恋愛感情が無くなった世界で恋愛の神様と暮らす話。   作:依知川咲也

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6話 学校にて

6話 学校にて

今日は月曜日、休み明けで学校が始まる日だ。

僕は家を出発する準備を完了させてからアフィーに話しかけた。

 

「じゃあ学校行ってくるから留守番お願いするね。多分5時半頃には帰ってくるから。何かあったら昨日教えたパソコンのチャットアプリ使って連絡して。」

 

昨日の夜、学校に行っている時の連絡手段を考えた結果

アフィーにスマホを持たせることは出来ないのでパソコンのチャットアプリを使うことになった。

アフィーはものすごく飲み込みが早くて、今まで操作したことの無いはずなのにあっという間にパソコンの操作に慣れていた。

まだ完全にはキーボード操作などは覚えきれていないらしいので一応タイピング表を置いておいた。

 

「了解!行ってらっしゃーい!頑張ってねー!」

「いってきます。」

 

____

 

僕は電車に乗り込んで空いている席に座ると、鞄から本を取りだした。アフィーと出会った時に読んでいた本だ。そして開いた時にあることに気づいた。

これ、まさに今の状況じゃね…?

まさか恋愛感情がなくなったらって本を読んでる時に本当にそうなってしまうとは…

とりあえず僕は本を開いて続きを読んだ。

 

物語はある日を境に恋愛感情が消えてしまった世界で、両片思いという状態だった男女は好きだった感情を思い出せず、しかし好きだったことは鮮明に覚えているという何ともいえない状態に陥る。

物語が進むにつれて男女はお互いに好きだったことを知り、恋愛感情を取り戻すために行動し始める…

 

ここで電車が目的地に着いたので僕は本を閉じて学校へ向かった。

 

「相戸優希。」

 

いきなりフルネームで呼ばれ、びっくりしながら後ろをむくと、

 

「あ、石黒くんか。どうしたの?」

 

この子は石黒隼人(いしぐろはやと)。いつも気配なく急に現れて話しかけてくるので本当にびっくりする。

 

「今日は奏さんと一緒じゃないのか?」

「…確かに今日は会わないね…まあ一緒に登校してるわけじゃないから合わない日もあるよ」

「そうか…じゃあな」

 

そう言って僕が返事する間もなく周りの人混みに紛れて消えたようにいなくなった。

いくらなんでも気配を消すのが上手すぎないかっていつも思う。

いつも急に現れたかと思ったら少し話したあと急に消えるのであんまりあの子の事はよく分からない。

 

「まあいっか…」

 

そう言って僕は学校へ向かっていった。

 

____

 

教室に入り、自分の席に座ると、横の席で寝ていたやつが起きてこっちを向いてきた。

 

「よお相戸」

 

そう声をかけてきたのは僕の数少ない友達のうちの一人である 三倉心(みくらもと)だ。生粋のアニメオタクで、特撮好きでもある。とある有名な配信者の大ファンである。普段はその人の配信に張り付いており、配信をしていない時はその人が一日3、4本上げる30分レベルの動画を見ており、余った時間でアニメを見たり、ラノベを読んだりしているという。

そして夜遅くまで毎日起きていて授業中はずっと寝ているので先生から毎回怒られている。

しかし、定期テストの成績は全く悪くなく、逆に上位をキープしているのが腹が立つところだ。

本人曰く、前日に詰め込めば何とかなるらしい。

 

「おはよう。今日はやけに眠そうだな。何時間寝たんだ?」

「えーっと…6時半寝だから30分かなー」

「は?」

 

まさかの時間単位じゃなかった。

 

「まあまあそう驚くなって…今日の配信は主が動画メンバーに撮影を任せるっていうのでさ、3時間もかけて企画したあと、3時間ずっと朝まで同じ話題で喧嘩してんのよ…ほかのメンバーが発狂したりしてめっちゃ面白くて寝れなかったね。」

「後日アーカイブとかで見たらいいのにどうしてそんな時間まで…」

「何言ってんだお前!生放送じゃないと面白さ半減するだろ!?Twitterとかで色んな情報流れてくるんだからよ!例えばお前みんなが2期決定おめでとー!とかツイートしてるの見てから配信みても何も面白くないだろ?他の奴らと同じタイミングで情報は手に入れないと面白くないんだよ!」

「はぁ…じゃあ例えばその配信者の配信とアニメとかの配信とかと時間帯が被ったらどうするんだ?」

「フッ安心してくれ…同時視聴だ!」

 

なんか自慢げにいってくる。

 

「同時視聴って一気に双方向から情報入ってくるから混乱しないか?」

「大丈夫だ!俺はあの人の配信を見ながら最大で2つのアニメのイベントを同時に見たことがある!」

「えぇ…」

 

僕が若干引いていると、スマホが震えた。

スマホを開くと、アフィーからメッセージが来ていた。

 

『醤油が切れてるみたいなんだけど帰りに買って来てくれない?』

 

了解と打っていると、三倉がスマホを覗き込んできた。

 

「彼女か!?しかも同棲中…?まさかお前が奏さん以外に…?」

 

三倉が信じられないみたいな目で僕を見てきた。

 

「違う!断じて違う!彼女じゃない!ていうかなんでそこで奏さんが出てくるんだ!」

「なんでって…だってお前奏さんのこと好きだろ?」

「い、いや、それ…は…」

「…は?なんだよその反応…まさか…あの奏さん一筋のお前があの人のことを好きじゃなくなった!?なんでだ!?」

 

返答に詰まっていると、三倉が察したのか騒ぎ出した。

 

「…さ、騒ぐなって!奏さんに聞こえたらどうするんだ!」

「いやそんなこと言ったってさあ…お前好きな人が出来たらその人一筋!みたいなタイプだろ。急に好きじゃなくなるなんて…そんなこと急に現れた神様が恋愛感情を封印してくるぐらいのことがないとありえないって…」

 

ちょっと惜しいのやめて欲しい。

 

そうこう話している間にチャイムがなり、先生が来たのでとりあえず席に着いた。

 

____

 

一日の終わりのSHRの時間になった。

先生の話を軽く聞き流していると、今日も体育以外の全授業を寝ていた三倉が話しかけてきた。

 

「おいおかしいぞ!」

 

どこか焦ったような様子だったので

 

「どうしたんだ。」

「ここじゃ他のやつに聞こえたらまずい!後で話す!」

 

じゃあ今言ってくるなよ…

 

そしてSHRが終わり、三倉に連れられて教室から離れた人気がない場所に行った。

 

「ここならいいか?」

「まあいいだろう。よく聞けよ相戸、俺は気づいてしまったんだ…」

 

わざわざ人気のないところまで連れてこられたのだ。重要な話なのかもしれない。

 

「何に気づいたんだ?」

 

 

 

「奏さんが今日1回もお前に話しかけに来てないんだよ!」

 

 

 

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