おじキャン△   作:Shin-メン

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テキトーに書いていきます。


道具を集めるところからがキャンプです。

また、新しい一週間が始まる。

設備管理のため学校内を動き回った。

その日の放課後……

 

「ち~よさん♪」

 

廊下を歩いていると声をかけられる。

この学校に来てから、俺はどこぞのゆるキャラの如く名前で呼ばれるようになった。

生徒だけではない。先生や同僚からもだ。

振り返ると女の子が……

 

「あ、キミはこの間の………」

 

「斉藤です。斉藤 恵那……♪」

 

「それで斉藤さん?何かあったのかい?」

 

「あ、別に……たいしたことはないんですけどね。聞きましたよ〜?一昨日の土曜日、なでしこちゃんのお姉さんとデートしたんですよね?」

 

いきなりの事にビックリした。

誰から聞いたッ!!?

知っているのは二人だけのはずだ!

ええい!まだだ、まだ終わらんよ!

と、とにかくこの場は誤魔化せなければ!

 

「エ、エット……ナンノコトカナーーー?」

 

なぜかカタコト……

 

「フフ……誤魔化すの下手くそですよね♪」

 

斉藤さんはケラケラと笑っている。

 

「誰から聞いたのかな?」

 

「りんからです……♪」

 

斉藤さんが嬉しそうにネタをばらした。

 

「よもやよもや……流出もとはそっちだったか。」

 

「それでどうでした?なでしこちゃんのお姉さん?」

 

「ど、どうも何も……お、俺は、あ、えっと…………」

 

何故か、しどろもどろになってしまう。

 

「あ、照れてるー♪」

 

「コラ。大人をからかってはいけません!」

 

「は~い、ごめんなさ〜い♪」

 

と彼女は言っているが、本当に反省しているのか?

 

「まあ〜今度、ゆっくり教えてくださいね〜♪」

 

「な、なんでだよッ!!?」

 

思わず、ツッコミを入れてしまった。

 

「フフ♪やっぱり、千代さんはかわいいなぁ~じゃあ〜千代さん、さよなら〜♪」

 

ブレないマイペース女子は、俺をこれでもかとからかうと満足したのか、ホッコリする笑顔で手をヒラヒラと振り、足取り軽やかに帰って言った。

 

「あ、さようなら……」

 

その様子をぼう然と見送る。

からかい上手の斉藤さんね……

 

この時間帯は図書室に志摩さんがいるはずだ。

ちょっと、行ってみよう。

 

「千代さん!やっと見つけたぁー!」

 

体操服姿の大垣さんと犬山さん、各務原さんだ。

三人は自分の両脇をガッチリとホールドする。

 

「ちょ、ちょっと……!!?いったい、何をッ!!?」

 

「千代さん!今からは野クルの時間ですよ!」

 

「さあ!行きますよー!」

 

「行くって、どこッ!!?」

 

「野クルのホームグランド、外ですよ〜」

 

三人に半ば強引、俺は引きずられるように校庭へ連れて行かれた。

野クルの三人は校庭の片隅で焚き火を始めた。

 

「それじゃ!お前ら、よーく聞けぇ!野クルも人員が3人になって、相談役に千代さんも入ったことだし……」

 

えぇッ!!?相談役ぅッ!!?

初耳、青天の霹靂だ。

 

「ちょ、ちょ……ッ!!?いつから、そうなってるんだッ!!?」

 

「え?この間、ダメもとで教頭先生に相談しにいったら、相談役としてならOK!って二つ返事で言ってくれましたぜ!ダンナ……ッ!」

 

サムズアップ。してやったりの、大垣さん……

教頭ォォォーッ!渾身の叫びが山梨県にこだました……ような気がした。

 

「というわけで改めて!野クルも本格的に“冬キャンプ”の準備を始めていくぞ!」

 

「おす!」

 

「オス!」

 

「お、おす……」

 

ああ〜せっかくの休みが大好きなロンツーが潰されてしまう……

 

「千代さん…………千代さん!」

 

「あ、はい。」

 

「聞いてるんッスか?」

 

「すまない。考え事をしていた……」

 

「しっかりしてくださいよ。これからが大事なんですからねッ?」

 

「すいません……」

 

思わず謝ってしまった。

一応だけど、俺って巻き込まれたんだよな?

被害者ってことでいいんだよな?

 

「では!……」

 

部長の大垣さんが話すよりも早く、各務原さんが手を上げた。

 

「はい!ぶちょう!」

 

「なんだー?各務原隊員ッ?」

 

「いつキャンプやるんですかッ!!?」

 

「これから、決めていくぞー!」

 

「ぶちょう!どこでキャンプやるんですかッ!!?」

 

「それもおいおい決めていくぞー!おちつけー!」

 

各務原さん、ワクワクが止まらないのだろう……まるで、小学生のようだ。

 

「ぶちょう!おやつはいku…………」

 

「オマエ、ちょっと黙ってろや~ッ!」

 

ほら〜怒られた。

次はキャンプの際に使う道具の確認を始める。

 

「じゃーまずは持ってく物。私がメモるから、上げてってなぁー」

 

「「おおー!」」

 

「テントと寝袋。」

 

「着替えと歯みがきセット!」

 

「ランタンと懐中電灯。」

 

「マンガとお菓子!」

 

「ハンモックとウクレレ。」

 

「わんことフレスビー!」

 

なんか余計なモノが増えだしたか……?

 

「プレステ5とニンテンドーSwitch。」

 

「ジョイスティックにコントローラー!」

 

大垣さんと各務原さんのボケが止まらない。

野クルはコント集団なのか?そう錯覚してしまう。

 

「もう、二人とも……別に持ってくる物は自由やけどさぁ……」

 

野クル唯一の常識人の犬山さん。

二人の暴走をいとも簡単に止めてみせた。

 

「こんなモンやね……テントにシュラフ、着替え、洗面用具…………」

 

犬山さんが、本当に必要な物をリストアップしている。

 

「結構あるねーでも、アオイちゃん?プレステ5は?ニンテンドーSwitchは?」

 

「そんなモノは必要ありません!」

 

「Ouch……ッ!!?」

 

軽くだが、ビシッとツッコミを入れてあげました。

 

「テントは980円の激安テントがあるから良し。」

 

犬山さんはリストにチェックを付ける。

 

「えーっと、カセットコンロは………」

 

「はい!ウチにあるよ!りんちゃんとキャンプで使った信頼と実績がありまーす!」

 

「これもOKー」

 

「ランタンは防災用のがウチにあったな。LEDのヤツが……」

 

「じゃあ、これも大丈夫。」

 

「千代さん。アウトドアのプロとして他には何かないのかな?」

 

各務原さんがコチラへと話題を振られた。

アウトドアのプロって…… また大げさな……

確かに前の仕事は、ほとんど外だし?それに俺の専門はアウトドアっていうか生存自活(サバイバル)なんだよなぁ……まあ、良いか。

 

「自分としては、テントとか持って行かなかったな。」

 

「えっ……?」

 

三人の頭にはてなマークが浮かんでいる。

 

「以前は基本野宿だったし……」

 

「千代さん!千代さんは手ぶらでキャンプするんッスか……ッ!!?」

 

「いやいや、ちゃんと持って行くよ?あの時は一回の想定で最大40キロぐらいの荷物を持ってたりしてたね……」

 

「40キロって、テント持って行かずに、何持っていくんですか?」

 

「えーっと、ナイフに剪定鋏、鉈と折りたたみ式のスコップでしょ。ターボライター、予備にファイヤースターター、あと着替えと二日分の食品飲料……」

 

出るわ出るわ……

まあ、前職はお散歩程度から5夜6日とまちまちだったからな。

 

「あとー」

 

「まだあるんですか……?」

 

「もちろん……」

 

「もう、お腹いっぱいですわ~」

 

「そうかい?」

 

「千代さんって、前はどんな仕事をしていたの?」

 

「あれ?各務原さんは覚えてないのかい?」

 

「ふぇ……?」

 

「キミのお姉さんは知ってたよ……?」

 

そう言って、俺は上着のポケットからスマホを出し、とある写真を三人に見せて上げた。

 

「これは?」

 

「あ、コレ……なでしこちゃんか?かわええなぁ~」

 

それは先日、桜さんから貰った若かりし頃の俺と各務原家が一緒に写ったモノ……

 

「あー!思い出したー!コレ、千代さんだー!」

 

「「ナニぃぃーーッ!!?」」

 

「この人、千代さんかッ?」

 

「千代さん、若ーい!」

 

若ーい!って、俺はまだ34歳だぞ?

キミたちの目には、俺はおじさんに見えるのか?

 

「ひぇ~千代さんって、自衛官だったんですね……」

 

「ほら、兎にも角にも他に持って行く道具を決めないと……」

 

「そうですね。千代さんの思い出話はまた今度聞いて良いですか?」

 

「別に良いよ。」

 

「それであと持って行くのは、焚き火セットだね。」

 

「火ばさみと着火剤と軍手とライターとかやね。」

 

「そういえば、100均って炭とか焼肉の網まで売っとるらしいな〜」

 

「マジかッ!!?スゲーな100均パワー。何でも置いてあって便利だよなぁ~」

 

「うん、便利べんり〜」

 

俺たちは淹れたてのコーヒーを啜る。

 

「あ、でも、この辺一軒もないけどな……100均の店。」

 

「えーッ!!?そうなのッ!!?」

 

「車でも20分はかかるな〜」

 

一瞬、間が開いたかと思うと、俺に注目が集まった。

なるほど、100均の店まで車を出せと言いたいのか。

でも、残念!今の俺にはロクダボしか無い!

それにこの間契約した新車は、納車に一ヶ月近く掛るのだ!

 

「悪いが、今はバイクしか持っていないんだ。」

 

「そっかー 残念……」

 

「あ、でも、来月になれば納車されるから…… それまで待っててね。」 

 

「………………何ィィィーーッ!!?」

 

「アキ!鼻血!鼻血!」

 

「はわわ……ッ!!?アキちゃん!ティッシュ!」

 

うわー大惨事だなこりゃ……

大垣さんの鼻血も落ち着き、焚き火セットを片付けた俺と野クルの三人は部室へ戻り、雑誌を見出す。

どうやら、冬用シュラフが欲しいらしい。

 

「ねぇ、アキちゃん……冬キャンプで夏用のシュラフを使うとどうなるの?」

 

「間違いなく“低体温症”になるな……」

 

「最悪死ぬで……」

 

各務原さんは“死”というフレーズに怯えている。

 

「まあ〜怯えんとなでしこちゃん、キャンプの本読むかぁ?シュラフ特集のヤツやで〜?」

 

「よむーーーっ!」

 

パァーっと、明るくなる各務原さん……

全く持って忙しい子だ。

 

「千代さんが自衛隊の時は冬はどうやって偲んでいたんッスか?」

 

「自分は陸上自衛隊では普通科に所属にしていて……」

 

「普通科?」

 

「分かりやすく云うと歩兵だね。自動小銃とか対戦車用の個人携帯火器で武装してる…… その中でもけっこうツライ、レンジャーの資格を自分は持っているよ。冬の山中でも敵陣近くでは野宿してた。」

 

「まあ、そのために苛烈とも言える訓練に耐えたからね。寒さなんてへっちゃらだよ。」

 

「やっぱり、千代さんは普通じゃないから参考にならないですわ。」

 

あれ?俺って全否定されてる?

俺以上に化け物地味た隊員とかいたんだけどなぁー

“特殊作戦群”とか……

 

「ねえねえ!見て見て!みんな!人型シュラフだって!これならクマが来ても逃げれるし、良いよね!」

 

「甘いぞー!各務原隊員。」

 

「熊の走る速さは自動車並み……走れようが走れまいが、一瞬で捕まるぞ!」

 

さっきまでほのぼのしていた各務原さんが再び強わってきた。

 

「良く知ってるじゃないか、大垣さん……それに熊は狩りが下手くそだからね。捕まえた獲物にトドメを刺さずに踊り食いされちゃうよ。」

 

「ひぇ~」

 

ガタガタと震える。

ちょっと、怖がらせたかな?

それはそうと、俺もそろそろ仕事に戻ろう。

もう少しやりたいことがあったし………

 

「あ、えーっと、部長の大垣さん……?」

 

「何でしょうか?千代さん……」

 

「そろそろ自分の仕事に戻ろうかと……」

 

「えぇーさびしいよー」

 

各務原さんがシュンっとしている。

彼女のそんな表情を見るとなんだか……うん……

 

「しかたないやろ?なでしこちゃん……」

 

「そうだぞー!千代さんにも本業があるんだ。」

 

大垣さんと犬山さんが、落ち込む各務原さんを慰めている。

 

「各務原さん本当に申し訳ない……今度、自分のバイクの後ろに乗っけてあげるから。だから、ねッ!!?」

 

落ち込む彼女を元気づけようと、ついつい適当なことを言ってしまった。

 

「ほんとーーッ!?」

 

各務原さんのキラキラとした視線がスゴい。

 

「あ、ああ……約束だ。」

 

「じゃあ!ゆびきりげんまーん♪ウソついたーら、はりせんぼんのーます♪ゆびきった!」

 

懐かしいな……

こんなことしたのは何時ぶりだったか……

 

「じゃあ、自分はこれで……」

 

「また明日もよろしくおねがいします!」

 

「「お疲れさまでーす。」」

 

三人に見送られ、野クルの部室をあとにする。

明日もか……

最初の出会いと強引な相談役の就任に関しては、本当に面倒くさく思っていたが、相談役になったからには元自衛官として責任を持って勤めさせてもらおう。

 

その日の夕方……

事務室での帰り仕度を終えて、相棒ロクダボのもとへと向かおうと廊下に出たときだった。

 

「あ、千代さん……」と声を掛けられる。

 

声をかけたのは、志摩さんだった。

 

「お疲れさまです。」

 

「志摩さん……お疲れさまです。今、帰り?」

 

「はい……千代さんもですか?」

 

「うん、そうだよ?」

 

「今日もなでしこたちといましたけど……」

 

「ああ、彼女たちのサークルに引っ張られてた。」

 

「大変ですね?」

 

「大変どころか、なんか臨時の顧問みたいな立場になっちゃって……」

 

「うわーー。」

 

おぉ、志摩さんがドン引きしてるー。

 

「まあ、なんと言うか……頑張ってください。」

 

彼女から応援された。

そんなことを二人で話しながら廊下を歩いていると、ほぼ同時に二人のスマホの着信音が鳴った。

 

「誰からだ?」

 

「なでしこからですね……」

 

スマホを見てみたら、確かに各務原さんからだった。

メッセージアプリを開くと、大垣さんがキレイに梱包されている画像が……

 

なでしこ:『お届け物でーーす!』

 

「…………何やってんだ?」「アイツら……」

 

次回に続く。




これは図書室でのとある一場面……
私は図書委員として本の貸し出しの仕事をしつつ、自分も読書している。

「一昨日は色々あったな……」

スマホを取り出して撮りためた画像を見返してみる。

「フ……なでしこが押しかけて来たときには、面倒くさいと思っていたけど、なんだかんだ楽しかった。」

彼女との思い出に、ちょっと笑みがこぼれてしまった。

「千代さん、なでしこのお姉さんと仲良さそう………」

なでしこから送られた写真データの中に、それは混じっていた。
たまたまその画像を見ていた時だった。

「ねぇ、リン……その千代さんと一緒に写っている美人なお姉さんって誰?」

ビックリしたー
友達の斉藤だった。

「あ、えっ?えっと………」

「ねぇー?誰?」

「なでしこのお姉さん……」

「そうなの?ふーん……」

あ、コイツまた良からぬこと考えてんな……
このからかい上手め……

「それでなでしこちゃんとのキャンプ、どうだった?」

「おめぇの、差し金だろ……とっくに目星は付いてっぞ。」

「あ〜あ、バレたか。」

「バレバレだ。」

「でもさ、リンってこの時期しかキャンプしかしないよね?」

「まあーそうだけど……」

「冬キャンプの何が良いの?めっちゃ寒いじゃん。修業?」

「何のだよ………」

んーー考えつくことを彼女に教えてやった。

「私も食べてみたかったな〜なでしこ飯。この時期の鍋パワーはたまりませんわ……」

「だけど、アイツがほとんど食べてたけどな……」

「今度、私もちくわ連れて行ってみようかな?冬キャンプ……でも、寒いかー」

「そう言ってる内は無理だぞ……」

「ねぇ……次はどこに行くの?」

斉藤がそんなことを聞いてきた。
また、情報をなでしこにリークするんじゃないかと思い、ジト目になってしまう。

「あーもう言わないから許して〜!」

本当か?本当に信じて良いんだな?

「次は再来週だな。長野に行ってみようかと思う。今週は原付き免許取ったりバイトだったりと、色々ハードだけど頑張るよ。」

「そっか〜頑張ってね♪」

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