おじキャン△   作:Shin-メン

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仕事でなかなか投稿出来ませんでした。


頓挫。

今日は、たきなが所属する戦略部が、合同演習から帰還する日だ。

俺の直轄であるこの部隊を出迎えるために、埼玉県は狭山市と入間市に跨がるように造られた、中部航空方面隊の司令部の入る主要基地、入間基地へと直々に向かう。

 

到着予定時間となった。

入間基地飛行場に降りて来る1機のC-2輸送機…… たきな達、戦略部が搭乗する特別便だ。

 

「さすが、空自…… 時間通りじゃないか。」

 

そんなことを思いながら、俺は空を見上げる。

俺が出迎えることは、娘のたきな含めた隷下の隊員たちには知らせていない。

 

輸送機から降りてきた面々は、俺の姿を見るなり驚いた表情をしていた。

 

その後、軽く訓示を行った上で、それぞれ別れて73式 大型トラックに乗り込み、朝霞駐屯地へと帰還する。

 

朝霞駐屯地……

俺のデスクには報告書が山積みとなっていた。

戦略部 実働部隊の小隊長でもある、たきなが俺の元へとやってきた。

 

「司令、ただいま戻りました。」

 

「うむ。任務ご苦労であった。」

 

と形式的なことはここまでにしておこうか。

今、部屋には俺と可愛い娘のふたりっきりなんだ。

親バカモードになっても良いだろう?

 

「たきな~! おかえり~!さびしかったぞー!」

 

俺は彼女を抱きよせて、思いっきり頬擦りをする。

 

「ちょっ! おとう…… じゃなかった! 司令! やめて下さい! まだ公務中ですよ!」

 

「も~!良いじゃないか~! 今は二人しかいないんだぞ~!」

 

「もう。お父さんは甘えん坊さんなんだから……」

 

たきなとの最低限のスキンシップもやったし、俺的には大満足だ。

 

「さてと…… コホン。」

 

俺は真面目な顔をする。

 

「おぉ…… いきなりですね? お父さん? 何かあったんですか?」

 

「えっと…… 非情に申しにくいことなんだけど……」

 

「何ですか?勿体振らずに言って下さい。 いつものお父さんらしくありませんよ?」

 

「たきなたちが頑張ってた高下地区のキャンプ場開発だが…… 中止になった。」

 

「へぇ………」

 

なんとも気の抜けた声を出すたきな……

自身が知らぬ間に、そんなことになっていたんだ、思考が追いつかなくて当然だろう。

それに10日間の合同演習の疲れもあるし……

 

「え? ちょっと待って下さい!キャンプ場作りが中止ッ!!? 話に付いていけないです!……」

 

「順番に話すから、落ち着いて…… この間、たきなたちがキャンプした時、斉藤さんとこのチクワが土製の欠片を見つけただろう?」

 

「はい。あの時は植木鉢の欠片の類いかと、みんなで話していましたが……」

 

「大垣さんが、念のためにと上司の人に報告してね? 専門の機関で鑑定して貰ったら、本物の古代土器だってことが分かったんだよ。」

 

「それで調査が入ると……」

 

「調査もだけど、その土器、縄文時代よりも古いモノで歴史が変わるかもしれないから、キャンプ場じゃなくて遺跡関連の施設になるって……」

 

「そうなんですね……」

 

明らかにショックを受け、落胆している。

見ていて、心が痛くなってきた。

 

「せっかく、ここまで来たのに……」

 

たきなの目には溢れんばかりの涙が……

 

「辛いね…… お父さんの胸を貸すから、今は思いっきり泣きなさい。」

 

堰を切ったように彼女の目から大粒の涙が溢れる。

 

「悔しいです! どうして……!」

 

「たきなは頑張ったんだ。誇って良いんだよ。」

 

「ですが、機械を貸してくれた施設科の方々にも、申し訳がたたないです……」

 

「その事は気にしなくて良い。お父さんが責任をもって話すから……」

 

たきなは疲れて眠るまで、泣き続けた。

そして今は来賓用のソファーで横になっている。

 

「寝ちゃったか……」

 

俺は今のウチに報告書や決裁書の処理をしてしまうことに…… 山のような書類と格闘すること数時間、気がつくと時計は18時を差していた。

 

「たきな…… たきな……」

 

俺は娘の揺すって起こしてあげる。

 

「う、うーん……」

 

眠け眼を擦りながら、たきなは上体を起こした。

 

「ご、ごめんなさい。私……」

 

「良いんだよ。 みんなも待ってるし、帰ろう。」

 

たきなを気にかけながら、俺たちは家にへと帰る。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

帰宅すると桜さんや三つ子が出迎えてくれた。

 

「おかえりー!」

 

「たきなおねえちゃん、さびしかったー!」

 

「え、ええ…… ただいま、アコ……」

 

たきなは自身の胴体に抱きつく、末っ子アコの頭を撫でてあげた。

その後、アコはたきなから荷物を受け取り、リビングへと向かう。

 

「あー 疲れた。」

 

「お疲れさまでした。アナタ。たきなちゃんも……」

 

「い、いえ……」

 

たきなと共にリビングのソファーに座る。

 

「ねぇー たきなおねえちゃん。」

 

「どうしたんですか? センリ……?」

 

「アコってね? たきなおねえちゃんがいないあいだ、おねえちゃんのまくらのにおいを、ずっとかいでたんだよー」

 

センリが思わぬ爆弾を落とした。

面倒見が言い分、センリは人を観察する癖がある。

 

「ぬわぁーッ!!? おにいちゃん! それいっちゃダメなやつーッ!」

 

慌ててその場を取り繕うとするが、所詮は小学校低学年…… 付け焼き刃みたいなモノだ。

 

「なんだ? アコ? たきながいない時、そんなことやってたのか?」

 

「知らなかったです。」

 

「アコは本当に、たきなちゃんが好きなのね?」

 

「アコはへんたいさんなんだよ。ねぇー? カスミ?」

 

「うん!アコはへんたいさん!」

 

「うぅ…… うわーん! おにいちゃんとおねえちゃんのバカー!」

 

二人から変態扱いされたアコは、自身の姉と兄に文句を言うと、子ども部屋へと駆けていった。

 

難攻不落の子ども部屋……

そこに立てこもってしまった末っ子のアコを宥めるのに苦労したが、長女たきなの力を借りて攻略、家族みんな揃って夕食をすることに……

 

しかし、たきなは少しだけ食べて、持っていた箸を置いた。

 

「たきなちゃん、もう食べないの?」

 

「ごめんなさい。お母さん…… あまり、食欲がなくて……」

 

席を立ち、彼女は自室に戻っていく。

 

「ごちそうさまでした……」

 

その姿を見送る俺と桜さん。

 

「あれは相当、効いてるな……」

 

「大丈夫かしら……?」

 

「おかあさーん、おねえちゃんどうしたの?」

 

「うーん…… 何て説明したら、良いのかしら?」

 

「お父さんが説明しよう。」

 

俺は子どもたちにも、たきなの置かれている状況を話す。

 

「たきなって、なでしこちゃんたちとキャンプ場作ってたろ?」

 

「うん!しってるー!」

 

「みんなでキャンプするのたのしみなんだよー♪」

 

「だねー」

 

「でもな、それが中止になってしまったんだよ。」

 

「え?」「ちゅうし?」「なんで?」

 

子どもたちが食い気味に聞いてきた。

 

「アナタたち、ちょっと落ち着きなさい。」

 

「「「は~い。」」」

 

「そのキャンプ場で土器…… 土で出来た器がたくさん出てきたんだよ。」

 

「とっても古くて珍しいモノだからね? みんなで調べるんだって……」

 

「その後はキャンプ場じゃなくて、別の施設になるんだ。それで、たきなが落ち込んでるんだよ。」

 

「そんなー」

 

「たきなおねえちゃん、あんなにがんばってたのに……」

 

「あたし、おねえちゃんのところにいく!」

 

アコはたきなの部屋に向かう。

 

「あ、ぼくも!」「わたしもー」

 

センリとカスミも、アコに続いた。

 

「ちょっとお前たち、少し……」

 

「良いのよ…… アナタ。 あの子たちの好きにさせて上げましょう。たきなのチカラになってくれるんじゃないかしら?」

 

俺と桜さんは少しだけ時間を空けてから、たきなの自室を覗いて見ることに……

 

普通科時代に鍛えた忍び足でたきなの部屋まで行き、そっと少しだけドアを開けた。

 

「たきなおねえちゃん、だいじょう?」

 

「げんきだして。」

 

アコとカスミがたきなを気づかう。

 

「ごめんなさい…… みんなに心配かけて…… これじゃ、お姉ちゃん失格ですね。」

 

「そんなことないよ。ぼくたちはおねえちゃんのことだいすきだよ。」

 

「アコもすきー!」「カスミもー!」

 

「ありがとう。みんな…… おねえちゃん、少し元気が出てきました。」

 

たきなに笑顔が戻った。

やっと彼女の笑顔が見れて、俺と桜さんはひと安心…… 一階のリビングへと戻る。

 

「ね? あの子たちに任せて良かったでしょ?」

 

「そうだね。桜さんの言うとおりだったよ。」

 

二人で話していると、たきなが三つ子を引き連れてリビングへとやって来た。

 

「お父さん、お母さん……」

 

「ん? どうした?」

 

「今度の休み、なでしこさんやリンさんに千束を誘って、温泉に行ってきます。」

 

「いきなり、急だねぇぃ……」

 

「なでしこおねえちゃんから、ラインがきたんだよねー」

 

「ええ。気分転換にもなるからと……」

 

「なでしこらしいわね。で?どこの温泉に行くか決めてるの?」

 

「えーっと…… それが…… まだ決まってないみたいで…… お母さん、どこか穴場的なところとか知りませんか?」

 

「あの娘、考えなしに行動するのよね…… 良いわ。千代さんと付き合ってる時に、彼と一緒に行った日本最高所の野天風呂を教えてあげる。」

 

「あそこかぁー ロケーションは最高に良かったけど、桜さん、あそこまで行くのにバテバテになってたよね。」

 

「自衛官の千代さんと、私は違うんですぅー!」

 

「おとうさんとおかあさん、ラブラブだー」

 

「おー やけどしちゃいそー」

 

「アツアツだねぇ~」

 

「みんな、あれがノロケですよ。」

 

子どもたちからちやほやされ、俺と桜さんは揃って顔を赤くした。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

たきなです。日米間の合同演習やら、キャンプ場作りが中止になったりと、色々とありました。

今日はなでしこさんからお誘いのあった日帰り温泉旅行です。

 

と言っても、お母さんからの受け売りの日本最高所にある野天風呂を目指します。

早朝にウチへとやって来た千束ともに出発です。

 

「それにしても、たきなさんよー 随分と用意したモンですなー」

 

「この間 話したとおり、今日は残雪残る八ヶ岳を登りますからね。準備に余念はないですよ。」

 

待ち合わせ場所の登山口へと着いた時には、なでしこさんとリンさんが、先に待っていました。

 

「おーい!」

 

あんなことがあったのに、相変わらず、なでしこさんは元気いっぱいでした。

車を止めて、私が荷物を降ろしている間、千束はなでしこさんと話しています。

 

「千束ちゃん、久しぶりー!」

 

「オッス、オッス! 今日はお誘い頂きありがとうございます!」

 

「たきなさん、何持って来たんですか?」

 

リンさんが私に声を掛けてきました。

 

「今日は雪中行軍をするんです。私の冬装備を持って来ました。」

 

何でしょう?みんなが私に注目しています。

どうですか?私の冬山コーデ…… 完璧でしょう!

 

「たきなちゃん、頭から足の先まで真っ白だ~」

 

「これなら、誰にも悟られずに攻撃とかが出来るんですよ!」

 

「攻撃とかしないよ?たきなちゃん? 私たちこれから温泉に行くんだから……」

 

「たきな、完全に陸自脳じゃん。」

 

「そういえば、昔、私のおじいちゃんも冬は似たような格好してたぞ。」

 

「さてと、立ち話はこの辺にして登りましょう。時間は限られてます。」

 

「そうだね! 頑張っていきましょー!」

 

「「「おー!」」」

次回に続く。




はい、山登りです。
ご感想お待ちしてます。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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