日本は山梨県、富士山の麓に広がる国有地の一角にあるDA本部…… 時間は18時30分頃。
たきなです。ミカさんのおかげで、私たちは正面切ってDA本部に入りました。
「うひょー! 久しぶりッスね。先輩!」
「だな。 まさか、またここに戻ってくるとは、思わなかったぜ……」
周りからの視線が気になります。
「やっほー! 元ファーストリコリスの千束でーす! 凄腕ですぞー!」
「相変わらずですね。千束…… クルミ、はぐれないように着いて来てください。」
「分かってる……」
「良くノコノコと来れたな、たわけ者どもが……」
そこにいたのは、DAの楠木司令でした。
副官 兼 秘書の人も一緒です。
「おー 久しぶりー!」
「おい! 千束! 司令に向かってなんて口を利いているんだ! 申し訳ございません。」
「ふん。ミカから話は聞いた。」
「では、単刀直入に言います! 楠木司令! ラジアータを私たちに使わせて下さい!」
私は頭を下げます。
「ダメだ。」
普通に断られました。
何がなんだか、分かりません。
「っえ? って!どうしてですか? ミカさんから連絡があったはずでは!」
「確かにヤツから連絡はあった。が、ラジアータを使わせるかどうかは、別の話だ。」
「司令も知っているんじゃないですか! イギリスロンドンでの同時多発テロのこと!」
「今日は朝から大騒ぎだな…… この国の首相とも連絡が取れないとな。」
「 あそこには!私のお父さんとお母さんがいるんです! 私は、一刻も早く、二人の様子が知りたいんです!」
「それがどうした?私には関係ないことだ。」
「お願いします! ラジアータの使用許可を下さい!」
私は形振り構わず、プライドを捨てて土下座までしました。
「ダメだ…… 組織の根幹であるAIを、はいそうですかと、二つ返事で使わせるワケにいかない。帰れ……」
「たきながここまでやってるのに……! 楠木さんの分からず屋!頭デッカチ!」
「やめろ!千束! 司令の心象が悪くなるだろうが! 司令、申し訳ございません。ですが、私からもお願いします。コイツのご両親には、後輩のサクラ共々お世話になってますので……」
なんとフキも頭を下げてくれます。
「サクラ、お前も頭下げろ……」
「え? アタシもですか?」
「お前も世話になってるだろが……!」
「うぅ…… お願いします。」
「千束、お前もだぞ。」
「あたぼーよぅ!楠木司令、お願いします!」
「「「「「お願いします!」」」」」
無言の楠木司令。ことの行く末を見守る他のリコリスたちのプレッシャーが凄い。
「ったく…… 分かった。許可しよう。」
実際には大した時間は経っていなかったと思う。
だけど、体感は何十倍にも感じました。
「やったね! たきな!」
「はい! ありがとうございます!楠木司令!」
「ただし、条件がある……」
「なんでしょう。」
「錦木千束と春川フキは定期的に教官として、後輩のリコリスを鍛えること…… これが、私からの条件だ。」
「分かりました。 それでラジアータを使わせてもらえるなら、私はやります。」
「うぅー 分かった! たきなのために私もやる! でも、私のやり方だからね!」
私たちは司令たちに案内され、オペレーションルームに向かいます。
かなりの時間、リコリスとして生きてきましたが、この部屋に入るのは、初めてです。
「さあ、クルミ! 出番だよ!」
「任せろ……!」
クルミは席の一つに向かう。
「退いてくれ。」
「え? 何? 子供?」
『命令だ。 席を変われ。』
「りょ、了解……」
クルミが陣取ります。
そしていつものヘッドセットを付けてあっという間にラジアータにログインしました。
その手際の良さに司令たちは舌を巻いています。
「今、イギリスの上空にいる衛星と周辺の航空機にハッキングをかけてる。」
「クルミ、急いでください。 お父さんたちの安否が知りたい。」
「分かってる。」
私はお母さんの妹である、なでしこさんに電話を掛けました。
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なでしこです。
実家に着いたタイミングで、たきなちゃんから電話が掛かってきました。
『もしもし? なでしこさんッ?』
「あ、たきなちゃんッ!!? 私もお家に着いたよ! 」
私は実家に駆け込みます。
家に着いた時には、夜になってました。
「ただいま! お父さん!お母さん!」
私の家、一家団欒の場所、リビングにお父さんとお母さんはいました。
二人はテレビでニュースを見ています。
「な、なでしこッ!!? 帰って来たのか?」
「うん!お姉ちゃんたちが心配で!」
「仕事はどうしたの?」
「店長さんがお父さんたちに着いていて上げなさいって!」
「そうなのね…… 」
「もしもし? たきなちゃん、お父さんたちも家に居たよ!」
『そうなんですね。私たちも位置に着きました。』
「それでどうするの?」
「ちょっと、なでしこ? たきなちゃんと電話が繋がってるの?」
「うん!そうだよ。お母さん。」
私はスマホをスピーカーにして、両親にも聞こえるようにしました。
『良いですか? 私の言うことをちゃんと聞いて下さい。 今、私の連れが情報収集しています。』
「たきなちゃん? それでどうなの? 桜たちは無事なの?」
お母さんが訊ねました。
『確認する限り、無事です。 他に外国人がいますね。ちょっと、待って下さい………… えっ?嘘でしょッ!!?』
「どうしたんだ!たきなちゃん!まさか、二人に何かあったのかいッ?」
たきなちゃんからの電話越しでしか状況が掴めず、私たちには想像が付きません。
『いえ!お父さんと外国人の一人が協力して、テロリストたちと戦ってます! 凄い…… お母さんと残りの外国人を守りぬいてる。』
うーーん……! 全然分からないよ!
「ねぇ! たきなちゃん! 私たちもその様子は見れないのッ!!?」
『クルミが…… その…… 私の友達が言うには、ネットワークに繋がっている物があれば、直ぐに見せることが出来るって、言ってます。』
「たきなちゃん!家のテレビはネットに繋がってるぞ。出来るかい?」
『直ぐにそのテレビをハッキングして、現地の映像を送ります。』
たきなちゃんの知り合いが、実家のテレビに現地の現状を見せてくれました。
ちょうど、お姉ちゃんと千代さんは、連れの外国人と建物中に入って行くところでした。
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イギリス、時間は20時……
日本時間は午前4時になっていた。
桜さんが車のハンドルを握り、俺たちは隠れ家から一番近い、アメリカ大使館を目指す。
どこにテロリストが居るか分からない。救援も絶望的で八方塞がりだ。
敵の待ち伏せは、容易に考えられる。
しかし、もうどうにもならない。
俺たちは大使館に乗り込むことになった。
「マイクさん。道案内をお願いします。」
「任せてくれ。」
マイクの案内でしばらく走ると、明らかに待ち伏せに適した路地へとやってきた。
「桜さん、停めて!」
「あ、はい!」
彼女はブレーキをかけ、停車させる。
街灯もなく、真っ暗な路地の左右の路肩には、車が何台も並べられており、テロリストが隠れる死角も存在した。
俺たちの乗った車がギリギリ通れる幅しかない。
「チヨ、どうする?」
「明らかに罠だな。」
「しかし、大使館はここを通るしかないぞ。」
「ならば、行くしかない。」
「桜さん、これから敵の攻撃がきます。」
「わ、分かりました。」
「怖いでしょうが、スピードは緩めず、一気にここを突破してください!」
「はい……! じゃあ、行きます!」
「大統領、頭を低くして下さい。」
「分かったよ、マイク……」
桜さんが、ブレーキを解除してアクセルを踏み込む。車は段々と加速し、罠の中に突撃した。
次の瞬間、前方から激しい銃撃に晒される。
「きゃあぁぁーー!」
「大丈夫! 防弾仕様だから、構うな!」
「は、はいぃぃーー!」
さらに路肩の停められた車に、仕掛けられた爆発物が次々と爆発した。
「クソったれ! IED(即席爆弾のこと)まで仕掛けてやがる! 歓迎するにも程があるだろう!」
あまりの事に、俺は思わず悪態をついてしまった。
爆発の衝撃で車の後輪が何度も浮き上がる。
そんじょそこらでは味わえないスリルだ。
しかし、ギリギリ爆発に巻き込まれない。
この状況でも桜さんはハンドル操作をミスすることはなかった。
さすがだよ、桜さん……
敵の待ち伏せ攻撃を、なんとか突破した。
「ふぅー」
「やったよ! 桜さん!」
「凄いな。 ジャパニーズガール…… 」
「勲章モノだ。」
マイクと大統領も一目置く。
だけど、ここは戦場と化したロンドンである。
油断は禁物…… 突破後、交差点に差し掛かった所で、左側から大型トラックが突っ込んできた。
俺の座る助手席側に凄まじい衝撃を受け、車はそのまま右側に三回転する。
天地がヒックリ返り、全身が痛み、脳震盪だろう意識が朦朧とした。
「千代さん…… 千代さん……!」
朦朧とする中、桜さんの俺を呼ぶ声が聞こえる。
多勢に無勢…… 桜さんは車から引き摺り出され、大統領と共にバンに詰め込まれた。
「助けて……! アナ…………!」
体の自由が利かない俺は、唯々、拉致されるの見送るしか出来なかった。
「チヨぉ…… 無事か……… ?」
「な、なんとか…… うぅ……!」
次第に俺たちの意識は覚醒し、敵が車に近づく足音が聞こえる。トドメを刺す気だな。
敵の足が見えた。その瞬間を俺とマイクは、見逃すはずはない。
すかさず拳銃を撃つ。
敵は絶叫し、倒れたところで急所を撃って倒した。
俺を縛っていたシートベルトを、ナイフで切り、車外へと這いずり出る。
続いてマイクを脱出した。
さらにテロリストたちがやってくる。対処するが、絶体絶命だった。
だが、そこへ援軍が来てテロリストを一掃する。
現れたのは、イギリス特殊部隊『SAS』とアメリカのデルタフォースの混成部隊だった。
「援軍か…… 助かった。」
「デルタとSASか?」
「そうです。ウィル・デイビス中佐。この混成部隊の隊長です。ヨロシク。」
「人数は?これだけか?」
俺は隊長に聞いた。
「誰だ? 日本……人? なぜこんな所に……?」
「俺と一緒に行動していた。大統領と一緒に彼のワイフが連れ去られた。」
「そうか…… 」
ウィル中佐に言うには、人数は20人…… 分隊二つ分の戦力だった。援軍というには、かなり心許ない。
「俺たちも、行くぞ。 なあ? チヨ?」
「当たり前だ。隊長、装備をくれ。」
「いや、ここからは自分たちに任せてくれ。」
「俺は大統領の警護官だぞ。」
「俺も大切な人を助けに行かなければならない。」
「「だから、武器を寄越せ!」」
俺たちは装備を整える。
整えてる時に、部隊長から大まかな説明を受けた。
「チヨとか言ったな? 本当に大丈夫なのか?」
「任せてくれ。」
「チヨは心配ない。 ヤツは自衛隊のニンジャソルジャーだからな……」
最後に俺は小銃に銃剣を装着する。
「必ず助けるぞ! 桜さん……!」
俺は桜さんと大統領が連れ去られ、監禁されている敵の本拠地へと殴り込む。
次回に続く。
桜さん、敵に拉致られて大ピンチです。
無事に救出しなければいけません。しかし、援軍は心許ないです。
ご感想、お待ちしております。
しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。
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