おじキャン△   作:Shin-メン

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今回は妹なでしこちゃんをふもっとっぱらキャンプ場におろしたあとの姉桜さんを想像しました。

※時間帯が原作とは違いますが、ご了承ください。




おじさんと桜さん

今日は土曜日……

俺は朝から相棒のロクダボをとある場所に走らせる。

まだまだ静かな町を抜け、富士街道を南東に進んだ。

数キロ走ると町並みも緑の多い峠道へと変わる。

甲駿橋交差点を左折し、県道190号線に入った。

 

県道190号線に入ってすぐ、左手側に鳥居が一瞬目につく。

 

「鳥居……こんな所に?」

 

気になって、Uターン。

神社の石碑には、“白鳥神社”の名が……

まあ、時間には余裕がある。

少し寄ってみよう……

ロクダボを止めると、鳥居を抜け、石階段を登る。

すると前方に厳かな雰囲気の社が見えた。

 

腕時計を見ると9時30分……

冷たく澄んだ空気を肺いっぱいに取り込み、ゆっくりと吐く。

心が洗われるようだった。

社の拝殿に手を合わせ、御神木だろう大きなクスノキをスマホの写真に押さえる。

 

「いい場所だったな。」

 

そんなことを思い、ロクダボを目的地へと進めた。

 

新内房の交差点を右折。

途中のコンビニでコーヒーブレイク、釜口橋の交差点を斜め右……静岡県道10号線をひた走る。

 

自宅のアパートを出て、寄り道をしつつ、一時間……目的地である“ネッツトヨタ スルガ・富士宮店”に到着した。

ここの店舗のディーラーには、俺の従兄妹の旦那さんが勤めている。

 

以前からディーラー側には、アポイントを取っていた。

店内に入ると、従兄妹の旦那さんが出迎える。

 

「待ってたよ。千代……」

 

「慎吾兄さんこそ久しぶり!元気にしてた?」

 

「ああ!お前こそ。妻のゆり子から聞いたぞ?今は山梨の高校で働いているんだって?」

 

「県の嘱託職員として学校用務員としてだけどね……それで、試乗車は用意してくれたのかい?」

 

「もちろんさ……!さあ、こっちだ。」

 

二人は試乗車のもとへと向かった。

置いてあったのは一台のホットハッチのスポーツコンパクトカー。

白基調のボディーにカーボン製のルーフ、赤いブレーキキャリパー、BBS製専用鍛造ホイールにミシュラン・パイロットスポーツ4Sを履く。

 

試乗のために乗り込む。

ディーラーの親戚の兄が助手席に座った。

試乗車を運転しながら、兄から車の説明を受ける。

20分ほど試乗車を乗り回し店舗へと帰ってきた。

 

「どうだった?」

 

兄からの言葉に感想を言う。

 

「良かったよ。コンパクトで比較的に軽量だからこそのこの加速と吹け上がり……素晴らしかったよ。この車、買うよ。」

 

「マジか!」

 

「ああ、早速だが契約書を準備してくれ!」

 

俺は早速用意された契約書に必要事項とサインをし、実印を押した。

ロクダボよりも高い買い物だ。

ここぞとばかりに、オプションをモリモリにしてやったぜッ!。

審査もとおり、契約が無事に済む。

 

「今日は本当にありがとうな。千代!お前のおかげで社内での俺の株もうなぎ登りだよ!」

 

「まあ、俺自身あの車は前々から気になってたし、兄さんのチカラになれて嬉しいよ。」

 

俺は慎吾兄さんと握手をしてロクダボに跨がる。

 

「納車には1ヶ月くらいかかるから、そこら辺はよろしく頼む……」

 

「分かってるよ。じゃあ……」

 

ロクダボのエンジンを掛けると、颯爽とディーラーを後にした。

 

ぐぅ~……っと、腹のムシが鳴る。

 

「腹、減ったな……」

 

信号で止まった時に腕時計を確認すると昼前。

 

「どおりで……」

 

コンビニにバイクを止めてからスマホで地図アプリを開き、ササっと検索する。

 

「富士宮市といえば、B級グルメの王道“富士宮やきそば”……近くにある店は……」

 

検索し終え、ナビゲーションを起動した。

ヘルメットにセットしているインカムから案内音声が聞こえる。

 

音声に従って、バイクを進めた。

バイクを走らせること10分……駅前にある目的のお店に到着する。

 

「けっこう、並んでいるな……」

 

遠目でも見える行列……

アプリの口コミでの評判も上々のようだ。

相棒のロクダボを駐輪場に止めて、富士宮やきそばのお店に向かう。

道の途中にある有料駐車場に目をやると見覚えのある青い車が止めてあった。

 

「まさかな………」

 

と、思いながらもお店の列の最後尾に並ぶ。

 

「「あ………」」

 

なんと俺の前にいたのは、各務原さんのお姉さんだった。

 

「ど、どうも……」

 

「奇遇……ですね………」

 

ああ、何だか空気が気まずいな………

二人は店内に案内され成り行きで、カウンター席に並んで座る。

 

「私、しぐれ焼きにおでんで……」 

 

「あいよ。」

 

「野咲さんは何にします?私、ごちそうしますよ。」

 

「えッ!!?どうして、悪いですよッ!!?」

 

「良いんですよ。この間のお礼です。」 

 

「あの時は、もうキウイを頂いたので………」

 

「改めてですよ。」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……ご主人、彼女と同じモノを一つ………」

 

「あいよ。」

 

店の主人が目の前で手際よく調理する。

何だか見ていて楽しい。

 

「それで、野咲さんはどうしてコチラに……?」

 

「まあ、ちょっとした買い物で……そちらは?」

 

「私は妹の送迎ついでにドライブを……」

 

「妹さんは?どこかに降ろして来たんですか?」

 

「りんちゃんが、ふもっとっぱらキャンプ場で一人キャンプしてるって、情報を仕入れたみたいで……」

 

「えっと、なんて言ったら良いんでしょうか……本当にアグレッシブですよね?」

 

「もう、困った妹ですよ……」

 

と、彼女は言っているが満更でもない表情だ。

やっぱり妹に頼られるの嬉しいのだろう。

 

提供されたしぐれ焼きを二人して頬張る。

 

「美味しい……」

 

「ああ、美味い……こっちのおでんも優しい味だ。」

 

さすが、行列店……大満足だった。

俺的には星三つをあげたい。

二人して店を出る。

 

「あの、野咲さん?このあとは?もう帰るんですか?」

 

「いえ、まだ帰らないですよ。もう少し色んな所を回ってから帰ろうかなって思ってますけど……」

 

「じゃあ、食後の一杯はどうです?オススメの喫茶店があるんです。そこに行きませんか?」

 

「へぇー良いですね。ご一緒します。」

 

待ち合わせの場所を決めてバイクを取りに向かった。

食事して、場所変えての喫茶店……これって、ちょっとしたデートじゃないか?

 

待ち合わせ場所に行くと、すでに彼女の乗る青い“日産ラシーン”が、ハザードランプを焚いて路肩に止まっていた。

ラシーンの隣に行くと、モーター音とともに、パワーウインドウが開き、各務原(姉)さんが顔を覗かせる。

 

「すいません!お待たせしました!」

 

フェイスガードを上げて彼女に話しかける。

 

「大丈夫です。じゃあ、私のあとを着いて来てください……」

 

「了解です!」

 

彼女の車がハザードランプが消え、発進と合流を伝えるために方向指示器が点灯した。

ゆっくりと車が前進、俺もそれに続いて行く。

 

各務原さんの車に着いて行くこと、十数分……

彼女がオススメする喫茶店に着いたようだ。

車は駐車スペースに停車、各務原さんが降車している。

俺は店の駐輪スペースにロクダボを止めた。

ヘルメットを取ると、横には彼女が立っている。

 

「じゃあ、行きましょうか?」

 

「は、はい……////」

 

喫茶店の中に入ると、店内は昭和の落ち着いたノスタルジックな雰囲気を醸し出していた。

各務原さんは紅茶セット……俺はコーヒーを頼んだ。

注文したモノを待っている間、各務原さんからこんなことを聞かれた。

 

「あの、野咲さん……私ね?以前アナタとあったことがあるんですよ?」

 

「えっ……!!?そうなんですか?いつ?」

 

「私が今のなでしこと同じ年頃でしたね………それで、野咲さん!」  

 

彼女の眼鏡が外からの日光を反射してギラリと光る。

 

「は、はヒィ……ッ!!?」

 

おお……なんだかスゴい圧だ。

思わず変な返事を返してしまう。

 

「野咲さん、以前は陸上自衛官でしたよね?」

 

「え、ええ……確かにそうでした。」

 

「ほら、コレ……」

 

各務原さんが自分のスマホを見せた。

そこに写っていたのは、彼女の家族と記念写真を撮った自分の姿だった。

段々と思い出してきたぞ……

これは俺が二等陸曹の時にいた駐屯地であった一般開放イベントの一環だ。

 

陸上自衛隊初めての試みで一般参加型の演習……

 

この演習は、危険な戦闘地域に取り残された一般人を安全かつ迅速に離脱させるという想定だ。

抽選によって招待された一般の人は各々の自家用車に乗って、FMラジオから聞こえる戦闘状況を聞きながら、戦域の臨場感を味わってもらう。

 

もちろん敵部隊(アグレッサー)の襲撃があれば、全力で守ってみせた。

一応空砲ではあるが、車載ラジオから聞こえる音声、銃声や砲撃音、硝煙の匂いがリアルをそそる。

 

「ああ、そうか……確かに各務原さんが今乗ってる車は、あの時自分が護衛(案内)した車だ……」

 

「思い出してくれました?」

 

「ええ、思い出しましたよ。」

 

彼女との昔話はかなり盛り上がった。

お互いに談笑に花咲かせ、喫茶店を出た時には、すでに日が傾き掛けていた。

 

「あの、野咲さん。ちょっと良いですか?」

 

不意に各務原さんが俺の横に来て肩を寄せると、素早くスマホを構えてカメラでカシャっと一枚……

 

「えっ?」

 

「すいません。記念に一枚ってことで……」

 

と言って彼女はSNSを使うと、どこかにメッセージを送っている。

 

「なでしこに自慢してやろーっと。」

 

「あ、えぇ……ッ!!?」

 

年甲斐もなく、慌ててしまう。

直ぐに向こうからメッセージが帰って来た。

 

なでしこ:『どうして、お姉ちゃんと千代さんが一緒に……ッ!!?良いなぁ〜恋人同士みたいだね♡』

 

何だか凄いことが書いてある。

 

なでしこ:『私とりんちゃんは今からキャンプ鍋じゃよ〜♪』

 

「あの娘ったら……見てくださいよ。」

 

各務原さんのスマホからは晩御飯のメインだろうお鍋を囲む二人の姿が……

 

「なんか、妹さんから田舎のおばあちゃん臭がしますね……」

 

「フフ……なでしこ、おばあちゃんっ子だから……」

 

そうなのか………

そういえば、初対面の時に妹さんからも連絡先を教えて貰ったし、初めて彼女にメッセージを送ってみる。

 

「お、い、し、そ、う、な、お、な、べ、だ、ね……送信っと。」

 

ピコン………早ッ!!?

さすがコミュ力おばけの女子高生、送って直ぐに返信がきた。

 

なでしこ:『千代さんからメッセージ!嬉しいです!』

 

千代 :『今日は冷えるみたいだから風邪をひかないようにね。』

 

なでしこ:『今晩はお姉ちゃんの車で寝るから平気です!』

 

「各務原さんも車中泊をするんですかッ!!?」

 

「ええ……これから温泉いってゆっくりしてから、なでしこと合流してそのまま……」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫ですよ。私の車におふとん積んでますから……♪」

 

「そうなんですか……でも、無理してはダメですからね?」

 

「はい、心得てます。では私はこれで……」

 

「あ、はい……」

 

「今日は楽しかった。」

 

「自分もです。」

 

「あ、そうだ。連絡先を交換しましょう。」

 

彼女はスマホを差し出す。

慌てて俺もスマホを出し、お互いの連絡先を交換した。

 

「じゃあ、私はこれで……」

 

「あ、はい……また。」

 

彼女は手を振り、俺に背を向けて去っていく。

その姿を見届けた。

 

「さあ、帰ろう………」

 

と、駐輪場で待つ相棒にもとへ向かおうとした時だった。

 

「野咲さーん!」

 

背中から自分の名前を呼ぶ声が……振り向くと彼女が離れた場所から少し大きな声で言う。

 

「桜ですー!」

 

「えっ!」

 

「私の名前ーッ!“各務原 桜”でーす!次に会った時には!私のこと名前で呼んでも構いませんよー!」

 

そんなことを言って彼女は自身の車に帰っていった………妹さんとは性格が違って、クールなんだけど凄いバイタリティーを持った人だったな。

 

次回に続く。




夜が明けて、日曜日朝の6時……
桜さんと彼女の妹が気になってメッセージを送ってみた。

「大丈夫ですか?」

たいした時間も経たないうちに返信がきた。

「大丈夫、二人とも生きてます。」

桜さんの冗談めいたメッセージに安心した。
さて、今日は何をしようか……

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

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