私はたきな…… 私の両親が新婚旅行へと行って二日が経ちました。
今日は大学がお休みなので、古巣である喫茶リコリコに来ています。
また、忙しい おやつの時間も過ぎて、お店はゆったりとした時間が流れています。
「千代さんと桜さん、ハネムーンに行ってのかー 良いよねー♪」
「くぅー! 私もハネムーン行きてぇー!」
相変わらずミズキさんは、独身を貫き、店のカウンターで結婚情報誌である『ゼクシィ』をアテに大吟醸を呷っていました。
「ミズキはハネムーン行く前に、男を見つける方が先だろ wwww」
お子さま体型のクルミに煽られるという不思議な構図です。
「ククク…… 確かにww」
「うるせぇ! 千束も、男、いねぇだろ!」
「私は~?ミズキと違って、ピチピチの大学生だから、問題ありませ~ん♪」
「なんだよ!若いってそんなに良いのかー!」
あーあ…… 泣いちゃったよ、この人。
「ミズキ、ミズキ……」
「なんだよ。クルミぃ……!」
「がんばれよ。フッ………」
クルミは勝ち誇った顔をしてます。
「チキショー!」
ここはずっとこのままで変わらないで欲しいです。
至福のひとときを味わっていると、店のドアが開きました。
「おい! ニュースを見たかッ!!?」
血相を変えて入って来たのはフキたちです。
ちなみにDAを辞めてからは、私や千束と同じ都内の大学に通っています。
この喫茶店のマスターでDAの元訓練教官でもある、ミカさんがテレビを付けてくれました。
『速報です! イギリスの首都ロンドンで大規模なテロが発生しました! 繰り返します!』
その報道に私は驚愕して、急いで両親に連絡を取ります!お願い!繋がって!
「出ない…… どうしよう……」
何度も何度もコールしてみますが、電話は全く通じません…… 私はショックから、その場にへたり込んでしまいました。
「ど、どうしたん? たきな……ッ?」
「私のお父さんとお母さん…… 新婚旅行の行き先、ロンドンなんです……」
「それはホント?」
「はい…… 電話も通じません。連絡が取れないんです……」
「マジかよ……」
心配で涙が止まらない私を、みんなが気づかってくれます。
「きっと大丈夫だよ。たきな。 千代さんが付いてるんだし!」
「はい…… でも……」
「クルミ、どうにか向こうの状況とか掴めないのか?」
ミカさんが、クルミに聴いています。
情報戦とハッキングなら彼女の右に出る者はいないでしょう。
「ウォール・ナットの本領発揮だな。でもここの機材だけじゃ無理だ。」
「じゃあ、どうすればいいの!」
「うーん…… あ、DAのラジアータとかは使えないッスか?」
「確かにアレなら。可能だな。」
「ヨッシャ! 今すぐ本部に突撃じゃー!」
フキやサクラとはリコリス現役の時、ギスギスしていましたが、今は仲良しです。
こうして私のために手を貸してくれます。
「じゃあ、先生! 楠木さんに連絡ヨロシク!」
「ああ、任せておけ。」
「クルミ! 40秒でしたくしな!」
「りょー」
「たきなのためにも、向こうまで、車ブッ飛ばしてやんよー!」
「いや、車は私が運転する。 千束、お前の運転は荒過ぎるからな……」
「なんだとぉー?フキぃー? ケンカ売ってんのかぁー?」
「お前、マジで変わってないな……」
とにかく、お父さんやお母さんの安否を確認するために私たちはDAの本部へと向かいました。
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イギリス ロンドン……
そこは惨状であった。弾丸が飛び交い、一般市民も巻き添え喰らう始末だ。
俺たち二人の目の前で女性が脇腹を撃たれ、激しく転倒する。
痛みで悶絶している女性。早く手当てしないと!
「クソ!」
「千代さんッ!!?」
俺はまだ銃撃戦の中に飛び出し、撃たれた女性を回収、桜さんのいる安全地帯へと急いで戻った。
「千代さん、なんて無茶を……!」
「すまない。でも、助けないとこの人は死ぬ!」
俺は止血のために傷口に手を当てる。
撃たれた女性は「うっ……」と苦悶の表情だった。
「頑張れ!死ぬなぁッ!」
必死なあまり日本語で呼び掛けるくらいだ。
しかし、その傷は致命傷となっていた。弾丸は抜けておらず、臓器を損傷させていたのだろう。
この状況では絶望的だった。
「死にたくない……」と弱々しく呟いて、女性は事切れてしまう。
「千代さん?その人は……」
「ダメだった……」
その言葉に彼女は涙した。
俺は犠牲者を丁重に扱い、桜さんに向き直る。
「これから君を逃すために日本大使館に向かう。」
「は、はい……」
突然のことに心ここに在らずのようで、返事もどこか頼りない。
このままでは共倒れだ。俺は悪いと思いながら、彼女の頬を張った。
「え……ッ!!?」
「桜ッ! しっかりしろ! 今は自分たちが生き残るのが最優先なんだ。」
「ご、ごめんなさい。」
「俺は君の安全を確保するために、敵は倒すしかない。覚悟してくれ。」
「分かりました。」
俺は陸自の秘密部隊 戦略部におり、大体の国の日本大使館の場所は頭に入れてある。それを元に大使館を目指すことにした。
「さようなら。」
桜さんは犠牲者に手を合わせていた。
そこら辺に落ちていた棒切れを手に取り、彼女を連れて移動を始める。
やはり暴徒が跋扈する街となったロンドン、そこら辺で銃声が聞こえた。
彼女の手を引き、物陰に隠れながら、安全を確保して少しずつ前進する。
「千代さん、あれって警察官じゃないですか?」
桜さんが指を指した方には、こちらに向かって歩いてくる警察官の格好した人がいた。
助けを求めようと彼女が声をかける寸前、俺は咄嗟に手を引いて、向こうからは死角になっていた大きなゴミ箱の陰に素早く隠れる。
「どうしたんですか? いきなり!」
「シッ! 静かに!」
俺は彼女を黙らせて、向こうがコチラに来るのをジッと待ち、タイミングを合わせると一気に飛び出し、持っていた棒を相手の胸目掛けてフルスイングで叩きつけた。
俺が打ち倒し、仰向けに倒れた警察官?は血の泡を吐きながら、激しく痙攣している。
「何やってるんですか! 警察官ですよ!」
「警察官? 警察官はこんな物は持っていない。」
俺が物色して彼女に見せつけたのは、AK-47自動小銃のバリエーションだ。
「ちょっと、預かっていて下さい。」
「え、あ、はい。」
俺はさらに探るために小銃を彼女に持たせる。
「コイツ、いったい幾つの武器を持っているんだよ……」
瀕死の男から出るわ出るわ…… 拳銃にそのマガジン、別に小銃のマガジンが3つずつ、手投げ式のグレネード、近接用のダガーナイフ。
「軍人並みだな。」
俺はそれを全て装備した。
その間、打ち倒した男は、生きようと必死に呼吸しようとしている。 胸骨を打ち砕いたんだ。コイツはもうそろそろ死ぬ。
「キツいわ……」
男の絶命する瞬間を目の当たりにした彼女は、あまりの凄惨さに思わず顔を背けた。
「桜さん、これを着てください。」
「何ですか? これ……」
「防弾ベストです。万が一の時、守ってくれる。」
「ありがとうございます。」
桜さんに防弾ベストを着せたら、目的地を目指して再出発だ。彼女を危険に晒さないためにも、交戦はなるべく避けないといけない。
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最初の襲撃が在ってから、1時間半ぼど経っていた。二人でやってのは大きな公園。
そこには幸い敵も見当たらない。
「一度、ここで休みましょう。」
「あ、はい。」
桜さんを隠すように木陰に座らせる。
「大丈夫です。守ってくれてありがとう、千代さん……」
「お礼なんて…… 自分は夫としても自衛官としても当然のことをしてるだけですよ。」
「やっぱり、カッコいいです。」
彼女も少し余裕が出てきたのか、少し会話ができる様になっていた。
しかし、ここでまた厄介ごとが舞い込んでくる。
爆音が聞こえて、二人して空を見上げてみると大型のヘリコプターが全速力で飛び去っていくところだった。そのすぐ後ろを追いかける様に高速で飛ぶ飛翔体…… 俺はそれが何なのか、すぐに理解する。
「あれは対空ミサイル!」
次の瞬間、ミサイルはヘリコプターの機首右舷側に直撃! 前方部分を完全に吹き飛ばす。
操縦不能となったヘリコプターは高速回転しながら、コチラに墜ちてきた。
「危ない!」
桜さんは叫ぶ!俺は彼女を木の裏に隠した。
ヘリコプターは機首から、地面に激しく叩き付けられて止まった。
「千代さん、助けに行きましょう!」
桜さんは危険も顧みず、墜落したヘリコプターのもとへ向かう。
「ちょ…… ええい!」
俺も彼女のあとを追った。
「大丈夫ですかッ!!?」
桜さんがヘリコプターの中に居るであろう人に、英語で声を掛けた。
「これって……」
墜ちてきたヘリコプター、俺はコイツに見覚えがある。緑色基調のカラーリング、そしてこの国章……
「アメリカの大統領専用機じゃないか……」
中からまず現れたのは、大柄の白人の男。俺と桜さんを見た瞬間、素早く銃を構える。
桜さんは手を挙げ、
「やめろ!俺たちは敵じゃない!」
と大きな声で訴える。
「彼女は丸腰だ敵意はない!」
訴えが届いたようで、男は警戒を解いてくれた。
銃を下ろし、連れが居るのだろう中に声を掛ける。
「大統領、大丈夫です。外に出てきてください。」
「大統領、だと……?」
出てきたのは、確かにアメリカ合衆国の大統領だった。墜落の衝撃で擦り傷などあるが、しっかりと立っており、シークレットサービスの男とも会話が出来ている。
「君たちは…… 日本人? 観光客かい?」
「そんなところです。」
大統領たちはちょっと怪訝な目で俺たちを見ていた。それもそうだろう…… 完全武装した観光客、しかも日本人がどこにいようか?
ここまで来た経緯を話そうとした時だった。
バイクの排気音が遠くに聞こえる。しかも1台や2台の話ではない。
かなり量だ。どうやらコチラに向かって来ている。
「奴らか……」
「千代さん…… 」
再び桜さんに不安が満ちた。
「大丈夫、俺が付いてるから。」
俺は彼女を安心させるために声を掛ける。
「君たちはどこに行くのかね?」
「自分たちは日本大使館へ行きます。」
「途中まで一緒だな。」
「私たちもアメリカ大使館に向かう。」
「大統領、走れますか?」
「もちろんだ。毎日ランニングは欠かしてないからな。」
「俺たちも行きましょう。走れるね?」
「は、はい!」
「その意気だ!」
アメリカ大統領と予想外の出会い。
襲撃者たちは、すぐそこまで迫っている。俺たちはまた逃げるハメになった。
次回に続く。
はい!ということでマイク・バニングとアメリカ大統領登場です。
千代さん、強いですね。
ご感想お待ちしております。
しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。
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賛成。
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反対。