恋愛感情が無くなった世界で恋愛の神様と暮らす話。 作:依知川咲也
真っ暗な部屋の中に二人はいた。
高校生くらいに見える青年と二十代前半くらいに見える女性だった。
女性が青年に声をかけた。
「アフロディーテの封印、しっかりできたみたい。」
そう聞くと青年が少し喜んだ様子で
「よし!気づいたやつはいるか?」
と聞いた。すると
「いや、唯一神を含め誰一人気づいていないさ。」
女性が言った。
「あとはしっかり恋心だけ感じられなくなっていたら完璧だな!」
「そうだね。」
「しかし、消えるものを絞ることで力を小さくして封印をバレにくくする。よくそんなこと考えたよね君。神のボクでも考えつかなかったのに。」
「まあな。」
自分を神と言った女性が壁にもたれかかって息を吐いた。
すると青年が不快感をあらわにしながら
「用が済んだのならはやく失せろ。」
と言った。
「あーごめんごめん。」
そういって彼女は部屋を出ようとする。
ドアの目の前でふと止まって、
「まあボクはアフロディーテを消せたんだから口出しはしないさ。後の計画にもちゃんと協力はするしね。でもせっかくの共犯者なんだからさーもうちょっと仲良くしてもよくない?」
そう言うと青年は
「お前と仲良くした覚えなんてない」
そう冷たく言った。
「はいはい…」
そう言った後部屋から出ていった。
そして青年は女性の気配が消えたことを確認したあと、
「奏さん…」
そう呟いた。
____
「ここが優希くんの家かー」
僕の家に入ったアフィーはそう呟いた。
「ようこそ我が家へ」
とか言うとなんか嫌がらせが頻発しそうだなと思いながら電気をつけた。
「まあ我が家って言っても一人なんだけどね」
「じゃあ今日からは二人暮らしだね!」
「…まあね。」
リビングにはテレビやソファー、机などの基本的な家具しか置いていない。
個人的な持ち物は自分の部屋に置いているのでそれ以外の部屋はどうしてもあんまり物を置かなくなってしまう。
「結構綺麗にしてるねー高校生の一人暮らしとかもう少し散らかってそうだけど」
「まあこんなもんだよ」
「ふーん」
そして僕はテレビをつけた後、
「ちょっとここで待ってて」
「わかったー」
アフィーにリビングに居るように言ったあと2階へ向かった。
2階には両親の部屋と、自分の部屋、あと物置とゲストルームがある。
アフィーにはゲストルームを使ってもらおうと思ったので、準備をしようと思っている。
長期休みなどで両親が帰ってくる時、たまに仕事仲間などを泊めるために連れてくることがある。そういう時に使用している。
年末年始に掃除しているとはいえ、あまり使われていないから少し整備しないといけないかもしれない。
物置から掃除機を取りだした後、ゲストルームに向かった。
ゲストルームは、床にカーペットが敷かれていて、その上にベッドと机、椅子が置かれているだけのシンプルな部屋だ。
とりあえずベッド下とカーペットに掃除機をかけ、机を拭いた。
案外綺麗だったのですぐに整備が終わった。
そして物置に掃除機を片付けてから、1階へ降りた。
リビングに入ると、アフィーは少し複雑そうな顔をしてソファーに座っていた。
「部屋はゲストルームがあるからそこを使って。…ってどうしたの?」
「ごめんね…半ば強引に泊めてもらうのに部屋まで用意してもらって…」
いやなんで急にそんな…
「待ってる間に考えてたら大分無理矢理だったなって…」
「いや全然いいよ。嫌じゃないっていうのは本当だし。」
「そう言ってくれると嬉しいよ…」
「とりあえず着いてきて?」
「…わかった。」
僕はアフィーを連れてゲストルームへ向かった。
____
僕はゲストルームに着いたあと、アフィーに少し説明をしていた。
「あとそこのクローゼットも自由に使っていいからね」
「おっけー!まあ他の服ないんだけどね。」
アフィーが少し笑いながらそう言ってきた。
さっきの暗い感じはもうなく、元の明るいアフィーに戻っている。
「あー…とりあえず替えの服くらいは買わないといけないかもね。その服も少し派手だし…」
「やっぱり派手だった?うーんでもお金ないからなぁ…」
「とりあえず僕が買ってもいいけどどうする?」
アフィーは複雑そうな顔で
「いや流石に悪いよ…泊めてもらうだけでもありがたいのに服とかまで買ってもらうのは…」
と言ってきた。
「結局他にも買わないといけないものもあるしそのついでだと思えばいいんだけど」
それに見た目が中学生なんだからバイトも無理だろう。
「じゃあ私が家事をするからさ、その報酬ってことにしてくれない?」
アフィーが少し考えてからそう言ってきた。
「いいけど…」
神様って家事できるのだろうか…
「君、さては家事できるか疑ってるでしょー」
「ま、まあ…」
「私結構器用だから任せてってー!」
力こぶを作るようなポーズをしてアピールしてくる。
筋力と器用さってあんまり関係ないと思うんだけど…
大丈夫なのかなぁ…
「わかった。とりあえずお願いするよ。」
「がんばりまーす!とりあえず今日はどういう風にするのかとか教えてね!」
アフィーは笑顔でそう言ってきた。
____
次の日の朝、起きて下に降りると、アフィーがご飯を作ってくれている最中だった。
僕に気づくと
「あっ優希くんおはよー!」
と言ってきた。
「おはよー。早速朝ごはん作ってくれてるのか、ありがとう。」
「うん!お礼なんてわざわざいいって!まあ簡単なやつだし。もうすぐできるから待ってて!」
「わかった。」
しばらくして、アフィーがテーブルに焼いた食パンとスクランブルエッグを並べてくれた。
とても美味しそうだった。
「じゃあ食べよっか!いただきまーす!」
「いただきます。」
食パンにスクランブルエッグを乗せてかじった。
「美味しい!」
そう言うとアフィーは嬉しそうに
「良かったー!」
と言っていた。
朝ごはんを食べ終わったあと、
「アフィー。今日は昨日言ってた通り服とかを買いに行こうと思う。」
「うん。お願いします!」
「とりあえず近くのショッピングモールに行こうか」
「わかった!」
僕達はその後、昼くらいに近くのショッピングモールへ向かった。
____
ショッピングモールに着いた。
「これ似合ってるかな?」
「これいい感じかも!」
「なにこれ可愛いー!!」
神様でも女性は買い物好きなのかな
アフィーはいつもより少しテンションの高い様子で服を選んでいた。
「あとは何か必要なものあるかな…」
僕がそう言うと、アフィーは恥ずかしそうにしながら
「あ、あの…し、下着とか…」
「あー…流石に僕は行かない方がいいと思うから自分で買ってきてもらってもいい?」
と言いながらお金を渡した。
「あ、ありがとう…モウシワケナイデス…」
考えてみると異性にお金を貰って下着を買うってかなり羞恥を覚えるだろうなと思った。
アフィーが買いに行っている間、店の近くで待っていると、とある人物が現れた。
「ゆ、優希くん…?」
その人物とは、奏さんのことだ。