恋愛感情が無くなった世界で恋愛の神様と暮らす話。   作:依知川咲也

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読み切り版からところどころ変わってるので読んでくれるの幸いです


2話 神様と出会った日

空から降ってきた中学生くらいの美少女が目の前で眠っている。

十人に言っても一人も信じてくれなさそうな状況である。

実際にその状況にあった僕はと言うと

 

「どういうこと…?」

 

もちろん大混乱だった。

だって考えてみてほしい。

 

急に空から光が降ってきたかと思ったらそれは銀髪の中学生くらいの見た目の美少女だなんて

どう考えてもアニメやマンガの世界の話だと思う。

 

そんな感じで混乱していると、目の前の美少女が目を覚ました。

まだ少し焦点が合っていない様子の水色の瞳で

 

「ん…?あれ…ここどこ…?私なんで知らないことで寝てたの…?」

 

少し混乱した様子で辺りを見回していた。しばらくして

 

「てかあれ!?身体小さくなってる!?まさか…」

 

少女は自分の手をまじまじと見て、なにか慌てた様子だった。

しばらくしてやっと僕の存在に気づいたみたいで話しかけてきた。

 

「ねえそこの君、好きな人っている?」

 

何を言ってくるかと思ったらいきなり好きな人を聞かれた。

 

「え…?い、いますけ…」

 

あまりにも突然聞かれたのでつい奏さんの事を思い浮かべながら正直に答えそうになった時、あることに気がついた。

 

何故か奏さんの魅力を思い出せなくなっていたのだ。

 

「あれ…なんで…?」

 

僕が戸惑っている様子をみて、その子が

 

「まさかいたはずなのに急に好きじゃなくなったとか?」

 

と言ってきた。

その通りだったので僕はつい頷いてしまう。

 

「やっぱり…」

 

少し悲しそうな顔をしながらも何かに納得した様子だった。

まさかこの子が関係してたりするのだろうか…いや流石にないか…

 

「あの…」

「あー…ともかく君には説明しなきゃね…まあ私も全部わかったわけじゃないんだけど」

 

少女が少し覚悟を決めた様子で言ってきた。

 

「まず、君の名前を聞いてもいい?」

「相戸優希…です…」

「優希くんって言うんだ!私の名前はアフロディーテ!恋愛の神だよ!」

 

思っていたよりフランクに話してきた。

それよりアフロディーテ?恋愛の神?僕の頭にはとある神話の神が思い浮かぶ。

 

「それってまさかギリシャ神話の?」

 

と僕が聞くと、

 

「よく知ってるね、ゼウスとかヘスティアみたいに有名どころってわけでもないから知らない人も多いと思ってたけど」

 

少し驚いた様子で彼女が言った。

どうやら思った通りの意味だったらしい。

しかし、一つ引っかかることがある。

 

「でもギリシャ神話って創作じゃないの?」

 

彼女は少し考えた後に

 

「事実を誇張しまくって原型とどめてないからほぼ創作って認識で問題ないよ」

 

神の名前とかは事実だよと付け加えて言った。

 

「みんなアフロディーテ…さんみたいな見た目なの?」

 

そう僕が聞くと、

 

「いや、今の私は力が制限されてるみたいで見た目も子供になっただけで本来は大人の姿だよ」

 

と答えてくれた。

 

「制限?」

 

まず何かあったのは間違いないだろうけど…

 

「ていうかアフロディーテって長いから言いにくいでしょ?なんか簡単な呼び方ないかなー?うーん…アフロは髪型みたいで嫌だし…アーテはほかの神になっちゃうし…なんかない?」

 

少し考えていたら唐突に呼び名を気にし始めた。

そんなこと言われても…

 

「アフロディーテだし…アフィーとか…?」

 

「アフィー…」

 

流石に神様に向かって失礼すぎたか…

 

「ご…ごめ((「いいねそれ!そう呼んでよ!」

「え?」

 

まさかの採用。

 

「なんか可愛いしいいじゃん!アフィーって呼んでね!」

 

どうやらとても気に入ったようだ

 

「アフィー…さん?」

「アフィー!さんは付けない!いいね?」

 

すごい勢いで行ってきたので、僕は頷くしか出来なかった。

 

「そういえば結構脱線しちゃったね…まあ多分封印されちゃったから体が縮んでるんだと思うよ…」

「なんで制限されてるかは聞いてもいい?」

「多分天界封印っていうのをされたみたい」

「天界封印…?天界から追い出されたみたいな感じ?」

「厳密に言うと少し違うけど、まあその認識で問題ないよ。天界封印は下界でいう殺害みたいなもので、禁止事項とされているよ。殺人と違うところは死ぬんじゃなくて下界に力を制限された状態で落とされるところだよ。」

 

どうやら何らかの誰かに故意に天界から追い出されたみたいだ。

 

「でも不思議なのが、本来天界封印なんてしたらすぐ周りに発覚すると思うんだけど…」

「誰にやられたかとかおぼえてるの?」

「いいや、わからない…」

 

僕は最初は混乱していたけどいつしか冷静になっていて、しばらくアフィーに質問しては答えてもらうと言うことが続いた。

そしてアフィーは、少し迷った後とある話を切り出してきた。

 

「実はね…君から恋愛感情が消えたのは多分私が封印された影響なの。」

「私たち神は封印されると力を失うと同時に下界から司るものが消えるの、例えば海の神ならこの世界から海が無くなるの、だから一つ欠けてしまうだけでも世界のバランスが崩れて滅びかねないから禁止事項とされているんだよ。」

 

「え…」

 

「ごめんね…」

「全然いいよ…怒るとかないし…」

「ていうかさっき封印されたら司るものが消えるって言ってたけど司るものがほかの神と被ってた時とかってどうなるの?ていうか恋心ならエロスじゃないの?」

 

たしかアフロディーテは愛と美と性のはずだ。

そしてエロスが恋心と性愛。

似てるけど少し違うはずだ。

 

「そんな違いに気づくなんてやっぱり知識人だね君は…実は封印されたら司るものが消えるのは私を含むオリンポス十二神だけなの。でもその代わりに類似したものも消えてしまうの。例えば私が司る愛に類似している恋心も消えてるでしょ?」

「たしかに…え?ちょっと待って恋心もってことは愛自体もちゃんと消えちゃってるの…?親愛とか敬愛とかも」

「そのはずだよ…」

「ていうか美と性と愛だから美と性も消えてるはずなのかな…」

「そうだと思う…」

 

あれ…でもおかしい。

僕は最初この子を美少女だと思った。

というかなんなら今でも思っている。

美が消えているなら美しいと思わないはずだ。

 

「ねえ、ちょっと来て」

 

僕は彼女に言うと、とある所へ歩き出した。

今くらいの時間なら見えるはず。

 

「どこに行くの?」

 

その場所に着いた。

 

「見て」

 

そこは夕焼けがとても綺麗に見れる場所だった。

僕はいつもいる木のそばから少し進むと着くところで見れる夕焼けが大好きだった。

 

「綺麗…」

 

アフィーがついそんなことを言っていた。

やはりだ。

 

「やっぱり今ここで見える夕日は今でも美しいと思うんだけど」

 

僕がそう言うと、アフィーは最初はきょとんとしていたが、

 

「あれ…どうして…?封印されたなら美しいと思うことも出来ないはずなのに…」

 

次第に気づいたらしく、考えを巡らせているようだった。

 

僕はアフィーが言っていたことを思い出した。

 

『でも不思議なのが、本来天界封印なんてしたらすぐ周りに発覚すると思うんだけど…』

 

「君は天界封印するとすぐにバレるって言ってたよね?」

「うん。多分発覚次第封印を解くと思うから戻れてるはずだと思ったんだけど…」

「でも戻れない。ということは誰も気づいていないってことだよね?」

「一応そういうことになるはず…」

「例えば恋心をだけを消し去ってそれ以外は消さないとかってできるのかな?」

 

僕がそう言うと、アフィーは少し驚いた様子で

 

「不可能じゃないかもしれないけどわざわざそんなこと…あ…何らかの方法で消す対象を恋心だけに絞ってこっそり封印するなら下界に及ぼす影響は少なくなるし、少ない力で行うことが出来るかも…」

「つまりは恋心だけを消し去りたい誰かがそれをした可能性があるって事だね?」

「多分…美が消えてない時点でその可能性が高いと見ていいと思う。」

「そうか…ねえ、君が天界に戻る為にはどうしたらいいの?」

「一応手っ取り早い方法としては上で封印を解いてもらうことだけど今回は難しそうだし…」

「まだ分からないんだよね?」

「うん…」

「じゃあできるだけの協力はするよ。せっかく出会ったんだし。」

「え?いいの?」

 

アフィーがすこし驚いた顔をしてこっちを見てくる。

 

「今までと全然違う空間に急に一人で投げ出されるのって大分辛いでしょ?僕なんかで安心できるかは分からないけど。」

「まあそうだね…申し訳ないけどお願いできるかな…」

「頼りになるかは知らないけどできることはするよ。」

 

そういうわけで、僕はアフィーが天界に戻れるように協力することを約束した。

 

 

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