恋愛感情が無くなった世界で恋愛の神様と暮らす話。 作:依知川咲也
「奏さんが今日1回もお前に話しかけに来てないんだ!」
「はあ?」
そんなことを言うためにこんなところまで来たのか…
「なにがはぁ?だよ!一大事だぞ!奏さんは毎日欠かさず1回はお前に話しかけてきてたんだぞ!」
「何が一大事なんだよ…たまたま話しかけて来なかっただけだろ」
「は?お前…俺はなぁ!アニメラノベ特撮などなど色んな好きなものがあるけどなぁ!他人の恋愛事情を見ることも大好きなんだよ!」
なんのカミングアウトだよ
「人の恋愛事情気にする前に自分の心配しろ」
「俺はこんなんだからさーモテの欠片さえも無いわけよ!」
「自慢げに言うなそれを」
「まあそれは置いといて、あの学年一レベルで可愛いのに彼氏を作らない奏さんがだぞ?唯一脈アリっぽい雰囲気醸し出してるのがお前だったんだよ!」
「前々から言ってるけどさ、奏さんが僕なんかを好きになるはずがないんだよ。」
「だーかーらーなんでお前はそんなにそこに自信があるんだよぉぉ!」
ついに叫び出した。
「うるさい!」
そう言って頭にチョップを決めてやると、
「痛えな何すんだよ!」
「うるさいんだよ。話は終わりだな。早く帰るぞ」
僕は強引に話を終わらせて三倉を無理矢理靴箱へ連れていこうとする。
「おいまて!まだ話は終わってない!」
「話しかけて来なかったのは偶然。そんな日もあるさ。これで終わりだろ?」
「いやだからあの奏さん…痛い!痛い!やめろってそこ巻爪って知ってんだろ!」
足の親指を踏んだらやっと大人しくなった。
「ったく…なんでそんなキレてんだよ…」
『優希くん!ねぇねぇ優希くん!』
奏さんがいつもの元気で話しかけてくれることを思い出しても何も感じない。
そんな自分にため息をついた。
「別にイラついてるわけじゃないよ」
アフィーをどうにかして天界へ戻せば元に戻るんだ。
絶対に彼女を天界に返してみせる。
この時、僕は簡単なことに気づいていなかった。
本来僕のことを好きでないなら奏さんからの対応に変化なんてあるはずなんてないということに。
____
私は午前中に頼まれていたことを大体終わらせた後、リビングのソファに座って考え事をしていたよ。
「優希くん…ゆいちゃん…」
ふと名前を声に出したこの2人は明らかに両片思いだった。いや、元ってつけるべきなのかな…
私は両片思いっていう関係が1番好きなんだ。両方片思いって思い込んでるのなんかめちゃくちゃよくない?
それはさておき。
私が降りてきたことでその関係が消えつつあるっていうのがとても悲しい。両片思いって関係から変わっていいのは恋人になる時だけだよ!
まあ、誰だか知らないけどわざわざ恋心だけ消すって何が目的なんだろう。主神がそんなことするわけないし…
私のことを嫌っている子?
嫌いってだけならわざわざ恋心だけにする理由がわからない。
なんなら恋心はエロスの領域なんだけどなー…
まあ消したかったら私を封印するしかないんだけどね
「うーん…」
このまま新しい関係ができたりして関係が上書きされたら、ないとは思うけど新しい好きな子が出来たりしたら
もう元の関係には戻らない。
「早く天界に帰らなくっちゃ…」
とは言っても実は何をしたらいいのか分からない。
本来とは多分術式が違うとはいえ封印されてるのは事実。今の私には神力が無いわけではないみたいだから、なんとか連絡を取れないかと思って試したけど無理だった。
「んー…どーしよ…本当に…」
____
真っ暗な部屋に青年が入ってきた。
青年か指定カバンを床に置くと、
「おかえりー学校お疲れ様ー。さて、ご飯にする?お風呂にするの?それともボ・ク?」
急に現れた女性にそう話しかけられた青年は
「なんのつもりだ?もう作戦は成功したんだ。もうお前の顔を見る予定はなかったんだが」
「もー冷たいなぁ…せっかく乙女が勇気を出してあんなセリフ言ったのにフルスルーかい?ていうかこの後の作戦忘れてない?まだ終わってないし…」
女性は少し拗ねた様子で話している。
「で、何の用だ?まだ次の作戦実行の時期ではないはずだろ」
青年は苛立ちを隠そうともせずに行った。
「またスルーした!もうまったく…冗談も通用しないんだから…」
女性はガッカリしたように息を吐くと
「ちゃんと奏ちゃん…だっけ?と相戸くん…だっけ?の恋愛感情消えてたの?」
そう聞くと青年はよりいっそう不機嫌な顔になった。
「おっと、これは詮索には当たらないからね!ボクたちの作戦の成果を確認しているだけだからね!」
女性が慌ててそう付け足すと
「両方ともしっかり消えてた。これでいいか?早く失せろ。」
青年がそう言って女性を部屋から追い出そうとした。
「わ、わかった!出ていくから!」
女性はそう言って部屋を出た。
「たっく…あんなふうに言わなくてもいいじゃん…」
そうして廊下を少し歩いて、物置の扉を開けた。
するとそこには魔法陣のようなものがあった。
「これでもボクは神。エリスなのになー」
エリスがそれに触れると彼女は光に包まれ、その場所から消えた。