おじキャン△   作:Shin-メン

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大井川ツーリングから帰った次の日の話です。
千代さん年の割りに元気です。


あてもなく…… 走る。

大井川から帰って来た、次の日……

今日は完全に一人だ。

 

桜さんは今日もバイト……

なでしこさんと志摩さんはアヤちゃんとバイク部の娘たちとキャンプ。

なんと大垣さんも犬山さん、斉藤さんを引き連れてキャンプに行っている。

 

「休みの日はなぜか早起きしてしまう。」

 

時計を見るとまだ六時を過ぎたばかり。

アラームが鳴るのは、まだ二時間近く先なんだが……

 

「しょうがないか。」

 

俺は出かける準備をする。

 

「早起きは三文の徳と言うし、早朝のドライブでも行ってみよう。」

 

家の玄関を出て、階下のガレージに向かった。

ガレージには相棒のロクダボと愛車のGRヤリスが仲良く並んでいる。

 

「昨日はロクダボくんだったし、今日はお休みな。」

 

そんなことを言いながら、俺はバイクの燃料タンクを撫でた。

 

「だから、今日はヤリスちゃんで。」

 

俺はGRヤリスに乗り込み、ギアがニュートラルになっているのを確認してクラッチとブレーキを踏みながら、スタートボタンを押した。

車の電源が入ると同時に通電すると、スパークプラグから火花飛び、燃料に点火する。

エンジンが掛かった。

 

「良い調子だ。」

 

エンジンが力強く鼓動し、車内に心地よいエグゾースト音が響く。

 

ギアをドライブに入れて、サイドブレーキを解除してから半クラッチを意地しつつ、慎重にガレージから出して道路に出る。

 

「どこに行こうか…… ひとまずコンビニでカフェオレでも補充して行こう。」

 

俺はいつも愛用している近所のコンビニへと向かった。そう……斉藤さんがバイトをしているコンビニだ。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

自宅からすぐの所にコンビニがある。

コンビニで愛飲しているパック入りカフェオレを買い、愛車を眺めながら、その買ったカフェオレを啜っていた。

朝の冷たい空気と冷えたカフェオレが五臓六腑に染み渡る。 うまい……

 

至福のひとときを過ごしていると、聞き覚えのある声に呼ばれた。

 

「あれ?千代くん。こんなところで会うなんて奇遇だねぇー」

 

振り返ると、桜さんとなでしこさんのご両親が立っていた。

 

「修一朗さ……」

 

「むぅ……?」

 

「お義父さん。」

 

「よろしい。」

 

「おはようございます。お二人してこんな所で何をしているんですか?」

 

二人は運動しやすい服装をしている。

 

「最近、私のお腹が出てきてね…… 」

 

「休みの日くらいはこうやって二人でウォーキングしてるんです。」

 

「それは良い心がけです。」

 

「それでキミは?」

 

「自分は今日一人で早く起きたし、東に向かって走ってみようかと……」

 

「そういえば、娘の桜も今日までバイトだーって言ってたわね?お父さん?」

 

「そうだったな。で?千代くんは、もう朝ご飯は食べたのかい?」

 

「いえ、まだ……」

 

「じゃあ、ウチで一緒に食べよう。」

 

「え?……」

 

「母さんも良いよな?」

 

「もちろんよー 桜も喜ぶわ。」

 

「じゃあ、決定だな。さあ、千代くん!」

 

「は、はあ……」

 

俺は各務原夫妻のご好意に甘えることにした。

夫妻はコンビニで買い物したあと、愛車に乗せて早速二人の自宅へと向かう。

 

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各務原家に到着。

車から降りた修一朗さんと静花さんは、自宅に入っていく。

俺も二人に続いた。

 

「ただいまー 桜ぁー 今、帰ったぞー」

 

「お父さん、おかえり。お母さんも……」

 

起きたばかりなんだろう……

桜さんはパジャマ姿で、さらに頭は爆発していた。

 

「ただいまー あ、そうそう。桜?千代さんを連れてきたわよ?」

 

「はぁッ!!?」

 

キョトンとする桜さん。

互いに目が合い、しばし時間が止まる。

 

「おはよう、桜さん……」

 

止まった時間が動き出した。

 

「ちょ、ちょっと!お母さん!へッ!!?あッ!!?」

 

付き合っているとは、寝起きの無防備なところを見られたくはないか……

彼女の言葉にならない焦りを見せていた。

 

「わぁー!」

 

普段見られない年相応の反応をする桜さんに、新鮮さを感じる。

俺は案内され、各務原家の食卓に加わった。

目の前には目玉焼きとトースト、サラダにフルーツと並べられている。

 

「さあ、いただきましょうか。」

 

静花さんが最後に座った。

 

「いただきます。」

 

一人で摂る朝食とは一味も二味も違う。

はっきり言って美味しい……

 

「お口に合うかしら?」

 

「美味しいです。」

 

「そうか、それは良かった!ハッハー!」

 

修一朗さんはトーストにバターを塗り、その後にハチミツをたっぷりとかけて頬張る。

 

「ウマイ!」

 

「お父さん、トースト食べる時はいつもこうなの。カロリーが心配で……」

 

「運動してる意味があまりないのよ。」

 

「仕方ないだろー? 運動した後はカロリーと糖分が無性に食べたくなるんだからなッ。千代くんもそうおもうよな?」

 

「ハハ…… その気持ちは分かりますよ。自分も陸自レンジャー教育に志願して、90日ほど教育があるんですけど、最後の演習は五夜六日歩き続けるんですよ。」

 

「五夜、六日?」

 

静花さんがポカンとしている。

 

「距離にして70キロくらいですね。」

 

「そんなに歩くのかい?」

 

「ええ、40キロの荷物を持って…… それも平坦な道じゃなくて、ほとんどが山中で……」

 

「休憩はあるんですよね?」

 

桜さんに聞かれた。

 

「休憩という休憩はありませんでしたね。当時はスケジュールも押してたし…… ちゃんと決められたミッションをこなして、時間通り帰ってこないと行けなかったから、ほとんど寝ずに歩き続けました。」

 

みんなが固唾を飲んで俺の話に聞き入っている。

 

「食料はなし、水筒はあるけど飲んではいけない。」

 

「理不尽とは思わなかったのかね?」

 

「当時はそんなこと思いませんでした。満身創痍で極限状態で頭がおかしくなってかもしれなかったです。でもレンジャーはどんな状況でも長距離かつ数昼夜に渡り諸種の悪条件を克服して任務達成することをモットーしているで……」

 

「任務から帰ってきて最初に何したんですか?」

 

「レンジャー教育の任務を終えて駐屯地に帰って来ると参加した隊員の家族が待っててくれるんですよ。」

 

「へぇー 知らなかった。」

 

「通例みたいなのかな?自分の場合は家族と離れていたし、それは叶わなかったけど……」

 

「そうなのか…… 寂しいなぁ。」

 

「あ、でも…… 教官が泣いて労を労ってくれました。自分ももらい泣きですよ。ホント……」

 

当時の思い出が甦る。

 

「その教官って、志摩リンさんの祖父なんですよ?」

 

「え?は?リンちゃんのおじいちゃん?」

 

「はい。自分も知ったのはつい最近ですよ?」

 

「それでさっきのカロリーの話に戻るんですけど、色々式典が終わったあとに志摩さんのおじいさんがケーキとコーラを差し入れてたんですよ。」

 

「どうでした?久しぶりに甘いモノ食べた感想は?」

 

「ぶっちゃけ、美味しくはなかったです。甘味を全く感じなくて…… ケーキは粘土みたいだし、コーラはただシュワシュワしてるだけで……」

 

「千代さん、散々な目に合ってますね?」

 

「ハハ…… その日の晩はお腹いっぱい食べましたよ。最後の演習で10キロくらい痩せましたからね?それを取り戻そうと思って……」

 

「大丈夫なのかい?」

 

「肋が浮いて、胃袋がポッコリ出て、腹筋が割れてる変な体型になりました。」

 

「やっぱり、千代さんはおかしいですよ。」

 

桜さんは…… いや、彼女だけでない、ご両親三人が俺のエピソードにドン引きしていた。

 

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時間も過ぎて、桜さんもバイトに行く準備が済んだようだ。

 

「千代さん、行きましょうか?」

 

「あ、はい。お義父さん、今朝もお世話になりました。静花さんも朝食ごちそうさまでした。」

 

「いえいえ~ それに私のこともお義母さんって、呼んでくれて良いのよ~?」

 

「わ、分かりました。」

 

「じゃー お父さん、お母さん、行ってくるね。」

 

「「いってらっしゃーい」」

 

俺と桜さんは外に出る。

 

「じゃあ、桜さん、バイト頑張ってね。」

 

「千代さんこそ、気をつけて。」

 

「はーい。」

 

俺たちはそれぞれの車に乗り込んだ。

俺はシートベルトなどして、エンジンをかける。

先に桜さんが出発していった。

彼女がコチラに手を振る。俺も手を上げて答えた。

 

「さて、どこに行こうか……」

 

俺は取り敢えず、東を目指してみる。

 

次回に続く。




次回は新たにクロスオーバーしたいと思います。
千代さんはどこに行くのでしょうか?みなさんに行き先を決めてもらいたいです。

一つは埼玉県飯能市。
一つは下北沢です。

千代さんの行き先について。

  • 埼玉県 飯能市
  • 東京都 世田谷区 下北沢
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