魔法科高校の劣等生・来訪者編クリアRTA   作:まみむ衛門

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「「げっ」」

 

 二人を知る者は、この兄妹が揃ってこんな声を出すことを意外に思うだろう。

 

 しかしながら、今の四葉に、それを意外に思うものは一人もいない。この兄妹はその生まれ持った力と宿命のせいで、異常な一族である四葉の中でもさらに浮いているが、ことこの件に関しては、明確に「同情」を向けられる。

 

 

 

 

「おっす、ひさしぶりー」

 

 

 

 

 二人に対して人形のような美貌をピクリとも動かさず、その表情とは真逆の口調で、それでいて機械合成ボイスのように平坦な奇妙なトーンで声をかける美少女がいる。

 

 黒羽蘭。黒羽家に生まれた変わり者で二人の同い年であり、問題児。生まれ持った障害のせいで家族からも疎まれ、誰に言われるまでもなく学校に行かず引きこもって魔法の訓練と研究に明け暮れ、そして兄妹――達也と深雪の秘密をいつの間にか知っていた異常者。

 

 その普段の行動には、暗いだとか、コミュニケーションに難があるだとか、ストイックだとか、様々な印象を抱くこともあろうが、実際の態度は軽薄にも見えるが一方で軽妙とも言える。異常行動が異質な障害によってより際立っているが、実際の所、秘密を知りさらに四葉内部とはいえ公然と話題に出す以外の目立つ問題行動はしておらず、すっかり四葉は扱いに困っていた。

 

「「お久しぶりです!」」

 

 そんな蘭の後ろには、達也から見たら可愛い弟・妹分、深雪からすると相互に複雑な感情を色々と抱く黒羽家の双子もいる。その二人の明るい表情を見るに、これは達也にかけた言葉だろう。

 

「みゆきちゃん、ひさしぶりだねー。あのあつまりいらいだよ。げんき、してました?」

 

「ええ、おかげさまで」

 

 必死に優雅な営業スマイルを取り繕いながら、蘭への対応をする。文弥と亜夜子が達也に話しかけているから、蘭は深雪と。同い年の女の子同士でもあるため自然な組み合わせだが、実際会ったのは一回きりだし、その一回は最悪に等しい出会いだったので、こんな馴れ馴れしく話しかけられるのは正直癪であった。

 

 この集まりは、深雪からすると憂鬱と言うほかない。去年の夏に兄との絆を結び、それでもあまりべったりと一緒に行動することは認められなかったが、最近はたまにこうして一緒に訓練をすることもできるようになった。そんな幸せな時間だというのに、今回はそれぞれ別個に思うところが多い黒羽家の三人との合同訓練だ。気分も悪くなろう。

 

 幸いなことに、深雪の会話は最小限で済んだ。文弥や亜夜子とは社交辞令のあいさつを交わす程度で、蘭は今度は達也に絡んでいる。事情があって感情が薄い達也が嫌そうな表情を隠せないでいるのが印象的だ。

 

 

(お兄様……)

 

 

 それを見て、胸にわずかに痛みが走る。その光景に、「深雪が知らない達也」を幻視してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――達也は、蘭を殺す任務を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 同い年の子供同士の交流を兼ねた組手訓練。それを名目に、四葉の命令で、達也は、蘭の実父である貢と組んで、事故と見せかけて殺す役目を背負わされた。

 

 理不尽と言うほかないだろう。いくら秘密を知っていたとはいえ、蘭は四葉内部の人間だ。その情報の出所は結局のところ不明だが、中心に近い位置にいる貢と同居している以上、彼がうっかり漏らしたに違いない。それで実の親に殺されるなどあってよいはずがない。そしてその実行犯をせざるを得ない達也にとっても、また理不尽だ。

 

 そのことを知ったのは、実はつい半年ほど前。去年の夏以来兄との交流が増え、その中で、達也から話されたのだ。

 

 曰く、「ひどい目にあった」。

 

 深雪からすれば、信じられない話だ。

 

 兄の持つ力・持たされた力は知っている。世界を容易く滅ぼし、魔法師一人など虫けらと同等に下せるほどの力。だが、話によると蘭は、それに対抗し、生き延びて、さらにいえば達也を降参に追い込んだという。

 

 詳細が気になって仕方がなかった。

 

 だが、深雪に対して割となんでも話してくれる達也が、これについては、断固とした口調で、「話したくない」と拒否した。つまり深雪は、このことについて、彼が話せる情報しか知らないのだ。

 

 つまり。敬愛する兄と、あの美少女の間にしか無い、深い因縁があるということ。それは、深雪は知ることができないし、深雪には一切かかわりのないことである。

 

 間違いなく良い思い出ではないだろうが、それでも、深雪にとって、それは気持ちをざわつかせるものである。二人が話している姿を見て、胸の奥の痛みは増すばかり。

 

「さあ、深雪、行こうか」

 

「――はい!」

 

 それを誤魔化すように、戻ってきた兄にエスコートされ、戦いの舞台である一軒家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こ、こいつ……)

 

 自分たちを囲うようにして四方八方から仕掛けられる波状攻撃から妹を守りながら、達也は焦りを覚える。

 

 突入の時に、亜夜子を探査役にして残り二人が突撃してくるのは予想の範囲内だった。

 

 だがそのあとは予想外の一言に尽きる。

 

 最初は様子見で軽く攻撃してくるかと思いきや、いきなり達也たちがいる部屋に急速に向かってきて、「壁ごと部屋をぶっ飛ばした」。

 

 一般人なら即死レベルだが、かろうじて対応が間に合ったのは幸いだ。深雪もしっかり魔法でガードできていた。

 

 だが、その吹っ飛ばし方が問題だ。中にいる二人に攻撃をする目的と言う割には、明らかに火力過剰である。その衝撃は見た目のわりに頑丈な一軒家がまるごと崩れ去ってしまったほどである。大急ぎでの緊急脱出を余儀なくされた。深雪に怪我がなかったのは奇跡と言うほかない。

 

 結果、こうしてまんまと、加速・移動系が得意な蘭が暴れまわることができる状況での戦いとなった。

 

 ほどほどに足がかりとなる障害物があるが全体的には高速移動しても問題ないほどに開けていて、弾丸となる瓦礫は無数にある。非常に不利極まりない状況だ。

 

 さらに悪いことに、ここに文弥と亜夜子も参戦してしまう。二人とも同世代の中では非常に優れた魔法師だ。しかも連携はばっちりのようで、距離・位置・時間・速度など、様々な要素を変則的に変えてこちらを翻弄してくる。

 

(…………これはもう、確定でいいかもしれないな)

 

 達也は確信する。

 

 こんな突飛な作戦を考えたのは蘭以外あり得ない。

 

 

 

 

 そしてこの「最適解」にたどり着くということは――蘭は、「知っている」。

 

 

 

 

 ファーストコンタクトの時点で、達也の『分解』と『再成』、深雪の『コキュートス』は、なぜだかわからないが知られていた。すでに大問題だが、警戒はそこに留まらない。

 

 忌まわしい記憶となった、二度目のコンタクトである、模擬訓練と称した処刑になるはずだった、あの時。その蘭の動きは――達也にある「第三の眼」を知っているかもしれない、という疑念を抱かせた。

 

 というのも、『仮装行列(パレード)』と絶え間ない高速移動の併用が、あの場面では、「最適解」でこそあったが、だからこそ不自然であるからである。

 

 あれほどの高速移動は、知覚強化が得意なプロ魔法師、または超人でもない限り、捉えることは不可能だ。当然魔法の照準をつけることは不可能である。つまり本来なら、「『仮装行列』は必要ない」のである。

 

 だが蘭は、当然のように迷わず、それを併用した。

 

 つまりは――まさしく「超人」に当てはまる達也の、『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』を知っていた、ということなのだ。

 

 だがそれはあくまでも疑念に留まっていた。一応、一軒家に入ってから、すっかり無駄になってしまった作戦会議の間に妹にも――当然隠したい部分を隠せなくさせられそうになったところは隠して――この疑念は共有してある。

 

 そして今は、確信に変わった。

 

 確かに今の状況は蘭の得意フィールドであり、三人で囲むこともできるので、向こうに有利と言えば有利だ。

 

 だが一方で、一軒家のどこから攻めてくるかは達也たちからは分からない、という莫大なアドバンテージを放り捨てていることにもなっている。

 

 では、なぜこの手段を選んだか。

 

 簡単な話だ。

 

「達也たちからは分からないというアドバンテージ」が、「最初から存在しないことを分かっていた」からである。

 

(どこから知ったかは知らないが)

 

 聞いても多分、誤魔化される。文弥や亜夜子――二人ともいつの間にかすっかり蘭と仲良しなのはとりあえずほほえましい――の話によると、下品なスラングでヘラヘラと追及を誤魔化すことが多いらしい。話すのはそれだけで憂鬱なので、無駄な追及はしない。

 

 その代わりに。

 

(今は負けるわけにはいかないからな!)

 

 妹のためにも、ここは負けるわけにはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 結局、達也は防戦一方になっていたのを打破するためにパラレル・キャストによる魔法連打を解放し、一瞬で三人を戦闘不能にして見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おとうさま、しつれいします」

 

「え、ちょ」

 

 無遠慮なノックの直後、声とともに娘が部屋へと入ってくる。返事をする暇すらなかった。

 

 しかも予想外なことに、いや、こんな風に入ってくる時点で一人しかありえないためある意味予想内ではあるのだが、何はともあれ、過去一度しか部屋を訪ねたことがないという点では間違いなく予想外である、長女の蘭であった。

 

「……せめてノックの後は返事を待ってほしいものだがね」

 

 パニックを抑えるために、とりあえず至極常識的なことで窘める。家族内でもノックぐらいはする。いたって普通の父親の仮面だ。

 

「らっきーすけべに、ならなくてよかったですね」

 

 どこでそんな言葉を覚えて来たんだ。

 

 全く悪びれもしない娘に対してそんな言葉が出かかるが、抑える。とにかく、色々と蘭に対しては思うところが多すぎて、話しているだけで辛い。さっさと要件を聞いてしまおう。

 

「それで、何の用かね?」

 

「まほうかこうこうの、しんがくについてですが」

 

 そんなことに関心があるのか。

 

 今まで不登校を貫き通し、ゴーイングマイウェイで魔法訓練に執拗に取り組み、プロ魔法師でもやらないようなミッションにもそれなりに不幸もありつつそこそこに取り組んでいて、学力的にも全く勉強しているようには見えないが文弥や亜夜子に教えられる程度はある。学校に関心もないし、魔法を学校で学ぶ必要性がもはやない環境とスキルはある。それなのに、今更それを気にするのが不思議だった。

 

 だが、この言葉も飲み込む。簡単な話だ。この後には、進学したくない、という言葉が続くのだろう。行こうとしていると考えるほうが不自然なのだ。

 

 我ながら冷静さを失っているな。

 

 そこまで考えて、貢は口を開いた。

 

「ああ、そのことか。蘭は第四高校に進学だ。これは本家も同意している。その次には、文弥と亜夜子も追って入学するだろう」

 

 これはもう決定事項だ。当主候補筆頭とそのガーディアンは、まだ四葉との関係を悟られないためと言う他、東京と言うことで有力者が集まりやすく影響力が高い第一高校に。黒羽家は地元で交流を広げるためにも第四高校に。

 

 進学したくなかろうと、こればかりは行ってもらう。いくら爪弾き者同然の扱いとはいえ、将来四葉の中心として活躍する文弥と亜夜子の姉が魔法科高校を出ていないようでは、格が落ちるからだ。

 

「そのけんですが、わたしは、だいいちこうこうにしんがくします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 しばらく時間が止まってしまった。

 

 それほどに貢は混乱した。

 

 今、この娘は何と言ったのか。裏仕事の最前線で働く身として年齢のわりに耳も大変良い彼は、いくら平坦な機械ボイスと言えど、一発でその内容を正しく聞き取った。それゆえに、その内容が信じられなかった。

 

 第一高校に進学する。

 

 今まで学校に全く興味を示さなかった蘭が、わざわざ離れた学校に進学する意志を見せたことが、あまりにも不可解極まりない。

 

「…………認められない」

 

「そこをなんとか」

 

「これは決定事項だ!」

 

 貢は思わず声を荒げる。

 

 認めるわけにはいかない。これは本家の意向だし、蘭の好き勝手にはならない。

 

 第四高校に進学しないのは百歩譲って許せる。

 

 だが、第一高校に進学するのはダメだ。

 

 忘れもしない。未だに覚えている。

 

 

 

 

 

 

 ある程度成長した娘たちをお目見えさせようと本家での会合に連れて言ったあの日。

 

 蘭は、四葉最大の火種を刺激した。

 

 

 

 

 

 その火種たちは、第一高校に進学する。

 

 先日の合同訓練ですら何か起きやしないかと肝を冷やしたのだ。

 

 自分たちの手元から離れた場所で、あの二人と蘭が毎日会うことになる。

 

 想像しただけで、発狂してしまいそうだ。

 

「そうですか。まー、ゆっくり、かんがえておいてください。またあしたきます」

 

 蘭は特に表情を動かさず、いつも通りの平坦な声でそう言って、部屋を去っていった。

 

 表情筋も声も、彼女の感情をほとんど反映しない。それでもなお、こんなのでも父親であるだけに、貢にははっきりと何を思っていたのか分かる。今回は、その表情と声に合致している。これぐらいは想定内だという、一切揺れ動いていない感情だ。

 

(明日、何か予定を入れておこうかな……)

 

 実際珍しく二日連続フリーなのだが、問題の先延ばしにしかならないと思いつつ、現実逃避気味にそう考えてしまう。

 

 何はともあれ。第一高校への進学は認めない。理由を聞いた時点で譲歩になるためそれを確認はしなかったが、どうせ家になじめていないから親元を離れたいとか、栄えている都会で生活したいとかいう若さゆえのものだろう。それならば、他の魔法科高校、仙台や西宮や熊本とかで我慢してもらおう。

 

 第四高校がある浜松の方が他候補の高校がある都市より栄えているし、あの蘭がそんな普通の理由で進学を志すはずがないという至極まっとうな理屈から目を逸らしつつ、思考を巡らす。

 

 まあいい。高校入学には保護者の同意書が必要なのだ。なんなら説得することすら、やらなくてもよい。

 

 働かない思考の末、開き直り気味にそう決めると、蘭が来るまでやっていた仕事をまた再開しようとして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「――お父様!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新たな客が部屋に現れた。

 

「……亜夜子に文弥、どうしたそんなに焦って?」

 

 ノックもせずに駆け込むように入ってきたのは――長女と違って――愛しい娘と息子である、亜夜子と文弥だった。二人とも今日は訓練などがあるわけではないはずだが、中学校の制服から着替えもせず、息を切らせて飛び込むように入ってきた。疲れている様子はないことから、この息切れは、走ったせいではなく、精神的な興奮によるものだろう。

 

 まさか、何か起きたのか。

 

 すぐにどこかに向かえるよう預けていた身体を背もたれから離しながら、二人の話を聞こうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉さまの願い、どうか許していただけませんか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 亜夜子の口から出た言葉が、貢には信じられなかった。

 

「……もう一回言ってくれるかね?」

 

 この数分の間に何度目か分からない思考停止を挟んで、貢は聞きなおす。

 

「お父様、事情があるのはわかります。ですが、お姉さまが第一高校に進学したいというのを、飲み込んでいただけませんか!?」

 

 亜夜子の代わりに、文弥がより詳しく内容を言い直してくれる。貢はいよいよ現実逃避気味に勘違いが出来なくなってしまった。

 

「……さっきの会話、聞いていたのか?」

 

「「…………はい」」

 

 問いかけに、二人はバツが悪そうに顔を伏せながら頷く。四葉という家の都合上、完全に親として愛情を注ぐことができないが、普段外では腹芸もこなしている二人も、父親である自分の前ではこうして素直な反応を見せてくれる。それは嬉しいことではあるが、今はこの可愛い子供二人を、どう説得するかが目下の課題で、その嬉しさを噛みしめる余裕はなかった。

 

 察するに、二人は学校から帰ってきてから、先ほどの蘭との会話を通りすがりに聞いて、慌ててこの場を離れたが、結局いてもたってもいられずここに飛び込んできたのだろう。

 

 小学生の頃は、二人とも蘭のことを嫌っていた。特に亜夜子は憎んでいたとすらいえるレベルだった。だが、初めて三人で任務に行ったときに、二人は蘭に命がけで助けてもらい、これまでの反動もあるだろうが、世間一般のきょうだい以上に、蘭を敬愛するようになった。あちらの方が何倍も大きな出来事だが、似たようなことが沖縄であった司波兄妹と同じようなものかもしれない。

 

 そうして仲が良くなったこと自体は、さほど悪いことはない。むしろ良いことだ。だが、今はそれが恨めしくて仕方ない。

 

「お姉さまは前々から、一高に進学したいとおっしゃっていました! 中学校すらも絶対行かないお姉さまがそれだけ望んでいらっしゃるということは、絶対何か理由があるはずなんです!」

 

「どうか、お姉さまの夢を、認めていただけませんか!」

 

 二人はもはや縋り付くように、哀願するように、貢の顔を真っすぐに見上げてそういうと、また深々と頭を下げた。

 

 参った。これでは自分が悪者だ。現に、要素を恣意的に抜きだせば、不登校の長女が見出した進学の夢を阻もうとするシングルファザーとそれを止めようと哀願する妹弟という風にも見えよう。

 

 だが、貢の側にも正義はある。

 

「蘭にも話したことだが、それは無理だ。進学先は、真夜様を含む本家のご意向だからな。それに逆らうわけにはいかない」

 

「「それでもどうか!」」

 

 先ほどまでは縋り付くように、だったが、ついに二人は貢のもとに駆け寄り、その腕に縋り付いた。それを貢は、むげに振り払うことができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、この後一時間に及ぶ押し問答の末、貢は折れた。どう本家に説明したものか、悩みの種は尽きない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――彼が今後一生付き合うことになる胃痛を本格的に発症したのは、この日のことであった。


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