わたしの名はロクサーヌ。
狼人族で16才の奴隷。
商館に売られてから3か月が過ぎた。
他の奴隷の人はどんどん声がかかり、そして売れていくのに、私はメイドとして働かされており、お客様を見かけることは殆どないし声すらかからない。
自分で言うのは少し恥ずかしいけど、美人で胸も大きく少しはモテるほうだと思っていたので、最近少し自信を無くしている。
その日、商館の台所でお客様にお出しする飲み物の準備をしていたところ、いつもお世話になっているおばさんがやって来た。
「ロクサーヌ。今日はあなたに給仕をしてもらうから、すぐにメイド服に着替えて応接室の前に来なさい。お茶は私が部屋の前まで運んでおくから」
「わかりました」
「お客様はもう来ているから急ぎなさいね」
「はい。すぐに着替えてきます」
私はおばさんに返事をして慌てて衣装部屋に行き、自分に合うサイズのメイド服に着替えて応接室の前に向かった。
応接室の前ではいつも以上にニコニコしたおばさんが待っていて、私の身だしなみをチェックし、小さくうなずいた。
それから、「給仕する時にさりげなくお客様を見てきなさい」って小声で言ってきて、私の肩を軽く叩いた。
なんでそんな事をいうのか一瞬疑問に思ったけど、おばさんから飲み物を載せたトレーを渡され、「いってらっしゃい」と言われて、そこではじめて私ひとりで給仕をすることに気がついた。
私はお客様に一人で給仕するのは初めてだったので、
しっかり仕事をしなくちゃいけないって考えに意識が集中してしまい、おばさんに言われた「お客様を見る」ことについては深く考えずに応接室のドアを開けた。
「失礼します」
声をかけて入室し、テーブルにハーブティーを置くときに、おばさんに言われた通りお客様をチラ見すると、バッチリ目が合ってしまった。
(あ...... どうしよう!)
内心の動揺を隠してにっこり笑い「どうぞ」と言ってカップを置いた。
少し手が震えてしまったけど、お客様は私の顔を見ていて気づいてないようだったので良しとしよう。
お客様は私と目が合ったせいか、すごく慌てていて
「あ、ありがとうございます」って敬語で答えてきた......
なんかちょっとカワイイって思ってしまった。
でも、そのあと視線がさがった...... わたしの胸を見てる......
チラチラ見てる。私はちょっと不快だったけど、ニッコリほほえみながら習ったとおりにお客様に声をかけた。
「どうぞ、お飲みください」
「......悪いな」
そのあとアラン様の前にもカップを置き、入り口のドアまで戻った。
そして振り返って一礼し、顔を上げるとお客様は少し赤い顔をしてわたしをチラ見していた。
決して自惚れている訳ではないけれど、あのお客様は間違いなく私に気があるようだ。
退室して応接室のドアを閉めると、廊下の先の部屋からおばさんが上半身を出して手招きしていた。
あし音を立てないように素早く移動して部屋に飛び込み、大きく息を吐いた。
「はぁ...... 思いっきり目が合っちゃいましたよ」
「あははは、それで、どうだった?」
「どうって......?」
「いまのお客様、将来有望な冒険者さんで、アラン様はロクサーヌが気にいるなら商談をまとめるって言ってたわよ。」
「えっ!」
(それなら先に言っておいてほしかった......)
私は一度大きく深呼吸すると、いま一瞬だけ見たお客様を思い出した。
若そう。わたしと同じくらい?
イケメンというほど格好よくはないけれど、ブおとこという訳ではない。
一瞬だったから性格まではわからないけど、尊大な感じじゃないし、嫌みっぽくもない。悪い人でもなさそう。
目つきも怖くはないし、どちらかと言えば優しそうな気がする。
何かわたしを見てすごく慌ててた。
顔が赤くなっていたってことは......
もしかして照れてたのかな?
なんだか...... 商館にくるような人じゃない気がする。
でも...... ぜったい胸...... 見てたよね。
ただ、チラ見だったけど......
男の人だから胸を見ることはしかたがないのかもしれないけど...... なんかちょっと嫌だったな......
でも...... あの人なら......
ひどいことはしない気がする。
あと...... 一瞬過ぎて、あとは...... 分からない......
ほどなくするとアラン様がやって来た。
「今のお客様はまだ若いが、人間族で将来有望な冒険者だ。
迷宮に入るため戦闘奴隷を探しているが、戦闘も出来て器量も良く、ブラヒム語が使えるお前なら自信をもって勧められる。
彼なら決してお前をひどい扱いはしないだろう」
その言葉を聞いたとき、
そうか、わたしはあの人に買われたのか...... って思い「......分かりました」と答えると
アラン様はとても優しい目になった。
「まだ、お前を売却したわけではない」
「そうなんですか?」
「ああ、お前を購入するには手持ちが足りないそうだ」
「そうですか......」
あれ、いま私...... 残念に思った?
「以前、お前がブラヒム語や礼儀作法をきちんとまなべば、お前が望まない客には売らないと約束したこと、おぼえてるか?」
「......いえ」
私は咄嗟に否定したけど、商館に来たばかりの頃、叔父に性奴隷になることを了承させられて絶望していた私に、アラン様が声をかけてくれたことはなんとなく覚えていた。でも、そのときはアラン様のことを信用してはいなかったので、聞き流していたのだと思う。
「お客様には今から戦闘奴隷を紹介する。2階の奴隷を紹介してから3階に回るので、少しかかる。
お前が彼のもとにいっても良いと思うなら、着替えて3階の踊り場まで来なさい。
嫌なら自室に戻っても良い」
その言葉を聞いて、私は目を見開いた。
「わたしが決めてもよろしいのですか?!」
「約束だからな。面談させることは出来ないが......」
アラン様はそう言いながら少しだけ笑みを浮かべた。
「いえ、しっかり考えさせていただきます。
ありがとうございます」
お礼を言うと、アラン様は軽くうなずいて部屋から出て行った。
私は衣装部屋に移動し、メイド服から普段着に着替えながら考えた。
ふつう奴隷が主人を選ぶなんてありえない。
話もしていないし、しょうじきどうしていいか分からない。
3ヶ月も売られる話なんて無かったのに、急過ぎる......
でも...... ちょっと気弱そうだけど、いい人そうだった。
年も近そうだし、アラン様は勧めてくれている......
この商館は居心地はいいけれど、ずっとここには居られないってことは分かってるし、いつかは売られるって分かってる。
ずっと売れ残っていれば、条件が悪いお客様に売られることになるかもしれない......
ここを出るのは怖いけど、戦闘なら自信があるから冒険者につかえられるなら私にとってはチャンスだ。
あの人なら...... いいかな......
しばらくあれこれかんがえて、私は決断した。
あの人につかえよう。
踊り場に行くとおばさんが待っていた。
おばさんは私を見ると、軽く目を閉じて小さくうなずいた。
その横に並ぶと、すぐに女性奴隷の部屋からアラン様とお客様が出てきた。
アラン様はわたしを見ると小さくうなずいて、お客様に声をかけた。お客様もこちらに気付いた。
「いかがでしょうか」
お客様は私をチラッと見て、
「やはり彼女を見てしまうとな。残念だが」
その言葉を聞いて、私はお客様は帰ってしまうと思った。
頑張って......覚悟を決めたのに......
視線を僅かに落としたが、次のアラン様の言葉を聞いて思わずお客様を見つめてしまった。
「さようでごさいますか」
「悪いな」
「ロクサーヌ。お客様はお前を気に入られたようだ」
「えっ!」
「なっ!」
お客様と目が合った!
急に恥ずかしくなって視線をそらし、思わずうつむいてしまうと、お客様も動揺しているようでその場で立ち止まってしまった。
アラン様はここぞとばかりに攻めの言葉をかけた。
「いかがでございましょう。5日ほどなれば、お待ち出来ますが」
「は?」
アラン様は5日のうちに必要なもの?を用意してくださいと伝えると、お客様はさっきより動揺した。
「あ、い、いや......」
アラン様はわたしに向かって宣言した。
「お客様はおまえのことをお求めでいらっしゃるが、急なことで持ち合わせが足りないのだ。
なので、契約まで5日待つ」
「ありがとうございます」
私が深々と頭を下げると、お客様から「えっ。いや」という言葉が漏れた。
あきらかに困惑している。
「よ、用意出来るとは確約できんが」
「そうなれば新しい売り先を探すだけです。彼女の美しさです。すぐにも見つかりましょう」
「5日の間に、彼女にはもっと条件のいい客が現れるだろう」
「そのようなことはお客様が気になさることではございません」
「彼女にとってもいい客が現れたらそのほうがよいのではないか」
「いえいえ、お客様ほどのかたなら安心して彼女を任せられます。それに、彼女のほうもお客様を気にいっているようですので」
「え、気に入っている? いや、しかし......」
「想像してみてください。お客様の隣に彼女がいる光景を」
「じつに良い...... いや、じゃなくて......」
完全に押し売りしているような問答が続いている......
アラン様は何が何でも私を買ってもらおうとしている。
私も何とか気に入ってもらわないといけないような気持ちになり、ここで教えてもらった必殺わざを出すことにした。
「私なら、お待ち申し上げております」
と、お客様に向かって明るくニッコリ微笑んだ。
これ以上はないという会心の笑顔だ。
これを教えてもらったとき、ロクサーヌが決めれば落ちない男はいないって、なんども練習させられた必殺のほほえみ。
他にも必殺のうわ目づかいとか、必殺の袖つまみとか、いくつか必殺わざを教えてもらってたけど、
いまはこれかなって思い、やってみた......。
どうかな? 本当にきくのかな?
そう思った次の瞬間、お客様は顔を真っ赤にしてくちを半開きにし、言葉を失いその場で硬直した。
「......」
私を見たまま立ち尽くしている。
やった! 決まった! 私は心のなかでグッと拳を握りしめてよろこんだ。
すかさずアラン様はおばさんに
「では、彼女を売却済みの部屋に移してくれ」と指示した。
「はい、それではこっちへ」
わたしはおばさんに「はい」と返事をし、最後にもう一度お客様に向き直る。
そして「あの、よろしくおねがいします」と頭を下げて、その場を離れた。
その後、売却済みの部屋にはいってから、直前の行動を思い出した。
私って...... なんてはしたないことしてたんだろう...... うう......
その後、部屋の中でひとり、しばらく恥ずかしさに見悶えた。
◆ ◆ ◆
それから5日、本日が身請け予定の期限となっている。
5日のあいだ、私は何度もお客様のことを考えた。
どのようなかたなのか?
どのような所に住んでいるのか?
若そうだったけど、私より年上? 年下ってことはないよね?
冒険者って聞いたけど、どれくらい強いのか?
私のことをどのように可愛がってくださるのか?
色々考えたけど、なぜかひどい扱いをされるような考えは浮かばなかった。
しかし、今日が期限の日だし、もうお昼近く...... 売り込み方が強引過ぎたため 本当に迎えに来てくれるのか、急に不安になってきた。
もしかして、迎えに来ては下さらないのでは......
もし、迎えに来てくださらなかったら、私はどうなってしまうのだろう......
いつまで待っても迎えに来てくださらないお客様を、ついに疑ってしまい私が落ち込んでいると、私の様子を見に来た世話係のおばさんに声をかけられた。
「ロクサーヌ、どうしたの?」
「このまま迎えに来てくださらないような気がして......」
「はぁ、あきれた。そんなことで落ち込んでいるの?
そんなこと、よくあることよ」
「そうなのですか?」
「そうよ。あのお客様、将来有望って言っても若い冒険者さんでしょ。あなた、自分がいくらだと思っているの?アラン様は5日待つなんて言っていたけど、あなたは普通の冒険者が買える金額ではないはずよ」
「そう...... ですか......」
私はおばさんに返事をして、小さくため息を吐いた。
「だから、そんなに落ち込まない。
それに、もしお客様が迎えに来たときに貴方の顔が暗かったら、帰ってしまうかも知れませんよ」
「はい」
おばさんに慰められてしまった。
ああ、こんなこと、考えてたらダメね。
あのかたを信じて、前向きな気持ちでいないとね。
そういえば、アラン様はお客様を見送って戻ってきたとき顔がニヤついていたけど、
私っていくらで売れたんだろう?
そういえば...... あのかたの...... 名前、
聞いてなかったなぁ......
商館の売約済みの部屋であれこれ考えてじっと待ってると、先ほど部屋に来た世話係のおばさんがニッコリしながら入ってきた。
「ロクサーヌ、お客様が迎えにきたわよ」
よかった。来てくれた...... 私はほっとして、お世話になったおばさんにおじぎした。
「いままでありがとうございました」
「よかったわね。しあわせになりなさい」
「はい」
おばさんに挨拶し、したくをして部屋を出た。
その後、アラン様と合流し、応接室に連れて行かれた。
応接室には、5日前に私の買い上げを約束して頂いたお客様が待っていた。
私は入室して「ありがとうございます」とあたまをさげた。
「よろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
頭をあげて返事をしながら、ご主人様のかおを覗き込むと、少しはずかしそうに目をそらされた。
(顔が赤くなってる)
私はご主人様が迎えに来てくれないのでは?と疑ってしまったことが申し訳なくなり、思いきって謝ると、ご主人様は笑って許してくれたので、少しほっとした。
その後、アラン様が奴隷契約を行い、わたしのインテリジェンスカードに所有者が書き込まれた。
ロクサーヌ 女 16才 獣戦士 奴隷
所有者 ミチオ・カガ
ご主人様にわたしのインテリジェンスカードを見せると、ご主人様もわたしに自分のインテリジェンスカードを見せてきた。
「あの...... よろしいのですか?」
「まあ見られて困るものでもないだろうし」
ミチオ・カガ ♂ 17才 探索者 自由民
所有奴隷 ロクサーヌ
ミチオ様っていうんだ...... 17才...... 本当に若い!
疑ってた訳じゃないけど、この若さで奴隷を買うなんて
ほんと、どんな人なんだろう?
その後、アラン様やお世話になった方々に挨拶して、3か月間お世話になった商館をあとにした。
あとで知ったことだけど、私に売却の話がなかなかこなかったのは、商館に引き取られるとき性奴隷になることを了承する代わりに、狼人族に直接売らないことだけでなく「将来的にも狼人族には引き渡されないようにする」との取り決めもあったからだった。
そのためアラン様は私をオークションには出せず、通常の売却にしても転売や再売却されることを防がなくてはいけなかった。
その為、扱いの悪そうな人やすぐに手放しそうな人には私を見せないようにし、相手が望んでも商品ではないと断ることにしたらしい。
実際、狼人族が、私が奴隷として売られていないか尋ねてきたり、私を見せていないはずなのに、私を名指しして買い取ると言ってきた人がいたらしい。
中には、初めは奴隷を探していると言って一通り見分したあとで、他にも居ないのかとしつこく尋ねてきた客もいたらしいが、流石にアラン様も怪しいと思い丁重にお引き取り頂いたとのこと。
そんなことが度々あったので、私は奴隷としての教育をされながらもメイドとして働かされ、アラン様が見込みがあると思ったお客様にだけ、給仕の手伝いで見せるようにしたらしい。
あと、売却後に私とお客様が反目して、それが原因で再売却されるようなことがないためにも、私が納得したお客様に売却することにしたとのこと。
おかげですばらしいご主人様につかえる事ができた。
私を商館に売った叔父とのわだかまりが消えることはないと思うけど、狼人族に引き渡されることがないような条件をつけてくれたことには、今では感謝している。
◆ ◆ ◆
商館を出るとご主人様が話しかけてきた。
「と、とりあえず、一度俺が泊まっている宿に行くから。付いてきて」
「はい」
ご主人様は顔をあかくして、チラチラ私を振り返りながら歩きだした。
私はトランクを手前に持ち、ご主人様のあとをついて歩く。
「荷物はそれだけか?」
「はい」
私が返事をすると会話が途切れてしまった。
それから2分ほど黙って歩いていると、またご主人様が話しかけてきた。
「それ、重くない?」
私はハッと驚いてご主人様を見上げると、私の荷物が入っているケースを指差していた。
「は、はい。大丈夫です」
「ちょっと貸してみて」
「は、はい。どうぞ」
ご主人様に従いケースを渡すと、彼は右手でケースを受け取り、何故かその裏に剣を持った左手を隠した。
すると、剣が消えてしまったので一瞬驚いて「えっ!」って声を出してしまったけど、ご主人様は何事もなかったような顔をして、「確かに、重くないな」と言って私にケースを戻してきた。
そして、私の動揺は気にせずに、何もなかったような顔をして、また歩きはじめた。
アイテムボックスにしまったようには見えなかったけど......
ご主人様は探索者だったので私の見間違いだったのかな?
でも、何でどうどうとアイテムボックスを開かずに、手元を隠して剣をしまったんだろう......?
それからは、ご主人様は私に気を使っているのか?歩きながら色々と話しかけてくれたけど、ひとこと答えるのが精一杯で全然話がつづかない。
インテリジェンスカードのこととかブラヒム語のことを聞かれたような気がするけど、どう答えたか覚えていない。
何故かご主人様は緊張してるみたいだったけど、私はそれ以上に緊張していたんだと思う。
私が覚えているのは、ご主人様の背中を見ながら、この人はどういう人なのか、何を考えているのか?
などと考えていたことだけだ。
そうして緊張しながら10分ほど歩くと旅亭についてしまった。
ご主人様は受付で旅亭の人と話すと、当たり前のようにダブルの部屋を頼んだ。
だ、ダブル?それって私を......
私は瞬間的に“怖い”って思い、からだがかたまってしまう。
そして、次の瞬間には自分が性奴隷であることを思い出し、気持ちが沈んでしまった。
しかし、ご主人様はそんな私に気遣うことはなく、旅亭の人についてさっさと階段を上がり始めた。
“えっ!置いて行かれる”と思って焦り、慌ててうしろを付いていくと、3階の部屋に案内され、そこでご主人様の私物を持たされた。そして、それから5階の部屋に案内された。
部屋に付くと、ご主人様はドカッとベッドに座った。
私はどうしたら良いか分からず、入口にたたずんで部屋のなかを見回していると、ご主人様から声がかかった。
「えっと......。耳って、触ってもいいか」
「あ......は、はい」
「じゃあこっちにきて」
「......はい」
私はご主人様の前の床に座ろうとすると、ご主人様は「ここに」と言いながら、自分のとなりをポンポンとたたいた。
本当にいいのか?
恐る恐るとなりに座ると、ご主人様は体をこちらに向けて両方の耳を触ってきた。
顔が近い...... これは、このまま抱かれてしまうのか......
怖い...... でも性奴隷だから拒むことはできない......
私は性奴隷になることを了承したけど、男性経験はないし男の人とはキスすらしたことも無い。
私を買っていただいたご主人様とはいえ、ほとんど話したことも無いこの人と、このまま初めてをむかえてしまうのか......
覚悟していたはずなのに、いざ、そう思うと悲しくなってくる......
私は涙を流さないように、心を無にして耳を触られていると、無言で両手を動かしていたご主人様が唐突に話しだした。
「ロクサーヌって美人だけど、耳は可愛いよね」
「えっ......あ、ありがとうございます」
「えっと。改めて、よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
「いいよね。この耳......」
ご主人様は話しはじめたけど、話題がないのか話が続かなかった。
再び静寂が訪れる。
ご主人様はそのまましばらく無言で耳を触り続けているので、静寂に耐えられなくなり今度は私から声をかけた。
「あの......」
「何?」
「ご主人様とお呼びしてよろしいでしょうか」
「そうだな。そう呼んでもらえるか」
「はい、ご主人様」
「......」
話が途切れ、再び静寂が訪れる。
少しすると、今度はご主人様が話しはじめた。
「そういえば、ここはベッド一つなんだな」
「えっ......」
この人は何を言ってるの?
わかっててたのんだんじゃないの?
てっきり私を抱くつもりでダブルの部屋にしたと思っていたので、私は凄くおどろいた。
「え?」
私のおどろいた顔を見て、なぜかご主人様もおどろいている。
私は一度深呼吸して、おどろいた理由を話した。
「えっと。頼んだのはご主人様です」
「え? そうだっけ?」
もしかして...... ご主人様って...... 天然なの?
一般常識なのに、どうして......
あたまのなかに疑問がわくが、そのまま会話を続けた。
「はい。ダブルの部屋を頼みました」
「あー」
「知らなかったのですか?」
ご主人様はわかったような、わからなかったような、曖昧な態度なので、このひと大丈夫かな?なんて思ってしまった。
そんなことを考えながらご主人様を見ていると、少し何かを考えてから真剣な顔になり、また話し出した。
「まず最初に言っておきたいことがある」
「はい」
「俺は、ロクサーヌが聞いても信じられないくらい遠くから来た」
遠いと言われても私は世界がどうなってるかなんて知らない。
せいぜいこの世界にはいくつかの国があり、ここは帝国だということくらいしか知らない。
あとは...... そう言えばむかし、遠くの国の品物を売り歩いていた行商人に会ったことがある。
そのとき聞いた地名は...... カッシームだったかな......
私は自信がなかったけど、無理にでも会話を続けないと、また部屋が静かになって気まずくなりそうな気がしたので、とりあえず聞いてみた。
「遠くというと、カッシームよりも遠くからですか?」
「カッシームというのがどこか知らないが、多分、ロクサーヌが考えるよりもさらに遠くだ」
「そうなのですか」
私が考えるよりも遠く......
それじゃあ話が続かない......
「それに田舎でもあった。俺はこちらの常識がよく分からない。常識についてはロクサーヌにいろいろと教えてもらいたい」
「はい」
遠くの田舎から出てきたから、常識がわからないって......
この人は本当に大丈夫なんだろうか......
ちょっと心配だけど、ご主人様が常識を知らないのなら、私ががんばって助けないといけないわね。
「あと、ロクサーヌにも一緒に迷宮に入ってもらうから」
「はい、戦闘ではお役に立てると思います。お任せください」
戦闘なら少しは自信がある。
きっとお役にたってみせる。
そう思っていると、視界に商館から持ってきたカバンが目に入った。
そういえば荷物を片付けていなかった。
「服をクローゼットにかけてもよろしいでしょうか。
シワになるので」
そう言って立ち上がった。
「ああ、そうだな」
「ありがとうございます」
クローゼットに商館から持参したメイド服をかけていると、ご主人様から声がかかった。
「この外套もついでに頼む」
「はい、かしこまりました」
ご主人様から外套を受け取りクローゼットにかけていると、不意に後ろから抱きすくめられた。
私が息を飲んで硬直すると、彼はややぎこちなくあたまを撫でだした。
「残念だけど、逃がすつもりはないから」
「は、はい......」
ついに... その時が来たと思い、わたしはからだの力を抜いた。
ご主人様は撫でることを止めると、その手を降ろして私の胸の下で腕を組んだ。
そして私の首すじに顔をうずめ、そのまま抱きついていた。
私は彼の手が動きだすのが怖くて、うつむいたまま押し黙っていたけど、しばらくすると、彼はゆっくりと離れてしまった。
(えっ! 何で! 覚悟したのに......... どうしたんだろう......)
私がクローゼットの前から動けずに立ち尽くしているとご主人様はベッドに座って私を呼んだ。
そして、私が振り向いたときに足元を見て、急に申し訳なさそうな顔つきになった。
どうやら私が裸足で歩いていたことに気がついたようだ。
ご主人様は自分が履いているサンダルを私が履けるか聞いてきたので、装備品は魔法がかかっているのでサイズが変わるから大丈夫だと伝えると、ご主人様は何故か不思議そうな顔をした。
理由は分からなかったけど、とりあえず私はサンダルを履かせてもらえるようなので、ご主人様にお礼を言った。
すると、「迷宮に入るのに必要な装備品だから気にするな」と言ってご主人様は話を終わらせ、話題を探索時に使う武器に変えた。
「両手剣と片手剣があるがどちらにする?」と聞かれたので片手剣をお願いすると、彼はアイテムボックスから剣を取り出して私に差し出した。
渡された剣はシミターで、刃こぼれは無いが剣身がくすんでいた。
あまり手入れをされているようには見えなかったのでご主人様に装備品の手入れが如何に大切か伝えると、私の勢いに気おされてしまったのか、彼は急に「えっと。じゃあこっちきて、サンダルブーツはいてみて」と言って、自分が履いていたサンダルを脱いで私に渡してきた。
露骨に話題を変えられたような気がしたけど、文句を言える立場ではないので彼の隣に座ってサンダルを履いた。
するとご主人様はサンダルが私の足に合うサイズに変化するところをマジマジと見て、「おお。ピッタリだ」と言ってちょっと感動していた。
先ほどサンダルを履かせてくれると言われたときに装備品には魔法がかかっているため体に合わせてサイズが変わることを伝えたけど、本当に知らなかったようだったので少しびっくりした。
サンダルを履き終わると、ご主人様は他にも何か必要なものはないかと聞いてきたので、私は正直に小さくてもいいので木の盾が欲しいと伝えると、「わかった」と言ってあっさり了承してくれた。
それから小瓶でいいので装備品の手入れに必要なオリーブオイルも欲しいと言うと、こちらもあっさり了承してくれた。
私は少しくらいは渋られるか、必要無いと言って断られるかと思っていたのでちょっと驚いたけど、彼はさも当たり前のような顔をして、他にも生活用品として必要なものがないかと私に確認しだした。
その後、ご主人様がトイレに行ったので、私はベッドから床に降りて座って待っていたら、戻ったご主人様にうでを引かれてベッドに座らされ、また抱きつかれた。
(つ、ついに......)
私は一瞬からだが硬直したけど、求められたときに迷惑をかけないよう覚悟して力を抜いた。
そのまましばらく黙っていると、ご主人様から夜はベッドで一緒に寝ることになると言われたので、お情けを頂くときはベッドに入るけど寝るときは床で構わないと伝えると、それが常識かどうか確認してきた。
そして、「そういう主人もいると商館で聞きました」と伝えると、「必ずしも常識ではないということか。俺はいいや。寒いしめんどくさいし、一緒にベッドで寝て」と事もなげに言い放った。
どうもご主人様は、私のことを酷く扱う気は無いみたいだ。
「は、はい。ありがとうございます」
お礼を言うと、ご主人様は今度も何もしないまま、私を解放した。
(うーん...... 私が考え過ぎなのだろうか...... それともご主人様は、私の反応を見て楽しんでいるのだろうか......)
私が混乱している横で、ご主人様は買い揃える物に抜けがないか指を折りながら確認しだした。
「盾、オリーブオイル、手ぬぐい、桶、リュックサック、鎧は何か買うとして、靴下もいるか。取り急ぎこんなものかな?」
「......」
「ロクサーヌ?」
私がすぐに返事をしなかったので、ご主人様は不審に思ったのか私を覗き込んだ。
私はハッとして現実に戻り、申し訳無く思いながら「は、はい。あの、ありがとうございます」と返事をすると、ご主人様は「いや、必要な物だからな」と返事をした。
そして、ちょっと気まずくなった雰囲気を切り替えるように「それより石鹸ってこの辺にもあるのか?」と聞いてきた。
「石鹸ですか。石鹸はとても高いので。洗い物なんかにはコイチの実のふすまを使うのが一般的だと思います」
「やっぱ高いのか。シャンプー……いや、なんでもない。コイチの実だな」
「はい......」
シャンプー?何語かな?
少し疑問に思ったけど、確認する前にすぐに次の話になってしまった。
「あと、歯を磨くものは何かないか」
何かないか......?! いま、“何かないか”って言ったわね。
ご主人様は房楊枝も知らないの?今まで何で歯を磨いていたの?
さっきこの国の常識は知らないとは言っていたけど、いくら何でも......
いや、奴隷の私がそんなことを考えてはいけないわね。
とにかくご主人様が困らないよう、しっかりサポートしないと......
「えっと、房楊枝ですね。シュクレの枝ならどこの市でも売っていると思います」
「わかった」
その後、もう一度必要な物を確認し、それが終わると、ご主人様は私に覚えておくよう指示した。
そして、今から買い物に行くと言って立ちあがった。
私も立ちあがってご主人様に従い、市がたって活気づいているベイルの町に出た。
◆ ◆ ◆
1時間ほどかけ、木の盾や他の装備品、それから先ほど指折り考えた日用品、そして、なんと私の外套や肌着までご主人様に買っていただいた。
買い物が済んで宿まで戻ってきたので、私は早速装備品の手入れを始めた。
ぼろきれの代わりに私が今つけている肌着を使うので、ご主人様には先に夕食を済ませていただくよう伝えたのだけど、私の分もあるということで終わるまで待つと言われてしまった。
私は肌着を脱ぐところをご主人様に見られるのが恥ずかしかったので、どうしようか少し戸惑っていたけど、ご主人様が視線をそらしたので、思い切って後ろを向いて着替えた。
しかし、着替え終わってからご主人様をチラッと見ると、ばっちり目があってしまった。
残念ながら、私はお尻をしっかり見られてしまったようだ。
その後、装備品の手入れを行い、それが終わるとご主人様から「では、そろそろ夕食にしようか」と言われ、宿の食堂に連れて行かれた。
ご主人様は慣れた様子で食堂のカウンターで2人分 注文すると、奥の席に私を連れて行った。
するとすぐに2人分の夕食が運ばれてきた。
ご主人様は私に遠慮せずに食べるよう言うと、自分は「いただきます」と挨拶をして食事を始めた。
いただきます?
また私の知らない言葉だ。
少し疑問に思ったけど、私にはご主人様に意味を聞く余裕がなかった。
そして、とてもおいしそうな食事なんだけど、味を感じる余裕もなかった。
努めて考えないようにしようと思っていたけど、窓から見えるはずの町が暗く沈んでいることに気づいてしまうと、刻一刻とその時が近づいていることを感じてしまうのだ。
ふと気づくと、向かいに座ったご主人様からじっと見られていたけど、私は顔を合わせるのが怖くて、無言で食事をかき込んだ。
夕食から戻ると、部屋の前にタライに張ったお湯とカンテラが置いてあった。
ご主人様はカンテラを、私はタライを部屋の中に持ち込むと。ご主人様から声がかかった。
「体を拭いてもらえるか?」
「はい......あの、いましたくします」
ご主人様は服を脱いで後ろを向いた。
私は少しためらったけど、覚悟を決めて服を脱ぎ、ご主人様と私の服をハンガーにかけた。
「背中から頼む」
「はい」
私は手拭いをお湯に入れて堅く絞り、ご主人様のうしろから、背中、首、腕、おしり、足の順でお拭きした。
すると、ご主人様は振り返った。
私は足を拭くためしゃがんでいたので、目の前にご主人様のアレがそびえ立っていた。
私は男性のアレを見たのは初めてだったし、恥ずかしかったので直視できなかったけど、
からだの前がわも頑張ってお拭きした。
もちろんアレもお拭きした。
ご主人様を拭き終わるとご主人様から「次はロクサーヌのばん」って言われ、手拭いを奪われた。
そしてベッドにすわらされ、ご主人様に背中側から身体を拭かれ始めた。
私は自分で拭くといったけど、ご主人様命令と言われてしまった。
ご主人様からの命令なのでしかたがないけど、商館では「奴隷は主人に尽くすもので、決して手を煩わせてはいけない」
と教えられていたので、とても頭が混乱している。
考えてみると、このご主人様は色々と変わっている。
市では新品の服を買ってくれたし、装備に関しては私の意見を聞いてくれた。
食事も宿の料理を食べさせてくれるし、寝るときもベッドで一緒に寝るよう言ってくれた。
そう、全てご主人様と一緒。
わたしを奴隷ではなくひととして扱ってくれている。
それはすごく嬉しいけれど、でも、このあとは...... お情けを頂く......。
性奴隷として買われたのでしかたがないけど、わたし...... 16才だけど......
まだ そういうことしたことないし...... 男の人とのキスだってまだだし......
正直すごく怖い。
ご主人様は背中を拭き終わると、手を前に伸ばしてきて、私の胸を拭き始めた。
「あっ...... 前は自分で拭きます」
「いや。このまま俺が拭く」
ご主人様にそう言われてしまったので、私は仕方なく身を任せると、彼は丁寧になんども胸を拭きだした。
嬲るように乳首を拭かれていると先が硬くなり、くすぐったいような、気持ちいいような感じがして、我慢出来ずに思わず声が出てしまう。
「んっ... んんっ...」
そして、身体が熱くなっていることに気付いた。
怖い、悔しい、悲しい、寂しい、情けない、不安、恥ずかしい、でも少し気持ちいい......
いろんな感情がないまぜになって、自分の気持ちが分からない。
今すぐにでもここから逃げ出したいけれど、奴隷として買われた私にそれは許されない。
だから私は感情を押し殺して、ご主人様が満足するまで黙って耐えた。
ご主人様は私のからだを拭き終わると、椅子を引き寄せてお湯の入ったタライを置いた。
私は何をするのかよく分からなくて黙って見ていると、実験するのでベッドに寝転んで頭をたらいにかけるよう指示された。
私が指示通りにベッドに寝ると、ご主人様は手でお湯を汲みながら私の髪をすすぎはじめた。
「無理な体勢ではないか?」
「大丈夫です」
ご主人様は私の返事に満足したのか、私の髪を一通りすすぐと、手ぬぐいで髪の毛を拭いてくれた。
私はどうすればいいか分からなくて、ご主人様に言われるままあたまを拭かれてしまった。
「あの、ありがとうございます」
「うん。二人いればあたまも洗えそうだな」
「はい。ご主人様のあたまもお洗いしましょうか」
「頼む」
私はベッドに寝転んだご主人様の髪をお湯ですすぎ、すすぎ終わったあとは手ぬぐいで髪の毛を拭いてさしあげた。
「それでは洗濯しますね」
私はご主人様に背を向けて、からだを拭いた手拭いを洗った。
洗いながらこのあとの事を考えると、先ほど押し殺した感情がこみ上げてくる。
そして、気づいたら頬に涙が伝っていた。
私はご主人様に気付かれないようそっと涙をぬぐい、
手拭いを干すと、
もう、することが無くなってしまった。
私はその空気に耐えられず、商館から持って来たメイド服を着ようとしたけど、
そのままベッドに来るようご主人様に言われてしまった。
ついに...... そのときが来てしまった。
私は肌着を脱いで生まれたままの姿になり、1歩ずつご主人様に向かってゆっくり歩を進めた。
そして、ご主人様のとなりに座ろうとすると、手をつかまれてベッドに引きずりこまれて抱きつかれた。
私は瞬間的に硬直し、からだを縮こめてしまったけど、ゆっくりと呼吸して力を抜くと、ご主人様の顔が近づいてきた。
私は...... 覚悟して目を閉じた......
ご主人様はわたしに優しくキスしてきた。
「これから寝る前とあさ起きたときはキスをして挨拶すること」
「はい」
「じゃあ、もう1回」
そのご、再度キス......
「んんっ...」
こんどはくちのなかにご主人様の舌が入ってきた。
ご主人様の舌は私の舌に絡みついたり。歯茎の裏側を這い回る。
私は男の人の舌がくちのなかを這い回る不快感に、カラダがゾッと総毛立った。
自分の舌で押し返そうとすると、ご主人様の舌に絡めとられそうになる。
そうしてくちのなかに意識を集中していると、胸を揉まれる感覚が伝わってきた。
ご主人様は優しく胸を揉んでいたけど、私のくちをキスから解放すると、左の胸に吸い付いた。
ご主人様は私の乳輪と乳首を包むように吸い付くと、舌で乳首の周りを舐め回し、それから硬くなってきた乳首の先をなぶり始めた。しばらくなぶられると乳首はすっかり硬くなり、舌で転がされ...... 吸われて...... そして甘噛された。
「んんっ... んんっ... あっ... んっ... んんっ...」
気付いたら声が出ていた。そして、声が出ていたことに気づくと、急激に恥ずかしさがこみあげてくる。
ご主人様は左の胸をじゅうぶん責めると次は右の胸を責め始めた。
その後、右の胸をじゅうぶん責めると左の胸へ、左を責めると右の胸へ、左右の胸を交互に何度も責め続けられた。
私は恥ずかしさに耐えながら、ご主人様にされるがまま、しばらくは
くすぐったいような... 気持ちいいような.........
そんな感覚に身をゆだねていると、ご主人様は右手で私の股間を触り始めた。
「あっ...... んっ......」
ご主人様の指が、私の秘部をなぞると、怖いって思う気持ちとはうらはらに、カラダは快感を感じてしまいゾクゾクと震えてしまう。
ご主人様の指はなんどか秘部をなぞったあと、秘部の入口を押し分けてなかに入ってきた。
そして、指先を何度も出し入れしながらあいぶしている。
ヌチュッ ヌチュッ ご主人様の指に私の秘部が絡みつき、出し入れに合わせて卑猥な音がなりだした。
「んんっ クっ...... あ...... んんんん......」
私は自分の秘部から愛液が溢れ、股間が濡れていることに気付くと、恥ずかしくて顔が燃えるように熱くなった。
そして、私の秘部にご主人様の硬いものが押し当てられたことに気が付いた。
「ロクサーヌ、いくよ」
「ん...... ごしゅっ んっ...... んんっ!」
ご主人様のアレが、私の秘部を押し分けて、なかに入ってきた。
指よりもあきらかにふとくて硬いものが、私のなかにズブズブと入ってくる。
次の瞬間、下腹部からブチッっと何かが切れるような感覚がひびき、鋭い痛みが走った。
「んっ... んんっ! んんんんんんんんっ! くっ!
いっ! いぎっ! いたぃっ! んっ......」
強烈な痛みに私のからだは硬直し、ご主人様を拒むように秘部を締めあげた。
しかし、それでもアレは止まらずに、強引になかに入ってくる。
「ロクサーヌ! スゴ...... 締まる...... クッ!」
ご主人様は声を漏らしながらも一度私のいちばん奥までアレを突き入れると、痛がる私をいたわるように、ゆっくり腰を動かし始めた。
私は、いままで経験したことが無い鋭い痛みを感じていたけど、シーツをギュッとつかんで我慢した。
「んっ! グッ! んんっ!」
ご主人様が動くたびにからだが引き裂かれるような痛みを感じ、歯をくいしばって耐えていたけど、しばらく我慢していると少しずつ痛みがやわらいできた。
そして、痛みがやわらぐのと反対に、先ほど指先で愛撫されていたとき以上の気持ちいい感覚がこみあげてくる。
「あっ... んっ! んんっ! あっ! んんっ! ん...あっ...」
ご主人様が動くたびに気持ちよさが増してきて、そのたびに声がでてしまう。
心のなかでは拒否しているのにからだは反応してしまう。私は喘ぎ声をあげながらも、痛い、苦しい、悲しい、情けない、でも気持ちいい......と、自分の気持ちが良くわからなくて混乱していた。
「ロクサーヌ! クッ! んんっ! ロクサーヌ!......」
ご主人様は気持ちいいのか、何度もわたしのなまえを呼んでいて、動きもどんどん早くなる。
そして、パンッ!パンッ!と聞こえるくらいの勢いで、強く何度も腰を打ち付け出した。
ご主人様の硬くいきりたったアレが、愛液と破瓜の血で滑りやすくなった私の秘部を出入りするたび、グチュッ! グチュッ!と卑わいな音をたてている。
「ロクサーヌ! クッ! ロクサーヌ! イクッ......
イクぞっ!」
“イク?!”
その言葉を聞いた瞬間、私は怖くなってからだが硬直した。私とご主人様は種族が違うから妊娠することは無いけれど、でも、もし出来てしまったら...... 怖い! そんなのいやっ!
「い、いやっ! ダメッ! 待って!」
私は素に戻って拒んだけど、興奮しきったご主人様には聞こえていない。
私は両手でご主人様を突き放そうとしたけれど、腕に力が入らない。
「ロクサーヌ! いいぞ! ロクサーヌ! クッ! もう出るっ!」
「あっ! ごしゅっ! あっ! ああっ! ああっ...... んんんんっ!」
ご主人様の動きがさらに激しくなり、私は再び快感の波に飲まれてご主人様を拒めなくなった。
次の瞬間、アレがわたしのなかで膨らんだ気がし、びくっ!びくっ!って動いた。
そして、その動きにあわせて私のなかに、ドピュッ!ドピュッ!っと温かいものがそそぎ込まれる感覚がした。
「ウッ! クハッ!...... ハァッ ハァッ ハァッ ふぅ......」
「んんんんんんんんっ! ハァッ ハァッ ハァッ ハァッ」
ご主人様は少しのあいだ固まっていたけど、私の秘部からアレを引き抜くと、私の横に倒れこんで仰向きになる。そして、私を抱きよせて目を閉じた。
私もご主人様の胸板におでこをつけて、目をつぶる。
静かになった部屋のなか、しばらく二人の息のおとだけが響いていた。
少しすると息が落ち着いた。
ご主人様は目を瞑っており、スゥスゥと寝息をたて始めていた。
私は目をあけてご主人様の寝顔をぼんやり見た。
そして、下腹部に違和感と鈍い痛みがあることを感じ、秘部から出血していることと、初めて嗅いだ生臭くて白っぽい液体が漏れ出ていることに気がついた。
ああ...... 私は...... まだよく知らないこのひとに......
初めてを奪われちゃったんだ......
それに...... なかに...... 出されちゃったんだ......
そう思ったとたん目尻から涙があふれ、頬をつたってシーツを濡らしはじめた。
「グスッ...」小さく声も漏れてしまう。
次の瞬間、自分の声を聞いてハッ!とした。
“しまった!泣いてるところを見られたら怒られちゃう”
私はご主人様に気づかれないように涙をぬぐった。
そして、いまあったことを忘れる為に、あえて明日からのことを考えた。
ご主人様は迷宮に入ると言っていた。
どこの迷宮に行くのかまだわからないけど、私が戦えるところをしっかり見てもらわないと......
ご主人様は探索者だったから、並んで戦うことになるのかな......
魔物と戦うなら......
私は初めてを奪われたことを意識しないよう努めて明日からの迷宮探索のことを考えていると、さっきよりもハッキリとご主人様の寝息が聞こえてきた。
すると、何故か私はホッとした。
ご主人様はぐっすり眠っているようね。
疲れたのかな?
この人はなんでこんなにぐっすり眠れるのだろう。
はじめて会ったのは5日前だけど、まだ半日しか一緒にいない私が横にいるのに。
私のことなんてよく知らないはずなのに...
私のことを信用してるのかな?
なんだか安心しきった寝顔ね。
不思議な感覚だったけど、このままでは寝不足になってしまうので、私は考えることをやめた。
そして、ご主人様の胸に顔をうずめて目をとじ、ゆっくり意識を落としていった。
翌朝、背中をさすられる感覚がして目を覚ました。
私は昨日言われたことを思い出し、ご主人様にキスをしてから声をかけた。
「おはようございます...... ご主人様」
そして、新しい1日がはじまった。