おじキャン△   作:Shin-メン

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毎日が暑い…… 元レンジャーの作者もこの暑さには参りそうです。


年明け、初詣。

「あけましておめでとうございます。千代さん、なでしこちゃん、お久しぶりです〜」

 

人の間を縫うようにして現れたのは、犬山さんの妹であるあかりちゃんだった。

 

オマセな感じがあふれるかつてのツインテールは何処へやら。

髪は肩口でバッサリ短く切り揃えイメチェンした彼女は、俺となでしこちゃんに深々と頭を下げて新年の挨拶をする。

 

「あけましておめでとう!あかりちゃん」

 

「おぉ〜 あかりちゃんも大きくなったねー」

 

「でしょー 順調に大人の階段を登ってます~♪」

 

「千代さん。チビイヌコもう成人なんッスよ。あの悪ガキだったチビイヌコが…… なんか泣けてくるぜよ!」

 

大垣さんは感無量と言わんばかりに泣いていた。

 

「アキちゃん、あかりちゃんとずいぶん仲良かったもんね。」

 

「エヘヘ……♪ なでしこちゃんはあんまし変わんないなー 千代さんはイケオジになったなぁー?」

 

「だそうですよ。良かったですね。」

 

たきなが俺を小突いてきた。

 

「それでそちらのお子さんは……?」

 

「俺の子供たちだよ。こっちから長女のたきな、次女のカスミ、長男のセンリ、末っ子アコです。」

 

「「「あけまして、おめでとうございます。」」」

「あけまして、おめでとうございます。」

 

「凄い大家族やなー」

 

「この子たちは三つ子なんだよ。あかりちゃん!」

 

「はえー 珍しいなぁー」

 

「お待たせしました。」

 

大垣さんたちと話していると、犬山さん(姉)と鳥羽先生…… いや、彼女は結婚して姓が変わったのか。とにかく二人やって来た。

 

「あ、鳥羽せ…… じゃなかった、大町先生。お久しぶりです。」

 

「旧姓の鳥羽で良いですよ。各務原さん。」

 

「千代さん、あけましておめでとうございますぅ」

 

「あけましておめでとう。」

 

「先生もお元気そうで何よりです。」

 

「千代さんこそ…… お子さんも増えて賑やかそうですね。」

 

積もる話もあるが、そこは身延山をロープウェイなどを使い、登山しながら境内のある頂上を目指す。

 

「なあなあ?アキちゃん。アオイちゃんから聞いとるで〜? 噂のキャンプ場はどうなん?どのくらい進んでるん?」

 

「もう県庁の許可も降りて、本格始動してるぞ。」

 

大垣さんがスマホをあかりちゃんに見せながら、進捗状況を話していた。

 

「千代さんとたきなちゃんが自衛隊から重機を借りて来て、凄いんだよ! ね?たきなちゃん!」

 

「ええ。私とお父さんに掛かれば、あの程度山、ちょちょいのちょいですよ。」

 

「カッコええなぁー!」

 

「みんなで協力して仕事の合間にバリバリやっていくんだよね!」

 

「だね!恵那ちゃん!」

 

「へぇ~!私にもなにか手伝わせてくれるかー?」

 

「勿論だよ!あかりちゃん!」

 

やはりキャンプ場を作る!ということに興味が湧くらしく、流石に連日の作業は難しくとも、何かしらやってみたいらしい。

あかりちゃんも協力を申し出た。

 

「あかりさん、美大生なんですよね?」

 

「せやで!」

 

「でしたら、キャンプ場のロゴとかデザインをやって貰ったらどうでしょうか? 彼女にピッタリの仕事だと思いますよ。」

 

たきなが的確なアイデアを出した。

 

「いいね〜! たきなちゃん!」

 

「ナイスアイデアだよ。」

 

「美大生の本領発揮やな!材料費は……もちろん!アキちゃんのポケットマネーでエエな~!」

 

「こ、コイツ、しれっと私をATMや経費か何かと勘違いしてやがるぜよ!」

 

「あかりさん、おそろしい子ですね。」

 

相変わらずの小悪魔っぷりを発揮するあかりちゃんを中心として盛り上がる元気組から少し遅れ、鳥羽先生と犬山さんは並んで近況報告していく。

どうやら教職員同士、話すことがあるらしい。

 

「犬山さん、勤め先は鰍沢富士見小でしたよね。確か三月で……」

 

「あ……ご存知でしたか」

 

「大変な時期でしょう……お疲れ様です」

 

「ありがとうございます」

 

鳥羽先生の労いににっこりと返す犬山さん。

だがその表情はどこか悲しげだった。

 

理由を聞いて見ると、犬山さんの勤める小学校は三ヶ月後である本年度をもって廃校となる事が決まっていた。

彼女からしてみれば、勤めていた学校がなくなるというのは、やはり思うところがあるらしく、何処かしらさみしげだった。時代の流れに少子高齢化からくる過疎化の煽りでもある。

 

11月の蟹パーティーをしたあの日。

土曜日なのに出勤していたのは、そういった手続きや片付け、諸々の業務があったというのも理由なのだろう。

 

「大変だね。犬山さん……」

 

「千代さんの仕事に比べたら、私なんか……」

 

「自分も娘のたきなが支えてくれてるから…… 彼女がいなかったら、責任と重圧から潰れてたかも。」

 

「そういえば、千代さんって、どんな仕事してるんですか?」

 

「えっーと…… あんまし詳しいことは言えないけど、朝霞駐屯地の司令と東部方面総監部で副幕僚長とかしてますね。他にも内閣府で審議官の仕事もしてます。」

 

「よー 分からんけど、胃に穴が開きそうや。」

 

三人で並んで登っていると、急に大垣さんが話しに乱入してきた。

 

「先生!先生! 今度呑みませんかッ!!? 日本酒がめっちゃ揃ってる店、見つけたんッスよ!」

 

「えッ!!? 日本酒ですか? ぜひ行きましょう!」

 

「甲府の店なんッスけど、ツマミも美味くて!」

 

「いいですね〜!」

 

二代目の話題に目を輝かせ、めっちゃ食い気味なる先代グビ姉。

 

大垣さんも犬山さんと鳥羽先生の空気を察してなのか、話題を明るく面白い方へと変えていく。悲しい空気や気持ちを察してなのかわからないが明るく振る舞って元気付けてくれた。

 

そんな昔から変わらぬ親友の気遣い?に、犬山さんの少し曇った心は晴れやかになったように見えた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

頂上近くの売店に寄ることにした。

 

「まだ日の出まで時間あるし、串団子でも食ってこうぜー?」

 

大垣さんがリーダーシップを発揮する。

確かに夜中に起きてから何も食べずに過ごしていたため、心なしか腹に寂しさを覚えていた。

 

「なでしこおねえちゃん、おなかからスゴいおとがきこえてるよ?」

 

「えへへ……////」

 

センリの言うとおり、なでしこちゃんに至っては『ぐぅ~ぐぅ~』と腹の獣が唸っている始末。

 

誰も大垣さんの提案に異を唱える者はおらず、早速売店内にて販売されている串団子を購入した。

 

「ねえ?おとうさん、どうしてクシをきるの?」

 

「んー どうしてかな? お父さんもちょっと分からないな……」

 

「それは私が教えてあげましょう。」

 

「アオイちゃんせんせー!」

 

犬山さんが我が子らに分かり易く解説する。

彼女が言うには、言葉遊び…… すなわちダジャレで『苦死』を切るために『串』の一部を切ってもらうらしい。

 

また、無料で配られていた甘酒も頂き、適当な石造りのベンチに座り、そこで腹を満たしていく。

 

「おにいちゃん!そのクサだんご、ひとくちわたしにちょーだい。」

 

「えー もう、しかたないなー」

 

センリの草だんごを一口、末っ子のアコにあげた。

 

「うーん! おいしー! わたしのもおかえしー」

 

「あー わたしもー」

 

姉のカスミもおねだりする。 

 

「はいはい。あ〜ん」

 

「あ〜ん!」ぱく……

 

「じゃ、わたしのもどーぞ!」

 

二人のおねだりにセンリは嫌な顔一つせず、そして三人で仲良く食べ比べしていた。

そんな様子を見て尊いと思う、親バカな俺。

 

「あの…… お父さんのお団子、一口ください。」

 

たきなが俺の裾を引っ張る。

 

「なんだ?お前も食べ比べしたいのか?」

 

「…………はい。」

 

「フフ…… (たきな、照れてる) はい、どうぞ。」

 

俺の串をたきなに差し出した。

 

「いただきます。はむ……うーん、私のクルミ味噌だんごとは一味違って美味い。薬膳モチだから身体にもいいみたいだし……」

 

「そうか。良かった。」

 

「じゃー 私からもお返しです。お父さんも、あ〜んってしてください。」

 

「俺もかッ!!? みんなの前で……ッ?」

 

「むぅッ?私のは食べれないってんですか?」

 

うーむ。たきなからの圧がすんごい。

 

「あ、いや、ちがっ………」

 

「じゃー はい、あ~ん!」

 

ええい! 可愛い娘のために一肌脱ごう。

 

「あーん。うん、湯葉の素朴な味にこれまた味噌ダレが合うなぁ!」

 

「でしょー!」

 

たきなも嬉しそうだった。

 

「じゃー 次は私のどーぞー♪」

 

「な、なでしこちゃん!!?」

 

「アタシだよな?」

 

「大垣さんも急にどうした?」

 

「私もだよー」

 

「ちょっと…… 斉藤さんも面白がってるでしょ。」

 

「どーかなー?」

 

「ウチの食べてぇーな。」

 

俺はなぜかみんなと食べ比べをした。

全部の味が混ざって、ぶっちゃけ複雑だった。

 

「ほーら、センリくん。ほっぺたに味噌ダレ、付いてるぞー?ちょっと待ってて!」

 

センリのほっぺたに付いた味噌ダレを、なでしこちゃんが丁寧に拭いてあげる。

 

「んーー」

 

「ヨシ!オッケー♪」

 

「ありがとう、なでしこおねえちゃん……////」

 

顔を赤くしてセンリが俯いた。

 

「また、センリくんがてれてるよー」

 

「うわぁッ!!? カスミ、よけいなこというなぁ!」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

境内に到着して、みんなは早速賽銭箱に小銭を投げ入れて手を合わせ、各々の願いを念じる。

これで叶うのか?と言われてみればアレだが、それでも初詣という年始ならではの物だからこそ、祈らずにはいられない。

 

「アキちゃんがむっちゃお年玉をくれますように!」

 

「チビイヌコ…… お前、以前にもそんな願い事してたよな……」

 

「せやで!せやから願いの重ねがけでチカラが強うなったぶん、ぎょうさん貰えるで!」

 

「コイツ……」

 

「千明さん、千明さん……!」

 

「どうした? たきなちゃん?」

 

「ふぁいと!」

 

謎のエールを大垣さんにおくっている。

たきなって、たまに予想外で変なことするんだよ。

 

「パパはどんなおねがいしたの?」

 

「そりゃあ、カスミたちが元気に一年を過ごせますようにってお願いしたよ。」

 

「ほかにはー?」

 

「たきなたちのキャンプ場が無事に出来ますようにっても願ったぞ。」

 

「おほー! やっぱり千代さん大好きー!」

 

興奮したなでしこちゃんに抱きつかれた。

フルパワーで締め上げられる。

 

「ぐえーー!」

 

長年鍛えた筋肉と骨、内蔵が軋み、胃の中のだんごと甘酒が逆流しそうになった。

 

次回に続く。




次回からキャンプ場作り再開です。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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