おじキャン△   作:Shin-メン

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最後です。クライマックスです!
さて、二人は無事に日本に帰って来れるのでしょうか?


エンド・オブ・ハネムーン 最終話

日本では夜が明け、いつもの一日が始まろうとしている。遠いイギリスでの事件は対岸の火事程度、ほとんどの国民には関係なかった。

 

志摩リンです。私は愛知県の出版社に就職して、営業部に勤めています。

テレビをラジオ代わりに出勤のための準備をしていました。

 

聞こえていたはずのニュースが、聞こえなくなってしまいました。

 

「あれ? どうしたんだ?」

 

気になってテレビを見ていると、画面の向こうには、親友であるなでしこのお姉さん…… 桜さんが映っていました。

 

「えっ? はぁッ!!? なんで、桜さんがテレビに映ってんのッ!!?」

 

しかもイスに座らされた上、縛られているし!

ワケが分からない。

とにかく、なでしこに聞いてみないと……!

そう思い、彼女に急いで連絡を取り、事情を聞いてびっくりしました。

イギリスのことは昨日のニュースで聞いていたけど、そんなことになっていたなんて知らなかった。

 

大垣やアオイ、斉藤たちからもついさっき連絡が来たそうです。

こんな状況で会社なんていけないだろ。

千代さんと桜さんの娘たきなさんは、昨日から知っていたそう。

私は他のみんなと連絡を取り合って、この事件の行く末を見守ることしか出来ません。

 

『名前は?』

 

桜さんの隣に立った外国人が、名前を聞いています。少しなら英語は分かります。勉強してて良かったかも……

 

桜さんは頑なに答えようとしません。

 

『きゃぁッ!!?』

 

次の瞬間、桜さんの頬を男が張り倒します。

 

「く……ッ!」

 

思わずテレビから目を話してしまいました。

 

『もう一度聴くぞ? ジャパニーズガール、貴様の、名前は、何だ?』

 

ゆっくりとした口調で、男が再び尋ねます。

 

『桜…… 野咲 桜です。』

 

『なぜ、この国に来たんだ? 正直に話せ。』

 

『し、新婚旅行、です……』

 

次は直ぐに答えました。

極限状態だろうに、桜さんは落ち着いた表情です。

 

『災難だな。実をいうと私にも妹がいる。 いや、"いた"と言った方が正しいか…… 生きていれば、お前と同じくらいの年頃だろう。しかし、妹は死んだ。奴らの卑劣な攻撃でな!』

 

男は桜さんの後ろにいる、白人男性を指差し、怒号が響きました。

 

『まだ18だったんだぞ…… それにその日は結婚式だった。 女のお前なら分かるだろ? 人生最良の日に死ぬんだ。怖かっただろうに……』

 

男は悔やむに悔やみきれないようだ。

 

『確かにそれは悲しいことよ。 でも…… アナタたちのやったことは、到底許されないわ。 無関係な人たちがたくさん巻き込まれて、たくさん死んだのよ! 怒りや憎しみからは何も生まれないわ。』

 

桜さんは男の主張にも一部同情したけど、間違っていることを指摘して説教までする。

 

『ハハハハ! 平和ボケしたジャパニーズらしいご高説だ。良いか?これは復讐なんて生半可なモノではない。私たち一族と奴らとの戦争なのだよ……』

 

そう笑った男は鉈のような大きな刃を取り出して、その刃を桜さんの首へとあてがいました。

 

「ちょっと、不味くないか……!」

 

私は焦ります。

 

『何をする気?』

 

『メインのショーを始める前の、ただのデモンストレーションだよ。』

 

男は邪悪にも似た笑みを浮かべる。

 

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「たきな! 桜さんが……!」

 

「分かってる! 私も助けに行きたいのに…… 何も出来ない無力な私が悔しい!」

 

お願い! お父さん! お母さんを助けて下さい!

私は祈ることしか出来ません。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「お姉ちゃんが殺されちゃう!」

 

「桜ぁ…… やめて!」

 

『最期に言い残すことはないか?』

 

『日本にはね? "バカに付ける薬はない"って言葉があるのよ? 面白いでしょ?』

 

『減らず口を……!』

 

『それにね?私は諦めてないの…… 私の夫が助けに来てくれるから!』

 

男が大きな刃物を振りかぶりました。

 

「もう見てられるか……!」

 

私のお父さんは画面から目を逸らします。

 

『ジャパニーズの一般人に何が出来る……?』

 

『言ってなかったわね? 私の夫は自衛隊の隊員なのよ。』

 

『何? 自衛隊だと……?』

 

その時でした。

 

『桜ァーー! 助けに来たぞォォーー!』

 

千代さんがお姉ちゃんの名前を叫び、お姉ちゃんたちのいる部屋に突入してきました。

 

『アナタ!』

 

即座に悪者を銃で撃ち、一人二人と倒しました。

直ぐに別の白人男性も続いて入って来ます。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

俺はマイクと共に部屋にいたテロリストどもを始末する。

 

「マイク! 妻と大統領を頼む!」

 

「了解だ。」

 

「俺はコイツと決着を付ける!」

 

残るは一人だけ……

俺はマチェットを持つ男と対峙した。

 

「かかって来いよ……!」

 

俺は構えて相手を挑発する。

 

「死ねぇぇー!」

 

男がマチェットを振るうが、怒りでゾーンに入った俺には、その振るわれる刃がゆっくりに見えた。

 

「なぜだ! なぜ当たらないッ!」

 

俺は男の唐竹割りを防ぐと、鉄筋剥き出しのコンクリート製の柱を利用してマチェットの刃を折る。

ここが建設途中で助かった。

 

しかし、諦めの悪い男は折れたマチェットを俺の右脇腹に突き立てる。

 

「う……ッ!」

 

「千代さん!」

 

桜さんが俺の名を叫んだ。

 

「大丈夫だ…… 」

 

キズは浅いし、こんな所で死んでたまるか!

俺は体勢を立て直し、男を蹴り、怯んだところに肉薄してヤツの顔を何度も殴る。

 

「良くも、俺の妻にひどいことをしてくれたな! 許さん!許さん!許さん……!」

 

殴るたびにヤツの顔は、骨が折れ、また肉が弾け、血飛沫が飛んだ。

男を始末するのに集中していたため、周りが見えていなかった。

 

「チヨ!グレネード!」

 

マイクが叫ぶ。ネットワークを管理するためにイスに座っていたテロリストの一員が、残るチカラを振り絞って手榴弾のピンを抜いて転がした上で、息絶えたのだ。

 

最初の突入で仕留め損ねたか……!

起爆するまでの時間は、約4秒しかない。

俺は咄嗟にイスに座ったまま死んだ男を手榴弾の上に被せ、俺もその上に乗る。

 

マイクは大統領と桜さんを安全な場所に隠した。

次の瞬間、手榴弾が起爆!

爆発の威力で俺は2mほど飛んで、壁に叩き付けられ、そのまま地面に倒れる。

 

「グゥッ! きっっっつ……!」

 

「千代さん! 大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ……」

 

「さっき、刺されてましたよね? 傷、見せて下さい!」

 

「大丈夫だよ。 桜さんこそ酷いケガだ。 迎えに遅れて済まなかった……」

 

「私は良いんです。助けに来てくれて…… ありがとうございました。」

 

俺たちは抱き合い、涙した。

 

「チヨ、良いか?」

 

「ああ…… マイクも援護感謝する。」

 

「それは良いんだ。おかげ大統領も無事だ。ヤツは今のどさくさに紛れて逃げた。」

 

「あれだけ殴ってやって、まだ動けるか…… ゴキブリ並みにしぶといな。」

 

「脱出するぞ。」

 

「了解だ。 桜さん、ここから脱出するけど、敵からの反撃が厳しくなる。俺から絶対に離れないようにして下さい。」

 

「分かりました。」

 

俺とマイクは装備を確認する。良く見ると大統領も手にサブマシンガンを持っていた。

 

「ちょっと、大統領…… そんな物を持ってどうするんですか?」

 

「私も共に戦うよ。」

 

「良いのか? マイク……」

 

「大丈夫だ。ベンジャミンは何度も修羅場をくぐり抜けてきた男だからな……!」

 

「分かった。 でも大統領、敢えて言わせて貰いますよ。死ぬな……!」

 

俺たちは、敵の牙城から脱出する。

非戦闘員である桜さんは壁に寄せて、三人でがっちりガードした。

 

そして、敵が現れる。

その中にさっき仕留め損ねたヤツも混ざっていた。

やはり、敵の数が多すぎる。いくら倒しても湧いて出てきて鬱陶しい。

 

「どうする! チヨ! このままでは、ジリ貧だ!」

 

俺たちはとうとう、ビルの一角で足止めを食らって、一歩も動けなくなってしまう。

 

「仕方ない! ここを爆破する! 桜さん、良いね!」

 

「………はい!」

 

桜さんも覚悟を決める。

俺は通信機を使って外で戦う部隊に連絡を取った。

 

「こちら! 千代! ウィル中佐! 聞こえるかッ!!? オクレ!」

 

『こちら、ウィルだ。どうしたッ? 救出は出来たのかッ!!?』

 

「ああ! 大統領たちは無事だが、ジリ貧だ! 今すぐ、このビルを爆破しろ!」

 

『な、何をッ!!? まだ貴様たちが出て来てないだろうッ!』

 

「そんなことを分かっている! 爆破しないと、俺たちは出て行かれんのだ!」

 

『しかし……ッ!』

 

「早くやれぇー!」

 

俺は魂を込めて叫ぶ。

 

『りょ、了解ッ!』

 

爆発音と共にビル全体が揺れる。

中佐が爆破スイッチを押したようだ。

そして、テロリスト共を巻き込みながら、爆炎がコチラに迫ってくるのが見えた。

 

「チヨ! マイク! あそこにエレベーターシャフトがあるぞッ!」

 

大統領が大声で叫ぶ。ナイス!大統領!

そこに一か八か飛び込むことにした。

マイクは大統領と共に板張りの障害物を突き破る。

 

「桜ァッ! 走れぇぇー!」

 

「は、はいィィーー!」

 

俺は彼女の手を引き、そこに勢い良く飛び込んだ。

落ちて行くシャフト内に爆炎が入ってくるのが、ギリギリ交わす。

 

爆炎はテロリスト一味をビルを丸ごと焼き尽くし、その炎はロンドンの空を赤々と染め、ロンドン警察本部からでも確認された。

 

俺は一番下まで落ちた。幸い大した高さじゃなかったこと、そしてうまく庇うことが出来たため、彼女にケガはなかった。

 

俺はたぶん、肋骨を何本かやったかも……

めっちゃ胸が痛い……

 

全てが終わる。ウィル中佐たちがシャフトから俺たちを救助してくれた。

 

「助かったよ…… 中佐。」

 

「ああ…… ありがとう。」

 

「いえ……」

 

「しかし、次は直ぐに押してくれ……」

 

「ハハハ……」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

俺と桜さんはケガの治療をした後、無事に帰国できた。空港では娘のたきなと桜さんの家族に俺の両親と妹たち、それに志摩さんたちや千束ちゃんも待っていてくれた。

 

「お父さん! お母さん! お帰りなさい!」

 

いの一番に、たきなが俺たちの元に飛び込んで来る。娘と抱き合い、生を改めて感じた。

 

「ただいま。」

 

「ただいま…… たきなちゃん。」

 

エンド・オブ・ハネムーン…… 終わり。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

その後…… 俺は国会に招致され、件の事件の聴取を国会議員たちからされた。

 

総理大臣はこの事件で犠牲になったようだ。

それだけではない。イタリア、カナダの首相、フランス大統領……そして病死だと思われていたイギリスの首相も毒殺されていたと言うことだった。

 

そして、俺はアメリカ大統領から勲章を貰う。

俺の戦い振りが動画で全世界に知れ渡り、日本へちょっかいを掛ける国が減ったようだ。

 

次回に続く。




エンド・オブ・ハネムーンはこれで終わりです。

次はしまりんと土岐綾乃ちゃんを中心に短編集を執筆しようと思います。この二人といえば……?

ご感想お待ちしております。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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