おじキャン△   作:Shin-メン

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コロナに負けずに投稿です。


帰省。

「よし、こんなモノか……」

 

12月30日、東京都練馬区……

最後の荷物をワンボックスの荷室へ載せ終わった。

車は子供たちの声で賑やかだ。

戸締まりと電気の始末を終えた桜さんが、助手席へ乗り込む。

 

昨日で仕事納めとなり、俺とたきなは今日から非番だ。それに合わせて桜さんの故郷である南部町へ帰るのだ。

 

「みんな、忘れ物はないかー?」

 

俺がそう聞くと『はーい! だいじょーぶー!』と返事が帰ってきた。

 

「それじゃあ……」

 

「「「しゅっぱーつ!」」」

 

東京の自宅を出て一時間ほど走って、休憩のためにとあるサービスエリアに寄った。

県境の場所でもあり、随分と冷える。

 

「さぶ……」

 

俺の前を子供たちの手を引いて歩く、桜さんの肩に白いモノが乗った。

見上げてみれば、黒雲の切れ目からひらりひらりと舞い降りる白い雪。

 

「雪だ。」

 

どうやら、子供たちも雪に気づいたようで、テンションMAXな様子だ。

 

「こらこら、危ないですよー」

 

長女のたきなが三つ子たちに注意を促す。

たきなに三つ子を任せて俺と桜さんは、彼女の実家へのお土産を厳選する。

 

「どれが良いかしら?」

 

「お義父さんたちグルメだし、なでしこちゃんは良く食べるからね。」

 

「随分と昔の話だけど…… あの二人、大食いイベントの記録塗り替えて、ぶっちぎりで優勝したこともあるんですよ。」

 

「アハハ…… そりゃ、凄い……」

 

なんだよ。その逸話…… しかし、お土産選びは難航する。その後、たきなたちが合流。たきなが助け船を出してくれた。

 

「これで良いと思います。」

 

量と質、ともに申し分ない品。

これなら、向こうのご家族もさぞ喜んで貰えるだろう。本当に気の利く良くできた娘だ。

お土産も手に入れ、山梨に向けて再出発。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

助手席に座る桜さんがスマホを見ている。

 

「なでしこも今からこっち向かうんですって。」

 

「そうか。彼女も自分の仕事と並行してキャンプ場作りと忙しかっただろうし、労は労ってやらんとな……」

 

「そうですね。 千代さんとたきなちゃんもよ。」

 

「ねぇ。おかあさん!なでしこおばちゃんもくるの?」

 

後ろに座るセンリが珍しく嬉しそうにしている。

なでしこちゃんに一番懐いているのはセンリだ。

人前ではツンを発揮するセンリもなでしこちゃんの前ではデレデレになる。

 

「こら、センリ。なでしこ『 おばちゃん』じゃなくて、なでしこ『お姉さん』ですよ。なでしこさんは私と同い年なんですからね。」

 

「はーい。」

 

センリは少し不服そうだ。

確かに彼からしたら、なでしこちゃんは叔母に当たるし、間違いではない。

だが、たきなの言うとおり彼女とは同い年なので呼び方は細心の注意を払うことになる。

 

「おにいちゃん、おんなごころはむずかしいんだよ。もっとべんきょうしなきゃ。」

 

「うっさい。」

 

アコに痛いところを突かれたセンリは、膨れっ面でそっぽを向くという、どうしようもない抵抗をしていた。尊いぞ。センリ……

 

その後大きな出来事もなく、無事に山梨県は南部町の各務原家に到着した。

 

「お父さん、お母さん。ただいまー」

 

「おかえり、桜。」

 

「お義父さん、お義母さん、お世話になります。」

 

「気にせず、ゆっくりしていってね。」

 

「「「おじいちゃん、おばあちゃん、あそびにきたよー!」」」

 

「よろしくお願いします。」

 

「いらっしゃい! 自慢の孫たちよー!ワッハッハ……ッ!」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

夕方になるとなでしこちゃんも帰宅してきた。

 

「ただいまー!」

 

彼女の声に気づいたセンリが玄関へと駆けて行く。

 

「なでしこおば……… じゃなかった、おねえちゃん!おかえりなさい。」

 

「うーん…… なんか、聞き捨てならないこと言ってたようだけどー? まあ、良いっか。 センリくん、来てたんだね。」

 

「カスミちゃんとアコちゃんもいらっしゃい。」

 

なでしこちゃんも揃い、各務原家がより一層賑やかになる。みんなで夕食を摂った。

 

「どう?仕事は順調?」

 

俺は対面に座っている、なでしこちゃんに聴いてみた。

 

「うん!店長さんや同僚も優しいし、仕事するの凄く楽しいよ。」

 

「そうなんだ。良かった。」

 

「たきなちゃんは?自衛隊のお仕事は?楽しい?」

 

会話のリレー。なでしこちゃんから、長女のたきなへと質問が飛ぶ。

 

「楽しい…… とは言えませんが、通常運転です。」

 

淡々と答えるたきな。

 

「じゃあ…… たきなには、この場を借りて発表しちゃおうかな?」

 

「な、なんですか……」

 

「コホン…… 来年度の自衛隊広報誌の表紙モデルに我が娘たきなが選ばれました! はい!拍手ー!」

 

「おほー!」

 

「おねえちゃん、スゲー」

 

「おめでとう! たきなちゃん♪」

 

パチパチと拍手が起こる。

 

「エッ!!? ちょっとお父さん!私、そんな話聞いてないですよ!」

 

狼狽えるたきな…… そりゃそうだ。言ったら、絶対に断られるのは目に見えていた。

 

「だって、たきなにはまだ言ってないからねー」

 

「うーー!」

 

この話は俺が身分を隠して応募し、選考で見事合格。広報の間で極秘で進めていた案件である。

広報官の隊員は応募者である俺の顔を見て、さらにたきなが娘だと知って驚いているのが滑稽だった。

 

「『可愛いすぎる自衛隊員!』見出しはこれで決まりだな!」

 

俺は勝手にうんうん!と納得する。

 

「勝手に納得しないで下さい!」

 

「千代くん?これは孫のたきなが全国区で有名になる…… ということで正しいのかい?」

 

「そうですよ、お義父さん!」

 

「凄いじゃなーい♪」

 

「静花さんまで……ッ!!?」

 

「たきなちゃん、しっかりね……!」

 

完全に逃げ場を失ったたきな。

前話でも語ったが、トップダウンの組織である自衛隊。上からの命令には『はい』か『YES』の二択しか答えは存在ない。

 

「うぅ…… はい。」

 

敗北を悟ったたきなは渋々了承することになった。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

夕食も済み、俺は子供たちを風呂に入れる。

 

「肩まできちんと使って100まで数えるんだぞー」

 

「「はーい。」」

 

「おとうさん、100までかぞえるのはのぼせるからあぶないって、テレビでいってたよ。」

 

「そうなのか? じゃー 60までにしよう。」

 

三つ子を風呂に入れるのは大変だ。

それこそ、ちょっとした戦に思えるからな……

風呂から上げると、身体が冷めないうちにバスタオルで拭いてパジャマに着替えさせる。

 

「髪はママに乾かしてもらいなー」

 

「はーい! いこ、カスミおねえちゃん!」

 

「うん。」「「わあーーー!」」

 

「だから、ろうかははしったら、ダメだってー!」

 

と言いつつ、センリも走って先行する二人を追いかけた。言っている事とやっている事が矛盾してて、なんか可愛い。

 

「お風呂、お先しました。」

 

リビングに戻るとソファーにたきなとなでしこちゃんが並んで座り、真剣な齧り付くようにテレビを見ていた。

 

「おー 機動戦士ガンダムSEEDの劇場版!懐かしいなぁー!」

 

俺が昔から好きだったシリーズである。

 

「ほう…… 千代くん好きなのかい?」

 

と、お義父さんに聴かれた。

 

「ええ!最初が自分が高一の時に放送があって、一年間開いて高三の時に続編あったんですよ。 」

 

その後も俺の熱弁は止まらず、お義父さんが若干引いている。

 

「それで初めての映画デートもこれだったのよ。」

 

「デート前日まで、お姉ちゃんが必死こいて見てたのって……」

 

「そう、予習してたの。 千代から言われて……」

 

「そうだったけ?」

 

「そうですよー? アナタに薦められて、HDリマスター版、特別編と合わせて全90話全部血眼になって観させて頂きました……♪」

 

「お、おぉ……」

 

桜さんから漂う覇気が、ブチキレた時の某ピンク髪の歌姫のようだった。

 

「ちなみに私、ザフト軍隊長機シグーがシリーズ通して一番好きです。」

 

「なんという、渋いチョイス。」

 

「たきなちゃんも好きみたいよ。最初に観始めたのは彼女だったから……」

 

「知らなかった。」

 

「以前、残留した時に娯楽室で他の隊員が種死のBDを観ていたので、私も一緒に鑑賞させて貰ったんです。それからこのシリーズが好きになったってところです。」

 

視線はコチラに向けず、俺同様にたきなが語る。

略称まで知っているとなれば、彼女もいっぱしのガノタと評して良かろう。

 

「この劇場版は初めて観ました!」

 

「ちなみにたきなは誰が推しメンなの?」

 

「ぶっちぎりでシン・アスカでしょ! 種死では戦争で家族を失い、主人公枠まで前作の主人公にまで盗られるとか色々と不憫で……」

 

最初はたきなも共感できるキャラだと思っていたが、途中から話しが変わってきたぞ?

 

「だけど、なんですか! 主人公の後ろを着いてくるワンチャンみたいで可愛いすぐる……」

 

たきなが鼻血を出している。性的に興奮しているのだろう……

 

「たきなちゃん、鼻血出てるよー!」

 

「大丈夫です! ずびぃッ!」

 

「大丈夫じゃないよ!」

 

なでしこちゃんがたきなの鼻に無理やりティッシュを突っ込んで止血した。

 

「ふがッ!!? あ、ありがとうございます。」

 

そして、とうとう家族全員で見る羽目になった。

凄まじい機動で動くモビルスーツを必死なって目で追う三つ子。

桜さんから解説をされながら視聴するご両親。

 

「シンちゃん! かっこいい! 萌えー! ブハァーッ!」

 

「うわぁ! たきなちゃーーん!」

 

覚醒したたきなは鼻血を吹き出し、とうとうオーバーヒートを起こした。

最後、エンディングになると俺はボロ泣きする。

紆余曲折あったが映画をまるっと見終わった。

 

「いやー 結構、考えさせられる話だったなー」

 

「そうねー なんか感動しちゃった。」

 

「でしょ? お義父さん、お義母さん! 今度、手軽に見れるスペシャルエディション版、全7本のBD持って来ますよ!」

 

「「いや、それは勘弁して……」」

 

「なーに、たった14時間もあれば観れます!」

 

「気持ちだけで充分よ~?」

 

「たきなちゃん?大丈夫?」

 

「え、ええ…… もうへいひでふ(平気です)。」

 

「ねえ、おとうさん?」

 

「ん?どうした?アコ……」

 

「どうしてさいご、このふたり、はだかでね?てをつないでチューしてたの?」

 

その時、興奮していた俺は、まだ七歳のアコに説明してしまう。

 

「仕事に対する理想と現実の狭間で、すれ違いの時期なっちゃった二人は、命のやり取りやらの吊り橋効果で再び愛が燃えあがって、その勢いでぇ……」

 

「そこまで! 正拳突き!どかーん!」

 

俺のセリフを意識ごと刈り獲るような、桜さんの剛拳が俺の鳩尾に入った。

 

「ぐえぇぇ……」

 

俺は鳩尾を押さえながら踞る。

その場にいた全員が固まった。

 

「ほーら、アンタたちは歯を磨いて早く寝なさい。明日はパパたちと買い出しに行くんでしょ!」

 

「「「えーー!」」」「まだ、ガンダムのおはなしした……」

 

「良いから、早く寝なさい。」

 

ドスの効いた声とギラつく眼鏡に恐れ入った三つ子たちは急に素直になる。

 

「たきなちゃんとなでしこも順番にお風呂に入って来なさい。」

 

「はひ……」「うん……」

 

「その後はお父さんとお母さんよ。」

 

「あ、ああ……」

 

「でも、千代さんは大丈夫かしら?」

 

「大丈夫よ。伊達に陸将補って役職を務めてないんだから…… こんなのじゃ、簡単にくたばらないわよ。ね? ア・ナ・タ・♪」

 

「う、うん……」

 

彼女のご両親も履けて、等々リビングには、大ダメージの俺と桜さんの二人だけが残った。

 

「じゃ、じゃあ……… お、俺も先、に…… 休ませて、頂きたいと…… 思います………」

 

「待ちなさい。アナタ?お話しはまだ終わっていませんよ?」

 

恐る恐る見上げると桜さんの目から光が消えている……… ように見えた。

おそらくこれが、SEEDの覚醒ってヤツだ。

 

「まだまだ夜は長いんだし…… これからよ♪」

 

「ひぃーー!」

 

おじキャン△ 『完』……………?




なんか後半ガンダム談義になり、たきなと千代さんが暴走モードになってしまいました。

たきなちゃん、まさかのシンが推しキャラだった。

それと特に千代さんはヒドかった。
真面目な解説だったんだろうけど、わずか七歳の子供にセンシティブなことを話そうとしたのだから。

そりゃ嫁さんも実力行使で止めにはいりますわww

皆さんは劇場版 機動戦士ガンダムSEED 観ましたか?
ちなみに千代さんはデートで一回、個人で五回観た猛者です。

ご感想をお待ちしております。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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