魔法科高校の劣等生・来訪者編クリアRTA   作:まみむ衛門

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 中学校に進学するRTA、はーじまーるよー!

 

〈システムメッセージ・「中学校入学」のトロフィーを獲得しました〉

 

 まあ、どうせ登校しないんですけどね。いつも通り引きこもりです。

 

 さて、これからも日々は変わりません。命令をこなしつつ、自分の訓練と実験を繰り返していきましょう。

 

 

 

 発見してから今までの四か月ほどの間に色々研究しました。この『プシオンコピー』ですが、かなり面倒な部類で、かなりのハズレです。珍しいだけで役立たずとかお前はチリーンかよ。

 

 理由は主に二つ。一つは、プシオンパターンの記録の消費期限が短いこと。もう一つが、攻撃に使えないことです。

 

 一つ目について説明しましょう。どうやら生物のプシオンは、サイオンよりも不安定なようで、パターンを電子的にコピーして記録をしても、なぜかどんどん劣化していき、情報強度が弱くなっていきます。『プシオンコピー』はそのまま今この瞬間に確固として存在している相手に投射するわけなので、劣化したコピーは、対象のプシオンに負けて、ちょっとした変化をするに留まります。対象の情報強度によりけりですが、強い魔法師相手となると、コピーしてから数秒しか猶予がありません。また達也お兄ちゃんの『再成』は本人のエイドスなので世界の修正力や本人の情報抵抗力には関係ありませんが、こちらは当然他人のを被せるのがほとんどなので、どちらからも影響を受けます。はー、つっかえ。

 

 そしてもう一つについてです。深雪ちゃんの『コキュートス』、文弥君の『ダイレクト・ペイン』のようにプシオンに直接ダメージを与えられる魔法ならベストだったのですが、この『プシオンコピー』はそういうことはできません。これではプシオン生命体・パラサイトを倒せないですよ。どうしましょう。

 

 今の段階で考えられる方法はいくつかあります。それの準備をしつつ、この魔法を活用してパラサイトを単独で倒せる方法を探しましょう。

 

 そういえばどうせいかないので関係ないですが、蘭ちゃんはいたって普通の公立中学校に入学しました。四葉の分家である黒羽家は当然名家であり、優秀な成績を残して目立つかどうかは別として、優秀な集団には常に所属していなくてはいけません。故に、普通は中学受験勉強をして、名門中学校に入ることになります。実際、文弥君と亜夜子ちゃんは合間を縫って必死に勉強していますね。

 

 しかし私としては、そんな勉強したくありません。時間の無駄です。また、どうせ中学校でも不登校ムーブなのですから、メリットもありません。

 

 そういうわけで、小学生のうちにトッチャマにお願いして、適当な中学校で不登校ムーブさせてもらうことになりました。意外と子供の意志に寛容みたいで、二つ返事でOKしてくれたのはありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうこう言っている間に、等速に戻りましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中学一年生の4月5日。黒羽家ルートだとかなりの確率で発生する、初仕事イベントです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この初仕事の特徴は、普通にいけば、亜夜子ちゃん・文弥君との共同作業であることです。仕事の内容は、当然のように暗殺。反魔法師団体と手を組んでテロに資金援助をしている小物政治家の殺害です。この作品こんなやつばっかだな。

 

 ここは実はそこそこのリセポイントです。先駆者兄貴によると、ここで死亡することがたまにあるらしいですね。

 

 相手は小物政治家なので一見護衛や設備が少なく、楽な仕事のように見えます。だから、初仕事の子供たちに任せるわけですね。しかしこれは見せかけで、なんと、この政治家は大陸のマフィア「無頭竜(ノー・ヘッド・ドラゴン)」と手を組んでおり、近くにはジェネレーターが複数配置されています。

 

 実は、四葉はこの情報を掴んでいます。なんで隠しているかと言うと、この程度を乗り越えられないようでは四葉として今後もどうせすぐ死ぬ、ってことなんですね。人手不足の癖に贅沢すぎでしょう。呪術師かよ。

 

 

 というわけで、ここまでの間に、これをクリアするための準備をしなければなりません。そしてそれは、実は早送りの間に終わらせています。

 

 

 まず主人公自身の能力です。すでに固有魔法を実戦投入できるぐらいがベストですが、そこまで贅沢はしません。ただ、ちゃんと戦えるぐらい鍛えておく必要があります。ここまでの間に子供の体格で厳しい実戦を突破するためには何かしら突出したものがないといけないので、加速系・移動系を重点的に鍛えてきました。

 

 そして、仲間である亜夜子ちゃんと文弥君の能力も高くなければいけません。そのために、早送りしている間に行き詰っていたっぽい亜夜子ちゃんにアドバイスを送っておきました。原作でも特技の活かし方を見出したのは小学六年生あたりなので、この子は行き詰まる確率は高いです。原作では達也兄チャマがアドバイスをして覚醒しましたが、それではこのイベントに間に合わないので、今回は私がアドバイスをしたわけです。文弥君も行き詰まる可能性はあるので注意しておく必要がありますが、今回は順調だったので、フヨウラ!

 

 

 

 さて、それぞれ準備が終わったので、夜闇に紛れて、イクゾー! デッデッデデデデン!

 

 

 

 部下が運転する黒塗りの高級車に乗って、目的地に向かいます。私が助手席、二人が後部座席ですね。それでは早送り……ではなく、ファッションチェックをしていきましょう。

 

 亜夜子ちゃんと文弥君はもうすでに原作のゴスロリ&女装スタイルです。

 

 がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛ぶた゛り゛ども゛。

 

 RTAで荒んだ心を癒してくれるオアシスです。現実ではありえない美男美女と同じ空間でリアルに過ごせるって本当このゲームは素晴らしいですよね。まあ、一つのセーブデータにつき一つの世界をまるごと作ると言っても過言ではないので、上級国民でも手が出せない値段のゲームなんですけどね。先駆者兄貴も、有名な物理学者(自称)、東大卒エリート(自称)、大手企業社長の御曹司(自称)といった身分の人が多いです。私ですか? 

 ………………。

 

 なるほど、今の私、つまり蘭ちゃんのファッションが気になるんですね!

 

 それでは三人称画面をご覧ください。亜夜子ちゃんと同じ、黒いゴシックドレスです。うん、自分とは思えないぐらい可愛いですね。RTAじゃなければこれでイロイロ、ナニをしたいところなんですが。本当は安定のために動きやすいバトルスーツが良いのですが、ここはお揃いで行きます。理由ですか? 可愛いからですよ(走者の屑)

 

 

 

 さて、目的地に到着しました。愛知県某所、上級国民向けの高級住宅街として開発された地域の一角、あの大きなお屋敷が今回のターゲットのお家ですね。所詮小物政治家なので、このセレブ集まる中では相対的に大した屋敷に見えませんが。

 

 

 

 ではさっそく潜入していきましょう。

 

 こうした潜入ミッションにおいて、亜夜子ちゃんは最強です。世界レベルで見ても戦略級魔法師たちの次ぐらいに干渉可能領域が広い彼女が使う『拡散』は、『極致拡散』という上位の魔法と化します。広範囲で任意の流体やエネルギーを平均化することによって、識別を不可能にするのです。自動センサーの類はこれで回避可能です。この魔法が無ければ侵入の段階で意外と厳重でハイレベルな設備に阻まれて失敗となってしまいます。だから、亜夜子ちゃんを導く必要があったんですね。

 

 さて、慎重に突破していきましょう。複数種類のセンサーが設置されているところばかりなので、亜夜子ちゃんの負担にはなりますが、『極致拡散』は維持してもらいます。その間に監視カメラの位置を探知魔法で掴み、確実に死角を潜り抜けましょう。

 

 ここでポイントは、監視カメラに対しては『極致拡散』が意味をなさないということです。この魔法で光を広範囲で平均化すれば私たちの姿は見えないかもしれませんが、しかし景色が全ての色・光を混ぜて平均化したもの一色になってしまうため、見ている人間は魔法による異常だと気づいてしまいます。これが夜の屋外で真っ暗だったら多少は問題ないのですが、屋内で電気もついてますからね。だから、探知魔法で監視カメラを探す必要があるんですね。撮影範囲に『極致拡散』が被ってしまわないよう、細かく指示を出しましょう。

 

 あ、亜夜子ちゃんが睨んできてますね。可愛いです。逐一指示を細かく出されてるから苛立っているんでしょうか。

 

 亜夜子ちゃんと文弥君とは今後もリセポイントとなる裏仕事を一緒にやっていくため、この二人の親愛度も非常に重要なのですが、小学生までの段階だと自分のことに手いっぱいにならざるを得ないため、二人に対して適当な扱いをせざるを得ず、基本この段階での親愛度はマイナスです。亜夜子ちゃんへのアドバイスは、親愛度を上げる目的もあったんですね。だから、もし乱数がブレて亜夜子ちゃんが順調だったとしたら、貴重なここまでの親愛度稼ぎポイントがゼロになります。ぶっちゃけ、『極致拡散』が見いだせないことを祈っていました(人間の屑)

 

 

 さあさあ、そんなことを話しているうちに、いよいよスニーキングミッションも後半に入ってきました。ここで一つ注意なのですが、実はこの屋敷は後半部にとんでもないトラップが仕掛けられています。

 

 

 ずばり、サイオン検知センサーです。魔法式、または、エイドスに影響を及ぼせる程度の密度があるサイオンを検知し、警報を鳴らすセンサーですね。反魔法師組織と組んでいる人間がお家に厳重警備を敷くなら、かなりお高いのですが、これを設置するのは当たり前のことですね。ある先駆者様はこれに引っかかってリセットしたそうです。

 

 

 しかし、このセンサーにも弱点があります。一つ、カメラと同様のセンサーなので、カメラの視野角にしか反応せず、意外と検知範囲が狭い。もう一つが、一瞬程度なら警報を鳴らさない、です。後者はなぜそんなガバ設定かと言うと、俗にいう「精霊」を誤検知して警報を鳴らしてはアホくさいからですね。プシオンを核とする情報生命体である精霊は、一定以上の密度を持ったサイオンを体としています。そんなのがそこら中をふよふよ漂ってるわけですから、それで警報を鳴らしては四六時中鳴っていることになります。

 

 そのため、密度のあるサイオンを検知した場合、それが精霊なのかどうかをAIが判断するステップが挟まり、そのあとに警報が鳴ります。その判断ステップが、魔法と言う今一つ解明できていない不思議現象を扱うせいか、何と1秒もあります。

 

 それを利用して、このサイオン検知センサーを安全に探していきましょう。

 

 全員で一旦ストップし、文弥君にサイオン検知センサーがある可能性を教えて、彼に探知してもらいます。こういう細かくて繊細な探知は、亜夜子ちゃんよりかは文弥君の方が得意ですね。蘭ちゃんは移動系・加速系ゴリラなので、一瞬の油断が命取りのこの作業では置物です。

 

 ちなみに探知してもらう際には、ちゃんと先ほど言った注意点も教えておくようにしてください。文弥君は優秀なので言わなくても大体自主的にやってくれますが、乱数の範囲が無駄に広いこのゲームでは、文弥君がポンコツの可能性もありますからね。ウィキによると、主人公自身は何かした自覚はないのに、深雪が生まれてこないで達也兄君さまが一人っ子だった世界線もあったそうです。これもう和姦ねえな? いや、和姦はあっても着床しなかっただけですかね(お下劣ギャグ)

 

 ここから先はより歩みが遅くなります。別ゲーのRTAと違って、ミッションを早く終えてもタイムに影響はあまりないので、ゆっくりしていってね。

 

 では時間がかかるので早送りしましょう。

 

 

 

 

 はい、寝室の前につきました。動画では1分ほどでしたが、リアル時間では40分経ってます。40分間ずっと置物は暇で暇で辛いですね。

 

 この寝室には、今回のターゲットである政治家・角海(かくうみ)がいます。そしてその護衛として、無頭竜からレンタルしたジェネレーターが最低一人はスタンバっているはずです。ちなみに、先駆者兄貴の一人は、ここで10人ぐらいのジェネレーターに当たってボコボコにされたそうです。五人に収まっていることを祈りましょう。

 

 

 

 

 さて念のため、公式チートモードの三人称視点にしてっと……。

 

 いざ鎌倉! いくぞー!

 

 デッデッデデデデン! カーン! デデデデン!

 

 

 

 

 警察だ!

 

 

 

 

 豪華な扉を開けて突撃し、一気になだれ込んで短期決戦を仕掛けます。

 

 とはいえ、ターゲット一直線は下策です。周囲のジェネレーターを筆頭とした護衛に気を配り、そちらをすぐ無力化するのを優先しましょう。

 

 さて、汚いおっさんがうろたえて逃げようとするのを牽制しつつ、敵戦力を分析します。

 

 ジェネレーターは三人。なるほど、及第点ですね。こちらに配備されてるジェネレーターは質が悪く、中学生である現段階の蘭ちゃんたちでも、タイマンなら余裕で勝てます。数に差があると厳しいですが、まあ五人ぐらいまでならなんとかなりますね。今回は三人で同数です。勝ったな(確信)

 

 おら、観念しろ!

 

 三人に勝てるわけないだろ!(ブーメラン)

 

 よし、勝てましたね。いやーやっぱ移動・加速系はどのチャートでも安定して強いですね。

 

 さて、文弥君と亜夜子ちゃんも残りを倒してくれましたね。あとは牽制していたせいで逃げられなかった角海にさっさと止めを刺してお終い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 て、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あああああああああ!!! 三人称視点の視界の端にとんでもないものを捉えました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 四人目・五人目のジェネレーターが姿を現しました! 不意打ちのために隠れていたんですね!

 

 一旦角海は放置して急ブレーキからの方向転換! 文弥君と亜夜子ちゃんへと向かいます!

 

 あの二体のジェネレーターは一番近くにいた文弥君と亜夜子ちゃんを狙っています! あの二人がやられてもミッションはクリアできますが!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今後のチャートに影響するんだよおおおおおおおお!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人の大事な弟と妹に何してくれとんじゃこらあああああああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超スピードで亜夜子ちゃんと文弥君にタックルして突き飛ばして射線から外します! 蘭ちゃんが脇腹と肩にライフル弾を受けましたがモーマンタイ! 死ななきゃ安い! 鍛えぬいた加速・移動系魔法で周囲の無駄に豪華な家具を殺到させ、圧殺しましょう!

 

 その間に二人を開放して、にっくき角海(クソやろう)の殺害をお願いしましょう! これも成功しないと意味ない!

 

 あ、さすが二人は優秀ですね、一瞬で殺してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やったぜ。(東京2020入場行進)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事にこの難所であるミッションを乗り越えました! いやー、安定のために経験値犠牲にして三人称視点にして良かったですね。

 

 さて、貰える経験値は……うーん、微妙になりそうですね。そもそもミッションとして難しいのでこれでも十分高くなりそうですが、三人称視点の使用に加え、重傷を負う特大ガバを犯したので、大幅減点は間違いないでしょう。

 

 いやあ、それにしても、ジェネレーターが隠れているパターンは聞いたことがないですね。

 

 前パートでお話しした通り、キャラの生まれのランダムの幅が多く、黒羽家はとても確率が低いので、先人のデータが少ないんですよ。このRTAだって、レアなものをせっかく引いたから急遽先駆者姉貴のチャートを丸パクリしてあとはアドリブで走っているだけなので。

 

 そういうわけで、もしかしたら、これは意外とあり得るのかもしれません。共有ウィキにちゃんと書いておきましょう。

 

 それでは、帰りの車内で可愛い二人から感謝の言葉を受けつつ、今回はここまで。ご視聴、ありがとうございました。


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