おじキャン△   作:Shin-メン

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今回、新車という新しいガジェット投入です!


おじさんと新車、ちょっとドライブ

ついに納車日が来た。

俺はあらかじめ約束していた場所で届くのを待っていた。

 

「もう、そろそろなんだが………」

 

腕時計を見て、時間を確認した。

すると一台の中型トラックが俺のもとへ近づいてくる。

後ろの荷台には一台の車が乗っていた。

 

プラチナホワイトパールマイカの車体、カーボンルーフ、3灯式フルLEDヘッドライト、鍛造アルミホイールと18インチの“ミシュラン・Pilot sport 4S”に、赤いブレーキキャリパーが栄える。

 

オプションで外装はGRエアロパーツ、内装も純正品でこだわった。

 

「来たか………」

 

俺は自然とニヤける。

トラックが止まり、助手席からディーラーであり親戚の兄さんが降りてきた。

 

「よお!」

 

「兄さん!久しぶり!」

 

「ようやく届けることが出来たよ。」

 

「待ち遠しかったよ。」

 

運搬係の人が手際よく、トラックの荷台から俺の新しい相棒を下ろして行く。

カスタムパーツのマフラーからのサウンドも最高だ。

 

30〜40分ほど掛けて、丁寧にGRヤリスの扱い方を教えて貰う。

 

「まあ、説明はこんなモノかな?」

 

「了解、あとは乗りながら慣れていくよ。」

 

親戚の兄さんと別れたあと、俺は新車の運転席に乗り込んだ。

 

「これからよろしくな!」

 

俺はハンドルを優しく撫でる。

 

\マカセトケ!!/

 

愛車となったGRヤリスから、そんな声が聞こえたような気がした。

サイドブレーキとギアを確認して、ブレーキとクラッチを踏んでスタートスイッチを押した。

 

エンジンが始動し、増幅された野太いエキゾースト音がオーディオスピーカーを通して車内に響く。

 

「おお……」

 

感動して語彙力が低下している俺。

軽くアクセルを吹かすとタコメーターが反応して針が動いた。

 

「良し!行くか!」

 

俺はギアを一速に入れて、アクセルを優しく踏むとゆっくりと前に動きだした。

公道に出ると愛車は元気良く走る。

 

「今ならどこまでも走って行けそうだ!」

 

と思ったが、まずは給油しなければ……

俺は給油するガソリンにもこだわっている。

入れるのは某貝印のハイオク一択だ。

 

ガソリンスタンドに入り、給油をしていると周囲から見られている。

 

どーだ!羨ましいだろう〜♪

 

内心ニヤニヤが止まらなかった。

 

ガソリンスタンドを出て車を走らせながら、どこへ行こうか考えていると、前方の歩道を歩く見知った背中を見つけた。

 

「あれって、多分、大垣さんだよな………?」

 

ちょうど先にコンビニがあるし、ちょっと寄って確かめてみよう。

そう思ってコンビニに車を止めて、大垣さんと思われる人物のもとへ向かった。

 

近づくに連れて予想していた人物だと分かる。

 

「大垣さーん!」

 

彼女の名前を呼び、手を振った。

向こうもコチラに気づいたようで、小走りでやって来た。

 

「千代さん、こんにちは!」

 

相変わらず元気がいい。

 

「大垣さん、これからどこか行くの?」

 

「ええっと、まあ、今度の野クルキャンプでどこにしようかなーっと視察に……それで、千代さんは?」

 

「自分は今日納車日だったから、慣らしがてらドライブに行こうかと……」

 

「ああ!この間、見せてくれたヤツ!」

 

「そうそう!あ、そうだ!一緒にドライブしようよ。その視察に行くキャンプ場にさ。」

 

「え?良いんッスか?」

 

「もちろん。俺の隣、乗ってきなよ……!」

 

この時は変なテンションだった。

大垣さんが助手席に座る。

 

「おお……これが500万の車……緊張する……」

 

確かに大垣さんはガチガチだ。

エンジンを掛けると車内に野太い音が響く。

 

「スッゲ………」

 

「それでそのキャンプ場はどこなの?大垣さんのスマホ、俺の車のナビに繋げれるから……」

 

「あ、はい……」

 

彼女は俺の指示のもとデータ送信用のケーブルをスマホに繋ぎ、グルグルマップで検索をかけた。

 

「高速を使えば早いね……ちょうど良いや!」

 

コンビニを出発、下道をしばらく走る。

 

「いや〜助かりました。」

 

「いやいや、それにしても大垣さんが俺の車のお客さん第一号だね?」

 

「たまたまとは言え、何だか得した気分ッス!このシートも身体を包み込むみたいで……」

 

そんなことを色々と話しながら走っていると、最寄りの高速の入口が見えてきた。

 

「さあ、この車の本領発揮じゃい♪」

 

「あの千代さん、安全運転で………」

 

「大丈夫、大丈夫。」

 

ETCを抜けて、本線に合流するためにギアを落としアクセルを強めに踏む。

1.6lのターボエンジンが唸りを上げ、車が猛烈な加速をし始めた。

普通の車とは違う、強いチカラでセミバケットシートに体を押し付けられる。

 

「うぅぅぅ、やっぱりコエぇー!」

 

「何言ってるかー!コイツの実力はこんなもんじゃないぞ!やっぱりターボは違うなー!」

 

初めてのスポーツカーなんだろう…… 大垣さん、メッチャ怖がってる。

だけど逆に俺は楽しい!

法定速度で安全に高速道路を走る。

 

比較的軽い車体に最大272馬力のハイパワー、走行モードを可変しながら、15キロほど走り、目的地近くの出口で降りた。

 

「初めての経験だったけど、正直死ぬかと思った……」

 

「フフ…… 喜んで貰って光栄です♪」

 

小一時間で目的地のキャンプ場に到着する。

駐車場に止めて俺たちは、それぞれ車から降りた。

 

「うーーん!空気がうまいズラー!」

 

大垣さんは背伸びをしながら深呼吸する。

彼女の言うとおり、ひんやり冷たい空気が肺を満たす。

 

「行こうか……?」

 

「はい!」

 

俺たちはキャンプ場を散策した。

 

「はい、チーズ!」

 

麓に広がる甲府の街並みと青空を背景に俺と大垣さんは二人で写真を撮る。

さすが女子校生…… 映える写真の撮り方が上手い。

 

「何つ〜か、雰囲気あって良いッスよね……」

 

紅葉で染まった木々の間に見えるを街並みを眺め、大垣さんが感慨深げに呟く。

 

「そうだね。場所もそんなに離れてないし、次はここでキャンプしてもいいかもね……」

 

「まあ、決めるのはもう少し下見してからで……」

 

車ごといけるオートキャンプ場なだけあって、周りを見ればちらほらと客がいた。そのほとんどが車である。

 

「オートキャンプか…… ああ言うのもありッスね。テント張らんでも良いし、暖房使いたい放題…… もう最高じゃないッスか。」

 

「どっちかと言うと、最後の方が本音みたいだね?大垣さん。」

 

「へへ、バレちった?この前イーストウッド行った時メッチャ寒くて…… 冬の厳しさってやつを存分に思い知りましたよ。」

 

「まあ、そこは気合と根性でしょ。」

 

陸上自衛官、レンジャーMOSを持っている俺に取って、この時期の寒さはお遊び程度…… 全然耐えられる。

 

「はい!出ました!千代さんの自衛隊特有!謎の脳筋理論!」 

 

「の、脳筋ッ!!?」

 

女子校生に取って俺は脳筋なのか?

しょんぼりしながら、枯葉と枯れ木の野道を二人で歩いていく。

何気にこうして大垣さんと二人きりで出歩くのは初めてじゃないか。

 

「問題は次のキャンプをいつやるかッスね。期末テストもあるし、バイト始めちまったから、ポンポン予定入れることは出来ないし……」

 

そうだった。もうすぐ期末テストだ。

まあ、俺が別に心配するほどのことでもない。

信じているからな……!

 

「テスト明けか、いっそのこと冬休みまで待ってみんなでパーってするのもありじゃないかな?」

 

「冬休みってことは、クリスマスか…… クリキャン…… うん!ありだな!」

 

きっと大垣さんの頭ん中は、ただ今猛烈な勢いで回転しているのだろう。

各務原さんに負けず劣らず、彼女もまた今までなんでキャンプしてなかったのか不思議なくらいにキャンプが大好きなんだね。

 

時間もだが、やっぱりお金の問題なんだろうか……

なんだかんだ言って、キャンプ道具もけっこう高いもんね。

 

俺たちは喋ったり、スマホで写真を撮ったりしながら、キャンプ場の奥へ入っていく。

 

「どうしたの?大垣さん?」

 

急に彼女が足を止めた。 

何かと思い大垣さんの視線の先を追いかける。

そこにはいたのは、ひとりのキャンパー。

 

使い込まれたワンポールテントに焚き火台にくべられた薪が静かに燃え、ローチェアに腰掛けた初老の男性がスキレットで肉を焼いている。

 

「かっけぇ……」

 

まるで絵に描いたようなキャンプ姿に大垣さんが静かに呟いた。

男性の被った中折れ帽も合わさって、お洒落というより渋い。さらにテントの横に止められたバイクに眼を見張る。

 

「あれはトライアンフ・スラクストン1200R!そのチョイスは渋すぎるだろッ!!?」

 

思わず、心の声を口に出してしまった。

 

「む、なんだい?」

 

俺の言葉に反応して初老の男性が顔を上げる。

それに連れて、その人の顔が明らかに……

 

おい、ちょっと待て?

その顔と聞き覚えのある渋い声、まさか……ッ!!?

 

「キミは確か……」

 

渋い顔に渋い声、そして渋い仕草、こんな渋さを凝縮して擬人化みたいな人を俺は一人しか知らないぞ。

 

「お、お久しぶりです!新城隊長!」

 

思った通りだった。

俺が自衛官時代に初めての赴任先の部隊にいた中隊長の“新城肇 一等陸尉”。

数年経ったあとに再会した時は一等陸佐に出世してた。俺の尊敬する人だ。

素早く敬礼をする。

 

「久しぶりじゃないか、千代……」

 

覚えていてくれたのか。

そう言って、新城一佐がニッとはにかみ敬礼を返してくれた。相変わらず渋くて、カッコいい。

 

「休め。」

 

「はっ!」

 

「えっと…… 千代さん?このおじいちゃんとお知り合いで?」

 

と大垣さんが俺に訊ねた。

 

「おじいちゃん…… 自分が初めて赴任した部隊先での中隊長をしていた方だよ。」

 

「千代さんの上官。はじめまして!」

 

なぜか大垣さんも敬礼をする。

 

「それも過去の話さ…… 今は隠居生活しているただの老いぼれジジイだ。」

 

と言ってはいるが、未だに射撃や格闘戦では勝てないだろう…… そのくらいの圧は感じる。

 

「ほぉ?貴様は自衛官を辞めたあと、山梨県の高校に再就職したのか……」

 

「はい!学校用務員としてですが……!」

 

「それで?キャンプ部の臨時顧問として、生徒の彼女とキャンプの下見ってわけか?」

 

「はい!その通りです!」

 

「あとキャンプ部ではなく、野外活動サークルであります!ご訂正を!」

 

大垣さんが緊張のせいか、変なテンション、イントネーションになっている。

 

「おお〜これは失礼だったね?お嬢さん……野外活動サークル、訂正しよう。」

 

「ありがとうございます!出来れば略して“野クル”と言っていただきたい。」

 

「了解した。」

 

なんか二人して仲良くなってる。

中隊長は渋いすぎて一部の女性自衛官からも人気だったから、仕方ないか……

 

大垣さんを交えて話していると、彼女の目線が一瞬焚き火台のスキレットに落ちる。

それを見落とさない新城さん……

さすが、元中隊長だな……

まあ、さっきからスキレットで焼ける肉の塊の音と匂いが気になって仕方がないか……

 

「どうやら、コイツが気になるようだね?待ってなさい……」

 

そういうと焼き上がった肉をサッと切り分け、俺と大垣さんに一切れずつ串刺して渡した。

 

「食ってみな?お二人さん……」

 

言われるがまま、その肉を口に運ぶ。

 

「ッ!!?美味い!美味すぎるズラ!」

 

「噛めば噛むほどに溢れ出る肉汁……その旨さを底上げしてくれるスパイスの香りと程よい塩気……!」

 

「犯罪的だーーー!」「悪魔的だーーー!」

 

「おいおい……褒めてくれるのは嬉しいが、どこの債務者なんだい………」

 

その後、俺たちは色々と話した後、新城さんと別れて大垣さんを自宅まで送った。

 

「今日はありがとうございました!」

 

「こちらこそ、色々楽しかったよ。じゃあまた……」

 

「はい!」

 

敬礼ポーズをする大垣さん……

別に自衛官でもないのに妙に敬礼が上手いな……彼女。

 

さて、まだ日も高いし、もう少し走るか………

 

\オウヨ!!/

 

次回に続く。




リンちゃんのおじいちゃん、元自衛官設定いれてみました。

まあ、中の人繋がりで良いよね?
ご感想をお待ちしています。
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