おじキャン△   作:Shin-メン

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ラストスパートです。


お(ふ)じさんとクリスマス、ゆるキャンガール

「え?もう行っちゃったんですかッ!!?」

 

俺は各務原さんを迎えに彼女の自宅まで来たのだが、母親が出てきて、すでに姉の桜さんとふもとっぱらキャンプ場へ向かったと伝えられた。

 

迎えに行く時間は、きちんと伝えていたんが……

 

「娘のなでしこからは連絡はなかったのでしょうか?」

 

「ええ……何もなかったですね。」

 

「あらあら。申し訳ございません……」

 

なでしこさんの母親が頭を下げる。

 

「大丈夫ですよ。向かう先は同じですから……じゃあ、私はこれで。」

 

「ほんとーに、ごめんなさいね。」

 

「いえいえ……」

 

俺は会釈をして車に乗り込むと、キャンプ場へと向かった。

愛車のGRヤリスは元気よく走る。

 

なでしこさんの自宅をあとにして、40分ほどで目的地のふもとっぱらキャンプ場付近までやって来た。

 

まもなくで到着するという時になって、前方を歩く人影を見かける。

 

「あの後ろ姿は……大垣さんと犬山さんじゃないか?」

 

幸い後続には他の車がいなかったので、ハザードを焚いて上で減速し、道路を歩く二人の横に車を並べた。

 

「やっぱり、大垣さんと犬山さんだった。」

 

「あ、千代さんや~」

 

「助かったー!」

 

大垣さんがホッとした顔をコチラに向ける。

彼女は薪の束を抱えていた。

 

「なんか大変そうだね。車の荷室が空いてるから載っけて良いよ。ついでにキミたちもね。」

 

「やったー!」

 

「ありがとございます~」

 

大垣さんは薪を載せて、二人が車に乗り込む。

 

「出発して良いかな?」

 

「はい。」

 

「お願いします~♪」

 

二人を乗せて、車は再度目的地を目指して走りだした。

 

「それにしても、どうしてあんな所を二人して歩いていたの?」

 

「えーっと、キャンプ場近くに牧場スイーツ食べに行って、帰りに薪が格安売ってあったから、三束買ったッス。」

 

「でも、大垣さんは一束しか持ってなかったよね?」

 

「しまりんにヘルプ頼んだら、来てくれて原付で運んでくれて………」

 

「最初、三束全部載せたら、重いしバランス悪いしで……」

 

「それで一束は大垣さんが運ぶことになったと?」

 

「そうです~」

 

「イヌ子は手伝ってくれないし……」

 

「ちゃんと、応援はしてあげたで~」

 

「口じゃなくて、手を出してくれー!」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

キャンプ場に到着した。

すでにチェックインは済ませてあるということで、二人に案内されて、テントの設置場所へとむかう。

 

「着いた……」

 

俺は車から降りて、背伸びをした。

二人から聞くに、俺はビリッ穴のようだ。

 

大垣さんたちと一番乗りだった鳥羽先生はすでに出来上がって、さらにイビキをかいて眠っていた。

 

「おーみんな、集まっとるねー」

 

「あ、千代さんに犬山さん、大垣さんも……これで全員揃ったね。おはよー」

 

「それにしても斉藤さん、えらいな大荷物やー」

 

「まあ、クリスマスっぽい物をちょっとね……」

 

「千代さん、おそいよー!せっかく連絡したのに……」

 

「え?スマホには、なんにも来てないよ?」

 

「ウソだー?私、ちゃんとLINE送った………よ?って、あーーー!」

 

「どうしたんだ?なでしこ……」

 

と志摩さんが彼女のスマホを覗き込む。

 

「メッセージ送るの、忘れてた……」

 

「なでしこって、しょっちゅう千代さんを振り回してるよな……?」

 

「エヘヘ……千代さん、ごめんなさい。」

 

「大丈夫、大丈夫……いつものことだから。」

 

みんなと合流したし、俺もさっさと設営してしまおう。

手伝って貰いながら、素早くテントやイス、テーブルを設営した。

 

「へえーこれが千代さんのキャンプグッズかー」

 

「色々集めましたね。」

 

「まあね。おかげで今はモヤシ生活してるけど……」

 

「そうなんだ……」

 

「お疲れさまです。」

 

なんか、みんなから労を労われた。

 

「ねえ、恵那ちゃん?ちくわが出てこないよ?」

 

各務原さんは居眠りしている鳥羽先生のブランケットを捲り、足元に顔を突っ込んでいる。

 

「志摩さん、ちくわって何?」

 

ちくわの存在を知らない俺は、隣にいた志摩さんに聞いた。

 

「ああ、斉藤のペットです。」

 

「ちくわは狭いところが大好きだからねー」

 

そういって、斉藤さんが何やらソーセージらしき物を取り出した。

 

「ほれーちくわ~?おやつだぞ~?美味しい、ソーセージだぞ~?」

 

斉藤さんとおやつに誘われて、鳥羽先生の足元からひょっこりとちくわが顔を出した。

 

「うわぁッ!!?出た!」

 

ちょっと驚く。

 

「ウサ耳や!」

 

ちくわとは、なんと小型犬のチワワだった。

なぜウサ耳なのかは、飼い主しか分からん。

 

「か、かわええ……////」

 

こんなに可愛い犬は初めて見たぞ。

俺の実家に居座るニー妹が飼ってるネコにはる可愛さだな。

 

「なでしこちゃん。これ持って!」

 

斉藤さんは、ちくわのおやつソーセージを各務原さんに渡した。

 

「え?」

 

混乱する各務原さん。それはそうだろうな……

 

「走って!」

 

「え?なんで?」

 

「良いから!走って!」

 

切羽詰まったように各務原さんを急かす。

 

「全力だーーーっしゅ!!!!」

 

ダメ押しの斉藤さんの渇に驚いたように、各務原さんは全力で走り出した。

 

「わーーーーー!」

 

走る各務原さんを追いかけるちくわ……

 

「いってらっしゃい、なでしこちゃん。食うか食われるかの弱肉強食だよ。」

 

逃げる少女とそれを追いかける一匹を、斉藤さんは笑顔で見送る。

 

「悪魔ぜよ……」

 

「鬼だな。」

 

「いや、あのしごきは先任助教だ………」

 

「楽しそうやなぁ~♪」

 

腹黒い斉藤さんが垣間見えた瞬間だった。

 

「じゃあ、私たちもなでしこと一緒に弱肉強食ってこようぜ。」

 

「「「おーーー!」」」

 

大垣さんは荷物からフレスビーを取り出した。

 

「じゃあ、自分は車を駐車場に置いてくるから……」

 

「了解ッス」

 

各々自由時間となった。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

俺は車を駐車場に置いて、元の場所へと戻って来た。

イスに座り、コーヒーを淹れる。

 

「さあ、前回の反省を踏まえて、今日は暇潰しのモノを持ってきたぞー」

 

俺はケースを机に載せてロックをはずし、ケースをあけた。

中に入っていたのは陸自の次世代型ライフルだ。

 

あと陸上自衛隊の9mm拳銃も持ってきた。

 

コーヒーを飲みながら、整備を始める。

専用の工具でばらして部品に傷がないか、丁寧に確認して油を差していた。

 

「う~ん……」

 

どうやら辺りを漂うコーヒーの香ばしい香りに気づいたのか、鳥羽先生が目を覚ました。

 

「目、覚めたみたいですね?」

 

「あら、野咲さん……いらしてたんですね?」

 

「今さっき、来たばかりですよ。どうです?起き抜けに一杯?インスタントですが……」

 

俺は鳥羽先生にインスタントコーヒーの粉が入ったのビンを見せる。

 

「じゃあ、いただこうかしら?」

 

彼女にコーヒーを淹れて渡した。

 

「どうぞ。熱いんで気をつけてください。」

 

「ありがとうございます。」

 

鳥羽先生は俺からマグカップを受け取ると、火傷に気をつけながら、ゆっくりと中のコーヒーをすする。

 

「美味しい……」

 

「やっぱり、雰囲気が良いですよね~」

 

「そうですね…って野咲さんは何をしてるんですか?それって本物……ッ!!?」

 

「ああ、これですか?違いますよ。サバゲーで使う遊び用の銃です。」

 

「サバゲーですか……野咲さんもやられてるんですね。」

 

「ええ、自衛官時代の同僚とたまに集まってやったりしてますよ。銃を撃つ感覚を忘れないためにも……」

 

「え?自衛官を辞めたのに……ですか?」

 

「実は予備自衛官としては、まだ自衛隊に籍を置いているんですよ。」

 

「そうなんですね。」

 

だいたいの整備は終わった。

今はマガジンに弾を込めている。

 

「器用ですよね……」

 

「あ、そうですか?良し!整備完了っと……」

 

マガジンをライフルに差し込み、コッキングレバーを引いてライフルを構えた。

 

「ギャアアァーーー!」

 

ちょうど、銃口の先にいたのは大垣さん……

叫び声と共に素早く両手を上げる。

 

「おっと、ごめんごめん。タイミングが悪かったね?」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「あー心臓止まるかと思ったぜよー」

 

「分かるよ~アキちゃん!私もビックリした!」

 

彼女たちは焚き火をし、ココアにコーヒーを嗜んでいた。

 

「はあー暖まるわ~」

 

「だな……」

 

「薪、これくらいかな?」

 

「うん。そんなもん……」

 

「ほいっ、なでしこ。ココア出来たぞー」

 

「ありがとーアキちゃん。」

 

「千代さんと先生もどうぞ。」

 

斉藤さんがココアを俺たちにくれる。

 

「サンキュー斉藤さん。」

 

「いただくわ……」

 

鳥羽先生は貰ったココアに持参したお酒をおもむろに注ぎ込んだ。

 

「な、何を入れてるんですか?先生……ッ!!?」

 

「あら?ココアにはラム酒が合うのよ~」

 

入れたて熱々のココアもラム酒で飲み易い温度に下がったのか、鳥羽先生は一気に飲み干してしまう。

 

「ぷはぁーー!暖まるわーー!」

 

「おっさんか?」

 

「おっさんやわ……」

 

「鳥羽先生って、お酒入ると人格変わるよね……」

 

「すごい飲みッぷりだ。」

 

「これがグビ姉の真髄やね。」

 

「ねえ、リンちゃん。四尾連湖で会った時もこんな感じだったよね?」

 

「あぁ……」

 

「ねえ、みんな!富士山綺麗だよ!」

 

斉藤さんの言葉に俺は富士山に目をやった。

 

「凄い。立派な赤富士だ。」

 

「ほんまやー」

 

俺を含めたみんなは、夕陽に照らされて紅く染まった富士山に、しばらく魅入っていた。

 

「さてと、暗くなる前に晩ごはん作ってしまうでー」

 

「それでイヌ子はん?今晩はエエお肉で何作りはるんどす?」

 

手揉みしながら大垣さんはエセ方便で聞く。

 

「せやねー今日はクリスマスっちゅー事で………」

 

犬山さんは食材を準備しながら、今晩の献立を教えてくれた。

 

「今日は"すきやき"や♪」

 

「「「「「「す、すきやき……ッ!!?」」」」」」

 

次回に続く。




次回はすきやきパーティー編です。

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