おじキャン△   作:Shin-メン

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今回はしまりん目線です。


大井川ツーリング 前編。

私は志摩リン。今日はなでしこの旧友であるアヤちゃんと川根本町および大井川一帯をツーリングしてキャンプする。

なでしことは現地のキャンプ場での集合の予定だ。

 

「千頭駅とーちゃくー!」

 

さすがにアヤちゃんはまだ来てないか……

千代さんから借りたインカム、アヤちゃんと話しながらのツーリング……楽しみだ。

時間を確認すると、待ち合わせまでまだ時間がある。

 

「ちょっと、散歩しようかな……」

 

私は30分ほどかけて、周辺を散策した。

まだ時間が早いせいか、駅内の売店もガラガラだ。

 

散策もほどほどにして、私は大井川を眺める道沿いの縁石に腰掛け、アヤちゃんを待つことに……

 

「ここなら、お互いに分かるはずだ……」

 

何気にスマホを開いてみると、現地の天気と気温が表示されていた。

 

「最低気温は3度、さむ…… 昼間は暖かいけど、朝晩は伊豆キャンの時より寒いのか……」

 

景色を眺めながら、いろいろ考えていると、バイクの音が聞こえてきた。

音の方に目を向ける。

あのバイクはHONDAのエイプ100…… アヤちゃんだ。

 

「おーーい。アヤちゃーん。」

 

手を振ると向こうも気づいてくれた。

バイクから降りたアヤちゃんは、私のもとにやって来てくれた。

 

「あー リンちゃ…… 久しぶ、り………」

 

あ、倒れた。

 

「アヤちゃん 長旅、ご苦労さま。」

 

私たちは駅前のベンチでひと息着くことに……

 

「はふぁ~~ 落ち着くわ~~」

 

「そりゃー 良かった……」

 

アヤちゃんが一服してる間に、私は千代さんから預かったインカムを調整しておく。

 

「これで良し。」

 

「できたの?」

 

「うむ。これでツーリングしながら話せるよ。」

 

「リンちゃん、ありがとう。貸してくれた千代さんにも感謝の正拳突きだねぇー 押忍ッ!」

 

アヤちゃんは腰を深く落として、拳を勢い良く、繰り返し何度も突き出している。

うん、すんごいキレ味だ……

 

「正拳突きはやめて…… 死んじゃうから。」

 

私は驚いたよ。

だって、そこに千代さんがいたんだから……

 

「ヤッホー」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

ニコニコ顔の千代さんが、私とアヤちゃんに向かって手を振っている。

 

「どうしてここに……?」

 

私はわけが分からず、千代さんに訊ねてしまう。

 

「来ちゃった♪」

 

なんちゅう返し…… 乙女かよ。

心の中でだけど、思わずツッコんでしまった。

 

三人でいろいろと立ち話をしていると女の子の集団がコチラにやってきた。

 

「千代さーん!」

 

その中で快活そうな娘が千代さんに声をかけ、手を振っている。

誰だ?この人?千代さんのことを気安く呼びやがって…… 私は最大限の警戒をした。

 

「千代さん、この子たちが……?」

 

ピンク色のライダースーツを着た、ツインテールの女の子が千代さんに訊いている。

私より身長とか色々大きいし、年上かな?

 

「そうだよ。こちらは志摩リンさん。自分が勤めてる学校の生徒さん……」

 

千代さんは彼女たちに私のことを紹介している。

 

「この娘は志摩さんの友達の旧友で……」

 

「土岐綾乃だよー よろしくー」

 

アヤちゃん、順応性高いなッ!!?

はぇー 感心するよ。

 

「ほら、志摩さんも挨拶しなきゃ。」

 

「あ、えーっと、私 志摩リンです。よ、よろしく……」

 

「へぇー アナタ、リンちゃんって言うの?私と同じ名前じゃない。親近感が湧いてくるわ。私は鈴乃木凜、よろしくね。」

 

同じ名前…… 声もどことなく似てる。

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

鈴乃木さんが差し出した手を握り、互いに握手を交わした。

 

「私は佐倉羽音だよー!」

 

「アタシは天野恩沙。」

 

「ワタクシは三ノ輪聖ですわ。」

 

「で最後にこの人が川崎来夢さん。来夢センパイって呼んであげてね。」

 

どうして千代さんが紹介するんだ?

この人もプラカードに"ヨロシク!"って書いてあるし…… 変わってる。

 

「ねぇー 二人は何歳なの?」

 

佐倉さんが私たちの歳を訊いてきた。

 

「私?私は16だよー」

 

凄い……アヤちゃん、もうみんなと仲良くなってるじゃん。なでしこもだけど、浜松人はコミュニケーション能力が高いのか?

 

「わ、私も16です……」

 

「じゃあ、アタシたちタメじゃん。」

 

同い年…… うーん、色々と負けた感が凄い。

何がとは言わないぞ。

 

「じゃあ、そろそろツーリングを始めようか。」

 

「そうだねぇー♪」

 

私たちは駐輪場に戻り、各々相棒に股がってエンジンをかける。

これだけバイクがあるとそれぞれのエンジン音の違いが分かるもんだな……

 

『みんな、インカム聞こえる?』

 

私のスピーカー越しに千代さんの声が聞こえてくる。

 

『聞こえるよー!』

 

『アタシもOK!』

 

『私も聞こえるわ。』

 

『ワタクシも大丈夫ですわ。』

 

バイク部の面々が答えた。

来夢センパイだけは、なぜかサムズアップで答えている。無口だけど妙にカッコいいな……

 

『二人はどうかな?』

 

「聞こえます。大丈夫です。」

 

『コッチも絶好調だよー』

 

『ヨシ!出発しようか!それじゃ、志摩さんたち、道案内の方は頼んだよ。』

 

「うぇぇッ!!?」

 

私を含めた、全部で8台となった大所帯で大井川の奥地を目指してツーリングにと向かう。

 

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千頭駅を出発した私たちは県道60号線を奥へ奥へとひた走る。

多少は冷えるが、春の陽気は感じた。

 

『それで志摩さん?目的地はどこなの?』

 

「さっきアヤちゃんと話してたけど、色々と立ち寄りながら、最奥地にある畑薙湖を目指そうかなって……」

 

『湖まで一本道で分かりやすいんだけどー 道が荒くて曲がりくねってるんだってー!』

 

『険道ってわけか!フッフッ…… アタシのセローの出番だな!』

 

『モジャ?あんま調子乗ると危ないわよー?』

 

『分かってるよー でもさ、ワクワクするだろ?険道!』

 

『分かるよー 恩沙ちゃん♪』

 

「アヤちゃんも本当に気を付けなよ。さっきまでヘバってたんだから……」

 

アヤちゃん、テンション高いなぁ……

 

『リンちゃんは心配?先頭の二人?』

 

「うん。まあ……」

 

羽音ちゃんも心配してるのかな?

 

『恩沙ちゃん、いつもあんな感じなんだよー』

 

『モジャは馬鹿なのよ。気にするだけムダよムダ。それと羽音?私と志摩さんは同じなんだから、ちょっとは呼び方を考えなさいよ。』

 

『そっかー う~ん…… どうしようかな……?志摩さん、リンちゃん?』

 

羽音ちゃんが悩んでいる。

 

『だったら、しまりんって呼んであげたら良いよ。』

 

「ちょ、ちょっと!千代さん。」

 

『おおー!しまりん。何だか"ゆるキャラ"みたいで可愛いよー♪』

 

『同級生からも呼ばれてるよ。』

 

「千代さん!私のことをそう呼んでるのは、千明だけですよ!」

 

もう!変なことを吹き込まないでよね!

 

「フフフ、可愛らしい……♪ ワタクシもアナタのことをそう呼ばせていただきますわ♪し~まりん♪」

 

「三ノ輪さんまでッ!!?」

 

「だから、ワタクシのことも聖って、名前で呼んでくれて良くってよ♪」

 

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大井川流域は『吊り橋の名所』の呼ばれています。

 

『バイク♪バイク♫みんなで乗ろうよ♪楽しいバイク

♫ハンドル握ればほら♪気分はもう天国♫』

 

先頭走る、アヤちゃんと恩沙ちゃんが何か変わった歌を歌っている。

 

『 悩みも迷いもー 今は忘れてー♪』

 

『アクセル噴かして!』『クラッチ切って!』

『『さぁ出発だー♪』』

 

『『 ホンダ ヤマハ スズキ カワサキ

ホンダ ヤマハ スズキ カワサキ

ホンダ ヤマハ スズキ カワサキ

バイクバイクバイクバイクバイク!』』

 

『バイクバイクバイクバイク!』

 

『ぼくらの道はつづくよどこまでも♪』

 

二番かな?聖さんが歌う。

 

『泥はねも気にしない♫』

 

なんとッ!!?私の隣を走る、千代さんまでもッ!!?

 

『土砂降りのツーリング♪』

 

と羽音ちゃんが続く。

 

『『『林道 酷道ー♪ 高速 峠ー♫』』』

 

聖さん、羽音ちゃん、千代さんの三人で声を合わせて歌う。

 

『それ行け加速だ!』

 

凜さんも歌い。

私にもと目配せをする。歌えと言うのかッ!!?

ええい!ちょっと恥ずかしいけど、私も歌うぞー!

 

『ギ、ギアを上げろー!』

 

『『『『『おっと!とっくにトップだー 』』』』』

『ホンダ ヤマハ スズキ カワサキ♪』

『ホンダ ヤマハ スズキ カワサキ♫』

『ホンダ ヤマハ スズキ カワサキ♬』

 

『『バイクバイクバイクバイクバイク!』』

 

賑やかなツーリング、ソロでは絶対に味わえない。

心を無にして走る修行じみたロングツーリングとは、全くと言ってもいい別物だ。

 

両国吊橋に到着。

 

「へぇー 思った以上に頑丈出来てるんだなぁ……」

 

千代さんがおもいっきり橋を揺らしてる。

 

「うおぉおぉぉぉ……ッ!!?」

 

「千代さん!やめてくれーー!」

 

恩沙ちゃんたちも絶叫していた。

下手な絶叫マシーンより怖いぞ……!

 

「いやー ゴメンね。ちょっとテンション上がっちゃった。」

 

「千代さん、怖くないんですか?」

 

「このくらいはへっちゃらだよ。ロープ一本でヘリコプターから降下したりするし……」

 

「そうだ。忘れてた…… この人、陸上自衛隊の人だった。」

 

たまに忘れるんだよね…… ホント。

 

「それにね?レンジャー訓練の一科目に忍耐力を鍛える度胸試しがあるんだよ。」

 

千代さんが嬉々として語っている。

 

「度胸試し?」

 

「そう!ロープを腰に巻いた状態で10メートルくらいの所から後ろ向きに落ちるんだよ。こんな風にね。」

 

千代さんは手振り身振りで教えてくれた。

私だけじゃない。みんなドン引きしてる。

 

「それでね?落ちる前には座右の銘とか将来の目標とか色々言わされるんだけど……最後自分の番には何か面白いことやれって助教に無茶振りされたんだー」

 

「助教?」

 

羽音ちゃんが首を傾げていた。

 

「あー 教官だよ。先生みたいなモノかな?」

 

「おおー」

 

「それで、千代さんは何したんですか?」

 

「助教のモノマネをしたんだ。『待たせたな……』ってね。」

 

この渋い感じのニュアンスと仕草、顔つき……

 

「もしかして、それって私のおじいちゃんですか?」

 

「お、せーかーい!」

 

「え?千代さんとリンちゃんのおじいちゃんは知り合いなの?」

 

鈴乃木さんが聞いてきた。

私は頷き答える。

 

「うむ。私もつい最近知ったんだけど……千代さん、おじいちゃんの部下だったみたい。」

 

「自分もこの間、久しぶりに会って驚いたよ……」

 

両国吊橋を楽しみ、みんなでバイクのもとに戻り、出発の準備していると千代さんが私に声をかけてきた。

 

「志摩さんって、いつ普通二輪の免許を取るの?」

 

「え?うーん…… もう16だし、家族で話し合ってからなんで、それ以降ですね。」

 

「ってことは買うんだよねッ!!? オートバイ!」

 

「うん、まぁー」

 

羽音ちゃんの言葉に千代さんを始め、他の娘の目の色が変わる。

 

「しまりんはメーカーはどこにするんだ?やっぱりYAMAHAしか勝たんだろ!」

 

「いやいや、HONDAだよー! 千代さんにアヤちゃん、私!乗ってる人が三人もいるんだよー♪ねぇー」

 

「「ねぇー!」」

 

「何を馬鹿げたことを…… 真のバイク乗りはSUZUKIのバイクに乗るモノよ!SUZUKIの良さが分からないヤツは人間じゃないわ!」

 

おぉー 凜さんまで……

 

来夢センパイもプラカードを出してアピールしてる。

【硬派なKawasakiこそが最強 & 最高!】

そうなのか……

 

そして聖ちゃんも論争に参戦!

 

「ここは一つ、ワタクシの399パニガーレなんて……」

 

「「「「「「それは却下!」」」」」」

 

だけど聖ちゃんだけ意見は通らなかった。

次の目的地までバイクメーカー論争が続くことになる。

 

次回に続く。




バイク部勧誘の歌良いですよね。
ツーリングの時に良く聴いています。

あなたはどんなバイクに乗ってますか?
あこがれのバイクとか教えてください。

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