おじキャン△   作:Shin-メン

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伊豆キャン二日目に突入です。


今日の晩ごはん、そして二日目。

「ちよさん!ちよさん!」

 

体を揺すられてる感じが……

 

「う……ん……あ、寝てた?」

 

「ごはんできたでー」

 

俺の体を揺すっていたのはあかりちゃんだった。

寝ぼけ眼を擦りながら答える。

 

「あ、そうなんだ。」

 

みんなの所に行き、ちょっと遅めの食卓を囲む。

 

「では少し遅いですが、いただきしょうか。」

 

いただきますー!とまずは犬山さん力作のアヒージョを食べる。

 

「うまい!」

 

アヒージョの余韻が残っている間に、持参した缶ビールを煽った。

 

「くあぁぁーー!キンキンに冷えてやがる!」

 

「悪魔的にお酒に合いますねー♪」

 

鳥羽先生とアルコールに頬を赤らめる。

生徒たちとは別に二人でお酒を飲んでいると、大垣さんと斉藤さんが伊勢エビの干物を焼いたモノを、俺たちに差し出した。

 

「ホントに良いんですか?」

 

「もちろんッスよ。」

 

「先生と千代さんは私たちの引率してお疲れでしょうし、これ食べて英気を養ってください。」

 

「じゃあ、お言葉に甘えていただきましょう。」

 

「そうですね……二人ともありがとう。いただきます。」

 

立ち上る湯気、伊勢エビの香りが凄い。

身を一口……これは!

 

「うまーーーーー!」

 

只でさえうま味の塊なのに、干物にすることでうま味さらに凝縮され、それを焼くことで香ばしさも合わさって………うぅ、自然と涙が出てきた。

 

「うわぁぁッ!!?千代さん!なぜに泣いてんッスか!!?」

 

「この旅のために色々我慢して資金作っていたから、ここ最近はもやし炒めしか食べてなくて……グスッ、久しぶりにまともなモノを食べたよ。」

 

「千代さんもいろいろ大変なんですね……今日はお腹いっぱい食べてください。」

 

「うん……」

 

斉藤さんが優しく慰めてくれた。

その後、満腹感と眠気のダブルパンチを食らった志摩さんは先に寝袋に入って寝てしまう。

 

食事も終わりみんなで片付けたあとは、野クル恒例の動画鑑賞会が始まった。

 

見る動画はあかりちゃんチョイスの"ゾンビぐらし"。

このサークルはキャンプでホラーを見るしきたりでもあるのか?

ほら~やっぱり、各務原さんが怯えてる……

 

「なんや、なでしこちゃん?もしかして、こーゆうの怖いんかー?」

 

小学生に煽られる高校生という、なんとも言えない構図となっていた。

 

「べべべべべ別に!怖くないし!大丈夫だしィー!」

 

素直になれない各務原さんが不憫でならない。

 

「ほんじゃこれにけってーー!」

 

無情にも"ゾンビぐらし"を見ることに……

みんなでブランケットにくるまり、タブレット端末の画面を食い入るように見つめる。

 

次の瞬間、断末魔とともに画面いっぱいにたくさんのゾンビが現れた。

 

「アヒィィィィーーーーーー!」

 

各務原さんは旅立っていった。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

夜中の2時を回った頃……

眠っていた俺はふと目を覚ます。

 

「のどかわいた……」

 

俺は管理棟のところに自動販売機があったのを思い出し、そこへ向かうことにした。

坂を登っていると声が聞こえる。

途中の建てられた東屋には斉藤さんと各務原さんが談笑していた。

 

「あ、千代さん。」

 

「二人ともまだ起きてたんだね?」

 

「私はちょっと眠れなくて……」

 

「私は行きに車でぐっすりねちゃったから、眠れなくなっちゃいましたー それにゾンビが……」

 

「各務原さんが強がるから……」

 

「エヘヘ……」

 

「それにしても、良いキャンプ場だよね?」

 

「だねぃ……」

 

「浜に近いから波の音を聴きながら、ゆったりと過ごせる……実家を思い出すな。」

 

「へぇー 千代さんのご実家も海に近いんですか?」

 

「あぁ……海まで徒歩一分くらいで行けるし、近所には鶴ヶ浜海水浴場っていうビーチもあるよ。」

 

「じゃあ夏は楽しいんだろうなー」

 

「行ってみたいなー 千代さんの実家。」

 

「だねー 行くなら夏休みとかかな?」

 

と三人で話す。

 

「あ、そうだ!恵那ちゃん、うちのすぐ近くのコンビニでバイトしてるんでしょ?お母さんに聞いたよー」

 

「お、ついにバレたか!」

 

「千代さん、知ってました?」

 

「この間会ったからね。」

 

「スパイみたいでちょっとおもしろかったのに……千代さんの動向を調べたりね。」

 

「あのー 頼むから自分にもプライベートをください。」

 

「フフフ……大丈夫。冗談ですよー♪」

 

うーむ、キミは色んな意味で侮れん。

 

「でもさー キャンプって、やっぱりお金がかかるよねぇ。」

 

「そうなんだけど、私18になったら車の免許を取りたいんだよね。」

 

「免許?斉藤さん、車が欲しいの?」

 

「みんなとキャンプしてると思うことがあってね?この楽しい時間をチクワと一緒に味わいたいなぁーって……犬が一緒だと行動範囲が限られちゃうし、だから早く車の免許を取ってチクワを色んな所に連れてってあげたいんだ。」

 

「そっかー」

 

斉藤さんに飼われてるチクワは幸せモンだ。

 

「なんか……なでしこちゃんや千代さんが越して来て色んなことが変わった気がする。」

 

「私もだよー♪みんなに会っていろいろ変わったと思う。そう思うよね?千代さん。」

 

「そうだね。出会いは一期一会ってことか……」

 

「千代さんは将来、私のお兄さんになるんだよー」

 

「いいなーなでしこちゃん。うらやましいよー♪」

 

二人の話しを聞いていると、ちょっと照れるな……

気恥ずかしい、もう戻ろう。

 

「自分はこれで失礼するよ。二人はどうするの?」

 

「もう少し、なでしこちゃんとお話ししときます。」

 

「おやすみなさい。」

 

「ああ、おやすみなさい。」

 

俺は寝床へと戻った。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

あれからしばらく眠る。

朝方、俺は隣からの聞こえる物音で目を覚ました。

 

「ん……?もう誰か起きたのか?」

 

スマホを手に取り、時間を確認するとまだ5時を回って間もない。

もぞもぞと寝袋から出て、テントから顔を出し外を確認すると志摩さんがテントを撤収していた。

 

「し、志摩さん……?」

 

「あ、千代さん。起こしちゃいました?」

 

「まあ……それより、もう片付けてるの?」

 

「昨日はみんなより早く寝てしまったから……」

 

「そっか……あれからぐっすりだったもんね?これからどうするの?」

 

「少し周辺を見て来ようかと……」

 

「なるほど……ねえ?それってさ、自分もお供しても良いかな?」

 

「え?千代さんはもっとゆっくり休んでて下さい。」

 

「もう目も完全に覚めたし、自分のバイクで一緒に回ろうよ。」

 

「それって………」

 

ということで志摩さんに少し待ってもらい、俺は自分のテント一式を急いで撤収し、一緒にキャンプ場周辺を回ることに……

 

「足はここに掛けて、持ち手はここにバンドがあるから……」

 

「はい。」

 

「心配なら自分の腰に手を回してくれても構わないからね。」

 

「……ッ!!?はい……////」

 

先に俺が股がり、後ろにある申し訳ない程度のタンデムシートに志摩さんが乗っかる。

そして、彼女は俺の腰にスッと手を回した。

キーを回すとロクダボに電源が入り、イグニッション

スイッチを押してエンジンを掛ける。

 

始動したロクダボのエンジンは軽快に鼓動した。

 

『おぉ……お尻がブルブルする。』

 

原付とは比べ物にならない馬力を感じた彼女の声は、戸惑っているのか、言葉の語彙力が若干落ちた気がする。

 

「準備は良いかな?」

 

スロットルを回すとエンジンが吹け上がった。

 

『は、はい。お願いします……』

 

キャンプ場をあとにして公道に出て、ロクダボを加速させる。

 

『おーー!すっげぇーーッ!』

 

「怖くない?」

 

『千代さんがいてくれるから大丈夫です。』

 

俺の腰に回す、志摩さんの腕がギュッとさらに強くしまった。

 

『私のビーノとは比べ物にならない。この風と一体になるって感じ……サイコーです。』

 

軽快にコーナーを攻め、しばらく走って到着したのは"黄金崎"。

 

「これまた荘厳な地名だ。」

 

「ここもジオスポットのひとつで日本一の夕日が見られるそうですよ。」

 

俺と志摩さんは黄金崎の整備された遊歩道を歩き、周辺を散策する。

志摩さんはスマホで岬から見える海を撮っていった。

 

「志摩さんって、ホントーに海が好きだよね。」

 

「これが海ナシ県の性ズラー」

 

そしてここの岬の端には、馬の顔に似た岩、通称"馬ロック"がある。

 

「馬ロック……言うほど馬か?」

 

「え?馬じゃないですか……たてがみあって、目に面長な顔……」

 

「ふむ………よう分からん。」

 

馬ロック、馬に似てる似てない論争をしつつ、俺と志摩さんは別の景勝地へとバイクを走らせた。

 

そして到着したのが沢田公園。

一帯が海底火山の噴火によって火山灰が降り積もった地層で出来た断崖には露天風呂がある。

 

「へぇー ここには露天風呂があるのかー」

 

「あそこに見える小屋がそうみたいですよ。」

 

絶壁の上の歩道を二人で歩いて回った。

 

「おおー!たけぇー!」

 

志摩さんは周囲をキョロキョロと見ており、何か探しているようだ。

 

「志摩さん、さっきから何を探してるの?」

 

「…………ここには仁科灯台があるみたいなんですよ。スマホのマップだとこの辺らしいんだけど……」

 

確かに彼女の言うとおり、灯台のマークがマップ上に記されている。

 

「ないねー あ、もしかしてバカには見えない灯台だったりして……」

 

「もー そんな訳ないでしょー」

 

俺もスマホを使って灯台のことを検索にかけ、調べてみることにした。

 

「仁科灯台……灯台っと……あった。何々……?」

 

仁科灯台は仁科港に設置された灯台……

 

「あ、志摩さん……ここの灯台、2009年までに役目を終えて撤去されてる。」

 

「あーー 残念です。そんな前に…… でも、建ってた時はここからずっと港を見下ろしてたんだね……」

 

二人で眼下に見える小さな港を眺める。

なんだか、センチメンタルでノスタルジックな気分。

 

「へっぷし!」「へっくしょん……!」

 

タイミング良く、二人でくしゃみと身震い。

 

「まだまだ寒いですね……」

 

「そうだね。帰る前にさっきの温泉でちょっと温まって帰ろうか?……」

 

俺たちは公園敷地内の温泉に入って行くことに……

 

「はぁ~ 気持ちいいなー」

 

「みんなに秘密にしての抜けがけ温泉……」

 

「さいこーー」

 

朝から贅沢な朝風呂をした後、再び合流する。

 

「みんなもそろそろ起きる時間だし、ゆっくり帰ろうか……」

 

「そうですね。」

 

「そうだ。志摩さん、自分のロクダボに股がってみない?」

 

「え?良いんですか?」

 

「写真撮ってあげる♪」

 

志摩さんはロクダボに苦戦しながらも股がり、ハンドルを握った。

 

ドヤッ!……志摩さんの顔が凛々しい。

 

「フフッ……」

 

ちんまりした彼女とそのドヤ顔におかしくなり、思わず笑ってしまった。

 

「むぅ、どうして笑うんですかー!」

 

「なんででしょ♪じゃー 撮るよー ハイ、チーズ!」

 

彼女との楽しい時間もほどほどに、みんなのもとへ帰ることに……時間は朝の8時を指していた。

 

次回に続く。




キャンプ場……

「なんやー? リンちゃん、千代さんと二人でどっか行っとるみたいやねぇ。」

リン『早く起きすぎたから、千代さんとバイクデートに行ってくる。』

「ホントー だねー 」

「きのう、はやくねすぎたせいじゃない……?」

「あおいちゃん、ねむそうだねー 」

「えなちゃんこそ、ごっつぅネムそうやなァー 」

「きのう3時半まで、なでしこちゃんと話しててさー 」

「そらぁー ネムいはずだわ~ 」

斉藤さんは各務原さんの寝ているテントへと自身の寝袋を持って潜り込む。

「二人が帰るまで、もうちょい寝てるねぇー 」

そんな彼女の姿を見て少し考えた犬山さん……

「わたしもー」

そう言って寝袋片手に各務原さんのテントに入って横になった。

「うーーん……」

各務原さんが狭そうに唸る。

「えなちゃん、前しめてぇなぁ~」

「あおいちゃんがしめてよぉー」

二人が不毛な争いをしてると、大垣さんが焦った顔で二人のもとへやって来た。

「おっ、お前ら起きろ!大変だ!千代さんとリンが……どっか行っちまったーっ!」

千代『探さないでください。』

「せやなぁー」

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

後半はしまりんとのバイクデートみたいになりました。
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