おじキャン△   作:Shin-メン

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今回はMI6の隠れ家戦です。


エンド・オブ・ハネムーン 第四話

地下鉄から地上まで上がって来た。

外の安全確保して、街に出る。

 

「あの…… 何をしているんですか?」

 

桜さんがマイクに聞いた。

彼は空を見上げ、左手で1 右手で5 を出している。

 

「大統領の動きは、アメリカの軍事衛星や無人偵察機が絶えず追っている。」

 

「通信が出来ない今、大統領の無事と次の行き先を伝えるための暗号みたいなモノだよ。向こうにいる人たちが察してくれるんだ。」

 

「なるほど。勉強になります。」

 

「さあ、行こう。」

 

俺たちは隠れ家へと移動した。

移動中、ロンドン市内全体に響き渡る勢いの大音量でサイレン音が鳴る。

 

「次は何なんですかッ!!?」

 

桜さんは正直なところ、一杯一杯であった。

不安感を増幅させる様な嫌な音……

 

「空襲警報か……」

 

「おそらく、わざと鳴らしたんだろう。そうすれば、ロンドン市民や警察などは全員建物に籠る。」

 

「市内に残るのは、テロリストと俺たちだけになるってことか。」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

着いた場所は高い建物に囲まれたアパート…… 入り口は裏路の奥にあるという。

隠れ家としては、最高の立地といえよう。

 

マイクがインターホンを押し、応答があって何度かやり取りをしたらロックが外れた。

中に入るとMI6の女性エージェントが出迎る。

 

「ようこそ、大統領。 ハンサムなボディーガードさんも…… 」

 

「世話になる。」

 

「あら? そちらはアジア…… いえ、日本人かしら?」

 

「彼らは、ハネムーンでイギリスに来て、この騒動に巻き込まれたんだ。」

 

「それは災難だったわね。 ジャクリーンよ。」

 

「ノザキ チヨだ。彼女は妻のサクラ。」

 

「キレイな人ね。 アナタみたいな人はジャパニーズ・ヤマトナデシコって いうのよね?」

 

「桜さんのこと、大和撫子だって言ってるよ。」

 

「あ、ありがとう……」

 

「さあ、奥に入ってちょうだい。」

 

ここなら敵はこない。ひとまず安心だ。

それにしても、エージェントのジャクリーンは相当の猛者だと思う。マイクも「おっかないぞ。」と冗談っぽく言っていた。

 

「来て早速だけど、ここに通信が入ってきてるわ。聞いて……」

 

彼女がパソコンを扱うと、音声が流れる。

 

『マイク、32キロの大サワラを釣り上げる醍醐味がわかるかね?』

 

「トランブル副大統領からです。」

 

『データ解析が終了した。直ちに特殊部隊デルタ・フォースの救援隊が向わせる。合流後は移動、装甲車でエアフォース・ワンまで送る手筈だ。』

 

「やりました。大統領。迎えが来ます。」

 

「そうか……」

 

「それで? この騒動を起こした黒幕は誰だなんだ? もう分かっているんだろう?」

 

俺は思いきって聴いてみた。

 

「黒幕はコイツよ。」

 

ジャクリーンによって画面に映されたのは、アラブ系の老人…… 名前は『アーミル・バルカウィ』。

 

救援隊が来るまでの間、俺たちは休憩することに…… やっと落ち着けた桜さんは、俺に体を預け、スースーと寝息を発てて眠っていた。

 

マイクが冷えた水の入ったグラスを大統領と俺にも渡してくれる。

 

「彼女も疲れたみたいだな。」

 

「ええ、平和な日本とは、真逆の世界ですからね…… 今の内に休ませてあげたい。」

 

「それにしても、チヨは何者なんだ?」

 

「俺も気になるな。教えてくれ……」

 

「自分は陸上自衛隊 特務部隊の出です。そちらの陸軍精鋭とも演習したことありますよ。」

 

「オオー あのニンジャ部隊か。それならあれだけ強いのも納得だ。」

 

彼らが言っているのは、特殊作戦群のことだろう。

俺の所属しているのは、戦略部という超法規的な部隊なんだ。

戦略部は普段、色んな部隊に紛れるように、水面下で活動している。国の利益に反することを内々に処理するのだ。

 

彼らと話していると、MI6のジャクリーンがやって来た。どうやら迎えが来たようだ。

俺は眠っている桜さんを優しく起こす。

 

「桜さん…… 桜さん…… 起きて。」

 

「う、うーーん…… あ、私、寝てました?」

 

「疲れたから、仕方ないよ。 特殊部隊の迎えが来たみたいだよ。」

 

「じゃあ……」

 

「ああ、脱出できるよ。」

 

桜さんの顔に元気が戻った。

俺たちは監視カメラの映像を見るためにリビングへと向かう。

 

「デルタか…… 助かったな。マイク……」

 

大統領も安堵の表情を見せていた。

しかし、マイクの顔は険しい。

 

「どうした、マイク? 助けが来たんじゃないのかか?」

 

俺は彼に問う。

 

「ジャクリーン、 副大統領の通信からコイツらが来るまで、どのくらい掛かった?」

 

「えっと…… 20分掛かってないわ。」

 

「フル装備で駆けつけて、汗一つ掻いていない。」

 

「それに攻撃するためのフォーメーションだ。数は10人か……」

 

「千代さん。もしかして……」

 

「冗談だと言ってくれ。マイク……!」

 

「残念だけど、敵だ。」

 

「そんな……!」

 

「ジャクリーン!武器庫に案内してくれ。」

 

「了解よ。」

 

「マイク一人じゃ、骨が折れるだろう。 自分も手伝おう。」

 

「それは心強い。」

 

俺とマイクは、ジャクリーンの案内で武器庫へ足を運び、自分に合った装備を選び整えた。

 

「私は先に出てスコットランドヤードに向かう。手引きした裏切り者を暴いてやるわ!」

 

「そうか、分かった。気を付けてな。」

 

「アナタこそ…… そっちのジャパニーズもしっかりね!」

 

ジャクリーンは秘密の非常口を使い、隠れ家から脱出する。それを俺たちを見送った。

 

「桜さん、これを……!」

 

その後、俺は彼女にも扱い易いだろう、第四世代のグロック26…… 拳銃を手渡す。

 

「え?これはいったい……?」

 

「俺とマイクは、敵を迎え打たなければならない。これは護身だ。」

 

「む、無理ですよ! 私、千代さんみたいに強くありません!」

 

俺は嫌がる彼女の頬に手を置いて、真剣な目で見つめる。

 

「桜さん!良く聞いて! 今は非常時だ。君は覚悟決めなくちゃいけない!」

 

「…………分かりました。」

 

「その調子だ。」

 

俺は彼女に銃の使い方を教えた。

 

「なーに、直ぐにカタを付けて戻って来るよ。心配しなくていい。」

 

「行くぞ! チヨ!」

 

「了解……!」

 

「マイク、頼んだぞ!」

 

「千代さんも気を付けて……!」

 

俺とマイクは敵を迎え撃つ。

マイクが危険な前衛、俺が後衛を守るフォーメーションだ。

敵によるセーフティ用の頑丈なドアを破壊する音が、隠れ家内へと響く。突入してきたみたいだ。

俺たちは各々部屋へと隠れて敵を待ち伏せる。

 

暗闇の中、やって来たのは二人……

向こうも訓練を詰んでいるらしく、足音も発てずにクリアリングをしてくる。

 

敵の一人が銃を構えながら、俺が潜む部屋と入って来た。俺は音もなく、敵の目にナイフを突き立て、一瞬で息の根を止める。

そのまま別の部屋に移動し、もう一人も体術で敵を絞め倒して、殺意を込めて胸にナイフを3回突き刺して殺した。

 

マイクは派手に銃撃戦を繰り広げている。

 

「ホント、アメリカ人は派手好きだな。」

 

おそらく敵のほとんどはマイクの方へと行ったみたいだ。俺はリビングまで来た。

その時、真上のガラスを破って敵が襲い掛かる。

 

「クソッ!」

 

虚を突かれた感じだ。

敵はナイフで俺に白兵戦を挑む。

刺突や凪払いを駆使して俺を殺そうとするが、その様な単調な動きではいくら時間があっても、俺を捉えることはできない。

 

「白兵戦ってモンを教えてやる。」

 

俺は敵の刺突を紙一重で躱し、ナイフ突き出し、伸びきった腕を掴んで肘の関節を逆に折った。

流れるように、膝も折って体勢を崩し、とどめに敵の頸動脈をかっ切る。

血が噴水のように吹き出し、敵は死んだ。

 

「陸上自衛隊、上級格闘官を舐めるなよ……」

 

俺は倒れる敵に、そう吐き捨てる。

マイクの方も静かになったようだし、カタはついたと思った。

しかし、俺の前に生き残っていた敵が現れる。

互いに目が合い、時間がゆっくりと流れる感覚がした。敵は俺に銃口を向けて引き金を引こうとする。

絶体絶命だった。

だけど、それよりも早く、1発の乾いた発砲音が響き、それと同時に敵は倒れる。

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……」

 

そこにいたのは、なんと桜さん。

俺を助けるために、その引き金を引いたのだ。

敵は頭部に着弾、そして絶命しており、撃った彼女自身も放心状態で壁に寄り掛かり「ごめんなさい。」と何度も呟き涙を流していた。

 

「桜ぁッ!」

 

俺は彼女に駆け寄り、力いっぱい抱きしめた。

 

「千代さんを撃たせたくなかったの……」

 

俺の胸の中で彼女は、声を上げて泣いている。

 

「ありがとう。ありがとう。おかげで助かったよ…… 君は悪くない! さあ、落ち着いて…… 深呼吸しよう。」

 

他の敵を片付けたマイクと大統領は、その様子を黙って見ていた。

特殊部隊に化けたテロリストを退けた俺たちは、隠れ家を後にする。

 

みんなで話し合って、隠れ家から一番近いアメリカ大使館を目指すことになった。

ジャクリーンは車を用意してくれていた。

一応は防弾だが、政治家仕様ではないらしい。

 

「私が運転します!」

 

急に桜さんが、そう言い出した。

 

「それはダメだ! 自分が運転する。」

 

「いいえ…… 大統領は死んじゃいけないし、千代さんとマイクさんは、これからの戦いに集中しないといけないわ。」

 

「だけど……!」

 

「私の運転テクニック、千代さんなら知ってるでしょ? だから…… 私を守ってね!」

 

桜さんの決意に俺は「頼んだ。」と車のキーを彼女に投げ渡す。

 

「お、おい! 大丈夫なのか? チヨ!」

 

「彼女もプロだ。任せて良い。」

 

運転席に桜さん、助手席に俺、後ろにマイクと大統領が乗り込んだ。

彼女が車のエンジンを始動させる。

暗闇を車のライトが照らした。

 

「みんな、シートベルトはOKかしら?」

 

「大丈夫だよ。」

 

「マイクさん、ナビゲーションをお願いします。」

 

「任せてくれ。」

 

桜さんはギアをドライブに入れて、サイドブレーキを解除、少しずつアクセルを踏み込む。

車がゆっくりと動きだした。

 

ここまで来たんだ!意地でも脱出してやる!

 

次回に続く。




桜さん、千代さんを守るためとは言え、銃の引き金を引いてテロリストを倒してしまいましたね。

彼女も覚悟を決めたみたいで、車の運転をかって出ました。クライマックスももうすぐです。

ご感想、お待ちしております。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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