ロクサーヌの想い   作:龍いち

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内密とわたしの思い。そしてクーラタルでの新婚生活

わたしの名はロクサーヌ。

狼人族で16才の獣戦士、そしてご主人様(加賀道夫)の奴隷。

 

昨日身請けされて一晩宿で過ごし、今からベイルの迷宮に行くところだ。 

 

朝の挨拶をしたあとご主人様の着替えを手伝い、装備をつけながらぼんやりと昨日のことを考えた。

 

私は性奴隷として売られたから、何をされても文句は言えない。  

 

しょうじき怖かった...... 初めてだったし...... とっても...... 怖かった。

だけど、ご主人様はとっても優しかった。    

私が怖がらないように、優しく...... 優しく接してくれた。

 

お情けを頂いているときは、最初はすごく痛かったし、なかに出されたことが怖くて終わったあとに涙が出てしまったけど...... ご主人様が優しくしてくれていたせいか、少しだけ気持ちよかった気がする。

それに、何故かはよくわからないけど、ぐっすり眠れた。

 

ただ、まだ下腹部には鈍い痛みがあるし、秘部のなかにはご主人様のアレが入っているような気がしている。

それに、少しからだが重たい気も......

 

でも、そんなことは言ってられない。

まだ、このご主人様がどんな人か知らないし、今後どうなるかは分からないけど、このかたに嫌われないよう、いや、このかたに必要とされるよう、精一杯頑張らなくちゃいけないわね。

 

私はご主人様の隣で迷宮に入る準備をしながら決意を新たにした。

 

その後、宿の受付にカギを預けて外に出ると、何故かご主人様は迷宮には むかわずに、宿の裏側にわたしの手を引いて連れていった。

そして、宿の壁に向かって歩きだした......  

 

まだ暗いのでよく見えないが、壁にぶつかるって思って目をつぶったら、次の瞬間には迷宮にいた。  

 

え、これは、ダンジョンウォーク? 

しかし、さっきは宿屋の裏にいたのだし、ここはどう見ても迷宮のなか。 

わたしは思わずご主人様に聞いてしまった。

 

「ダンジョンウォークは迷宮の中でしか使えないはずでは、

フィールドウォークならあの場所からでも使えますが迷宮には...... はいれないはずですし」 

「やっぱ、そうなんだ」  

 

「そもそもご主人様は探索者でしたのでフィールドウォークは使えないはずです」 

「これはワープという移動魔法だ」  

 

「聞いたことがありません」  

「俺以外つかえるやつは少ないかもしれん、だから内密にな」  

「は、はい。 .........ご主人様すごいです」 

私の知る限り、迷宮の外から中に移動する魔法なんて聞いたことがない。

ちょっと変わってるって思ってたけど、ご主人様はじつはすごい人なのかも......

 

「じゃあ奥に行くけど、この階層の魔物は一撃だから、あんまり緊張しないで」

「い、一撃ですか?」 

 

1階層とはいえ魔物を一撃で倒すなんて普通は有り得ない。

私が以前いたパーティーでは、前衛の4人で囲んで攻撃しても1匹倒すのに5分はかかっていたはずだし......

でも、ご主人様はかなり自信があるみたいね。

ほんとにどういう人なんだろう。

 

そんなことを考えていると、右のほうから魔物のにおいがしてきた。

ご主人様を見ていると、どちらに進もうか迷っているようだ。

以前いたパーティーでは魔物がいる方向を教えると、『余計な口をきくな』って叱られたけど、このご主人様は出会ってからずっと優しく接してくれる。

だから、私の言葉もちゃんと聞いてくれるはず。

私は思い切って魔物がいる方向を伝えることにした。

 

「ご主人様、右のほうに魔物がいます」

「本当か?」

「はい。匂いがするので間違いありません」

「魔物の匂いがわかるのか、すごいな」

「いえ、私は狼人族なので、鼻が利くのです」

「わかった。じゃあ行ってみよう」

 

魔物のいる方向を教えるとご主人様は私を褒めてくれ、素直に信用して従ってくれた。

私はホッとするのと同時にちょっとうれしくなった。

 

歩きだして1分もすると、すぐにニードルウッドと遭遇した。

「行きます」

「大丈夫」

わたしが駆け出そうとすると何故か止められてしまった。 

そして、ご主人様は一気に駆け出してニードルウッドに斬りかかると、宣言通りに一撃で煙に変えた。

 

「えっ... えっ... ええええええええっ! 

ほ、ほんとうに一撃なんですね。すごいです」

目の前で起こったことが、しょうじき信じられない。

ご主人様、なんて強いんだろう。

  

「まあ、すごいのはこの剣だが」

ご主人様はそう言いながら、私に剣を渡してきた。

確かにすごい剣だし新品同様に輝いている。

よほどしっかり手入れしてるのだろう。

でも、いくら剣がすごいからって、そうとう強くないと魔物を一撃で倒すなんて出来ないはず......

 

そう考えているとご主人様が再び話しだした。

「この剣のことは内密にな」

「内密ですか?」

「そう。この剣の事が知られると、例えば......」 

ご主人様はそこまで言うと私の手を引き込んで後ろに回り込み、首に腕を回して手刀を突きつけた。

そして、「この女の命が惜しければ剣を渡せ、と、こういうことも出来る」と言った。

 

私は、そうなったときは遠慮しないで剣を選ぶように言ったけど、ご主人様は私を選ぶと即答してくれた。

私は驚きながらもお礼を言うと、ご主人様は少し照れくさそうにしていた。

そして、照れ隠しなのか「次はどっちに行けばいい?」と言って顔をそむけた。

 

「このまままっすぐです」

ご主人様に続いてまっすぐ歩くと、すぐにニードルウッドが現れた。

だけど、またしてもご主人様が一撃で倒してしまった。

 

「ロクサーヌ、次はどっちだ?」

当然のように魔物がいる方向を聞いてくれることが嬉しくて、私はご主人様にお礼を言った。

 

「あ、ありがとうございます」

「なんで?」

「私の案内を信用していただけるので」

「俺はロクサーヌが魔物を探してくれるのでたすかる。今までは見つけるのに苦労してたからなあ」

「え、そんなこと...... 私はただ、鼻が利くだけで...... 前にいたパーティーでは、誰も相手にしてくれませんでしたし......」   

「そうなのか? せっかく能力があるのに使わないなんてもったいない。  

俺は助かるから、これからもたのむ。

つぎがわかったら教えてくれ」  

「は、はい。 次は...... こちらです」

 

その後、自分やパーティーメンバーのジョブを変えられること、魔結晶に早く魔力がたまることなど、秘密について色々教えてもらったけれど、衝撃の連続でしょうじきほとんど理解出来なかった。

それに、道中で何度も魔物と遭遇したけど...... 

すべて一撃で倒していて、なんて強いんだっておどろきもした。 

ご主人様は常識では通用しない、とてつもなくすごい人だったのだ。  

 

それなのに...... 

私が魔物を見つけたり、攻撃を避けただけでもすごく褒めてくれるし...... 感謝までしてくれる。

私はこんなにすごいご主人様といられるのがうれしくて...... すごくうれしくて......     

生まれて初めて浮かれながら迷宮を探索してしまった。

 

早朝の探索が終わっていちど宿に戻ったとき、浮かれていたことに加えていままで経験したことがないほど大量の魔物を倒していたことで、かなり気持ちがハイになっていた。

 

朝食を食べて部屋に戻ったあと、ベッドに座ったご主人様から「これからは勝手に座っていいし、なるべく近くに座ってほしい」って言われ、横に座るよう指示された。

ご主人様は、近くに座っても押し倒すようなことはなるべくしないからって言ってくれたけど、気分がハイになっていた私は「わ、私なら大丈夫です。かまいません」って答えてしまい、ご主人様の理性を飛ばしてしまった。

    

次の瞬間、ご主人様は私にギュッと抱きついた。

私は驚いて一瞬からだが硬直したけど、私が調子にのって軽口をたたいたことがいけないのだし、今から抱かれても仕方がない。

そもそも私は奴隷なので、求められたらご主人様に身を任せないといけない。

そう思ってからだの力を抜いたけど、ご主人様はしばらく深呼吸してからからだを離して、耳をなではじめた。

 

「痛かったり嫌だったらすぐにやめるから言ってくれ」  

「変なことしなければ大丈夫です。

それに...... あの、なでられると気持ちいいです」

 

恥ずかしかったので目を伏せながら答えたら、ご主人様は無言になり、そのまま耳をなで続けている。

チラッとご主人様の顔を見上げたら、目を瞑って深呼吸していた。

たぶんご主人様はエッチなことしたいのを、我慢しているのだろう。 

 

私はご主人様の奴隷だから、いつでも受けいれるし、きのうもう初めてをうばわれちゃったから...... 

い、いや。 

初めてとか、そんなんじゃなくて、ご主人様だから我慢しなくてもいいのに...... 

 

いまみたいに突然抱きつかれたら怖いけど、きのうみたいに優しくしてくれたら...... 

って私は何を考えているのっ!!!  

 

私はさらに恥ずかしくなってしまい、下を向いてしまった。

でも、なでられているのは気持ちよくて......  

優しくしてくれるのが、うれしくて......  

私は少しだけしあわせというか、安心したというか。

そんな気持ちになり、ご主人様に身をゆだねた。

 

少しするとご主人様は、私の耳の感触が故郷の食べ物に似てるって言い出した。

故郷...... いつかは帰りたいの?     

その言葉を聞いたとき、将来的にご主人様は私を売るつもりがあるのではないかと急に不安になってしまった。

「あ、あの...... ご主人様はいつか...... 故郷に帰られるのでしょうか」

「故郷か...... 故郷に帰るよりもいい物を手に入れたからなぁ......」 

  

ご主人様はとぼけたように返事をしたのちに少し考え、そのあと真剣な表情になり、まっすぐ私に向きなおった。   

「故郷には帰らないし、たぶん帰れない。  

ロクサーヌにとっては残念ながら、故郷に帰るから解放ということにはならないだろう」

 

ご主人様、とても寂しそうな目をしている。 

故郷のことは聞いちゃいけなかったんだ......  

「いえ、あの...... そういうつもりでは」

「分かってる」   

 

私はすでに、ご主人様と離れたいとは思っていない。 

まだ1日しか一緒にいないし、きのうは初めてを奪われちゃったけど......  

ご主人様はすごい人だってことが分かったし、私を大切にしてくれているってことも分かった。

  

こんな素敵な男性に、いままで会ったことがない。   

チョロいって思われるかもしれないけど、ちょっと好きになっちゃっている。 

 

だから、ご主人様を勘違いさせてしまい、寂しい思いをさせてしまったことが申し訳ない。

不安だけど、私の考えていたことをはっきり言わなきゃ。

 

「必要無くなった奴隷は売るのが一般的だと思います」

言ってて悲しくなった。泣きそうだ......   

 

すると、ご主人様は私の両肩をつかんで優しい目で見つめてきて、そして、私を優しく抱き寄せてから言ってくれた。

「ロクサーヌにはずっといてもらうつもりだから」  

 

うれしい。私の全身がうれしさで満たされていくような気がする。  

「はい。ありがとうございます」  

「ただし戦力の充実をはかるためパーティーメンバーは増員するけど」

「それは、当然のことです。   

ええと、あの… こうしてご主人様に仕えることが出来たのですから私としてはよかったと思います」

「俺としてもよかったよ」

 

しばらくして、このときご主人様はハーレムメンバーを増員するって宣言していたことに気付いたんだけど、

その時の私はうれしすぎて言われたことの真意には全く気付いていなかった。

(ご主人様...... 卑怯です......)  

 

しばらく抱き合いながら休憩したあと、冒険者ギルドにドロップアイテムを売りに行き、その後、もう一度迷宮にはいった。

 

午後も私が先導してたくさんの魔物をかり、大量にドロップアイテムを拾った。

ご主人様はこれまでの最高記録って言ってよろこび、私になんどもありがとうって言ってくれた。

 

今日の探索を終えるとき、ご主人様の探索者のレベルを聞くと、27と言われた。

わたしと1才しかちがわないのに...... すごい。 

いったい何年迷宮にはいっているのだろう? 

このとき、ご主人様をもっと知りたいって思ってしまった。

そして、改めて考えた。   

 

移動魔法のことも、剣のことも、レベルについても、

全て内密にするよう言われたけど......    

それに、ダブルの部屋にベッドが2つあると思っていたり、魔結晶のことを知らなかったり、少し常識的なことにうといところもあるけれど......  

この圧倒的に強いご主人様なら将来はりっぱな仕事をやりとげると思う。                   

       

それなのに、ことあるごとに私を褒めてくれる。

この優しくて、ちょっとカワイイご主人様に一生つかえ、支えていこうって...... 

そのとき強く思った。   

 

夕方、宿に戻った時には、   

ご主人様を尊敬というか...... いとおしく思っていて、 

 

夜にはご主人様のことを心から受けいれられるようになっていた。 

 

そして、わたしからキスを誘ってしまった。

 

◆ ◆ ◆

 

それから4日経った。

 

その日の探索は少しだけ早く終えた。

5日に一度のいちが立っているので、必要なものを買うためだ。

ベイルの迷宮から冒険者ギルドにワープして、そこからベイルの市街に出ると、5日前よりも人通りが多かった。

 

ご主人様と並んで探索者ギルドに向かって歩いていると、不意にご主人様に腕を引かれ壁に体を押し付けられた。

そして、ご主人様は顔を近づけてきた。

ご主人様、こんな人が多いところでキスなんて、恥ずかしいです......

私は気持ちうえを向いてそっと目を閉じると、ご主人様は小さな声でささやいた。

「ロクサーヌ、あまりジロジロ見るなよ」

「え、あ、はい」

私は驚いて目を開けると、ご主人様は左のほうに視線を向けていた。

「道の奥の建物の陰に、男が立っているのがわかるか?」

私は勘違いしていた恥ずかしさを隠しつつ視線を左に向けると、ご主人様の言う通り若い男が建物の陰から反対方向の様子を窺っているのが見えた。

「えっと。そうですね。一人立っています」

「その男は商館を窺っているように見えるか?」

「確かにそうです。そう見えます」

「やはりか」

「お客でしょうか。あまりそうは見えませんが」

「あれは盗賊だ。まともな取引をするとは思えんな」

「えっと。私のいた商館が狙われているのでしょうか」

「まだ分からん......」

 

その後、探索者ギルドに行き、ドロップアイテムの換金と掲示板の確認を済ませ、それから商館に向かった。

商館の少し手前で先ほどの建物のほうをチラッと確認すると、さっきの若い男はまだ商館を監視していたので、私はご主人様に小声で話しかけた。

「ご主人様、まだ居ます」

「ああ。気づかないふりしろ」

「はい」

 

商館に入り応接室に通されると、すぐにアラン様がやって来たので、ご主人様は軽く挨拶を交わしてすぐに本題に入った。

ご主人様はアラン様にこの商館が監視されていることを警告したけど、アラン様はよくあることだと軽く受け流していた。

アラン様が真剣に取り合わないのでご主人様は立ち去ろうとしていたけど、私はここでお世話になった人たちのことが心配になり、思わず口を挟んでしまった。

「えっと。表で見張っているのは盗賊です」

「ほう。盗賊ですか」

「......そうだ」

「どうしてそれを?」

アラン様が訝しそうな顔をすると、ご主人様は観念したようにひと息ついて答えた。

「資金を作る時に、ちょっとな」

そして、私をちらっと見てからアラン様に向き直る。

アラン様はその様子を見て察したらしい。

「なるほど。そうですか」

 

それからご主人様とアラン様の話で、商館を襲うとすると明日の明けがたが濃厚だけど、盗賊への対応は商館のほうで行うことになった。

商館には戦闘奴隷がいるので、盗賊ごときへの対応は十分可能ということらしい。

しかし、それでも私が不安そうにしていると、ご主人様はそれを察してアラン様に自分たちを用心棒として雇うよう提案してくれた。

アラン様もそれを了承してくれたので、私たちは明日の明け方に商館に行くことになった。

その後、私たちは一度裏口を確認してから、正面入口に回り、アラン様に見送られながら商館をあとにした。

 

商館から宿まで歩いて帰ったけど、先ほどの場所に盗賊の姿はなかった。

私は自分のわがままでご主人様に危険を侵させることになってしまったことが申し訳なくなり、歩きながら謝罪した。

「あの。わがままを言って申し訳ありません」

「護衛は俺が言い出したことだしな」

「監視の男が盗賊だと分かったことも、勝手に持ち出してすみませんでした」

ご主人様は少し肩をすくめると優しく言ってくれた。

「大丈夫だ。今後気をつけてくれればいい。

ロクサーヌにとっての不安は俺の不安でもあるからな」

「はい。ありがとうございます」

私はお礼を言いながら、嬉しさで瞳が潤んだ気がした。

 

その後、宿に帰って夕食をとり、装備品の手入れと洗濯を行い、それからお互いにからだを拭きあった。

そして、オヤスミのキスをして、ご主人様に可愛がっていただいた。

明日は朝が早いので少し軽めだったけれど、それでもご主人様は私をちゃんと可愛がってくれた。

私はとても幸せな気持ちになり、ご主人様と抱き合いながら眠りについた。

 

翌朝、私はいつもより1時間ほど早い時間に起きた。

そして、まだ眠っていたご主人様に覆い被さり、おはようのキスをした。

舌を絡ませて深くたっぷりキスし続けていると、ご主人様はゆっくりと目を覚ました。

「ご主人様おはようございます」

「おはよう。ロクサーヌ」

「そろそろ時間です」

ご主人様は起き上がると一人で出かけようとしたので、私もついていくと主張すると、少しだけ逡巡した。

しかし、すぐに同意してくれたので、一緒に着替えて宿を出た。

 

商館の裏口に移動してアラン様に招き入れてもらうと、商館の戦闘奴隷たちは既に準備万端で整列していた。

そして、私たちはアラン様から、2階に上がる階段を守るよう依頼された。

2階からうえは、奴隷やお世話になったおばさんたちの居住エリアなので、絶対に守り抜こうって密かに誓った。

 

それから階段のそばで座って待機していると、30分も経たずに入り口のほうから人が入ってくる匂いがした。

私が立ち上がると、続いて商館の戦闘奴隷やアラン様、そしてご主人様も一斉に立ち上がる。

「動きがあったようです」

私が小声でご主人様に伝えると、短く「わかった」という返事があった。

 

「それではこの場はお願いします」

アラン様はそう言って、戦闘奴隷達を引き連れて入り口へと向かった。

すると、すぐに戦闘が始まったようで、剣戟の音が聞こえてきた。

私とご主人様が階段の踊り場で剣を抜いて待機していると、アラン様たちをすり抜けたのか一人こちらに走ってきた。

「来ます」

私はそう言いながら階段を2歩降りて剣を構えたが、向かってきた人は階段手前の小部屋の前で止まると、扉を開けてなかに入った。

すると、ご主人様が小声で伝えてきた。

「俺が行く。ロクサーヌはここを頼む」

 

ご主人様は静かに階段を降りると、そっと小部屋の扉を開けた。そして、ゆっくりとなかへ入っていった。

 

ご主人様が小部屋のなかに入ると、すぐにブシャーッ!という音が鳴り響いた。

私は慌てて階段を降り小部屋に入ると、入口からすぐの場所にご主人様がうずくまっていた。

 

「ご主人様」

ご主人様はあえぐように口を開けて呼吸をしており、すごくつらそうだ。

私の問いかけに返事が返せない状態だ。

私が心配していると、商館の入り口のほうからまた一人こちらに駆け寄ってきた。

私は一瞬警戒したけど、匂いでそれがアラン様だとわかり少し安堵した。

「アラン様。こちらです」

私がアラン様に声をかけると、アラン様は階段を登らずに小部屋に入ってきた。

そしてアラン様の持ったカンテラで部屋が照らし出されると、私は絶句した。

「こ、これは......」

あまりの光景にアラン様も言葉を失っている。

カンテラの灯に映し出された部屋のなかは、血や肉片が飛び散ったおぞましい光景だった。

 

「大丈夫ですか」

私はご主人様を支えながらもう一度声をかけると、片手を上げて返事をしてくれた。

すると、アラン様も我に返り話し始めた。

「自爆玉ですか。盗賊がそんなものを持っているとは思いませんでした。ほとんど必殺だと聞いておりますが......」

「大丈夫なのですか?」

私は自爆玉のことは知らないのでアラン様に尋ねた。

「アイテムなので効果は一撃のみだ。こうなるという話を聞いたことがある」

「そのアイテムを使うと、こうなるのですか?」

「そうらしい。それにしてもさすがにお強い」

「ご主人様ですから」

私がそう答えると緊張がほぐれたのか、アラン様はフッとひと息ついて優しい目になった。

 

すると、ご主人様がハァーっと深呼吸して立ち上がった。

「本当に大丈夫ですか」

「なんとかな」

「手間取ってこちらに1人逃してしまいましたが、賊はすべて倒しました。もう安心です。今回のことでは非常な迷惑をおかけしました。あれを使われていたらこちらの誰かに被害が出たでしょう。お礼の言葉もありません」

「いや、用心棒だから当然なことをしたまでだ」

アラン様がお礼を言うと、ご主人様は軽く会釈をして返事をした。

そして、床に転がっていた銅剣を拾いあげた。

「約束通りこれはもらっておく」

「問題ありません。

いま報酬を持って参りますので、少しお待ちください」

アラン様はそう言うと、足早にこの場から立ち去った。

 

「ご主人様。こんなことになってしまい、申しわけありませんでした」

「ロクサーヌが気にすることじゃない」

「でも......」

話しているとアラン様が戻ってきてしまったので、私はしかたなく話を中断した。

「お待たせしました。こちらがお約束の追加報酬です。こんなことになるとは思いませんでした。改めてお礼を申し上げます」

「いや、こちらとしても不安の種がなくなって安心した。こちらこそ、今後ともよろしく頼む」

私たちはお互いにお辞儀をして、商館をあとにした。

 

商館を出るとすぐにご主人様が声をかけてきた。

「ロクサーヌ、悪いがこのまま迷宮に行く。魔物を探してくれ」

「かしこまりました」

私が返事をすると、ご主人様は商館の壁にワープゲートを開いた。

私はワープゲートをくぐり、すぐにその場で匂いを嗅ぐと、右の方から魔物の匂いがした。

しかもかなり近い場所だ。

「ご主人様。魔物が近いのはこっちですね」

「......」

「なんでしょうか?」

ご主人様に聞きながら顔を覗き込むと、青白い顔をしていた。また先程のように、具合が悪い状態になってしまったようだ。

それでもご主人様が魔物に向かって歩き始めたのでついていくと、すぐにニードルウッドが現れた。

「俺がやる」

「は、はい」

ご主人様はそうとう具合が悪そうだけど大丈夫なの?

私はご主人様が心配だったので、横にピッタリついて、攻撃されたときは盾でブロック出来るようにした。

ご主人様は動きにキレはなかったけど、結局ニードルウッドに攻撃される前に一撃で切り伏せた。

いつも見てるけどやっぱり強い。さすがご主人様。

それに、なんだか少し元気になった気がする。

 

「悪いな。次はどっちだ?」

「えっと...... こちらにいます」

私はご主人様の体調が心配だったけど、ご主人様の指示通りに魔物のところに案内した。

すると、ご主人様は魔物を倒すたびにどんどん体調が回復しているようだった。

しばらくすると完全にいつもの状態に戻ったようだけど、私はなんで体調が悪くなったり回復したりするのかわからなかったので不安になり、ご主人様に声をかけた。

「えっと。本当に大丈夫ですか?どこか体の具合が悪いのなら......」

「いや、もう大丈夫だ」

少し食い気味に否定されてしまった。あまり聞いちゃいけないことなのかな?

確かにご主人様は体調が良くなった気がするけど、じゃあ、さっき具合が悪くなっていたのはいったいなんだったのか......

 

あとで教えてもらったところ、商館を出てからワープしたところでMPが枯渇して気分が悪くなったけど、ご主人様の剣にはMP吸収のスキルが付いているので、魔物を倒すたびに体調が回復していたということだった。

この時に教えてくれれば心配しなくて済んだのに......

もう、ご主人様ったら。

 

私がご主人様の体調を心配しているとなりで、ご主人様も何か考えごとをしているようだった。

しばらくすると、何か思いついたのか?

急に質問してきた。

 

「ロクサーヌ、 魔法について知っているか」

「えっ? 魔法ですか? スキル魔法とか?」

「魔法使いが使う魔法があるだろう」

「スミマセン。魔法使いはごく一部の者しかなれませんので、あんまり知っていることはありません」

「そうか」

ご主人様が少し残念そうな顔をしたので、私は魔法について何か聞いたことがないか?もう一度思い出してみた。

すると、むかし人から聞いたことを思い出したので、ご主人様に伝えることにした。

 

「そういえば、むかし人から聞いたことがあります。それでも良ければ......」

「なんでも良い。知っていることがあるなら教えてくれ」

「かしこまりました。

確か、全体攻撃魔法と、単体攻撃魔法と、壁みたいなものを出す魔法の三つがあるそうです。

球みたいなものを撃ち出すと、魔法使いの戦いを見たことがある人が言っていました。

確かなんとかいう難しいブラヒム語で......

何と言いましたか」

「難しいのか」

「すみません。お役に立てず申し訳ありません」

「いや、大丈夫だ」

 

ご主人様はそのまま考えごとをしているので、私は近くに魔物がいないか探しておくことにした。

ここから一番近いのは...... その先を右に行ったほうにいるわね。あとは...... 

私が魔物を探していると、急にあたまのうえが明るくなった。

突然のことなので驚いて見上げると、そこには火球があった。

そして、火球が通路の奥へ飛んでいき、奥の壁にぶつかって弾けた。

「えっ... えっ... ええっ...... こ、これは魔法ではないのですか?」  

「魔法だな」  

なんと、ご主人様は探索者なのに攻撃魔法が使えるようになったのでした。それもたった今、私の話を聞いて、使えるようになったとのこと。 

私はすごく驚いて「ご主人様。すごいです」と素直に言うと、ご主人様は「まあ、このことは内密にな」と、なぜかちょっと顔を赤らめて返事をした。

 

その後、ご主人様は炎の壁を出す魔法と、魔物を火に包む魔法(あとで聞いたら全体攻撃魔法らしい)を練習して、早朝の探索を終了した。

 

宿に帰って朝食を食べ終わり部屋に戻ると、ご主人様は魔法が使えるようになったことがよほど嬉しかったのか魔法についての実験をすると言いだし、ベイルの迷宮1階層にワープした。

 

迷宮に着くと、ご主人様は火、水、風、土の四つの属性の魔法について実験を開始。

休憩を入れつつ夕方まで魔法主体で魔物と戦い、何らかの結論を得たようで宿に戻るときには満足そうな顔をしていた。

 

尚、今後は私が前衛で魔物を抑え、ご主人様が後衛から魔法を撃ち込むフォーメーションを基本に探索を進めることになった。

私はご主人様を守る戦士に憧れているので、今後の探索がいっそう楽しみになった。

 

◆ ◆ ◆

 

翌日。

ご主人様に購入していただいてから、7日目となった。

 

ご主人様とはすっかり打ちとけることが出来、今では気がねなく会話出来るようになっている。

もちろん、ご主人様と奴隷という身分の違いはあるけれど、ご主人様は私をひとりの女性としてとても大切に扱ってくれている。

ときどき奴隷であることを忘れてしまうほどである。

 

夜のほうもすっかり打ちとけることが出来ていて、毎晩何度も可愛がっていただいている...... 

ちょっと恥ずかしいけど私って、ご主人様に可愛がっていただくことが好きなんだと思う。

ただ...... とても気持ち良くてどうしても声が出てしまうので、そのときの私の声が、となりや下の階の部屋に聞こえるかもしれないということが、少し心配だ。   

 

仕事のほうも順調で、すでにベイルの迷宮探索は4階層まで進んだ。  

  

いぜん私がはいっていたパーティーは6人だった。

リーダーやパーティーメンバーに多少の問題があったとはいえ、そのパーティーでは2年間で3階層までしか到達出来なかった。

それなのに、ご主人様と迷宮に入ってからは6日で4階層に到達している。

しかもたった二人で......     

 

パッと見はまったく強そうな感じがしないけど、ご主人様は本当にすごい人なんだって、改めて思う。

 

今日も早朝から大量の魔物を倒してアイテムを拾い、一度宿屋に戻った。  

それから朝食を食べ、アイテムを売りに冒険者ギルドに向かった。

私はアイテムの買い取り値段が正確にわかる訳ではないけれど、ご主人様と2人で生活するには十分すぎる収入はあるだろう。

 

いつもはアイテムを売ったあと、再び迷宮に行くのだけど、今日はちょっと違った。

ご主人様はカウンターでアイテムを売却したあと、壁ぎわでクーラタルまでの移動を募集している冒険者を見つけ、「ちょっと行ってくる」と言ってわたしを残して壁の向こうに消えていったのだ。

 

少し不安だったけど、そのまま壁の前で待っていると、ご主人様はすぐに戻ってきた。

私はホッとしてお辞儀をし、ご主人様に声をかけた。

「おかえりなさいませ。ご主人様」

「ただいま。ロクサーヌ。クーラタルに行ってみるか?」

「はい。お供します」  

 

ご主人様の魔法でクーラタルの冒険者ギルドに移動し、そのまま町に出た。

ご主人様は大きな町だと思っていたようで、外から冒険者ギルドを見て、明らかにがっかりした。

 

「うーん。こんなものなのか」

「ご主人様。クーラタルは迷宮と探索者が中心の町なので、探索者ギルドのほうが充実していて大きいのです」

「そうなのか。ロクサーヌは来たことあるのか?」

「はい。一度だけ迷宮の見学に来ました。

 迷宮に入ろうとするものは、おおくが一度訪れます」  

「じゃあ、一度迷宮行ってみる?」

「かしこまりました。あちらです」

 

その後、迷宮に向かいながらクーラタルの町について知っていることをご主人様に説明し、迷宮の入り口まで移動。

迷宮入り口周辺の建物や、迷宮に入るには入場料がとられることなどを説明していると、ご主人様から質問された。

 

「料金がいるのならもっと時間のあるときに入ったほうがいいな。

 ところで、家を借りるにはどうすればいいか、知っているか」

「世話役の人がいます。どこかの商店で聞けば教えてくれるでしょう」

「ふむ」

 

ご主人様は何かを考えながら、迷宮入り口正面の金物屋に入ろうとむかって歩き出した。

その時、わたしはご主人様の魔法なら直接迷宮にはいれたことを思い出した。

ご主人様のうでをとって引き寄せ、みみもとで小さくささやいた。

 

「ご主人様」 

「......ん?」  

「ご主人様の魔法を使って迷宮にはいればよいのではないですか」

ご主人様は一瞬ハッとして私の顔を見たあと、ニヤッと笑い小さくうなずいた。

 

金物屋にはいると、すぐにお店のおばさんが出てきた。

「いらっしゃいませ」

  

ご主人様はおばさんに聞いた。 

「このあたりで住むところを探しているのだが、世話人の人はどこ......」

「それはようございました。六区の世話役はうちになります」 

おばさんは食い気味に返事してきた。

 

そのご家の説明をひとしきり聞いたあと、急におばさんが私のからだを上から下までじろじろ見だした。

「......あの」  

何?このおばさん。私を値踏みしてるの?     

 

するとおばさんは私から視線を外してご主人様にむきなおった。

「いい娘を持ったようですね。迷宮に近いほうがいいでしょうか」

「特にこだわりはない」  

「そうですか、では......」 

 

その後、おばさんにクーラタルのいえの相場やすぐにかりられる物件、そこから迷宮までの時間や物件周囲の環境、周辺のお店を説明してもらった。

そして、なかでも一番のおすすめ物件を見せてもらうことになった。

 

なんでも前の住人が遮蔽セメントで壁を全部おおってしまったらしく、冒険者には使いにくいらしいが探索者なら問題ないのでは?とのこと。

なんで探索者なら問題ないのかよく分からなかったけど、ご主人様とおばさんが物件を見に歩きだしてしまったので、私もあとについて歩き出した。

 

二人を見ると、おばさんはご主人様と肩が付くくらい近いところを歩いており、話しかけながらやたらスキンシップを取っている。

しかし、ご主人様は大変迷惑そうにしている。

ように見える。

いや、顔が引きつっているので間違いなく迷惑なんだろう。

私は少しムッとしたので、この場所の情報を知っておくためにもおばさんの横に並んで声をかけた。

もちろん、おばさんの意識をご主人様からそらすためにもだ。

ご主人様はタイミングを見て少しうしろにさがったので、やはりおばさんからのスキンシップは嫌だったのだろう。 

 

私はおばさんに、このあたりの気候や環境などを聞いたところ、だいたい以下のようだった。

 

このあたりは冬も比較的暖かく、雪はめったにふらない。

雨はそれなりにふるけど、災害になったことはない。

六区は川の上流のほうで、ドブも川の上流から水を引き込んでおり、ちゃんと整備されている。

住宅は多いが緑も多くて空気も澄んでおり、環境が良い。

とのこと。

 

おばさんと話しながら歩くと、15分くらいで物件についた。

庭が付いたちょっと大きめに見える白い2階建ての家だった。  

 

中にはいると、おばさんはこの家の問題点について説明しだした。  

どうやら遮蔽セメントのこと以外にも、前の住民が家の中を改造したので使いづらくなっている為、何をどう改造しても良いとのこと。

 

ご主人様と私は分かれてあちこち家の中を見て回った。

もちろん私はおばさんに色々聞きながらであり、ご主人様がフリーで見まわれるよう心がけている。

 

外から見たときちょっと大きな家くらいにしか思わなかったけど、中にはいるとちょっとどころかそうとう広い。

部屋数も多いし、二人で住むには広すぎる物件だった。   

 

ご主人様は2階を見に上がっていったので、私は一階の厨房やダイニングのまわりで気になったことをおばさんに聞いてみた。   

それからゴミの捨て方や下水のこと、焚き木のことや町内会のこと、季節の行事やお祭りの事なども聞いていると、ご主人様が2階からおりてきた。 

      

ご主人様と合流するとおばさんはもう一つの問題点を言ってきた。

 

この物件は井戸が遠く水汲みに不便だけど......  

そこでわたしのほうをチラッと見て   

「問題ないでしょう」といった。 

 

ムッ! 

それは私に水くみさせれば問題ないってことだよね。  

ご主人様のためなら別にかまわないけど、このおばさんに言われるのはむっとする。   

 

その後、ご主人様はおばさんと少し話をしたあと、

私のほうを見てきた。   

「私なら大丈夫です。よい物件だと思います」

「そうだな」

 

ご主人様は少し考えてから、

「分かった、この家を契約しよう」とおばさんに宣言した。

 

私はご主人様が即決するとは思っていなかったので少しびっくりしたけれど、

ここで二人っきりの生活...... 

なんて考えるとうれしさが込みあげてきてしまい、

自然と笑みが浮かんでしまった。

 

その後、騎士団の詰め所によってご主人様のインテリジェンスカードのチェックを受けてから金物屋に戻り、契約書類を作成した。

明日からの1年契約だ。

 

私が代筆で契約書類にサインをしていると、おばさんはご主人様にベッタリ張り付いて店で売っている鍋の説明をしていた。

私がちょっと目を離したすきに、まったく油断も隙もあったものではない。

 

私はおばさんに声をかけて振り向かせ、「ブラヒム語は難しいので、ちゃんと書けているか確認をお願いできますか?」と言って書き終えた契約書類を渡した。

 

家の契約が終わったあと、ご主人様はクーラタルの冒険者ギルドから借りた家にワープした。

 

「厳密に言えば契約は明日からだけど問題ないだろう」

「ご主人様、この家は遮蔽セメントが使われているという話ではありませんでしたか?」

「いや、ちゃんと使えるかどうか試したから。フィールドウォークは使えなくても、俺のワープなら大丈夫らしい」

「え?......それって、すごいことでは」

「どうだろうな」

これはすごいことだけど、どこにでもはいれちゃうってことになるし、絶対知られちゃいけないことだ。 

気を付けないと...... 

 

その後、ベイルの冒険者ギルドにワープして、そこから宿に移動した。

部屋に入るとご主人様はベッドに腰かけたので、となりに座って装備品の手入れを始めた。

 

装備品の手入れが終わるとご主人様と夕食。

そのごからだを拭きあってからお情けをいただくことになる。

もう7日目だし、毎日してるけど......

時間が近づいてくるとドキドキしてしまう。

 

今日はこの宿での最後の夜。いっぱい可愛がってもらえるだろうか...... 

明日からはあの家での生活。どんなことになるのだろうか......

 

少しだけご主人様に寄りかかり、そんなことを考えながら、しあわせなときがゆっくり過ぎていった。

 

◆ ◆ ◆

 

翌日、私が目覚めると、ご主人様はまだ寝息をたてていた。

私はご主人様の顔をぼんやり見ながら昨日のことを思い返した。

 

私たちはクーラタルに家を借りることになった。

町の中心から少し離れた郊外の一軒家。

もちろん。ご主人様とふたりっきり。 

すっごくうれしい。  

 

昨日の朝にご主人様とクーラタルにいって、その日のうちに物件を契約。

1年分の家賃を払わなくちゃいけないのに、即決するなんて...... ご主人様ってやっぱりすごい。

 

遮蔽セメントが使われていてフィールドウォークが使えないとか、井戸が遠いとか、町の中心から離れているとかの問題があったけど、ご主人様の魔法があればすべて問題ないらしい。

 

厨房が広かったな...... ご主人様、私の料理、よろこんでくれるかしら......

2階のあの部屋はたぶん寝室ね...... 寝室では......  

私は寝室でのことを妄想して恥ずかしくなり、思わず両手で顔をおおってしまった。

 

そんな感じで私があれこれ考えていると、ご主人様が目を覚ました。

 

私は何事もなかったような顔をして、ご主人様に朝の挨拶をした。

「ムチュッ んむっ...... おひゃよう ございます。 ヌチュッ ごひゅじんさま ヌチュウ......」

何もなかったようにしたつもりだったけど、妄想が残っていたせいか思わず舌を絡めながら挨拶してしまった。

「おはよう、ロクサーヌ。なんか今日は情熱的だな」

「すみません。その......」

「いや、俺はうれしいからかまわない」

ご主人様はそう言うと、私のあたまをそっと抱き寄せてキスをしてくれた。

軽いキスだったけど、私は嬉しくて胸がいっぱいになった。

 

「今日は朝一迷宮に行って、朝食後に引っ越しする」

「かしこまりました」

 

私たちは着替えてベイルの迷宮に入り、3時間ほど探索をしてから宿屋に戻った。

宿屋の朝食を食べたあと、ご主人様の魔法を使って引っ越しを行い、8日間過ごした宿屋を引き払った。

 

その後、クーラタルの冒険者ギルドにワープしてから家具屋に移動し、家具や雑貨を購入。

家に持ち帰ることを何度か繰り返し、家具やベッドを配置した。

そのご、ベッドの横にマットを敷き終えると

「やはり最初になすべきことは、ベッドの使用感を確かめることだと思うのだが、どうか」

そうご主人様に言われて抱き寄せられた。

「え? は、はい...... んんっ」

まだ明るいし 急だったので、おどろいているうちに唇をふさがれてしまった。

 

そして...... 服を脱がされて......

明るくて全部見えるのではじめはすごく恥ずかしかったけど、途中から恥ずかしいなんて気持ちはどこかに行ってしまった。

そして、ご主人様に求められるまま可愛がっていただき、快感の波にのまれていった。     

 

少し休んだあとご主人様と買い物に行き、うちに戻ってから夕食を作って一緒に食べた。

その後、ご主人様のからだを拭いたところで日が沈んだ。

暗くなったので、わたしのからだは自分で拭きますって言ったのだけど、ご主人様はいつも通り俺が拭くって言って、私の手から手ぬぐいを奪った。

しかし、ここで問題が発生した。

蠟燭は1本あったが、燭台や蠟燭けしが無かったのだ。

 

「今日買っておけばよかった」

「すみません。蝋燭は安いものではないので必要ないかと思いました」

 

大失敗だ。ご主人様に失望されてしまったかも......

 

そう思っていたが、暗いなかでもご主人様はわたしの体を優しく拭いてくれて、いつもどおりに可愛がりはじめた......  

 

さっき1回したのに、ご主人様はもう元気になっている。    

暗くて見えない分、意識が乳首や秘部に集中する。     

ご主人様はいつも以上に時間をかけて、私の胸や秘部をあいぶしていて、自分でもわかるぐらい乳首は硬くなり秘部の奥からは愛液が溢れだしてきた。

私は今までご主人様に求められるままに応じていた。もちろん嫌ではないし、むしろ気持ちいいので、ご主人様にお任せしていた。

しかし、今はご主人様が欲しくて我慢できなくなっている。

私のからだは受け入れる準備ができているのに、ご主人様はアレを入れてくれない。

私はいつも以上に感じており、どんどんのぼり詰めている感じがする。

このまま終わって欲しくない...... もう、我慢出来ない...... 

「ごしゅ... あっ... じんさま... んんっ... おねがい... ンンッ... します... ああっ... わたし... もう... く... ください」

私が快感に耐えながら懇願すると、ご主人様は秘部を押し開きながらアレをあてがい、「ロクサーヌ。いれるよ」と私の耳の横で優しくささやいた。

次の瞬間、ご主人様のアレが私のなかにはいってきた。

 

「ああああっ! すごい! ああっ! んんんん!」

さんざんじらされたせいか、今まで感じたことがない気持ちよさに、嬌声をあげてしまう。

そして、気持ち良すぎて何も考えられなくなる。

「ああっ! イイッ! ああああっ! ごしゅっ! んああっ!」

「クッ! ロクサーヌッ!」

ご主人様につかれるたびに快感の波がどんどん大きくなり、意識が登っていく。

そして......

「ああっ! ごしゅっ! ダメッ! ああっ! ああああああああっ!」

ひときわ高い波とともに、あたまのなかが真っ白になった。

 

「クッ! ウッ! ウウッ! クハッ! ハァッ! ハァッ!」

私が登り詰めた次の瞬間、ご主人様はイってしまい、

私のなかに精液をそそぎこんだ。

私はビクン!ビクン!っと痙攣しながら精液を吐き出すご主人様のアレを秘部で感じながら、しあわせな気持ちで満たされていく。

 

「ハァ...... ハァ...... ハァ...... ハァ......」

「ハァ...... ハァ...... ハァ...... ハァ......」

静かになった寝室に、ふたりが息をする音だけが響いた。

 

しばらく息を整えてから、私はご主人様に話しかけた。

「ご主人様。ありがとうございました」

「ああ」

「その、すみませんでした」

「なにがだ?」

「その、すごく気持ちが良くて、私から欲しがってしまいました」

「そんなことはあやまることじゃない。それより、そんなに気持ちよかったか?」

「はい...... その、とても気持ちよかったです。それに、初めてその...... のぼり詰めてしまいました」

「イッたのか?」

「はい...... たぶんそうです」

「そうか、よかった。今まで俺しかイッてなかったから、ロクサーヌには少し悪いなって思ってたんだ」

「そ、そんな。

私は奴隷です。ご主人様がそのようなことをお考えになる必要はございません」

「ロクサーヌ。自分は奴隷だから虐げられるのは当然だ、という考えは俺はあまり好きじゃない。ある程度のわがままは聞くつもりだ」

「あ、ありがとうございます」

「それに、ベッドの上では対等でいたい。だから、欲しいときは欲しいと言ってほしいし、いっぱいいかせてあげたい。俺も自信がつくしな」

「はい。ありがとうございます...... 

ご主人様。今夜は最高でした」

私は急に恥ずかしくなってしまい、ご主人様の胸におでこを着けて目を閉じた。

 

この日、私は初めて絶頂を迎え、女としての本当の悦びを知った。

そして、ご主人様の優しさと私が大事にされていることを、改めて認識したのだった。

 

◆ ◆ ◆

 

翌日、めざめたご主人様にたっぷりキスしたあと、着替えてベイルの迷宮に向かった。

早朝探索の後、私はご主人様と朝食を作り、一緒に食べながら今日の予定を話した。

 

「今日はクーラタルの迷宮にいってみたいと思う」

「かしこまりました」

「あとは部屋が殺風景なのをなんとかしたいが」

「絨毯を飾ればよいと思います」

「絨毯を飾る?」

「はい」

「敷くんじゃなくて?」

「はい」

 

ご主人様は絨毯を敷くのは金持ちだけで、普通の家は壁に飾るということを知らなかったようでした。

 

「絨毯となると帝都か。 ロクサーヌは帝都に行ったことある?」

「残念ながらありません。私は家の掃除をしたいので、そのあいだに行かれてはどうでしょう」

「じゃあ、午前中は帝都に行ってみるか。 クーラタルの迷宮は午後からで」

「かしこまりました」   

 

わたしが家の掃除をしているうちに、ご主人様は帝都とクーラタルの迷宮にいってきて、地図を買って帰ってきた。

「ただいま、ロクサーヌ」

「おかえりなさいませ、ご主人様」

 

ご主人様にむかって頭を下げると、

「そういう挨拶って、ベイルの商館で習ったのか」

「はい、そうです。おかしいでしょうか」

「いや。すばらしい」

耳を撫でられながらほめていただいた。 

  (うれしい)  

 

その後、クーラタルの迷宮について1階は初心者が多くて混んでいることをご主人様にお伝えしたところ、

クーラタルの迷宮攻略は明日からとなり、今日はベイルの迷宮に行くことになった。

 

そのあと、ベイルの迷宮に行き、4階探索のつづきをおこなった。

そのご、一度いえに戻り、夕方再度迷宮にいって帰ったとき、ご主人様は自分の指をじっと見つめていた。

 

「どうかしましたか」

「ちょっとかすってしまった」  

 

「大丈夫ですか」

「大丈夫ではないな。ちょっとなめてもらえるか」

ご主人様はそういって、右手の人差し指をわたしの口元に差し出した。

 

「え......あ、あの......」

ちょっと戸惑ったけど、ご主人様がしてほしそうなのでなめることにした。

 

ご主人様のゆびをゆっくりと口に含み、舌で包み込むようになめてみた。

目を閉じて集中し、ご主人様のゆびをしゃぶるように何度も往復しながら舌を絡めた。

 

しばらくしゃぶってからくちを離すと、ご主人様から痛みが引いたとほめられたけど、

なんだかすごく恥ずかしくなって顔をそむけてしまった。

 

ご主人様はその後も私をいっぱいほめ、これからも何かあったら頼むと言っていたけど、

わたしは恥ずかしかったので、「......あ、あの......はい」と答えるのが精いっぱいだった。

 

その夜、ご主人様に寝る前の挨拶のキスをしたとき、

「さっき魔物と戦ったとき、もう1か所すったところがあるのだが......」

「えっ......」

ご主人様は真っ赤な顔をして、アレを指さしていた。

たぶんそうとう恥ずかしかったのだと思う。 

 

「また、癒やしてもらってもいいか?」

わたしも恥ずかしかったのて、少し目を伏せて

「あの...... 指と同じように出来るかわかりませんが頑張ります」

「うむ」

 

私はご主人様のアレを右手でにぎり、先をくちに含んで唾液を絡ませながら舌で包み込む。

そして、歯を当てないように気をつけながらくちびるをすぼめ、ゆっくりと飲み込むようにくわえこんだ。

吐き出したくなるのを我慢しながらあたまを前後に動かしてご主人様のアレを出し入れし、

右手で竿をしごきながら左手で袋を優しく揉むと、すぐにカチカチに硬くなる。

「ロクサーヌ! スゴイ! 気持ち良過ぎる」

 

少しのあいだジュポッ!ジュポッ!っといやらしい音をたてながらご奉仕を続けていると、袋が少しこわばってせりあがってきた。

ご主人様はイカされまいと必死に我慢しているけれど、私のあたまに添えていた手に力が入ってくる。

 

ジュポッ!ジュポッ!ジュポッ!ジュポッ!

「クッ! ウウッ! クッ!」

私はご主人様をイカせてさしあげるため、右手を離してご主人様のアレを飲み込むように、グッと喉の奥までくわえ込んだ。

次の瞬間、ご主人様は「な、ダメだ!イクッ!」っと叫んで限界をむかえ、私の喉の奥にドピュッ!ドピュッ!と精液を吐き出した。

ご主人様の精液は喉を通っておりていき、お腹のなかから私を暖める。

 

「クハッ! アッ! ハァッ! ハァッ! ハァ...... ハァ......」

私はご主人様が精液を全て吐き出すまで、アレを喉の奥までくわえ込んだままにしていた。

そして、脈動がおさまったので竿のなかに残った精液を吸い出しながらくちを離すと、チュポンっという音がなった。

すると、くちのなかに精液の青くささと苦味が拡がったので、くちのなかに残った精液をゴクリと喉を鳴らすように一気に飲み込んだ。

 

「ロクサーヌ、気持ちよかった。ありがとう」

「よろこんでいただけたのでよかったです」

ご主人様はありがとうと言いながらも、なぜか声が冷めている気がした。

私は言い知れない不安感に襲われ、ご主人様に尋ねてしまった。

「あの、なにかいけなかったのでしょうか」

「いや、凄く気持ちよかったからそれには文句はない。

特に、最後のは凄かった。まったく我慢出来なかった。あれは反則だ」

「あ、ありがとうございます」

「ただ、気を悪くしないでほしいのだが、慣れてるような気がして......な」

ご主人様はそう言うと、気まずそうに目をそらした。

 

ご主人様の態度を見て言葉を聞いた瞬間、あたまのなかが一瞬真っ白になり、

それからベイルの商館で性奴隷として教育されたことを思いだした。

私のカラダが硬直し、瞳からハラハラと涙がこぼれ落ちる。

「な、ロクサーヌ、どうしたんだ」

「い、いえ...... 申し訳ありません。 私......。 私......。」

「すまない。何があったのかわからんが、つらいなら話さなくてよい」

 

ご主人様は話さなくていいと言ってくれているけど、わだかまりは残したくない。

嫌われてしまうかも知れないけど、いま、話すべきだと思う。

私は涙を拭きながらご主人様に答えた。

「いえ、話させてください。

ご主人様...... 私は性奴隷となることを承諾して商館に売られました。

性奴隷ですので、商館では男の人によろこんで頂くための技術も教えられました」

「技術?」

 

「はい、技術です。もちろん、講師は女性です。

その人に、キスのしかたから手や胸、くちを使ってご奉仕する方法、秘部と手でアレを挟んで擬似的にご奉仕する方法、自分で自分を慰める方法も習いました」

「自分で自分を...... そんなことも習うのか」

「はい。その、買われた方にどのような扱いをされるかわからないので、自分で自分の秘部を濡らすことは大事なことだと言われました」

「どういうことだ?」

「その...... 主人によってはぜんぎもなく、その...... いきなり入れる人もいるそうです。その場合に必要だと......」

「そうだったのか......」

 

「女の人が講師とはいえ、裸にされて実技もさせられました。その時は仕方がないと割り切っていましたが、いまは思い出したくありません」

「実技......だと......」

 

「はい。でも、実際に男の人に触れたことはありませんし、男の人には裸を見られたこともありません。

模型や図解でご奉仕のしかたを習うことが殆どでしたが、模型のアレをしゃぶらされて喉の奥まで使ってご奉仕する練習をさせられたり、奴隷どうしで絡まされてお互いの秘部を舐めさせられたり、秘部から愛液が滴るまで自慰行為をさせられたりはしたのです。私は......」

 

そのとき、ご主人様は私を抱きしめて言葉を止めようとしてくれた。

「ロクサーヌ、もういい」

しかし、私は告白を止められなくなっていて、言葉を続けてしまった。

「私は...... 私は卑しい性奴隷です。

男の人をよろこばせられるよう教育されたのです。

ご主人様のような素晴らしいかたのそばに...... いられるような女ではないのです。

ですけど、幻滅したかもしれませんけど、どうか見捨てないで下さい」

 

私は最後まで言い切り、涙を流しながら懇願した。

すると、ご主人様は抱きしめている腕の力をギュッと強め、そして言ってくれた。

「俺がロクサーヌを見捨てることなんてないから安心しろ。俺はただ、ロクサーヌのことを知りたかっただけなのだ。

嫌なことを思い出させてしまい、本当にすまなかった。許してくれ」

「いえ、ご主人様が謝ることはございません。私が卑しいだけなのですから」

「ロクサーヌ、お前は卑しくなんてない。むしろ素晴らしい女性だよ」

ご主人様はそう言うと私を離し、そっと涙をぬぐってくれた。

 

そして真剣な表情でしっかりと私の目を見て、言葉をつづけた。

「俺はそう見抜いたんだ。

だからロクサーヌは、ロクサーヌのことを素晴らしい女性だと見抜いた俺を信じろ」

 

私はまた、瞳から涙が溢れ出した。

しかし、今度はよろこびの涙だ。

「はい、ご主人様。 私は...... 私はご主人様を信じます」

「ならいい。この話は2度としない。いいな」

「はい」

私は全てを話し、それをご主人様に受け止めて頂けたことがうれしかった。

そして、肩の荷が1つおりた気がして、晴れやかな気分になった。

 

それから、ご主人様は私に優しくキスをし、そしてゆっくりとベッドに寝かせてくれた。

そのあと、なんども、なんども可愛がって頂き、私はなんどもイッてしまった。

ご主人様もなんども私の中に果てていたけど、それでも私を可愛がることをやめなかった。

そして、私はイカされ続け、あまりの気持ちよさに頭の中が真っ白になり、気を失ってしまった。

 

そして気が付くと、ご主人様に抱かれて頭を撫でられていた。

「...ご、...ご主人様......  申し訳ございません。 

わたし...... こんなの初めてで......」   

「問題ない...... ロクサーヌがよろこんでくれたなら」

「あ...はい。 その、とても気持ちよかったです......

ありがとうございました」

「そんなに気持ちよかったのか?」

「はい。凄かったです。私...... なんどもイッてしまいました」

「そうか、俺も気持ちよかったぞ」

「ご主人様によろこんで頂けて、うれしいです」

「ああ。これからもよろしく」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

それから、ご主人様に長めにキスしていただき、優しく抱き寄せられた。

「おやすみ。ロクサーヌ」  

「おやすみなさいませ。ご主人様」 

 

その夜は、そのままご主人様の腕の中で、幸福感に包まれながら眠りについた。

 

 

それから数日、私は大好きなご主人様とふたりっきりの生活を満喫している。 

 

毎朝一緒に起きて、一緒に迷宮にいき、一緒に朝食を食べる。

一緒にお買い物もするし、一緒に夕食も食べる。

毎晩可愛がって頂き、必ずイカせて頂く。

そして、その後は一緒のベッドで寝かせて頂く。

それに、何度も...... 毎日何度もキスをする。

お互いに舌をからませて...... 求め合うようなキスを......

 

わたしは奴隷だし、こんなことを考えるのはおこがましいとは思うけど...... いま、とってもしあわせ。 

このままの生活がずっと続いてほしいって思ってしまう。

 

ふと...... 新婚生活ってこんな感じなのかなって...... 

そんなことを考えて...... 赤面してしまう......

 

 

そんな生活に、きょうは一つの変化がありました。

 

午前中の迷宮探索が終わったあと、うちに大きなタライが届いたのです。

ご主人様は、このタライにお湯を貯めてお風呂にするそうです。

 

「ロクサーヌ、前の住民が排水管をつなげただけで他には何も無かった部屋があるだろ。そこまでコレを運ぶから手伝ってくれ」   

「排水管をつなげた部屋......」

私はその部屋を思い浮かべた。

 

あの部屋はちょっと変わっている。

何故かとなりの小部屋からしか行けず、床が1段低い。

それに、床一面にセメントがぬられていて、水がこぼれても下の階に漏れる心配がない。

私はお風呂にはいったことは無いけど、お風呂場にするにはちょうどいい部屋なんだと思う。

そう、2階の広い部屋...... 2階の...... 

2階?!                  

             

「えっと......  

に、2階の広い部屋ですよね...... 

が、頑張ります」

コレを2階まで運ぶってことは、階段をあがるってことだ。 おもそうだし、ちょっと無理なんじゃ......  

それとも、いままで気付かなかったけど、ご主人様は力もそうとうあるってこと? 

 

あ、あれのことを考えると、体力はかなりありそうって思うけど...... 恥ずかしい。

 

「転がして運べるから余裕だろ」

「えっと...... はい。が、頑張ります......」  

あれっ? ご主人様が疑問がおだ。

も、もしかして、私が力持ちだと思われてる?! 

 

私が焦っていると、ご主人様はあっさりワープのゲートを開き、通り抜けると2階の広い部屋だった......  

 

ですよねー......        

      

ご主人様のワープはいつも見てるのに......

私ったら......  

 

「ん? ロクサーヌ、かお赤いけど、重かったか?」

「大丈夫です...... 恥ずかしいだけです......」

「...... なんで?」  

 

転がしてきたタライを二人で慎重に寝かせると、ご主人様はさっそくお風呂の準備をはじめました。

 

ご主人様は何度も魔法で水壁を出してかめに水を貯め、火球を撃ち込んでお湯を作り

タライに移してお湯を貯めていましたが、かなり大変なようでした。

わたしはかめのお湯をタライに移す手伝いをしていましたが、何度か繰り返したあと、ご主人様から迷宮に行くと言われました。

 

迷宮にワープしたので魔物を探すと、ご主人様はデュランダル(ご主人様愛用の高そうな両手剣)で、魔物をめったぎりにしていた。

そうとうストレスがたまっていたみたいだ。

 

何匹か魔物をかるとご主人様はスッキリした顔になり、家に戻ってタライにお湯を貯める作業を再開した。

 

その後も、お湯を貯めては迷宮にいってのストレス発散を繰り返していたけど、途中から意地になったのか、私は部屋の外で待つよう指示され、迷宮だけ魔物探しで同行するようになった。

 

結局お風呂の準備に2時間ほどかかった。

ご主人様は部屋から汗だくで出てきたので、手ぬぐいを渡しながら「お疲れ様でした」と声をかけた。   

 

「時間もあるし、いちど迷宮に行き、夕食を取ってからお風呂に入ろう」

「えっと。私もよろしいのですか」

「もちろん。そのつもりだが?」

 

「風呂に入るのは王侯貴族だけです。それに途中から、外で待つように言われましたので」 

「そとで待ってもらったのは中が蒸し暑いからだ。二人とも汗まみれになることはない」  

「そうでしたか、何かご主人様にとって特別なことがあるのかと思っていました」

「まあ特別は特別だな。ロクサーヌと一緒に入るから」  

「え。......あ、あの」  

「一緒にはいってくれるよな」  

「は、はい。ありがとうございます」    

ご主人様が私を風呂場のそとで待たせたのは、意地じゃなくて優しさゆえでした。

ご主人様...... 大好きです。        

         

夕食のあと、ご主人様とお風呂にはいった。

全身をお湯に漬けて寝転がると、ご主人様はわたしを抱き寄せてくれた。

「うーん。最高だ」

「はい、とてもいい気分です」

 

それからご主人様はあたまを沈めて髪の毛を洗ったので、私も真似してやってみた。

スッキリして気持ちいい。

 

お湯の中でわたしの尻尾が触れたのか、ご主人様はいった。

「ロクサーヌの尻尾が気持ちいい」

「そうですか?ありがとうございます」 

私はご主人様に背を向けて、お湯の中で左右に腰を振り、しっぽをご主人様の太腿にすり付けると、とてもよろこんでくれた。 

 

その後、からだがあたたまるまでしばらくお湯につかり、ご主人様と一緒にあがった。

 

小部屋に移動して、

私は乾いた布でご主人様のからだを拭き、自分のからだも拭くと、裸のままご主人様に手を引かれて寝室まで連れて行かれた。

お風呂でじゅうぶんあたたまったせいか、からだがホカホカしてぜんぜん寒くない。       

っていうか、むしろ、気持ちいい。    

 

そして、その後はたっぷり可愛がっていただきました。

 

その日以降、何日かにいちど、迷宮の階層突破記念でご主人様とお風呂にはいるようになりました。

 

それと、全裸での移動が、ちょっとクセになりました。

 

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