おじキャン△   作:Shin-メン

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好き勝手に書いていきます。


おじさんと初キャンプ。

期末テストの終った終末、俺は揃えたキャンプ道具を愛車その①であるロクダボくんに積載していた。

初めてのキャンプをするためだ。

 

野営や野宿は自衛隊の時に経験済みだが、キャンプとなると話は別だ。

 

「こんなモノか………」

 

俺のロクダボは、ロンツーモードもとい最終決戦仕様と化している。

今年最後となるロクダボとのロンツー&初キャンプ。

まあ〜エンジン関係上、定期的には乗るけど……

 

「良し、行くか……!」

 

\オウヨ…ッ!!!/

 

「ヤリスくんもお留守番、任せたよ。」

 

\キヲツケロヨ〜!/

 

お昼頃に自宅のアパートを出発した。

まずは今晩の夕食を買いに行こうかな?

バイクを走らせて向かったのはスーパーマーケットのゼブラ身延店……

 

「さて、晩ごはんは何にするか?カレー?焼き肉?それとも……………」

 

色々と食材を物色していると、声を掛けられた。

 

「千代さん?お買い物ですか?」

 

反応して顔を上げると、そこに立っていたのは桜さんだった。

 

「あ、各務原さn………」

 

「むぅ……ッ!!?」

 

俺を見る彼女の眼鏡がギラリと光る。

 

「桜さん……」

 

「よろしい。」

 

下の名前で呼ばれて嬉しかったのか、彼女は納得した上でご満悦のようだ。

 

「千代さんは買い物中みたいですね。」

 

「ええ、これから初めてのキャンプに行こうかと……」

 

「へぇ〜どこでするんですか?」

 

「ツーリングも兼ねて本栖湖まで……」

 

桜さんと二人で並んで買い物して回る。

 

「そういえば、今日は妹さんも志摩さんとキャンプする予定でしたよね?」

 

「ええ……昨日そんなことを言ってましたけど、あの娘ったら、今日になって風邪を引いたみたいで……」

 

「あらら………」

 

ちょっと苦笑い………

 

「だから、今日はリンちゃん一人でキャンプに行ったみたいですよ?」

 

買い物を終えた俺と桜さんは、共にレジへと並んだ。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

レジ打ちをしていたのは、犬山さんだった。

 

「犬山さん、ここでバイトしていたんだね?」

 

「はい〜そうですぅ。あ、なでしこちゃんのお姉さんもいらっしゃいませ〜」

 

「あおいちゃんもお疲れ様。」

 

犬山さんはピッピッと、手際よく商品をレジに通していく。

 

「へぇー手慣れたモノだねぇ~」

 

「いえいえ……それはそうと、お二人とも仲がよろしいようですが、これからデートですか?」

 

レジ打ちしながら、犬山さんが爆弾を投下した。

 

「な、何を言っているんだいッ!!?たまたまだよ……ッ!!?ね?桜さん?」

 

俺は彼女との関係を否定しようかと思ったが……

 

「………………それはあおいちゃんのご想像にお任せします。」

 

ますます、ややこしくなった。

 

「ちょっと、桜さんッ!!?」

 

あたふたする俺を見ながら、クスクス笑う桜さん……

また、彼女にからかわれた。

 

「千代さん。お会計1760円ですぅ……」

 

そんな俺を後目にマイペースな犬山さん。

 

「あ、はい。」

 

俺は会計を済ませて、店をあとにする。

 

「ありがとうございました〜♪」

 

「ちょっと桜さん、困りますよ……あんな態度を取られると……」

 

「ごめんなさい。何だか千代さんが可愛くて……♪」

 

「か、可愛いッ!!?お俺が……ッ!!?」

 

「ほら、可愛い……♪」

 

「また、からかわれた。俺、年上なんですけど……」

 

「それは関係ないです。」

 

謎理論……

うーむ、モヤモヤする。

 

「じゃあ、私はこれで………!」

 

「あ、ちょっと待って下さい。」

 

俺は桜さんにプリンを渡す。

 

「これは…………?」

 

「妹さんへの差し入れです。」

 

「ありがとうございます。なでしこも喜びますよ。」

 

俺は桜さんと別れて、目的地の本栖湖のキャンプ場に向かった。

12月に突入して、山梨の冬は一段と厳しく感じる。

身を切るような風が凄い。

 

「着いた………」

 

俺は管理棟へ足を運び、一泊分の料金を支払った。

湖畔のサイトまで入り、スタンドを立ててバイクから降りる。

 

「スタンド良し!」

 

どこぞの安全ネコのように、念入りにスタンドを確認した。

荷物をバイクから降ろし、決めた場所に置いた。

 

「それにしてもいい天気だ……」

 

初めて来た時とは違って富士山もはっきりと見える。

風も殆どなく、無風状態で湖面にも逆富士が綺麗に映っていた。

 

「コンディションも最高じゃないか。」

 

美味しい空気を思いっきり肺に取り込み、深呼吸と背伸びをする。

 

さあ!キャンプを始めよう!

サバイバルに比べると断然楽だろう……

食料と水、酒はすでに用意してある。

あとはシェルターとなるテントに火起こしだ。

 

「テント設営は説明書でおさらいしてあるし〜♪」

 

テントを立てる範囲をあらかた決めて、四角く線を引いて、その中の目につく石を拾った。

 

「やっぱり、寝心地は良いのに越したことはない。」

 

十分後…………まだ立たない。

 

「あれ?予定では殆ど出来てるはずなんだが………」

 

さらに十分…………やっと半分。

 

「く、なぜだ………このままじゃ、志摩さんとか野クルみんなに合わせる顔がない……」

 

40分掛けてようやく出来上がる。

 

「けっこう時間が掛かったな……まあ、次はうまく行くさ。」

 

テーブル、チェアーを用意してその他のガジェットも出してテーブルに並べる。

 

「さて、最後に火起こしだ。」

 

バケツに水を汲み、薪を集めて、焚き火台組み立て、石で風除け作り、いざ!火起こし!

 

「キャンプ動画で予習した時には、フェザーステックみたいモンを作ってたよな?」

 

木を削り、フェザーと言うより彼岸花のようなモノを幾つか作り、焚き火台の中へ……

 

「これぞ文明の力……ターボライター!」

 

普通のライターとは比べ物ならない出力を誇る。

早い!あっという間にフェザーステックの山に火が入った。

 

チェアーに座り、ゆったりと景色を眺める。

 

「そうだ。コーヒーでも飲もう……」

 

自衛隊の時から使い込んだ、ススで真っ黒になったポットで直火で沸かした。

 

「このポット、使うのはいつ振りだろうか……う〜ん、味わい深い……」

 

お湯が沸いた。

インスタントのコーヒーを煎れる。

 

「ああ……インスタントだが、シチュエーションのおかげで旨さ100点だ。」

 

コーヒーを飲みながら、ボーッとする。

 

「うん、暇だ……」

 

キャンプって、こんなに暇なのか?

景色見る、焚き火の調整、コーヒー以外に何もすることがない。

 

「まだ三時過ぎ……晩ごはん作るにも早すぎる。良し!筋トレでもするか……」

 

俺はおもむろに屈み跳躍を初めてみた。

 

「いち、に、さん、し…………」

 

飛んでは足を前後と変えて、屈伸を繰り返す……

 

「さんじゅういち、さんじゅうに、さんじゅうさん……………………よんじゅう!」

 

体力の限界で、その場にヘタリ込んだ。

 

「久しぶりだから、堪えるわ………」

 

息を整えていると、スマホがピコンっと鳴る。

 

「LINE……か?」

 

なでしこ『こんにちは。』

 

各務原さんか……

 

千代『各務原さん、風邪を引いたみたいだね?お姉さんから聞いたよ。』

 

なでしこ『えへへ……昨日、お風呂上がりにベランダでリンちゃんとキャンプことで電話してて………』

 

千代『それで風邪を引いたってわけか……』

 

仕方のない娘だ…………

 

なでしこ『お姉ちゃんからプリン貰ったよーありがとうございます(≧▽≦)』

 

千代『気に入って貰えて良かったよ。』

 

なでしこ『今、梨っ子のアキちゃんが一流料理人も頷く、絶品のほうとうを作ってるんだよ〜♪デザートは〜ッ!!?千代さんのプリン!』

 

文面からして、かなり回復していると思われる。

なでしこ、風の子、元気な娘だな……

 

それにしても、ほうとうか……

そういえばこっちに来て、食べたことなかったな。

 

千代『良いじゃないか……是非とも今度、自分にも作ってもらいたいものだ。』

 

なでしこ『良いですね!』

 

筋トレして各務原さんとLINEのやり取りしている間に、晩ごはんの時間になっていた。

 

「さて、今日は初めてのキャンプと言うことで、思いきって肉焼くぞー!」

 

食材を入れていた保冷バッグからメイン食材の骨付き鶏もも肉を取り出した。

 

「美味そうだ。コイツを網の上で豪快に焼く!」

 

薪のスモーキーな香り、そして肉の焼ける音……これだけで酒を煽れる。

 

「もう良いよな?呑んでも…………ッ!!?」

 

初めて尽くしで、テンションも高い。

 

キンキンに冷えた銀色のヤツのプルタブを開けた。

プシュっと、音がして麦の香りが鼻をくすぐる。

 

「ん、ん、ん……」

 

俺は飲み口を口に充てがい、一気に喉の奥へとビールを送った。

 

「ぷはぁーー!キンキンに冷えてやがる!」

 

麦の香り、ホップの苦味、炭酸、のどごし……完璧な組み合わせじゃないか……ッ!

 

「さあ、鶏もも肉も頃合いか?」

 

味付けはシンプルに塩コショウのみだ!

素材が素材だけに、余計な味付けはしない。

焼き上がった肉をまな板に上げて、ナイフで食べやすくカットして、いざ!実食!

 

「いただきます……」

 

口に入れると鶏特有の甘い脂が、口に広がる。

 

「美味い!美味すぎるぞ!」

 

そして、鶏肉の余韻したる口をビールで流し込んだ。

 

「犯罪的だぁッ………」

 

夜の本栖湖と富士山を眺めながら、他にも色々焼いて食べて、酒を嗜んだ。

ホント最高の晩酌だったよ……

 

ほろ酔い気分で片付けをして、早々に寝袋に入り寝るまでの間にスマホを弄っていると、志摩さんからLINEの通知が来た。

 

りん『こんばんは。なでしこから聞きました。千代さんも今日キャンプしているそうですね?』

 

千代『そうだよ。クリスマスキャンプに行くことになって、それに合わせて道具も新調したし、練習も兼ねて……』

 

りん『それで、どうでした?』

 

千代『いやー苦戦したよ。テント建てるのに、40分掛かっちゃたし……』

 

千代『それに何もすることがなくて、筋トレしてた。』

 

りん『なんか、千代さんらしい………』

 

千代『志摩さんは暇つぶしに何をするの?』

 

りん『私は普段読めてない本を……読書してますね。』

 

千代『なるほど……』

 

そうか、自衛隊で野宿とかする時は次の行動のために打ち合わせとかしてたもんな。

 

りん『次は何か時間潰せるモノを持って行くと良いですよ。』

 

じゃあ、クリスマスキャンプでは趣味のサバゲーで使う小銃の整備でもしようかな?

 

千代『ありがとう、志摩さん……色々と参考になったよ。』

 

りん『いえ、私こそ千代さんとやり取りできて嬉しかったです。』

 

嬉しかった……

なんだ?志摩さん?この含みのある最後は?

 

彼女とのLINEでのやり取りを終えた俺は早々に床に入った。

 

『やっぱり、この寝袋は凄いな温かい……』

 

俺はすぐに眠りに付くことができた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

そして、新しい朝が来た。

テントの中に日の光が入ってくる。

 

「うーーーーん!」

 

久しぶりに気持ち良い朝を迎えた気がした。

背伸びをして、テントの外に出る。

 

「おはようございます。」

 

「……………え?」

 

なんと、そこにいたのは桜さんだった。

 

次回に続く。




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