おじキャン△   作:Shin-メン

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来ましたね!伊豆キャン!


野クルの伊豆キャン計画

週末明け、各務原さんは初めてのソロキャンから無事に帰還した。

まあ、桜さんや志摩さんと偵察したから知ってるんだけどね……

 

ある日、俺は大垣さんから部室に呼び出された。

向かっている途中に各務原さんと犬山さんと出会う。

 

「あ、千代さん。」

 

「お仕事お疲れ様でーす。」

 

「もしかして二人も大垣さんに呼び出された感じ?」

 

「そうですねー」

 

「なんかアキちゃんが凄い発見をしたって、言っていたんですよー」

 

「そうなんだ。自分は何も聞いてなくて……とにかく来いってみたいな感じ?」

 

「なんかアキちゃんらしいね……」

 

「アキのことやし、大げさに言っとるだけやろ……?」

 

犬山さんはハァっとため息を吐いていた。

そして俺たち部室に到着する。

 

「アキぃー 来たでー?」

 

犬山さんが扉を開けたかと思うとすぐにピシャっと閉めていた。

 

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「「「薪の無料配布ぅ?」」」

 

「そう!なんと軽トラ一台分も薪が貰えるみたいなんだ。それに私は行って来ようと思う!」

 

「え、アキちゃん?ただより高い物ないって良く言うよッ!!?騙されてない?」

 

「アキばあちゃん!詐欺に会ってるんとちゃうか?」

 

「誰がばあちゃんだ。県が川の整備で切った木を毎年無料配布してるらしいんだよ。」

 

河川の岸や中洲に伸びた木を放置すると台風などで増水した時、川の流れが変わり最悪氾濫してしまうので、毎年定期的に伐採する必要がある。

 

伐採した木は処分するにも費用がかかってしまう。

なので県の河川事務所では家庭で消費する薪として配布していた。

 

「それが今日あるんだね?」

 

「そうッス!」

 

「そういう事なら貰いに行かんとなー キャンプの薪代もバカにならんし……」

 

「ねぇ?あおいちゃん、軽トラ一杯の薪っていくらするのかな?」

 

「せやなぁー」

 

二人の会話に、俺は考えられる量をスマホを使って計算して二人に見せた。

 

「これくらいだと思うよ?」

 

「「37500円(税込)分ッ!!?」」

 

「アキ!よう見つけてくれたわ!」

 

「へっへー!ってことで、千代さんに車を出してもらって薪の回収に行くズラー」

 

「「おおー!」」

 

「そういうことね……じゃあ、学校から軽トラを借りて来ないといけないし、ひとまず職員室に行こうか?」

 

「「「はーい!」」」

 

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俺を含めた野クルの三人は、意気揚々と職員室を目指す。

 

「ねえ?アキちゃん、そろそろグルキャンの計画もしない?リンちゃんと恵那ちゃんも誘って……♪」

 

「クリキャンぶりの野クルオールスターキャンプかぁー」

 

「職員室行くついでに鳥羽先生に相談してみっか!」

 

職員室の前まで来た。

 

「自分は教頭先生に話しつけて、そのまま車の準備をしとくから……大垣さんが同行するんだよね?」

 

「そうッス!」

 

「鳥羽先生との話しが済んだら、駐車場で待っててね。」

 

野クルの三人は鳥羽先生のもとへ……

そして俺は、教頭先生に軽トラ使用の許可ともらった上で、その他もろもろの道具を荷台へと載せる。

 

「軍手を大垣さんの分を入れて二組、荷造り用のロープ……あとチェンソーも持っていくか?」

 

積載物の確認をしてると、スマホが鳴った。

 

なでしこ:『野クルキャンプ in 伊豆!三月始めに開催予定だよ!(о´∀`о)/恵那ちゃんとリンちゃんもどうかな?』

 

あおい:『バイトで稼いで伊豆キャンや!('ワ')』

 

ちあき:『まさに豪遊!b(◉Д◉)ノシ』

 

恵那:『いいねー伊豆キャン!』

 

リン:『なんだよw豪遊ってw』

 

ちあき:『千代さーん!あと2~3分でそっちに向かいまーす!(*`・ω・)ゞ』

 

ほう、今度は伊豆か……

伊豆といえば伊豆スカイラインがあるし、予定日は三月……今度はロクダボの出番か?

とにかく返信しないと「了解しました。」っと……

 

その後俺は大垣さんと合流した。

 

「じゃ、ちょっくら薪もらってくっから、大塩コンビはのんびりしててくれなー」

 

「誰が大塩コンビや。」

 

「じゃあ千代さん、ウチのアキちゃんをよろしくお願いします!」

 

「あいよー」

 

彼女の案内で木材の無料配布会場へと向かった。

 

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「けっこう道具持って来ましたね……」

 

「たぶん、丸太とかで置いてあるからチェンソーは必須だと思ったし、荷崩れしないように固定用のロープとかも……安全に配慮しないといけない。」

 

「やっぱり、千代さんをスカウトして良かったッス!」

 

「半ば無理やりだったけど……」

 

「もー!それは言わないで下さいよー」

 

「それはそうと大塩コンビって何?犬山さんがツッコミいれてたけど?」

 

「ああ、イヌ子たち誕生日が三月四日で大塩平八郎と同じなんッスよ。」

 

「ほーー(大塩顔)」

 

目的地に到着。

しかし、配布会場であるはずの河川敷には木材どころか木片一つ見当たらない。

 

「大垣さん?配布会場はここで良かったんだよね?」

 

「地図だとそのはずなんですけど……」

 

「日付とか間違えてない?」

 

「ホームページだと今日ッスよね?」

 

「確かに間違ってないね……」

 

「おっかしいなー ホームページの方が間違ってんのかなぁ?」

 

「もしかして、もう配布は終わったんじゃ……?」

 

「それはないですよー 去年薪配布に参加した人のブログを見たんッスけど、河川敷一面に丸太がどっさり積まれてたんですよ?さすがに一日でなくなるってことは………」

 

「無くなるってことは………?」

 

「まさか……ね?ちょっと電話で確認してみます。」

 

大垣さんが電話で主催者側に連絡をとる。

 

「あ、もしもし?薪の配布について聞きたいんですけど………はい……落居駅、近くの河川敷の……えッ!!?終わった!!?」

 

相手の回答に大声を出して、大垣さんは驚いた。

あらあら………

 

「しかも三時間でッ!!?」

 

電話切った大垣さんは、その場に崩れ落ちる。

 

「瞬殺かい……orz」

 

ドンマイだよ。大垣さん……

 

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その日の夜、仕事帰りにいつもの近所のコンビニに立ち寄る。

 

「今日は色んな意味で疲れた……もう、コンビニ飯で良いか。」

 

コンビニに入ると入店を報せる電子音と共に「いらっしゃいませー」と声が聞こえた。

 

「ん?今の声、聞き覚えがあるような………」

 

ふとそんなことを考えながら、商品を手に取り、会計のためにレジに立つ。

 

「いらっしゃいませー」

 

レジにいたのは斉藤さんだった。

 

「え?斉藤さん……こんなところで何してんの?」

 

「何って……バイトですよ。最近始めたんですよー」

 

「そ、そうなんだ。」

 

斉藤さんは本当に神出鬼没だと思う。

 

「とうとう見つかってしまいましたね?なんだかんだスパイみたいでドキドキしてました。」

 

斉藤さんはレジを打ちながら、そんなことを話した。

 

「千代さん。一人暮らしだからって、コンビニご飯は体に悪いですよー?」

 

「今日は疲れたから仕方なくだよ。」

 

お会計を済ませた俺はコンビニを後にしようとした。

 

「あっ、そうだ!千代さんってこの間、リンと彼女さんの三人でなでしこちゃんの様子を見に行ったそうですね♪」

 

「何でその事を知ってんの!!?」

 

「ふっふっふー♪何ででしょ?ありがとうございましたー♪」

 

どこから漏れた?

まさかあの時、斉藤さんもあの場所にいた?あり得ないだろ……

俺はモヤモヤした気持ちで自宅へ帰った。

 

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別の日、俺は校庭の隅っこに呼び出される。

伊豆キャンの打ち合わせをするみたいだ。

ある程度の仕事を終わらせた俺が校庭に来た時には、鳥羽先生を含めた全員が集まっていた。

 

「千代さん、おそいよー!」

 

「あ、えっと各務原さん?自分も仕事があるんですが……」

 

「関係ないです!」

 

「何言ってんだよ。なでしこ……千代さん、お疲れ様です。」

 

「あ、いや……みんなも。それで話しはどこまで行ったんだい?」

 

「まだ日程までしか……」

 

「リンちゃんはどこに行きたい?」

 

「私は伊豆の高原とかかな……」

 

「他のみんなは?どこに行きたい?案はあるかな?」

 

「私は伊豆の海岸だなー」

 

「じゃ私、伊豆の港~」

 

「私は伊豆の吊り橋だねー」

 

観光地伊豆……

やはりというか行き場所が無限に出てくる。

 

「せや!鳥羽先生。ウチの妹もキャンプに行きたい言うてるんですけど、連れてってもええですか?」

 

「あかりちゃん……ですか?」

 

犬山さんから聞くところ、彼女の妹が伊豆の動物園で温泉に浸かるカピバラを見たいと言うのだ。

その動画を見ると確かにカピバラが温泉に浸かり、恍惚ななんとも言えない表情を浮かべている。

 

「あら、可愛い……」

 

「ほんとだー」

 

「か、かわええ……」

 

「ゆず風呂気持ち良さそうだねぇー」

 

「これは癒されるズラー」

 

「犬山さん?親御さんが許可して下さるようでしたら、一緒でも構いませんよ。寝袋の方も私が用意してみます。」

 

「ホンマですかッ!!?」

 

「良かったね?犬山さん。」

 

「はいー」

 

「犬山さんの妹さんが来るってなると8人か……分隊規模か。」

 

「あの千代さん、そういう自衛隊用語は分からないので止めて下さい。」

 

志摩さんに言われて、ちょっとショック……

 

「あれ?鳥羽先生の車って、4人乗りじゃなかったっけ?千代さんは自分の車に乗るとして残りの二人はリンのバイク……?」

 

「雑技団か。そこは千代さんの車に乗せて貰えよ。」

 

「大丈夫ですよ。私の妹にミニバンを借りる予定ですから……」

 

「「「「なーんだー」」」」

 

「あの先生。」

 

志摩さんがスッと手を挙げる。

 

「私、原付で行っても良いですか?」

 

「え?7人乗りですから、全員乗れますよ?」

 

「それは分かってるんです。私、お正月に原付で伊豆に行く計画を立ててたんですけど、結局行けずじまいで……それからずっと伊豆の道を自分で走ってみたかったんです。」

 

「原付でですか………身延からだとかなり大変かと思いますが……」

 

「鳥羽先生!リンちゃんは『原付の旅』がやりたいんですよ!ね!リンちゃん!」

 

「ちょ、なでしこ近いって……!」

 

「先生、リンなら大丈夫だと思いますよ。浜松や伊那とかも原付で行ったこともありますし……」

 

「うーーん……」

 

悩む鳥羽先生。

教え子の望みは叶えたいが、事故は怖い。

彼女の中で葛藤が続く。

 

「ならば自分が志摩さんのエスコートをしましょう。自分もバイクで行きます。」

 

「千代さん、良いんですか?」

 

ぱあっと志摩の表情が明るくなった。

 

「もちろん大丈夫だよ。伊豆キャンプの話しが出た時に西伊豆スカイラインを走りたいなって思ったからね。」

 

「千代さん!分かります!その気持ち!私もその道を走りたいです!」

 

「まあ観光の時はキャンプ場にバイク預けて車で回れば、疲れも少なくて済むんじゃないか?」

 

「うん、そうする。」

 

「分かりました。伊豆まで遠いですから、よく気をつけて無理だけはしないで下さいね。」

 

「はい!」

 

「千代さんも志摩さんのエスコートをお願いします。」

 

「りょーかいです!」

 

「よし!行くぞ!原付で伊豆!」

 

「待ってろよ!伊豆!」

 

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その日の夕方……

帰るために愛車その①CBR600RRくんに股がり、エンジンをかけようとした時だった。

 

「千代さん!」

 

志摩さんが声を掛けてくれた。

 

「志摩さん。どうしたの?」

 

「い、いえ……さっきはありがとうございました。」

 

「なになに改まって……?」

 

「まさか、千代さんが一緒に走ってくれるとは思ってなくて……」

 

「一人でのツーリングも良いけど、二人いるとまた違った楽しみがあるよ。」

 

「そうですよね……////」

 

「今日はもう帰り?」

 

「はい。今日はバイト休みです。」

 

「そうなんだ。明日ちょっと渡したい物があるからさ、昼休みに会えないかな?」

 

「あ、はい……明日の昼休みは図書委員でいつもの場所にいます。」

 

「分かった。じゃあね。」

 

「はい。さようなら……」

 

伊豆キャンまであと20日、準備とか忙しくなるぞー!

 

次回に続く。




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