おじキャン△   作:Shin-メン

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自分の欲望のままに書いていきます。


第二期
年末、実家に帰ろう!


二学期が終わる。

今日は終業式……昼前には生徒たちは帰宅し始めた。

放課後、俺を含めた野外活動サークルの面々は部室へ集合する。

 

「えーっと、野クル今年最後の活動は部室の掃除となります。」

 

部長である大垣さんが音頭を取った。

 

「感謝を込めて掃除をしましょう!」

 

「「はーーい!」」

 

「じゃあ、みんな頑張って。終わったら自分のところに報告に来るように。」

 

「了解ッス!」

 

俺は声を掛けてから事務室に戻る。

今日は仕事納め……明日から実家に帰るのだ。

その準備もあるし、忙しくなるぞ!

 

と言っても、仕事はほとんど終わっている。

あとは報告書を書くだけだった。

 

「これなら一時間も掛からんな……」

 

報告を書き初めて10分ほどたった。

なんと大垣さんたちが「もう終わった。」と俺を訪ねて来たのだ。

 

「早いな……ッ!!?」

 

「部室狭いんで……」

 

ウナギの寝床……納得。

 

「お疲れさまでした。顧問の鳥羽先生には自分から伝えとくから、もう帰って良いよ。」

 

「はーーい!」

 

「じゃあ、私たちはお先に失礼しますぅ。」

 

「千代さん、良いお年を……!」

 

「各務原さんたちもね。」

 

俺は部室のカギを受け取った上で、三人を見送った。

 

「千代さんもすっかり相談役が板についてますね?」

 

隣で書類作成をする同僚から話しかけられる。

 

「最初はどうなるかと思いましたが、社会科の鳥羽先生が正式に顧問に就いてくれたし、少し肩の荷が降りました。」

 

「そうですか。そう聞くと安心しました。」

 

「じゃあ、私の業務は終わったので……」

 

「今年一年間、お疲れさまでした。」

 

俺は互いに挨拶をして職員室へと向かう。

職員室に入ると鳥羽先生が自身のデスクに突っ伏していた。

 

「あの……鳥羽先生、お疲れのようですね。」

 

「あぁ~千代さん……すみません。お見苦しい所をお見せして………」

 

「いえいえ。あの大垣さんたちは部室の掃除が終わったので、先に帰らせました。コレ、部室のカギです。」

 

「分かりました。すみません……本当は私があの子たちの面倒を見ないといけないのに……助かります。」

 

「何を言っているんですか。せっかく二人もいるんだし……それに昔から部下の面倒は良く見てたので……」

 

「部下って……千代さんって、ちょこちょこ自衛隊時代の癖が出ますよね?」

 

「アハハハ……そうですね。気をつけます。」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

職員室を出た俺は、自宅に帰るためにバイクを止めてある駐輪場へと向かった。

今日は定期的にロクダボの調子を見るために、寒いのを我慢して学校まで来た。

 

太陽が出ているので、多少は寒さが和らいでいる。

 

「朝に比べたら、多少はマシか……」

 

ロクダボに跨がろうとした時だった。

 

「千代さーーん!」

 

俺を呼び止めたのは斉藤さんと志摩さん……

どうやら、二人も帰る様子だ。

 

「おや?二人とも帰り?」

 

「私はこの後バイトですが……」

 

「そうか……大変だね。」

 

「いえ、ほとんどレジで座ってるだけですから楽なモノです。」

 

「私は寝ます。」

 

「相変わらずだね?斉藤さんは……カビゴンかな?」

 

「カビゴン?何ですか?それ……」

 

「いや、知らないなら良いですぞー」

 

その後、帰宅した斉藤さんはふと思い出したように『カビゴン』を調べてしまい、少し残念な気持ちになったのは別のお話。

 

「千代さんは年末年始のご予定とかあるんですか?」

 

「俺は熊本にある実家に帰るよ。」

 

「千代さんは熊本県出身なんですね。」

 

「県南の小さな港町さ……」

 

「良いなぁ。私も行きたーい♪ねぇリン。港町ってことは美味しいお魚料理が待ってるんだよ~」

 

「何言ってるんだよ。斉藤は郵便局でバイトだろ?」

 

「各務原さんと一緒に頑張るんでしょ?」

 

「うー!やっぱり私も一緒に行きたいよー!」

 

駄々を捏ねる斉藤さんをなんとか宥める。

 

「じゃあ、二人とも気をつけて帰るんだよ。」

 

「「はーーい。」」

 

三人して校門まで来た。

俺がバイクに股がる姿をジッーと志摩さんが見つめる。

 

「志摩さん、どうかした?」

 

「あ、いえ。なんでもないです。」

 

「リンはバイクを操る千代さんに憧れているんですよ♪」

 

「ちょ、ちょっと!斉藤!余計なことを言うなッ!!?」

 

斉藤さんにからかわれて、志摩さんは顔を真っ赤にしていた。

 

「アハハハ…… なんか照れるな。」

 

「いつかは私もおじいちゃんや千代さんみたいにカッコいいライダーになりたいです。」

 

「志摩さんなら、きっとなれるさ……」

 

ヘルメットを挟んでだが、志摩さんの頭をポンポンとすると彼女はさらに顔を赤くしてうつむく。

 

「リン、照れてる♪かわいいぞ~♪」

 

「うぅぅ……うるさいぞ!」

 

「ほらほら志摩さん、バイト遅れるよ?」

 

「そうでした…… じゃあ、私はこれで。」

 

「気をつけてね。」

 

「はい。千代さんも気をつけて下さい。」

 

「じゃあね、リン。バイバ~イ♪」

 

「二人ともよいお年を……」

 

俺たちはそれぞれ帰路に着いた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

実家への帰り支度が終わった頃には、外は夜の帳が降りていた。

 

「もう7時を回っているのか…… 今から晩めし作るのは面倒だし、コンビニで良いか。」

 

俺はコンビニにGRヤリスで向かう。

 

「明日はコイツとロングドライブだ。」

 

とそんなことを考えながら運転すれば、近所のコンビニまであっという間だ。

駐車スペースに止めて車から降りる。

 

「千代さん。こんばんは。」

 

何者かに声を掛けられた。この声は……

 

「各務原さn………」

 

「むぅ……?」

 

「桜さん……」

 

「よろしい………」

 

「こんばんは。奇遇ですね?」

 

「千代さんは買い物ですか?」

 

「ええ、ちょっと晩ごはんを買いに……明日から里帰りするもんで、その準備をしてたら作るのが面倒になったもんで……」

 

「じゃあ、ウチで一緒に食べませんか?」

 

「え?……」

 

「ウチ、今日はお鍋なんですけど、ちょっとポン酢切らしちゃって………家に連絡してみますね?」

 

桜さんは自身のスマホで自宅に連絡している。

俺は断ろうとしたが、彼女にビシッと静止させられてしまい、ことの行く末を見守ることにした。

 

「うん、うん、分かったわ……ありがとう。」

 

通話を終わらせた桜さんが、コチラに視線を向ける。

 

「千代さん。」

 

「は、はいッ!!?」

 

ギラリとコンビニの照明を彼女の眼鏡が反射した。

うーーむ、緊張するな……

 

「ウチからのOKも出ましたし、行きましょう。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

俺は先週に引き続き、各務原家で晩ごはんをご馳走になることになった。

 

「こんばんは。すみません、先週に続いて今回もお世話になって……」

 

「とんでもない、いらっしゃい!ゆっくりして行きなさい。」

 

と桜さんの父親からダイニングキッチンへと案内される。

 

「千代さん、こんばんは。」

 

「こんばんは。」

 

食卓を囲み美味しい鍋をご馳走になった。

そして俺は今、桜さんの父親と二人っきりで愛車のGRヤリスに乗って近所を少し回っている。

是非ともこの車に乗ってみたいと言われたので、二つ返事で了承した。

 

「いやー凄くいい車だねぇ。自然と後ろから押させる感じで曲がれる。」

 

「分かります?でもこれで40:60のノーマルです。可変ダイヤルでスポーツ、トラックモードに走行モードを変えれば、さらに………ッ!」

 

助手席に座る俺は可変ダイヤルをスポーツモードに合わせる。

 

「ウヒョー!凶悪な加速だー!」

 

「今は前30%後ろ70%の駆動です。」

 

次は50:50のトラックモードだ。

 

「これまた、違う乗り味だねー!」

 

「気に入って貰えて何よりです。」

 

「この車はいくらしたの?」

 

「456万円にオプションを全部つけたので、総額600万円くらいですね。」

 

「ほー!やっぱりそれなりにいい値段だ。」

 

二人を乗せたGRヤリスは各務原家に戻ってきた。

ギアをニュートラルに入れてから、サイドブレーキを引いてエンジンを切る。

 

「はあー本当に楽しかったよ。」

 

「そう言ってもらえると、コイツも喜びます。」

 

再び俺は彼の家へとお邪魔する。

 

「ただいまー♪」

 

「あ、お父さん。おかえりー!」

 

「ご機嫌みたいね、アナタ?」

 

「スポーツカーなんて生まれて初めて乗ったからね、もう大興奮だよ!」

 

「分かる!分かるよ、お父さん!」

 

「へぇー私も興味出てきたわ。やっぱりマニュアルなんですか?」

 

「そうですね。だけど電子制御が効きますんで、多少雑にギアチェンジしても車の方が勝手に回転数を合わせてくれます。」

 

「賢いんですね。」

 

「マニュアル車を運転できるんなら、桜さん今度乗ってみますか?ドライブがてら一緒に……」

 

「およおよ?それってまさか……お姉ちゃんをデートに誘ってます?」

 

なでしこさんの一言で解らされた。

俺は桜さんをドライブデートに誘っていたのか……

なでしこさんの言葉に、彼女の家族が一斉にコチラを向く。

 

「あ、えーーっと………」

 

凄いプレッシャー、何気に言ったセリフがこの有り様だ。

俺は覚悟を決める。

 

「桜さん。」

 

「はい。」

 

「じ、自分は桜さんのことが好きです!良ければ 今度一緒にドライブに行きませんか?」

 

言ってしまった……

あー年甲斐もなくドキドキするよ。

 

「ありがとう、千代さん////喜んで。それにやっとお近づきになれましたね。」

 

桜さんは微笑んでくれた。

 

「「「おーーーっ!」」」

 

と言うことで、俺は桜さんとお付き合いすることになる。

歳の差はそこそこあるけど……

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

俺は自宅へと帰って来た。

こんなにドキドキしたのは、いつぶりか……

 

「うわーー!向こうの家族公認で桜さんとお付き合いすることになったよ。」

 

もう、ずっとこんな感じだ。

ベッドに寝転がり、あっちへコロコロ…… こっちへコロコロ……

そんな事をしていると、スマホにLINEが入る。

 

「誰だろう?」

 

LINEの相手は桜さんだった。

 

桜:『さっきはお疲れさまでした。』

 

千代:『こちらこそ今日はご馳走さまでした。』

 

桜:『また、なでしこが変なこと言ったせいで迷惑をかけました。』

 

千代:『いえいえ、いつかは自分の気持ちを伝えないといけないって思っていたし……』

 

千代:『逆に妹さんがきっかけをくれたと感謝してますよ。』

 

桜:『そうですか……何だか嬉しい。それと明日は何時に出発する予定なんですか?』

 

千代:『明日は朝の6:00くらいには自宅を出ようかと……』

 

桜:『ならば、明日の朝に今日のコンビニで待ち合わせしませんか?』

 

千代:『え?』

 

桜:『千代さんのお見送りもしたいですし、なでしこも明日の朝、キャンプに行くリンちゃんと会うみたいだから……』

 

千代:『分かりました。明日の朝、そのコンビニで待ってます。』

 

桜:『ありがとうございます。じゃあ明日♪おやすみなさい♪』

 

千代:『おやすみなさい。』

 

LINEで連絡をやり取りした後、俺はシャワーを浴びて床に入った。

明日はいよいよ実家に帰る。

長旅になるが交通安全に気をつけて行こうと思う。

 

次回に続く。




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