おじキャン△   作:Shin-メン

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テキトーに書いていきます。


釣りをたしなむ。

その日の夜、結婚して家を出た長女家族も集まり、十数年振りに家族と食卓を囲む。

漁師町であるため色々な魚を中心とした郷土料理が並べられ、テーブルを彩る。

 

「いや~旨そうだ!」

 

「アンタのために腕を振るったからね!たくさん食べな!」

 

持っていた自身のスマホで一枚。

あとからみんなに送ろう。

母とおばあちゃんが作った絶品、郷土料理に舌鼓を打っていると、末っ子のあかりが唐突に……

 

「お兄ぃ?桜さんって人紹介してよ。」

 

と聞いてきた。

いきなりのことに俺は飲んでいたビールを盛大に吹き出す。

 

「あいたぁ!なんばしよっか。母さんタオル!タオル!」

 

「お兄ちゃんもおしぼり!」

 

「あ、ゴメン……ありがとう。」

 

事態も落ち着き、家族一同が俺に視線を向ける。

酔いと緊張で暑い……顔も真っ赤だろう。

心を落ち着かせてから、俺は静かに口を開いた。

 

「実を言うと恋人が出来たんだ……」

 

家族にスマホのあった桜さんの写真を家族に見せる。

 

「綺麗な人やね~」

 

「お兄ぃ、どこで知り合ったの?」

 

俺は彼女との出会った経緯を話した。

 

「へぇー年齢は?」

 

根掘り葉掘り聞いてくるなぁー

 

「詳しくは分からんけど、まだ大学生……」

 

「はいーッ!!?あかりより年下なん?」

 

「兄さんも隅に置けない……」

 

その後、楽しい食事会も終わり、父はうたた寝、俺は長女の夫共に刺身をアテに酒を飲んだ。

胡座をかく俺の膝の上には長女の息子の一人が大人しく座っている。

 

「トモキくんだっけ?お行儀が良いね。」

 

「珍しいですよ。人見知りのトモキがこんなにおとなしいのは……」

 

「お兄ちゃんのトウリくんは元気だ。」

 

「もう活発で大変ですよ。」

 

苦笑いの旦那さん。

子供たちもまだ幼いし手が掛かるんだと改めて思った。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

23時を過ぎた頃、俺は自室に戻ってゆったりしていた。

ベッドに横たわりスマホの画面を着けると野クルのグループLINEが渋滞していた。

 

「今まで見てなかったから、凄いことになってる。」

 

内容を見るに志摩さんの旅先での写真のことだったり、酒屋の企業戦士と成り果てた大垣さんの近況報告みたいなモノだ。

 

やっぱり、海ナシ県の梨ッ子志摩さん……とにかく海の写真が多い。

大垣さんは朝から頑張ってるようだ。

 

俺も無事に着いたこととか、海や晩御飯の写真を送っておこう。

 

スマホを弄っていると、スマホに着信があった。

相手は桜さんだ。

 

「もしもし。千代です。」

 

『もしもし。夜分遅くにすみません。』

 

「どうかされました?」

 

『あ、えっと……たいしたことはないですけど、ご実家はどうかなーって思って……』

 

「みんな元気そうで安心しましたよ。妹たちも昔から変わってないし……あ、聞いてくださいよ。甥っ子がもう可愛くて可愛くて……」

 

『フフフ……千代さん、何だかイキイキしてますね。』

 

「あ、そうですか……////」

 

『千代さんの声が聞けて良かったです。』

 

「自分も桜さんと同じ気持ちです。」

 

『じゃあ、冬休み楽しんでください。』

 

「ええ。良いお年を……」

 

名残惜しいが桜さんとの電話も終わった。

 

「さてと……」

 

俺はベッドから立ち、おもむろに自室と廊下を繋げる扉を開ける。

 

「きゃあ!」「おーッ!!?」「うわぁッ!!?」

 

扉を開けた瞬間、三人の妹たちが俺の部屋に雪崩込んできた。

 

「お前らァァ……!」

 

ずっと部屋の外に気配を感じていた。

コイツらは俺と桜さんの電話に聞き耳を発てていたのだ。

 

「ありゃ?バレてた?」

 

あかりは気まずそうに苦笑いを浮かべる。

 

「当たり前だ。元陸上自衛官を舐めんなよ?」

 

「違うの!私は二人を止めようとしたんだよ?」

 

「あ、姉さん。私たちを売る気……ッ!!?」

 

揉める三人を見て、嫌気が射した俺は思わず大きな声を出してしまった。

 

「いい加減、さっさと寝ろ!」

 

「「「ごめんなさーーい!」」」

 

蜘蛛の子を散らしたように自分たちの部屋と戻っていく妹たちを見ながら、俺は頭を抱える。

 

「ったく……」

 

俺は呆れていた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

12月31日 大晦日の朝……

カーテンの隙間から漏れる日の光に俺は目を覚ます。

前日ホテルで迎えた朝とは違う、実家という安心感に

頭はボーっとしていた。

 

「8時……けっこう寝てた。」

 

上体をお越し、スマホで時間を確認する。

 

「さぶっ………」

 

俺は居間に向かった。

 

「おはよー」

 

何だか家族たちは、朝から世話しなく出かける準備をしている。

 

「どっか行くの?」

 

ちょうど近くに次女がいたので聴いてみた。

 

「今から熊本市内のショッピングセンターに行くの。」

 

「何しに?」

 

「まあ、お正月の買い出しとか……」

 

「へぇー」

 

次女と話していると母親が尋ねて来た。

 

「アンタはどうするの?一緒に行くと?」

 

「いや、俺は良いよ。久しぶりだから、近所を色々と散策したい……」

 

「そうね。分かった、朝ごはんはテキトーに食べてよかけん。」

 

「うーん。」

 

俺は動き回る家族をしり目に、昨日の残り物をおかずに朝食を取る。

 

「ん?千代はオッ達とは行かんとか?」

 

「ええ、あの子は近所ばブラブラしたかって。」

 

「そうか……千代。」

 

父は俺の名前を呼ぶと何かを投げ渡した。

 

「おっと……これは?」

 

「父さんのバイクのカギたい。お前もバイクば乗っとやろ?」

 

「あ、うん……なんね?乗って良かんね?」

 

「良かけん、カギば渡したったい。ヘルメットは玄関に置いてあるけん。」

 

「あ、ありがと……」

 

「お父さん、準備できたわよ。千代、戸締まりはしっかりね。」

 

「りょーかーい。」

 

俺の家族は出掛けて行った。

俺一人になった野咲家はとても静かに感じる。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて父さんのバイクを借りよう……」

 

食事を終えた俺は身だしなみを整えて、戸締まりをしてから革手袋の入ったヘルメットを片手に玄関を出る。

 

「玄関の施錠、良し!」

 

俺は父のバイクが停めてあるガレージへと向かう。

 

父のバイクはHONDAのアメリカン……レブル1100。

ヘルメットを被り、跨がる前にバイクをぐるりと一周してみた。

 

「へぇー父さん、良い趣味してんなー」

 

そして俺はあることに気づく。

 

「DCT……あ、コイツ、オートマか!」

 

カギを差し込み電源を入れるとシンプルなディスプレイにスピードメーターなどが表示された。

 

「うわ~コイツ、ガソリン入ってねえじゃん。」

 

まだエンプティではないが、これはガソリンをついでに入れろという父さんの思惑が見える。

 

「ったく………」

 

レブル1100のスターターを押すと並列2気筒のエンジンがトコトコと軽快に鼓動し始めた。

 

「まずは給油に行こう。出発……!」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

ガソリンを入れてから国道3号線を通り、一路となり町の津々木町に向かう。

その町は母さんの出身地であり、俺の名前のルーツとなった昔話"孝女千代"を偲んで建てられた塚がある。

さらに鳥羽先生も狂喜乱舞するだろう地酒も有名だ。

 

「この町もあまり変わってないな……」

 

俺は津々木町にある酒蔵「鶴千酒造」に立ちよることにした。

 

「お、今日まで営業してるじゃないか……」

 

その酒蔵の直営店で鳥羽先生へのお土産を買い郵送手続きをする。

直営店を後にした俺はツーリングを楽しんだ。

津々木町の海沿いはリアス式海岸になっており、ワインディングを満喫するには持ってこいの場所となっている。

 

「あー楽しい。レブル良く曲がるし、立ち上がりもスムーズだ。」

 

自分のロクダボとは違う味付けだが、いい意味でトコトコと軽快に走る。

津々木町の海沿いを走り、俺は再び芦方町まで戻ってきた。

港や防波堤には結構な釣り人がいる。

キャンピングカーなどたくさんの車があり、テントやタープもちらほら建てられていた。

 

「ここで元旦を迎えるつもりなのか?みんな凄いな……」

 

バイクを止めて、少し眺めていると見知った二人を見つけた。

昨日会った、ていぼう部の一年生の娘たちである。

 

「あれは夏海ちゃんと陽渚ちゃんか。」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

俺はバイクを止めて二人のもとに向かった。

 

「あ、千代さん!こんちわー!」

 

俺が声をかけるよりも早く、夏海ちゃんが挨拶をしてきた。

 

「やあ、こんにちは。何を狙ってるの?」

 

「えーっと、ガラカブです。」

 

陽渚ちゃんが釣ったと思われる赤い魚体をした魚が二匹、クーラーボックスに入っている。

 

「へぇーこれ、陽渚ちゃんが釣ったの?」

 

「………まぁ。」

 

彼女はうつむき、歯切れの悪い返事をした。

 

「何言ってんだよ。その二匹は私が釣ったの。陽渚はボウズだろ?」

 

「あーー!夏海ぃ!余計こと言わないでよー!」

 

そういうことね。

 

「ハハハ……まあ全然釣れないことって、たまにはあるよね?」

 

「陽渚は釣れない方が多いけどww」

 

「言ったなー!絶対、釣ってやるー!」

 

陽渚ちゃんに火が着いたみたいだ。

何かメラメラとしたモノが彼女から感じる。

 

「陽渚~?あんまり殺気立つと魚が逃げるぞ~?」

 

「集中したいから夏海は黙ってて!」

 

陽渚ちゃんは海に垂らす釣糸に、これでもかと物凄い視線を送っていた。

 

「千代さんも釣ってみます?」

 

「え?良いの?」

 

夏海ちゃんから釣竿を渡される。

しばらく……といっても20年近く釣りはやってない。

ほとんど素人だ。

 

「いやー釣りなんて20年振りだよ。この仕掛けはなんていうの?」

 

「これはブラクリって言って、岩の間に転がって魚の居そうな穴に入って行くんですよ。」

 

「なるほど。良く考えられた仕掛けだ。自分がやってた時は、こんな仕掛けはなかった。」

 

「エサはこの塩サバを使ってください。」

 

夏海ちゃんに教えられたとおりに、仕掛けのハリにエサの塩サバの切り身を付ける。

 

「いってらっしゃい。」

 

そういって俺は狙ったゴロタ石の間に仕掛けを落とした。

20年振りの感覚を甦らせ、目を閉じて竿先から垂れる釣り糸に全神経を集中させる。

 

「感じる……感じるぞ。」

 

仕掛けが石の間を縫うように底へと降りていった。

 

「釣れるなー!釣れるなー!」

 

となりの陽渚ちゃんから物凄い圧を感じるぞ。

 

「お?底に着いたよ?」

 

「じゃあ、少し巻き上げてチョンチョンって、アピールしてみてください。」

 

夏海ちゃんのアドバイスに従い竿先を軽く上げ下げさせた。

次の瞬間、竿先がビビビっと小刻みに震える。

 

「うぉッ!!?キター!」

 

思ったより強い引きに驚く俺。

 

「なにィィーーッ!!?」

 

そして別の意味で驚く陽渚ちゃん。

 

「夏海ちゃん!これは大物じゃないッ!!?」

 

「千代さん!落ち着いて!竿を立てて、ゆっくりリールを巻いて。」

 

「お、おう……!」

 

すぐにくすんだ黄色っぽい魚影が見える。

確かに釣れた。

パッと見た感じ5cmあるか?と思うほどの、それはそれは小さなキュウセン(ベラの仲間)が……

 

「ちっちゃ!!?」

 

「これはキュウセンっていう、ベラの仲間ですね。」

 

「千代さ~ん、大物ゲットしましたね?」

 

陽渚ちゃんが皮肉を言う。

うー!大人をからかいやがってー!

 

「でもボウズじゃないよ♪フン……」

 

大人気無いが、ちょっと言い返してやった。

 

「ムキィー!絶対に釣ってやるもん!とりゃーー!」

 

彼女は再び竿を出す。

俺も二投目を投入した。

ビビビッ………!

 

「キタ!今度は………ガラカブだー!」

 

良型のお味噌汁サイズだ。

 

「ま、負けた……」

 

勝負をしてるつもりはないんだけどなぁー

 

「ねえ?夏海ちゃん……陽渚ちゃんって、けっこう負けず嫌い?」

 

「あ、気づきました?」

 

「千代さん!」

 

「はい。」

 

「場所を変わってください!」

 

陽渚ちゃんと場所を変わる。

釣糸を垂らすとすぐに釣れた。

ガラカブとは違う。

茶褐色の魚体、クリンとしたおおきい目が特徴だ。

 

「やったじゃないですか!コイツ、メバルです。」

 

聞いたことあるぞ。

煮付けにすると美味しいヤツ。

 

「夏海ちゃん写真撮って!」

 

俺は自身のポッケに入っているスマホを彼女に取ってもらい、記念に写真を一枚撮って貰った。

 

「どうして……私だけ……」

 

自分だけ全く釣れないと落胆し、半泣きの陽渚ちゃん……釣りの暗黒面に堕ちている。

ちょっと、かわいそう……フォローを入れとくか。

 

「今日釣れないのは、たまたまだよ……ね?夏海ちゃん!」

 

「え?あ、ああ!元気だせ………」

 

と夏海ちゃんが言った時だった。

ビビビ!……っと陽渚ちゃん竿に当たりがきた。

 

「キターー!」

 

釣れたのは立派なキュウセン。

 

「なんでーーー!」

 

陽渚ちゃんの叫びが不知火海に木霊した。

 

次回に続く。




陽渚ちゃん、カワユス……
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