ロクサーヌの想い   作:龍いち

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覚悟と嫉妬とメイド服

わたしの名はロクサーヌ。

狼人族で16才の獣戦士、そしてご主人様(加賀道夫)の一番奴隷。

 

大好きなご主人様、かわいい後輩奴隷のセリーと三人で、

クーラタルの一軒屋でしあわせにくらしている。  

 

お仕事は迷宮探索。

 

クーラタルとベイルの2つの迷宮を同時に探索しており、どちらも9階層まで到達している。

 

今日はいつもより早く迷宮探索を終わらせて、うちに帰ってきた。

この時間に帰るということは......お風呂かな? だとしたらうれしいな。 

ちょっと期待しながらご主人様に聞いてみた。

 

「今日は少し早いのですね。お風呂をお入れになるのですか?」

「悪いな。風呂ではないのだ。ベイルの商館に行く」

「商館ですか。仲間が増えるのですか?」  

残念。しかも商館って...... 

 

増員を考えているならご主人様についていかないと......

そう考えつつ緊張してご主人様の言葉をまったけど、あっさり否定された。  

 

「残念ながらそれでもない。まだおかねも足りないしな。

もちろん、パーティーメンバーはいずれ増やすつもりでいる。

戦力の充実を図るのは当然だからな。二人ともそのつもりでいるように」

「はい。もちろんです」

「かしこまりました」

 

はあ。 いずれパーティーメンバーが増えるのは仕方がないけど...... 

今の関係を崩さない人がいいな......   

 

そんな私の気持ちが通じたのか、ご主人様は言ってくださった。

「目的はあくまで戦力の拡充だ。ロクサーヌやセリーとうまくやっていけない者を入れるつもりはない。

その点は安心していいぞ」

「はい......」 

   

ご主人様。

いくら言葉をかさねても、目を泳がせながらじゃハーレムメンバーを増やしたいっていう気持ちがバレバレです。

全くもう...... セリーみたいにいっぽ引いてくれるような子なら我慢しますけど...... 

浮気は許さないですからね。  

 

セリーは...... 真顔になってる。好感度が下がってるときの顔ね。 

そんなことを考えつつ、私は次の言葉を待った。

 

「それはそれとして、今日行くのは別の理由だ。服を取りに行く。あとは遺言かな。

ロクサーヌに対する遺言は変更なしでいいか?」

「はい。もちろんです」

私は自信をもってうなずいた。

 

「セリーもよく頑張ってくれるしな。

セリーは遺言によって俺が死んだら解放されるようにしてこようと思う」

「私はまだお世話になり始めたばかりですが、よろしいのですか」

「問題ない」

「ありがとうございます」

 

「セリーのことは信用している」

「信用にむくいられるようにがんばります。

ロクサーヌさんも、もう解放という遺言になっているのですか」

「いや。ロクサーヌは......」

セリーが質問するとご主人様は少し苦笑い気味になりくちごもった。

 

「私はご主人様がお亡くなりになっても解放されません」

「えっ!そうなのですか?」

ご主人様のかわりに私がキッパリ答えると、セリーは驚いて私とご主人様を交互に見た。

 

「ご主人様をお守りするのが私の役目です。何があっても、身を挺してでもご主人様をお守りしなければなりません。

だから解放される理由はないのです。ご主人様が亡くなられるときは私の任務が失敗したときです。あとを追うのも当然です。

それに、ご主人様のいない世界で生きていたいとも思いません」

私が一気に言い切ると、セリーはけおされたのか口を開けたまま言いよどんでいる。

 

「えっと......」 

セリーがくちごもってしまったので、ご主人様は苦笑いしながら助け舟を出して少し話をし、最終的にセリーはご主人様の死後は解放される遺言とすることになった。

 

その後、ご主人様が商館に出かけたので、少し早いけどセリーと夕食の下準備を始めた。

「セリーはメイド服を着たことがありますか?」

「私はありません。ロクサーヌさんは?」

「私は二度あります。

 一度目は商館で、ご主人様に初めて会ったときに。二度目はこの家に住んでから、このまえの休日に」

「休日に? このまえの?」

「ふふ。そうです。買い物から帰ってきたあと、メイド服に着替えて掃除をしてたんです。

そうしたらご主人様が帰ってきて、ここから抱きかかえてもらってベッドまで運んでいただきました」

「そ、それは...... その......」

セリーは顔が真っ赤になっている。

 

「セリー。ご主人様がメイド服を持って帰ってきたら、ここで着替えてください」

「えっ。ここでですか?」

「セリーが着替え始めたら、私もここにメイド服を持ってきて着替えます。

そうしたらふたりともベッドに運んでもらえると思いますよ」

「えっ、で、でも...... まだ夕食前ですし......」

「大丈夫です。ご主人様ですから」

「......」

 

「セリー、ご主人様がさっきいずれパーティーメンバーを増やすって言ったの覚えています?」

「はい」

「そのとき目が泳いでいたことは?」

「気付いてます。頬も少し赤かったですし、

ご主人様のことだから女性メンバーの増員を考えていると思います」

「そうですよね。ですので、もし女性メンバーがふえてもご主人様が私たちをないがしろに出来ないよう、

二人でご奉仕して気持ちよくなっていただくのです」

「そ、そうですか...... それは、ロクサーヌさんが、その......」

セリーは首まで赤くなっている。

 

「セリーはご奉仕することは嫌なのですか?」

「嫌じゃないです。

ご主人様が気持ちよくなってくれたときはうれしいし、その、私も気持ちいいし…… ただ、自信がないので......」

「大丈夫です。二人で頑張ればきっとご主人様によろこんでいただけます」

その後も料理をしながら、二人で作戦の詳細を詰めた。

 

1時間後、ご主人様が帰ってきて、セリーにメイド服の入ったケースをわたした。

「セリーの服だ。タンスにでもしまっとけ」

 

作戦決行だ。まずはセリーから。

「着てみてもよろしいでしょうか」

「そうだな。いいだろう」

セリーは予定通り部屋の隅に移動し、ご主人様から見えるように服を脱ぎ始めた。

そして、少し恥ずかしそうにからだを隠しながらメイド服を着始める。

 

思った通りご主人様が釘付けになっていることを確認し、作戦の第二段階へ。

「えっと。私も着てもよろしいでしょうか」

「え、ああ......」

私はメイド服を取りに行き、ダイニングに戻って着替えを始めた。

セリーが着替え終わってるので、ご主人様は今度は私に釘付けとなった。

「......やっぱりロクサーヌさんのは大きいです」

セリーが落ち込んでる......

 

ご主人様は我慢できなくなったのか、私に近づいてくる。

「ロ、ロクサーヌもボタンを閉めてやる」

「ありがとうございます、ご主人様」

ご主人様は私の後ろに回りこみながらセリーに声をかけた。

「セリーも、よく似合ってるぞ。小柄なおかげで可愛らしい」

「ありがとうございます」

 

ご主人様がメイド服の背中のボタンを閉め終わったので振り返った。

「ご主人様」

「なんだ?」

「私の衣装はどうですか」

「もちろん最高に似合っているぞ」

「ありがとうございます。あ、あの......」

 

ここから作戦の第三段階。

私はご主人様から目をそらせて少し顔を伏せた。

「どうした」

「この間みたいに運んでいただけますか」

 

次の瞬間、私はご主人様にお姫様抱っこされていた。

「セリーは次に運ぶからちょっと待っていなさい」

「かしこまりました」

 

ご主人様は私を寝室に運んで降ろすと、熱いキスをしてきてくれた。

「セリーを連れてくるからちょっと待っててくれ」

「はい。ご主人様」

 

ご主人様はセリーを迎えに行き、お姫様抱っこで連れてきた。

私とセリーはご主人様の前に並び、同時にあたまをさげた。

「ご主人様。こよいはわたくしたち二人でご奉仕させていただきます」

「ご主人様はわたくしたちに御身をゆだね、気持ちよくなってください」

「う、うむ」

 

私はご主人様の上着を脱がし、セリーはズボンと肌着を脱がした。

次に私がご主人様の正面に立ち、背中のボタンをセリーが外す。そして、メイド服と肌着を脱いで裸になる。

次にセリーがご主人様の正面に立ち、背中のボタンを私が外す。そして、メイド服と肌着を脱いで裸になる。

 

もうご主人様のアレは暴発寸前になっている。

 

私はご主人様の手を引いてベッドに寝かせ、そのままキス。

続いてセリーがキスしているあいだに足元に移動し、ご主人様のアレにキス。そして舌でチロチロなめまわす。

セリーも下がってきてご主人様のアレにキス。

私はアレを右手でしごきながら、右から先っぽをなめ、セリーは左からなめる。

二人でなめながらご主人様を見ると、すごく気持ちいいみたいで、からだを少しそらせながらシーツをつかんでいた。

「うっ......  んぐっ......」

ご主人様から声が漏れた。必死に我慢しているみたい。            

   

ご主人様が暴発する前に私が上になって秘部をひらき、ご主人様のアレを迎え入れた。そして、じらすようにゆっくり腰を動かして、ご主人様のアレをなぶるようにご奉仕した。同時にセリーがご主人様に胸を吸わせる。

すると、まもなくご主人様の腰がビクッ ビクッと跳ね上がり、私のなかに果ててしまった。

私はご主人様を迎え入れたまま、そのままご奉仕をつづけると、私のなかでご主人様のアレがまたふくらみはじめ、固くなってきた。

しばらく快感にゆだねてご奉仕したあと、私はご主人様から離れてセリーと場所を変わった。

 

そして、セリーをご主人様の上にまたがらせ、秘部をひらいてご主人様のアレを迎え入れさせた。

セリーはご主人様のお腹に両手をついた状態で腰を上下に動かしはじめたが、

すこしすると、ご主人様は我慢できなくなったのか、セリーの腰を両手でつかみ、下から激しく突き始めた。

セリーはご主人様につかれるたびにからだをビクビクとふるわせてあえぎごえがもれる。

ふふ。セリーったら、とても気持ちがいいみたいね。

 

私はご主人様にキスしてから、よつんばいになってあたまのうえに覆いかぶさり、ご主人様の口にみぎの乳首を含ませた。

ご主人様は乳首に舌をからませ、しつようにねぶってくる。右のつぎはひだり、そしてまたみぎ。

繰り返していると、急にご主人様の舌がとまり...... 声が漏れた......  

「くっ......」

次の瞬間、ご主人様はセリーのなかに果ててしまった。 

 

私とセリーは息をととのえ、ご主人様の左右からだきついて、同時に耳もとでささやいた。

「ご満足いただけましたか?」

「二人とも...... 最高だ」

ご主人様はとても満足そうな顔をして目をとじ、そのあと少し眠った。

 

私たちはご主人様のとなりでよこになり、ふたりでこうごにご主人様の髪をすきながら余韻を楽しんだ。

 

少しするとだんだん落ち着いてきた。

そして、つい先ほどからのことを思い返し、顔から火が出るくらい恥しくなった。

 

いまさらだけど...... 

なんてはしたないことをしちゃったんだろう......

うぅ... 

 

少し休憩してから、私とセリーは夕食づくりの続きをするため寝室からダイニングに移動した。

セリーにスープを温めてもらい、私が野菜炒めを作った。

 

「セリー、お疲れ様」

「はい。ご主人様に満足していただけて、よかったです。ロクサーヌさんのおかげです」

「私の? 二人で頑張ったからですよ」

「そんな、私なんか...... 胸も小さいですし」

 

はー...... まったくこの子は...... 

もう少し自信を持たせないと。

 

「セリー、あなたはそろそろ自分のみりょくに気づくべきです」

「わ、私のみりょくですか?」

「そうです。

セリーはからだは小さいですが美人です。

胸が小さいといってもちゃんとあります。ご主人様が毎晩セリーの胸を可愛がっているのは同情してるからではなく、好きだからですよ。

それに、ご主人様はセリーはスタイルがいいって言ってよろこんでましたし、セリーの胸が私ぐらい大きかったら逆に気持ち悪いみたいなことも言ってました。

さっきもセリーが着替えたとき、ご主人様は目が釘付けになってましたよね」

「そ、そうでしたけど...... それは、その...... ご主人様がエッチだからじゃ......」

「ふふ。それでもいいじゃないですか。

ご主人様はいまのセリーが好きなんです。

ご主人様にとってみりょくてきなら、それでいいんですよ」

「はい...... ありがとうございます」

 

いまいちなっとくしてないようね。

じゃあ、もうひと押し。

 

「それに、女性の武器は胸だけではありません。セリーにはすごい武器があるじゃないですか」

「えっ、武器ですか?」

「さっきもご主人様、我慢できなくなって手を出してましたよ」

「えっ? なんのことですか?」

「ご主人様、下からセリーの腰をつかんで、激しくつきあげてたでしょ」

「えっ、そ、そそ、そんなこと。 私、気づきませんでした」

「ふふ。やっぱりセリーのここ、すごく気持ちいいみたいですね。ちょっと嫉妬しちゃいます」

 

私がセリーの股間に軽く触れると、顔をまっかにしてうつむいた。

セリー、かわい過ぎる。 

 

「だから、少しは自信もってね」

「はい...... ありがとうございます」

 

セリーのあたまから湯気が出た......

やりすぎたかしら。

 

夕食が出来上がったので、食卓への配膳をセリーに任せ、私はご主人様をおこしに寝室に行った。

ご主人様をかるく揺すり、耳元で声をかけた。

「ご主人様、夕食の準備が出来ました」  

 

ご主人様はゆっくり目を開けると、私を抱き寄せてキスしてきた。

「ご、ごしゅ...... あむ...... あ...... ま...... まって...... あん......」

「......ん?  あ、 ロクサーヌ?」  

 

「あ、あの、夕食の準備が出来ました」

「あ、ありがとう。すまない。ねむってしまったか」

「いえ、大丈夫です。

あの、ご主人様によろこんでいただけたようで

うれしいです」

私は恥ずかしくなって少しうつむいた。

 

ご主人様が起きあがったので着替えを手伝い、

ご主人様のうしろについて寝室から廊下に出た。

階段をおりてダイニングの前まで行くと、ご主人様が急に振りかえり私を抱きとめた。

「ロクサーヌ、さっきのやつ...... 今度また、やってくれるか?」

「は、はい」

答えると、ご主人様はまた私にキスしてきた。

「ん、んむ...  ご、ごしゅ...... あむ...... あ...... ま...... まって...... あん...... セリー... きこえ......」

 

ご主人様のくちびるが離れたので、いきをととのえてから、小さな声で抗議した。  

「ご主人様、その、うれしいですけど、

ここではセリーに聞こえてしまいます」

 

ご主人様はだまってきびすを返すと、ダイニングにはいっていった。

ダイニングに行くと、配膳が終わっていた。

そして、テーブルの横に顔を赤らめたセリーが立っていた。やっぱり廊下での会話が聞こえていたようだ。

 

ご主人様はだまってセリーを抱きかかえ、熱いキスをした。セリーはすなおに受けいれている。

「セリー、さっきのやつ、今度また頼むな」

「は、はい。ロクサーヌさんといっしょに頑張ってご奉仕させていただきます」

「ああ、よろしく」

もう。ご主人様ったら、

わざと聞かせてたのね。   

 

日が落ちて暗くなってしまったので、蝋燭に火をつけて三人で少し遅い夕食をとった。        

そして夕食後、三人で寝室に行きオヤスミのキスをした。

 

先ほどご奉仕させていただいてから、さほど時間はたってはいなかったけど......

ひと眠りしてスッキリしたためか、ご主人様は元気だった。

私もセリーもキッチリいかされてしまった。しかも2回ずつ......  

 

やっぱりご主人様はすごい。

 

その夜はセリーと話をすることもなく、心地よい疲れに任せて眠りについた。

 

◆ ◆ ◆

 

翌朝、クーラタルの迷宮九階層に移動して探索をはじめると、最初に入った小部屋で宝箱を発見した。

「ご主人様、宝箱です」

ご主人様はミミックかもしれないので慎重に確認するよう言ってきたが、セリーが11階層から下の階ではボスが擬態している可能性はないことを教えてくれたので安心してシミターを突き刺した。

 

すると、中から出てきたのは銀貨だった。

「ご主人様、銀貨ですね。13枚あります」

「そうか、微妙な金額だな」

「そうですか? かさばらないので弱い装備品よりはマシだと思いますが......」

「確かにそうだな」

私は銀貨を拾ってご主人様にわたすと、ご主人様はアイテムボックスの中にほうりこんだ。

 

「ついでだから次は俺も剣で戦う」

ご主人様がそう宣言したので通路に戻ると、次に見つけた魔物はニートアント4匹だった。

 

「来ました」

「行くぞ」

通常、魔物4匹の場合は3匹が前で1匹が後ろとなることが多いが、ニートアントは珍しく4匹並んでいた。

私は右の2匹、セリーが中央左側の1匹を引き付けているうちに、ご主人様が一番左の1匹を瞬殺した。

 

次にご主人様は3匹の後ろに回り込みセリーが相手にしている中央のニートアントに襲い掛かったが、私の抑えていた真ん中よりのニートアントの下に魔法陣が浮かぶと体と腕を伸ばして無理やり攻撃し、詠唱を中断させた。

 

すると、次の瞬間セリーが相手にしていた左のニートアントの攻撃をうけてしまった。

ダメージはそれほどないようだけど、表情がくもり額から汗が噴き出している。

あれは間違いなく毒を受けた症状だ。

「ご主人様。毒消し丸を飲んでください」

私はご主人様に声をかけたが、聞こえていないようでセリーが相手にしていたニートアントをデュランダルで切り伏せた。

そして次の瞬間、その場に膝をついてしまった。

 

「セリー、ご主人様をお願いします」

私は2匹を相手していて動けないので、セリーにご主人様を託した。

 

セリーはご主人様に駆け寄るとアイテムボックスから毒消し丸を出し、口に含んでキスをした。

ご主人様はセリーに抱きつきくちびるをむさぼるように吸い付いていたけど、少しすると口を離してセリーの説明を聞き出した。

そして、ハッとわれに返って私が戦っていることに気付くと、ニートアントの横から襲い掛かり2匹とも切り伏せた。

 

「ご主人様、大丈夫ですか」

「もう大丈夫だ。悪かったな。ロクサーヌにも心配をかけた。一度、さっきの小部屋に戻ろう」

私たちはすぐに先ほど宝箱を見つけた小部屋に引き返した。

 

「ここまでくれば大丈夫です」

「助かった。二人のおかげだな。ロクサーヌはよく魔物の相手をしてくれたし、セリーが薬を飲ませてくれなかったら危なかった。ありがとう。改めて礼を言う」

「ありがとうございます。当然のことをしたまでです」

「は、はい……」

当然のことなので、私は堂々と胸を張って答えたけれど、セリーは恥ずかしそうに下を向いて答えていた。

 

セリーは恥ずかしそうにしているけれど、私からするとうらやましい。

私も切羽詰まった状況で、ご主人様とキスしてみたい。

「ですけど、ちょっと私もしてみたかったです。セリーばかり二度も......」

嫉妬からか、思わず本音をつぶやいてしまった。

 

するとご主人様から声がかかった。

「水でも飲んで一息入れるか。二人ともコップを出せ」

「はい」

私とセリーはリュックサックからコップを取り出して、ご主人様の魔法で水を入れてもらった。

 

「ロクサーヌ」

「はい、何でしょう?」

「まだちょっとつらい。口移しで水を飲ませてもらえないかな」

私のつぶやきが聞こえていたのか、ご主人様から口移しを頼まれた。

ちょっと違うシチュエーションなんだけど、そう言ってくれるご主人様の気持ちがうれしくて、

私は水を口に含むとご主人様にキスをした。

 

くち移しで水を飲ませると、ご主人様はくちを離せないように私のあたまの後ろを手で押さえつけ、そのまま舌を差し込んできた。

そしてそのまま口の中を激しく蹂躙し、舌と舌を絡めあう。

迷宮の中にいることを忘れてしまうほど激しくキスをされ、私は骨抜きにされてしまった。

 

「ああ、楽になった。ありがとう」

「は、はい……」

私は恥ずかしくなり、気が付くとセリーと同じように下を向いて答えていた。

 

その後、2時間ほど探索を進め、それから朝食を食べにいえに戻った。

 

そして朝食後、商人ギルドで芋虫のモンスターカードを購入、

昼にはペルマスクに行って鏡を購入してきた。

 

いえに帰ってペルマスクでのことをご主人様に報告し終えると、ご主人様は厳かに宣言した。

「さて、いよいよこのときがやってきたな」

ご主人様は午前中に買った芋虫のモンスターカードと、足首に結んでいたミサンガを外してセリーに手渡した。

「は、はい」

セリーは緊張した面持ちでそれを受け取った。

 

「セリーは確かに優秀だという俺の見立てが試されることになる」

「えっと。最初に作ったミサンガで身代わりのミサンガを融合できた鍛冶師が成功するというのは俗信、迷信の類です」

「俗信だというのなら、最初に作ったミサンガで身代わりのミサンガを作り、かつ成功した鍛冶師の実例にセリーがなればいい。簡単なことだろう。なあ、ロクサーヌ」

「はい。ご主人様がそのように見立てられたのですから、セリーはきっと成功するに違いありません」

 

私が期待を込めて答えると、セリーは意を決した顔になった。

「では融合します」

セリーが集中してモンスターカード融合の詠唱を始めると、なぜかご主人様が少し慌てだした。

「いや、待て。あ、いや、今さらしょうがないか。いや、悪かったな。うん。作ってくれ」

 

ご主人様の動揺を無視するように詠唱は続けられ、セリーの手元が光ってあっさり融合が終了した。

「やりました」

セリーがこともなげに報告すると、ご主人様はセリーの手元に残ったミサンガを見てホッとした。

「おお、身代わりのミサンガが出来たか。心臓に悪いな」

 

「さすがですね、セリー。やはりセリーは鍛冶師として成功します。ご主人様が見込んだのだから間違いありません。見抜いたご主人様もさすがです」

ご主人様の安堵した姿を見てか、セリーも成功したことを実感したらしい。

とてもしあわせそうな顔になっている。

「ありがとうございます、ロクサーヌさん」

「と、とにかくよかった。さすがはセリーだ」

「はい。ありがとうございます」

 

ご主人様はさっそく身代わりのミサンガを自分の左足首に結び付けると、すぐに迷宮に行くと言い出した。

そしてベイルの迷宮9階層に行ってウサギを狩りまくり、1時間ほどでボス部屋に到着した。

 

「ちょっと俺一人で相手にしてみるから、ロクサーヌとセリーは少し離れていてくれ」

「だ、大丈夫ですか?」

「ああ、試してみたいことがあるから、マズそうなときは声をかける」

「でも、もしものことがあったら......」

「身代わりのミサンガがあるから大丈夫だ」

「ご主人様、ダメです。それは一度しか身代わりになりません」

「大丈夫。お前たちのご主人様は、そんなに弱くないから」

「......」

 

ご主人様は身代わりのミサンガを付けてから明らかに浮かれている。

私は心配だったので、小声でセリーに話しかけた。

「セリー、ご主人様が攻撃をうけたら私はラピッドラビットに迷わず突っ込みます。

セリーはご主人様の盾になってください」

セリーはコクリとうなずいたので、私はいつでも飛び出すつもりでボス部屋に入った。

 

しかし、結果としてはラピッドラビットは今日のご主人様の敵ではなかった。

 

ボス部屋が開くとご主人様は部屋の中央に駆け寄り、ラピッドラビットの正面に立った。

そして、高速で動き出したラピッドラビットを切り飛ばすと、落下する前に残像しか見えないくらいの高速で回り込んで切り飛ばし、それを繰り返して十数秒で倒してしまった。

 

「ご主人様、すごいです。あんな戦いが出来るなんて、凄すぎです。

私の目ではほとんど追いきれませんでした」

「いや、けっこうギリギリだ。ラッシュとオーバーホエルミングを使いまくったんでけっこう疲れた」

ご主人様は肩を上下させてハアハア息をしていた。

私は興奮してご主人様に話しかけたが、セリーの声が聞こえない。

私は気になってセリーを見ると、くちをあんぐりあけたまま呆けていた。

何が起こったのか分からないみたいだ。

 

「セリー?」

「は、はい。 え、え、ええええええええっ! な、なにが起きたんですか?」

私が肩をゆすって呼びかけると、セリーはハッとわれに返り、そしてものすごくおどろきだした。

いつもの彼女の態度と大きくかけはなれていて、少しおかしくなってしまった。

 

「わ、私には全然見えませんでした。ご主人様が消えてしまって、気付いたら終わってて......

ご主人様、凄いです」

「はは、まあな。でも、これは疲れるから封印だな。これからも今まで通り、二人に頼るからな」

「お任せください。でも、ご主人様がこれほど強いことを知っていれば、私たちは安心して戦えます」

「そうです。安心して戦えます。これからもよろしくお願いいたします」

「ああ、こちらこそよろしく。じゃあ、10階層にあがろうか」

「はい」

 

私たちはボス部屋奥の扉をくぐり、10階層に移動した。

 

「ベイルの迷宮十階層の魔物は何だ?」

「ニートアントです」

ご主人様は一瞬嫌な顔をした。早朝の探索で毒をもらったことを気にしているのかもしれない。

 

「ご主人様。毒消し丸を一つ頂けますか?」

「ん?どうしてだ?」

「次にご主人様が毒を受けたときは、私が助けます」

「はははは、毒は受けたくないんだけどな......」

そう言いながらもご主人様は毒消し丸を一つ手渡してくれたので、私は受け取りズボンの内ポケットにしまった。

 

その後、2時間ほど魔物をかり、今日の探索を終了した。

ニートアントとは何度も戦ったが、結局毒消し丸の出番はなかった。

 

クーラタルの冒険者ギルドに移動してカウンターでアイテムを売ったあと、ご主人様は言い出した。

「ロクサーヌとセリーは夕食の食材を買って先に帰り、夕飯の準備をしててくれるか?」

「かしこまりました。ご主人様はどうされるのですか?」

「俺はちょっと帝都に行って、かがみの値段を見てくる」

「明日のための市場調査というわけですね。エルフは何を考えているかわかりません。

騙されないように先に調べておくなんてさすがです」

「まあ、そんな大げさなもんじゃないがな」

「さすがご主人様です。夕飯はお任せください」

「ああ、よろしく頼む」

ご主人様は私に小銭入れを預け、帝都に向かってワープしていった。

 

私はご主人様から預かった小銭入れを腰に下げると、セリーと夕飯のメニューを考えながら食材を買いに歩き出した。

「今日はなににしましょう」

「塩漬けハム、芋、人参と玉ねぎのスープなんてどうですか?」

私が問いかけるとセリーは少し考えて答えた。

考えてみると、二人だけで買い物に行くことは初めてだ。

いつもはご主人様と一緒か、足りない物をわたしかセリーが一人で買いに行く。

たまにはこうやって二人で話しながら歩くのも、悪くないと思う。

「いいですね。あと、葉野菜ときのこ、それに溶き卵を加えた炒め物はどうでしょう」

「いいと思います。あとは、パンと飲み物はハーブティーでいいですよね」

「そうしましょう。それじゃあ買うのは、卵とパン、それと......きのこですか?」

「そうですね。あとは買い置きがあるので問題ないと思います」

 

話しながらパン屋の前まで来ると、セリーがぽつりとつぶやいた。

「それにしても、ご主人様って凄いですね。私は自分が奴隷だってこと、忘れてしまいそうです」

「そうですね。ご主人様に買っていただいた私たちは、運が良かったのです。ですので、精いっぱいご主人様にお返ししなくてはなりません」

「はい。ご主人様の気持ちにこたえられるよう頑張ります」

セリーはグッとこぶしを握り、気持ちを改めたようだった。

「まずはパン屋からですね。ご主人様が好きな、いつもの高級パンでいいですよね」

「そうですね。ところでロクサーヌさん、さっきご主人様からいくら預かったのですか?」

「そう言えば中身を確認していませんでした。まあ、2,30枚は入ってそうだから足りないとは思いませんが」

私はクスリと笑いながらご主人様から預かった小銭入れを腰から外し、なかを見た。

なかには銅貨に混じって銀貨も10枚以上入っていた。そして1枚金貨が......「!」

 

ご主人様!落としたらどうするんですかっ! 

くちには出せないので、私は心の中で叫んだ。

 

「ロクサーヌさん、どうしたのですか?」

私の様子を見て不審に思ったのかセリーが声をかけてきたので、無言で中身を見せると、

セリーは固まってしまった。

「えっと...... お金の心配はないですね」

「......そうですね」

 

その後、いえに帰りつくまで、私が小銭入れを手放さなかったのは言うまでもない。

 

 

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