうつむいていた。
私はご主人様の正面から軽く抱きつき、額を合わせて言葉をつむいだ。
「何をおっしゃいますか。すばらしい戦いでした。
盗賊を倒すのは当たり前のことですし、危険度はいつもの魔物討伐と大差はなかったと思います」
「そうか」
「はい。戦闘時間も短かったですし、ご主人様に全員倒していただきました。
私たちはそのあいだ、自分の身を守っているだけでしたから疲れてもいません。
それに、ご主人様にこんなにも大事にしていただけて...... 私は幸せです」
「そ、そうか。ま、まあ、ケガがなくてなによりだな」
ご主人様は返事をしながら急に少し動揺した感じになり、目をそらしたので不思議に思ったけど、
すぐに原因に気が付いた。
ご主人様のアレが大きくなり、雄々しく屹立してしまったのだ。
そういえば...... 私もハダカだった。
「ご主人様。盗賊から守っていただき、ありがとうございました。大好きです」
私はご主人様にキスをすると、ご主人様はくちを開いて私の舌を優しく向かい入れてくれた。
私は右手でご主人様のアレを優しくしごくと、ご主人様は我慢出来なくなったようで、すぐにくちを離した。
「ご主人様、こちらをわたくしにもう少しお洗いさせて頂いてもよろしいですか?」
「......ああ、頼む」
私はご主人様の前にかがんでアレの先をくちに含み、そのあと胸も使ってご奉仕させていただいた。
ご主人様にスッキリしてもらい、着替えてダイニングに行くと、セリーとミリアが装備品の手入れをしていた。セリーは私に気付くとすぐに話しかけてきた。
「ロクサーヌさん。私たちの装備品の手入れはあらかた終わりました。
ミリアに手入れのしかたを手ほどきしたつもりですけれど、言葉が通じないのでどこまで理解してくれたかちょっと不安です」
「ありがとう、セリー。ミリアを任せてしまってごめんなさいね。大変でした?」
「いえ、素直な子だからみようみまねで頑張ってくれるので、そこまで苦労はしてません」
「そうですか」
『ミリア、装備品の手入れのしかたはわかりましたか?』
『はい。セリーおねえちゃんが私でも分かるように、実演しながら教えてくれたので、だいたい覚えたと思います』
『それはよかった。装備品はちゃんと整備しておかないと本来の力を発揮できませんから、忘れないようにしてくださいね』
『はい。あの、おねえちゃんも、セリーおねえちゃんも、ご主人様も、みんな優しいので、毎日楽しいし、うれしいです。これからも、よろしくおねがいします』
ミリアはそう言うと、私にペコリとおじぎしてセリーに向きなおった。
「セリーおねえちゃん、ありがとう。これからも、よろしくです」
「え、ミリア、急になに?」
セリーが突然お礼を言われたことにおどろいていたので、補足しておいた。
「セリー、ミリアは装備品のていれ方法を丁寧に教えてくれたあなたに感謝しています。それに、みんなが優しいので毎日楽しいし、うれしいって言ってます」
「それはよかったです。ミリア、こちらこそよろしくね」
セリーがにっこりほほえみながらミリアのあたまをなでると、ミリアも楽しそうにほほえんだ。
私たちの会話を聞きながら、ご主人様は微笑みつつ「仲がいいのは良いことだ」とつぶやいた。
そして、自分のアイテムボックスから、盗賊から回収した装備品をすべて取り出して並べた。
「ほとんど売るつもりだが、いちおう整備しておいたほうがいいか?」
「そうですね。汚れは拭き取っておいたほうが商人の買い取り価格も上がりますので、整備しましょう」
私が答えるとセリーが提案した。
「今後のことを考えると、予備としていくつか取っておいたほうがいいと思います」
「確かに。セリーの言う通りだな」
その後、予備用と売却用に装備品を分け、予備用は私がいつでも使えるように本格的に整備し、売却用はセリーとミリアが汚れを拭き取った。
装備品の手入れが終わると、私たちの装備品はご主人様のアイテムボックス、売るものはセリーのアイテムボックス、予備品は物置部屋に片付けた。
その後、ご主人様は盗賊が持っていた決意の指輪についてセリーに聞いていた。
どうも、固定の際にギルド守護神からの祝福で受け取るようなものらしい。
家宝として扱うこともあるようだし、盗賊が持っていたってことも気になる。
誰かから盗んだのだろうか...... のちのちトラブルにならなければいいのだけれど......
そんなことを考えていると、ご主人様はインテリジェンスカードのチェックを始め、またセリーと難しい話をし始めた。
しばらくするとセリーの説明にあらかた納得したのか、ご主人様から声がかかった。
「ロクサーヌ。盗賊の手首を捨てに行くから、ちょっと付き合ってくれるか?」
「かしこまりました。ご主人様」
「セリー、ミリア。手首を捨ててきたら朝食の材料を買いに行くから、ちょっとだけ待っててくれ」
「分かりました。いってらっしゃいませ」
「いってらっしゃい、です」
私はご主人様に従ってワープゲートをくぐり、ハルバーの迷宮12階層に移動した。
「ロクサーヌ、魔物も人もいない場所に手首を捨てたいが、どんな感じだ」
「そうですね...... 人は全然いないようです。そこの先を左に行ったほうは、魔物もいません」
「では、そっちにいって手首を捨てたら急いで戻ろう」
「ご主人様、ちゃんと装備品を付けてください」
「いや、一瞬だったら大丈夫だろう?」
「ダメです。途中で魔物が湧くかもしれません」
「じゃあ、走って行って、手首を投げ捨てたらそこでワープゲートを出して、いえに帰るってのは?
これなら大丈夫だろう?」
「確かにそうかもしれませんが......
わかりました。私が魔物のいない方向に案内します...... 今回だけですよ」
「わかってる」
ご主人様は顔をニヤつかせながら軽くからだを伸ばしていて、なんだか楽しそう。
私もちょっぴり楽しくなってきた。やるとなったら全力だ。
「では、行くぞ。よーい...... どん!」
私とご主人様は勢いよく走りだし、迷宮の中を疾走した。
防具もつけず、武器も持っていない。
魔物にあったら一巻の終わりだし、絶対にやってはいけないことだけど、スリル満点ですごく楽しい。
そして、ご主人様が私を全面的に信用してくれることがすごくうれしかった。
においをかぎながら走ること3分。
右に左にと魔物を避けながら通路を走り、行き止まりまで来た。
「はあ... はあ... た... 楽しかった。 ありがとう、ロクサーヌ」
「はあ... はあ... ご... ご主人... 様、 私も楽しかったです。 でも、セリーとミリアには... 内緒にしないと」
「ああ、わかってる。今回限りだし...... ふ、ふたりだけの秘密な」
「はい。ご主人様」
私はご主人様との二人だけの秘密が出来たことが、たまらなくうれしくなった。
その後、通路の突き当り付近に盗賊たちの手首を捨て、ご主人様のワープでいえに戻った。
「ただいま」
いえに戻ると、セリーが話しかけてきた。
「ロクサーヌさん、おかえりなさい。なにかあったんですか?」
「特になにもありませんよ」
「そうですか?なんだかうれしそうなかおをしていたので......」
そう言いながらセリーは疑いのジト目で見つめてきたが、あえてとぼけているとすぐに肩をすくめてそれ以上の追及をあきらめた。
私はホッと一息つき、胸をなでおろした。
その後、みんなで朝食の食材を買い出しに行った。
そしてウチに帰って手早く朝食を作り、少し遅い朝食にした。
朝食を食べ終わるころ、セリーがご主人様に話しかけた。
「ご主人様、ちょっと気になっているのですが、以前にも盗賊と戦ったことがあるのでしょうか?」
「ああ、何度か戦ったことがあるが、何で気になったんだ?」
えっ、何度か? 以前ご主人様は、私と初めて会う前に一度盗賊と戦ったことがあるって言ってなかったかな?
あ、そう言えばベイルの商館が盗賊に襲われたときにも戦ったわね。そのことも含んで何度かってことね。でも、あのときは一人だったし......
私は少し気になったけど、とりあえず先にセリーの話を聞くことにした。
「えっと、魔物と戦う強さと人と戦う強さは一般的には別とされています。
そして人の場合は個人で戦う強さと集団で戦う強さも別の強さとなります。
相手が個人の場合はこちらも個人で戦えますが、相手が集団なら、こちらも集団でないと戦えないという考えが一般的です。
そして、個人・集団とも、相手より弱い方が負けるのです」
「確かにそうだな」
「盗賊が厄介なのは、集団で戦う強さを有していながら、自分たちよりも圧倒的に弱い集団か、個人を狙うことです。
つまり、彼らは負けない状況を作ってから戦いに臨んでいるのです。
ところが、ご主人様はその集団に対して、戦略をもって戦力分散や奇襲を仕掛け倒し切ってしまいました。
初めて盗賊と戦う人が出来るようなことではないと思えるのです」
「なるほど。それで気になったのか」
「はい」
「そうだな、じつは盗賊とは何度か戦ったことがある。
あいつらは自分たちで考えた戦い方を乱されると、ロクな連携が出来なくなる。
だから、戦う前にあたまのなかでシミュレーションをして戦い方をきめておいた」
「シミュレーション?」
私は初めて聞く言葉に首をかしげると、セリーも同じように首をかしげていた。
「シミュレーションとはあたまのなかで動きを考えておくことをいう。例えば...... 夕食を魚にすると言えばミリアはよろこぶ、とか」
「さかな。です!食べる。です!」
すかさずミリアがつっこんだ。
「い、いや、例えだからな。
で、はなしを戻すが今日のシミュレーションではこうだった」
ご主人様はミリアの反応に焦りつつ、一度言葉を切ったあと、瞑目しながら話を再開した。
「まず、後ろの6人が追いつく寸前で戦いをはじめる。そうすれば瞬間的に4対4になり、前の4人が突っ込んでくることを避けられる。そして俺だけワープで逃げるように消え、前の4人のうち後方にいるかしらをその後ろから不意打ちで倒せば、盗賊たちは動揺するし、残りの3人は俺に向かってくるしかなくなる。一撃で倒すようなやつをうしろに放置は出来ないからな。
そこで、ロクサーヌたちと後方6人の間にファイヤーウォールを張れば、6人は突っ込んで来れなくなる。
さらに、ファイヤーウォールのせいで前方の戦局も見えなくなるわけだ。これでロクサーヌたちの安全はひとまず確保できる。
次に前の3人だが、まずは真ん中のやつを俺の特殊魔法で爆発させる。すると左右のやつらは必ず隣を気にするから動きが止まる。
この時MPが枯渇するが、動きが止まった左右のうち1人の首を落とすくらいは出来るだろう。1人を切った瞬間に多少なりともMPが回復するので、もう一人はオーバーホエルミングで加速して首を落とす。
次にワープで後方6人のさらに後ろに飛び、最初に唱えたファイヤーウォールの効果が切れるまで待つ。
切れると前方の主力4人が死んでいることに気付くはずだから、後方6人は動揺するだろう。
そこで後ろから声をかけてさらに動揺させ、俺が1人だと気づけばどうなるか。
後方6人は、明らかに手練れがいて主力を葬った相手より、後方の1人を倒して逃げようとするはずなので、俺に向かってくるしかなくなる。
走り出したところで再びファイヤーウォールを張り、何人かつっこまさせれば、残りは雑魚だけになるので、オーバーホエルミングで加速して始末する」
ご主人様はそこまで話してから目を開いた。
「......って、ここまで考えてから戦闘を開始したってとこだ」
私はご主人様が強くてあたまが良いことは知っていたが、想像していたはるか上だったことを知って、改めて敬意を持った。
セリーもしばらく固まっていたが、少ししてからぽつりと感想を漏らした。
「戦う前にこれほどのことを考えられていたのですか、それも、前の4人に気付いてからだと...... 1、2分で考えたってことですよね。
ご主人様、凄すぎです」
「いや、完璧じゃないし幸運もあった。ロクサーヌとセリーの機転があったからうまくいったんだ」
「私とセリーがですか?」
私は戦いの最中なにも出来なかったと思っていたのでご主人様の言葉におどろいた。
「ああそうだ。まず最初にワープしたときに、ロクサーヌが大声で奴らの気を逸らしてくれた。だから一撃で盗賊のかしらを倒せる隙が出来た。
それとファイヤーウォールを張った時、すかさずセリーが切れ目に回り込んで槍を構えたので、後ろの足止めが完璧となった。
そして、前の4人を倒したあと、後ろの6人に対して3人が完璧な布陣を取った。だから後方の奴らが突っ込んでこれず乱戦状態になることを避けられたのだ」
「いや、私たちは必死で...... でもお役に立てたのはうれしいです」
「ああ、ありがとう。一応ミリアもな」
ご主人様はそう言うと、ミリアを見てクスリと笑った。
私とセリーもミリアを見てほほえむと、ミリアは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
たぶん、ミリアは何で笑われたのかを勘違いしている気がするけれど、今は放置しておこう。
それより、私はご主人様のさっきの発言が気になっていたので質問してみた。
「ご主人様、先ほど盗賊とは何度か戦ったことがあると言われましたが、それは私と出会う前のことと、ベイルの商館が襲われたときのことですよね」
「あー、あと、もう1回あるな」
「え、まだあるのですか?」
「ああ。ロクサーヌを買うときに、5日間の期限があっただろう。その時にな」
「そうなんですか。それは知らなかったです」
「ああ、ちょっと恥ずかしい理由なので黙っていたんだが...... まあ、いまなら話してもいいかもな」
そう言いながら、ご主人様は一瞬私を見つめ、恥ずかしそうに目をそらした。
「ご主人様、是非教えてください」
「私も知りたいです」
「知りたい、です」
私に続きセリーとミリアも知りたがると、ご主人様は少し考えてからおもむろに話し始めた。
「わかった。だが、その前に、ロクサーヌには少しだけ話したことがあったと思うけど、最初に盗賊と戦ったときのことから話そう」
「かしこまりました」
「ミリアは...... わからない所はあとからロクサーヌに聞いてくれ」
『ミリア、これからご主人様が盗賊と戦った話をしてくれるのですけど、わからなかったところはあとで教えてあげるから、おとなしく聞いていてね』
「はい。わからなかったら、あとで聞く、です」
「よし、では。
俺が最初に盗賊と戦ったのはソマーラという村だった」
「ソマーラというと?」
セリーがすかさず質問してきた。
「ソマーラはベイルから西に馬車で半日の所にある小さな村だ。確か盗賊と戦ったのは、ロクサーヌと出会う2日前の早朝だった」
「ベイルの商館に来られた2日前ですか?」
「ああ、そうだ。実はその時、商館には2度行った。ロクサーヌと会ったのは2回目に行った時だ」
「そうだったのですか」
「ああ、最初、ソマーラの商人と犯罪奴隷を売りに行ったんだ」
「あの、ご主人様は何故もう一度商館に行かれたのですか?」
「まあ、それも含めて順に説明する」
「すみません。興味があったのでつい先走ってしまいました」
「気にするな。では、もう一度ソマーラのことから。
まず俺は故郷を出て旅をしていた。そしてソマーラに立ち寄った時、ちょうど村が盗賊団に襲われているところだった。
盗賊の数は30人、村側は荷馬車の荷台や畑用の柵などで街道に簡易的なバリケードを作っていたけど殆どがただの村人だからな、人数的には足りていたけど押されていたんだ。
盗賊となんか関わりたくなかったから俺は隠れてやり過ごそうかと思ってたんだけど、あきらかに盗賊のかしらみたいな奴が村人の上に跨って殺そうとしていたのが見えたんだ。
しかもそいつは目の前の村人に集中していて周りが見えてないようだったので、チャンスと思った。で、気付いたら駆け出してたんだよ。
幸い一刀で首をはねられたんですぐに態勢を整えて周りを見ると、すぐ近くで俺におどろいて硬直した盗賊がいたんで、そいつの首も一刀ではねた。
それからは、村人とせりあっている盗賊たちを横や後ろから斬り伏せて回り、半分ぐらい倒したかな。
流石にそこまで減ると奴らも俺に気付いたようで、少し強そうな奴が俺にむかって来た。
まあ、そいつの剣を絡め飛ばしてカウンターで首を飛ばしたんだけど、そしたら残った奴らが街道を逆走して逃げ出した。
だけど、疲れてたのか足が遅くてな...... 全員後ろから斬り伏せたよ」
「誰も街道をそれなかったのですか?」
「そうなんだよ。みんな街道を走ってたんで、簡単にうしろから切り飛ばせたよ。
たぶん、奴らは自分たちが狩られることは想定してなかったんだろうな」
「ご主人様が全員倒したのですか?」
セリーが目を丸くして聞くと、ご主人様は少し恥ずかしそうに答えた。
「いや、全員じゃないさ。2人は村人が倒したから、おれは28人だな」
「......ご主人様、それは凄いことですよ」
「そうか?まあ、それは置いといて、そのとき倒した盗賊の装備に盗賊のバンダナってのがあったんだけど、装備品を回収したときに、それを普通のバンダナとすり替えて盗んだ奴がいたんだ。
そいつはすぐに捕まったんだけど、村の決まりで犯罪奴隷とすることになった。それで商館に売りに行ったのが1回目だったんだよ」
「そうでしたか」
「ああ、その時にアラン殿に会ったのだが、俺がベイルに来る途中でグミスライムを倒したことと、ソマーラで盗賊団を倒したことを話したら、しきりに奴隷を買うことを勧められてな、そのときあとで説明させてくれって言われたんだ」
「ご、ご主人様はグミスライムを倒したことがあるのですか? かなり強い魔物のはずですが」
「ああ、そうらしいな。倒したあとに商人にそう言われたけど、2度切ったら煙になった。
だから、俺にはよくわからんな」
ちょっ、セリー。話の腰をおらないで!私は心の中で叫んでしまった。
グミスライムも気になるけど、私は早く先が聞きたいのでちょっと強引に話を戻した。
「さすがはご主人様です。それで、アラン様と話したあとはどうされたのですか?」
「ん、ああ。そうだったな。
アラン殿と話したあと、騎士団の詰所に行って盗賊のインテリジェンスカードを渡して懸賞金を受け取り、それから武器屋と防具屋に行って盗賊の装備を売りさばいた。それで一通りやることが終わったので、もう一度商館に戻ってアラン殿に話を聞くことにしたんだ」
いよいよ私と出会ったときの話になるのね。
私はドキドキしながらその瞬間を待ってしまった。
「商館に戻ってアラン殿を呼び出すと、さっきとは別の部屋に通されたんだ。
すぐにアラン殿がやって来たんだが、話を始める前に何故かまた1回目のときに犯罪奴隷を売った部屋に案内されたんだよ。
その時、なんで初めからこの部屋に案内しなかったのか疑問に思ったんだけど、すぐにそんなことは吹き飛んでしまったよ」
ご主人様はそこまで話すと、私の目をじっと見つめて話を再開した。
「ロクサーヌに出会ったからな」
私は恥ずかしくなって一瞬で顔が赤くなった。
ご主人様はそんな私の顔を見て少しほほえむと、話をつづけた。
「ソファーに座ったとたん、メイド服を着たロクサーヌが俺にハーブティーを持ってきてくれたんだ。思わず見惚れてしまったよ」
「え、あの、そうだったのですか?」
「ああ、ロクサーヌほどの美人に会ったことがなかったからな」
「あのとき私はお世話になっていたおばさんに、お客さまに給仕するよう言われたのです。そして、ご主人様に出会いました。
実は私はそれまでお客様にひとりで給仕をしたことが無かったので、ちょっと緊張していたのです。
それに、おばさんからはお客様をよく見てきなさいって言われてたので......
それでハーブティーを置くときに横目でご主人様を見たのですけど、ご主人様と目が合ってしまい内心ではすごく焦りました」
「あははは、そうだったのか。あのとき俺はロクサーヌは冷静だとおもっていたよ。俺はわかりやすく焦ってただろ」
「そうですね。でも、私はご主人様は優しそうな人だって思いました」
「そうか、それは良かった。ロクサーヌが退室したあとアラン殿にロクサーヌを勧められたんだけど、とてもじゃないけど買えなくてな、
それで他の戦闘が出来る奴隷を紹介してもらうことになったんだよ。
でも、ロクサーヌを見たあとでは気に入る奴隷はいなくてな、帰ろうと思ってたんだ。
そうしたら、廊下でロクサーヌに会ってな、アラン殿とロクサーヌ本人にめちゃくちゃ売り込まれて、
それで購入まで5日の有余期間って話になったんだよ」
「実は...... アラン様から、ご主人様に買ってもらいたいのなら着替えて廊下に来るよう言われていたのです。ですので、廊下で会ったのは偶然ではありません。
それに、アラン様は私の意思を尊重してくださると言っていました。ですので、あんなに強引に売り込みされたのです」
「そうだったのか。でも、なんでロクサーヌは俺に買って欲しいって思ったんだ?」
「ご主人様を見たとき、優しそうな人だなって思ったのです。それに、有能な冒険者だって聞かされたので、それなら私は役に立てるのでは?って思ったのです。
そしてそれは正解でした。今となってはその時その判断をした自分をほめてあげたいです」
「そうだったのか。まあ、今となっては良い思い出だな。おかげで俺はロクサーヌと一緒にいられるのだからな」
「ありがとうございます。私もうれしいです」
私とご主人様が互いにのろけていると、セリーが冷静にツッコミを入れた。
「ご主人様、その後はどうなったのですか? もう一度盗賊と戦ったのですよね?」
「ああ、そうだった。話がそれてしまったな。
商館でロクサーヌの購入を決めた後、足りない資金を稼ぐために取り敢えず迷宮に入ったんだ。
でも、俺一人では魔物が見つけられないし、モンスター部屋に入って死にかけるし、
そこまで頑張ったのに、思ったほど稼げないし。
どんどん追い詰められていったんだ。
そして、購入期限まであと3日となり、盗賊を狩るしか資金調達は無理って思ったんだよ」
「ご主人様、それは危ない考えですね」
「ああ、わかっている。今なら絶対にしない」
「ご主人様は、私を買うために盗賊を狩る決心をしてくれたのですね」
セリーが冷静にツッコミを入れると、ご主人様は我に返ったように、返事をした。
でも、私はご主人様が私のために危険に立ち向かってくれたことがうれしくて、とっても幸せな気持ちになった。
そして...... このあとのご主人様の活躍を聞くのが待ち遠しい......
「ご主人様、そのあとはどうしたのですか?」
私は少し申し訳なく思いながら、ご主人様をせかしてしまった。
「それからな、盗賊がいそうなスラム街とか娼館の近くを見て回ったんだけど見つからなくてな、そうしているうち、確か次の日の朝だったかな、たまたま西門のすぐ外に人だかりを見つけたんだ。
そしたらそこには左手を切り取られた死体が転がっててさ、そこでの雑談を聞いてたら、街を追い出された盗賊たちが戻って来ていて、他の盗賊たちと争っているらしいって言葉が聞こえたんだよ。
その時に、盗賊が見つからないのは夜中に活動しているからではないか?って思い浮かんだので、一度宿に帰って仮眠して、夜中に探すことにしたんだ。
それで、夜中に捜索していて、娼館の近くで盗賊を見つけたんだよ。
そして、その盗賊を尾行して、スラム街のアジトを見つけたんだ。
ただ、その時は盗賊が複数人アジトの前にいたので、物陰から観察しただけで、自分が見つからないうちに宿屋に戻った。
ただ、そのあと宿屋に戻って受付となにげなく話をしたら意外に情報通でさ、西門のところで聞いた盗賊どうしが争っていることと、街を追い出された盗賊の一部が戻って来ていることは間違いないって分かったんだ。
つまり、見つけた盗賊がどちらの陣営かは知らないけど、狩っても反対側の陣営のせいに出来るから問題ないと考えたわけ。
それで、ロクサーヌを買う期限の前日の深夜、スラム街のアジトに行くと、ブラヒム語が話せる盗賊が一人で見張りに立っていたんだ。
俺はソマーラで手に入れた盗賊のバンダナをエサにそいつに話しかけ、金貨1枚で売ってやるから情報を寄越せって言ってアジトのなかに入ったんだ。
すると、アジトの中は小部屋に分かれていて、そいつ以外は全員寝ていたんだ。
そのときご丁寧にお偉いさんが寝ている部屋を教えてくれたんで、あとで助かったよ。
そのあとそいつの部屋に入って話をはじめると、いきなり飛びかかってきて、腰に下げていたシミターを奪われたんだ。
そいつは勝ち誇った顔をして「命が惜しければ盗賊のバンダナをよこせ」って言ってきたんだよ。
なので、俺は「盗賊のバンダナはくれてやる」って言ってバンダナを丸めてカンテラのうえに投げ込んでやった。
そいつは「何しやがる」って叫んでバンダナに飛びついたんで、デュランダルを出して背中から心臓を一突きで殺したんだ。それからそいつの手首を落として袋に入れ、お偉いさんの部屋に向かった。
部屋に入ると手前と奥にベッドがあって、二人ずつ寝てたので、まず手前二人の寝首をかいて殺した。
そのとき、物音がしたことに奥の女が気づいて起きあがって歩いてきたので、仕方なく首を落としたんだ。
さすがに奥の男はその音に気づいて起き上がり、銅剣を装備して振り回し始めたので、俺はワープで部屋の外に出て扉の前で待機した。
応援を呼ぶか逃げるために必ず扉を開けると読んだからな。
案の定次の瞬間扉が開いたので、俺は心臓があるはずの位置に剣を突き刺した。
それからお偉いさん二人の手首を回収したんだけど、物音をさせたせいか、周りが騒がしくなってしまったので、見つかる前に急いで迷宮にワープして盗賊のアジトから姿をくらましたんだ。
そのあとインテリジェンスカードを回収してから、宿屋に戻ってひと眠りした。
そして、昼前に起きて騎士団詰所に行き、懸賞金を受け取ったんだ。
そのあと懸賞金を確認して、金貨が7枚以上あったときはホッとしたよ。これでロクサーヌが買えるってな。
その足でベイルの商館に行って、ロクサーヌを買ったんだ」
「そうでしたか。私のために......」
私は幸せ過ぎて、そしてうれし過ぎて、目から涙があふれてきた。
「なんか恥ずかしかったのでな、盗賊を狩って資金を作ったことは、今まで黙ってたんだよ」
そこまで話すとご主人様は席を立ち、私の横に歩いて来た。そして私の手を引いて立ち上がらせると、そっと私を抱き寄せて言ってくれた。
「ロクサーヌ、俺は命をかけてお前を買ったんだ。
だから、手離すつもりはないからな」
「私は身も心もご主人様のものです。離れることなんてありえません」
「ロクサーヌ」
「ご主人様」
私がそっと目を閉じると、ご主人様は優しくくちびるを重ねてくれた。
私は幸せな気持ちでご主人様とキスしていると、横から小さく咳払いする音が聞こえた。
「コホン。 あの、私とミリアもいるのですが」
「へ、あっ、セ、セリー。
そ、その...... ごめんなさい」
ビックリした。あまりにも幸せ過ぎて、セリーとミリアがいたことが完全にあたまから飛んでしまった。
はっとして彼女たちを見ると、セリーは仕方がないですねぇって感じで小さく肩をすくめ、ミリアは真っ赤にした顔を両手で押さえているけれど、指のスキマからしっかりとコチラを見ていた。
私は2人を忘れて盛り上がってしまったことを申し訳なく思い、どうしようかとオロオロしていると、ご主人様が私からそっと離れてセリーのほうに向き直った。
「セリー、ミリア、すまんな。話しながらロクサーヌの顔を見てたらあのときの気持ちを思い出して、盛り上がってしまった。許してくれ」
ご主人様は少し照れながらも、男らしく誤魔化さずに謝った。
かっこいい......
それに躊躇なく私たちに謝ってくれる。
ご主人様...... なんて素敵な人なの......
思わず私はご主人様に見惚れてしまう。
ご主人様、私たち......
奴隷なんですよね?
「いえ、ご主人様のお話とロクサーヌさんの表情を見て、その...... キスするなとは言えません。 ただ......」
「......ただ?」
ご主人様が首をかしげながら
セリーはご主人様から少しだけ目をそらし、ぼそっとつぶやいた。
「ちょっと羨ましかったです」
セリーはつぶやくと、少しだけ潤んだ瞳でチラッとご主人様を見た。
セリーは背が低いので、自然と上目遣いとなる。
あ、可愛い。私は思わず思ってしまう。
ご主人様は瞬間的に硬直し、くちをパクパクさせながら手が伸びかけたが、目を閉じて一度大きく深呼吸した。
「はは、本当にすまない。
だが、これ以上は収拾がつかなくなるので、2人には悪いが夜まで我慢してくれ」
「あの、私はそんなつもりで言ったのでは......」
「わかっている。これは俺への自制の言葉だ」
「自制?」
セリーはご主人様を見上げたまま小首をかしげた。
可愛い過ぎるその仕草に、私の胸がキュッと締め付けられる気がする。
セリーはどうやら無自覚に可愛らしさを振りまいていることには気付いていないらしい。
破壊力抜群だ。
ご主人様にはクリティカルヒットしたらしく、次の瞬間にはセリーの手を引いて抱き寄せると、そのままキスをした。
「ご主人様? あっ んむぅ...... まって...... んんっ......」
セリーは一瞬おどろいた顔をして抵抗しかけたが、すぐにとろんとした表情に変わった。
そして、ご主人様に求められるままくちびるを重ね、首すじに華奢なうでを回している。
ご主人様はセリーのくちを蹂躙しながら、あいている手で上着のボタンを外し始める。
あ、このままでは......
今日は1日ご主人様に可愛がって頂くことになってしまう。
そうして欲しい気持ちはあるけれど、それは夜のお楽しみであり昼間は他にすることがある。
2人を正気に戻さないといけないので、私はパン!パン!と軽く手を叩いた。
決してさっきキスを止められたお返しではない.....。
「ご主人様、セリー。そろそろ......」
セリーはハッとしてくちびるを離すと、慌てて私を向いてあたまをさげた。
「ご、ごめんなさい」
「す、すまない。セリーが可愛すぎたので、抑えられなかった」
「わ、私が可愛すぎるって、そんな......」
ご主人様の言葉を聞くと、セリーは少しうつむいて照れだし、あたまから湯気がでた。
ご主人様はフッと息を吐くと、気持ちを引き締めたようで、いつもの精悍な顔に戻った。
カッコいい。
迷宮探索を始めるときの顔だ。
なんにせよ、これで日中の迷宮探索に行けるようになったわね。
そう思っていたのだけど、こんどは今まで黙って様子を見ていたミリアが、バッと音がする勢いで私を見た。
そして次にセリーを見て、それからご主人様を見た。
ミリアはおもむろに席を立つと、なにやら少し思案しながらご主人様のはたまで歩いていき
「ご主人様、私も頑張る、です」
そう言うやいなやご主人様に抱きついてキスをした。
ご主人様はちょっとおどろいたようだったけど、そのままミリアとのキスを堪能し、そして優しくミリアを引き離した。
そして、うんっと頷いて一言。
「よし、ミリア。迷宮に行くぞ」
「へ?」
ミリアはご主人様に何を言われたのか分からなくて、正確には何で迷宮に行くと言われたのか分からなくて、
ポカンとボケてご主人様を見つめた。
ご主人様はそんなミリアを見て、ブッと噴き出して笑ってしまった。
私とセリーもクスッと笑うとミリアは笑われたのが恥ずかしかったようで、顔を赤くしながら私に聞いてきた。
『おねえちゃん。その、これからご主人様に可愛がってもらうんじゃないの?』
私は人差し指をミリアのくちびるに当ててとじさせて、ウィンクしながら優しく言った。
『ミリア、昼間はお仕事の時間ですよ。お楽しみは夜まで我慢しましょうね』
私の言葉を聞くと、ミリアは違う意味で赤くなった。
こんどこそ迷宮探索に行けるようになった。
私がご主人様に小さくうなずくと、ご主人様から号令がかかった。
「装備品を売却してから、クーラタルの迷宮12階層に行く。みんないいな」
「かしこまりました」
「はい」
「はい、です」
そして、私たちはご主人様の出したワープゲートに向かって歩き出した。
数日後、今回倒した盗賊は兇賊のハインツと狂犬のシモンといい、貴族のおかかえ騎士を何人も殺していた相当手ごわい賊だったことが判明した。
特に狂犬のシモンのほうは狼人族のなかでは有名で、昔から一度は戦ってみたいと思っていた海賊だった。
しかし、ご主人様が倒してしまったので、もうその望みが叶うことはないけれど、
自分の持っているレイピアがシモンの使っていた剣だと知り、なぜだか気分が高揚してまじまじと見つめてしまった。
それにしても、そんなすごい盗賊たちを一人で簡単に倒してしまう......
ご主人様の強さはやっぱり底が知れない。
私はご主人様と一緒にいられることがうれしくて、全てを捧げてつかえることを改めて誓った。