おじキャン△   作:Shin-メン

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前回は空振りだった薪はGETできるのか?


薪配布・THE・リベンジ

昼休み…… 俺は志摩さんに呼び出された。

このパターンは以前に何度かあった。どうしてだろう?なんだか胸騒ぎがする。

そんな胸騒ぎを抑え、彼女が待つ図書室へと俺は足を運ぶ。

 

「こ、こんにちはぁ……」

 

恐るおそる図書室に入り、カウンターに目をやるといた…… 志摩さんだ。

それに若干ではあるが予想していたが、斉藤さんも一緒にいた。

 

「お疲れ様でーす。」

 

斉藤さんがコチラに向かって、手をヒラヒラと振っている。

俺も軽く手を上げて「お疲れ様……」と返した。

 

「そこに座って下さい。」

 

そう促す志摩さんからは、溢れんばかりのドス黒い闇のフォースを感じる。

 

「は、はい…… 失礼します。」

 

圧迫面接か?彼女の圧に気圧されそうになりながらも、指定された椅子に座らされた。

斉藤さんは相変わらずニコニコしていて、何を考えているか皆目見当が付かない。

 

「千代さん……」

 

志摩さんがドスの効いた低い声で俺の名を呼ぶ。

 

「は、はひッ!!?」

 

何を言われるのだろうか?少し身構えた。

 

「これ、ありがとうございました。」

 

志摩さんが出したのは、見覚えのない巾着袋……

 

「これは?」

 

中を見ると、この間の大井川キャンプに行く志摩さんに貸し出したインカムのセットが入っていた。

 

「ああー これね。」

 

「大井川から帰ったあと、家でキャンプ道具を片付けていたら、お母さんが来て…… その機械、返すんでしょ?これに入れて上げてと渡されました。」

 

「そうなんだ。」

 

「その巾着袋も使って下さい。」

 

「ありがと。ありがたく使わせてもらいます。」

 

俺はインカムの入った巾着袋を受け取る。

 

「あと、アヤちゃんとお礼を込めてのお土産です。」

 

俺は彼女からお土産まで貰った。

『石炭おかき』とパッケージにはそう書かれていた。

 

「これは私からだよー♪」

 

斉藤さんからもお土産を渡される。

 

「二人ともありがとう。じゃー これはお返しに自分から…… 昨日は埼玉の飯能市にドライブに行ったんだ。そのお土産ねー」

 

「おぉ…… どうも。」

 

「ありがとー ございます♪」

 

俺のお土産も二人は高評価だった。

そして、志摩さんと斉藤さんそれぞれの土産話をこれでもかと聞かされた。

 

「今回もいい思い出ができて良かったね。」

 

「はい。」

 

「うん、楽しかったよー♪」

 

最初、志摩さんから感じた闇のフォースは気のせいの取り越し苦労だったのかな?…… と俺はホッと胸を撫で下ろす。

 

「それで千代さん……」

 

「うん?何かな?」

 

「この子たちはいったい誰…… なんですか?」

 

俺を見る志摩さんの視線が凍てつくように冷たい。

そう言いながら、志摩さんは自身のスマホを見せる。

それは昨日、飯能市の天覧山であおいちゃんたちと撮った写真だった。

やっぱり、気のせいじゃなかったーッ!!?

 

「誰?ですか?」

 

地の底から響いて来そうな低いトーンで、再び志摩さんに聞かれる。

 

「そ、それ、は……」

 

こ、こえーーッ!!?

助けて斉藤さん……!と斉藤さんに目配せした。

 

「ワタシモキニナルナー」

 

だが、終始笑顔の斉藤さんからも、志摩さんに勝るとも劣らないほどの闇のフォースが滲み出ている。

 

「あ、これ、終わったわ……」

 

『おじキャン△完』………………とはならず、二人に包み隠さず正直に話した。

 

「はぁー」

 

志摩さんは大きなため息をつく。

 

「ホント千代さんって、どこか行くたびに新しい女の子と仲良くなってますよねー?」

 

うぐッ!!?……

斉藤さんは相変わらず痛いところを突いてくるな。

 

「そ、それほどでも……」

 

「「別に褒めてません。」」

 

お茶を濁そうとしたが、無事に失敗した。

 

「ねえねえ、千代さん?この子たちって私たちと同じくらい?」

 

「この子…… ここなちゃんっていうんだけど、その子は斉藤さんたちの一つ下の中学生。」

 

写真を見てふと思った。

アタマん中で整理して想像する。

あれ?志摩さんって頭のお団子取ると、ここなちゃんよりちっちゃくならね?……と。

 

「今、私とこの子比べてましたよね?」

 

ギロリと志摩さんが俺を睨む。

 

「えっ!!?」

 

エスパーかこの娘ッ!!?

 

「比べてましたよね……?」

 

「ベベベベ別に……!」

 

誤魔化さないと!誤魔化さないと!

ヤバいヤバいヤバい……!

 

「フフ♪千代さんの目、泳ぎ過ぎてバレバレだよ~」

 

うぅ…… 斉藤さんは誤魔化せないのか……

 

「ごめんなさい。少し比べてました。」

 

素直に謝ったとこう……

 

「はあ、全く…… もう、良いです。」

 

許してくれたのかな?

志摩さんは少し呆れていた。

 

「一応言っときますが、将来は私も、ぼん!きゅ!ぼん!のイイ女になってるはずです!まあ、予定ですけど……」

 

「予定って…… リンはホント面白いこと言うよねー」

 

「笑うなー!ホントだぞー!私は斉藤よりイイ女になってるんだからなー!」

 

「ハイハイ♪」

 

二人と別れたあとは、俺は野クルのメンバーにも会って、飯能市で購入したお土産を渡した。

 

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放課後、俺は鳥羽先生と大垣さんに会う。

 

「お疲れ様です。先生…… 」

 

「お疲れ様です。」

 

「お疲れッス!」

 

二人はジャージ姿であった。

大垣さんの手には、ノコギリが握られている。

 

「今からどちらへ?」

 

「薪配布ッス。」

 

そういえば、クリスマス前に行った時はすでに配布会は終わっていて確保できなかったっけ?

その薪配布リベンジってことか……

 

「二人だけで?」

 

「なでしことイヌ子はバイトなんッスよ。」

 

「なるほど。」

 

「大垣さん?そろそろ行きましょうか?薪の配布会が終わってしまったら、元も子もありませんからね。」

 

「そうッスね。じゃあ、いってきます!」

 

「いってらっしゃい。先生もお気をつけて。」

 

「はい。いってきます。」

 

二人が俺のもとから去ろうとするのを少し呼び止め、何かあったら連絡くださいと一言だけ伝えた。

 

校内から鳥羽先生の車が出て行くの見送る。

 

「………うーん、あの装備と車じゃ心配だなぁ。大した業務はないし、ヘルプが来たらすぐに行けるように準備をしとくか。」

 

俺は学校所有の軽トラを借りて、荷台に伐採用のチェーンソーに安全具、それに荷造り用のロープと必要なモノを乗せていた。

 

「お疲れ様です。」

 

声をかけられた。

振り返ると教頭先生が立っている。

 

「あ、教頭先生…… 」

 

「どこかに行く予定ですか?」

 

「さっき、野外活動サークルの大垣さんと顧問の鳥羽先生に会いまして、二人で薪の配布会に行っていまして……」

 

「ああ、身延町のヤツですね。」

 

「教頭先生が言うので、それでしょうね。ちょっと二人の装備が心配で……」

 

「と、言いますと?」

 

「ノコギリ1本しか持って行ってないんですよ。」

 

「それは心配ですね。」

 

「連絡が来たら、すぐに行けるようにこうして準備してたしだいで……」

 

「なるほど…… もし連絡が来たら、私もお供してもよろしいかな?」

 

「えっ? 教頭先生も色々と多忙では?」

 

「良いんですよ。気分転換にもなりますし、何よりも我が校の生徒ためです。教頭としても一肌脱ごうではありませんか。」

 

「ありがとうございます。助かります。」

 

「一応、私も着替えて来ますので、チェーンソーをもう一台乗せといて下さい。」

 

「分かりました。」

 

教頭先生も準備のために校舎に戻っていった。

出来れば、なんの問題もなく済むのが一番なんだが……

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

アタシは大垣千明だ。

今回、鳥羽先生とともに身延の薪配布会場へと向かっている。

 

「あのー 大垣さん?いったい誰と話しているんですか?」

 

「え?あー ただの独り言ッス。」

 

「そうですか…… それで配布会場までは、あとどのくらいですか?」

 

「えーっと、あと1キロくらいッスね。」

 

「前回、千代さんと行った時は残ってなかったみたいだし…… 今回は残ってると良いですね。」

 

「だと良いんですけど…… あんまり期待はしないで行きましょう。ははは……」

 

そう、アタシたちは期待してなかったよ。

でも到着して唖然としちまった…… 全っ然残ってますやん。それはもう山のようによー!

 

「何なんだ?この差は? こないだの配布会場には薪が主食のモンスターが出没したんかッ!!?」

 

「でも残っていて良かったじゃないですか。」

 

「そ、そうッスね。ガッツリ貰っていきましょう!」

 

アタシたちは手続きをして、早速作業に入ることに……

ここの木材は軽トラ用に2mほどの長さに切ってあると事前に説明を受けた。

鳥羽先生の車に載せるためには、さらに半分切らないといけない。

そのためにアタシはノコギリを持って来たんだ!よっしゃ!気合い入れて切りまっせ!

 

「ノコギリで木を切る時は、手で木材をしっかり押さえて……」

 

「大垣さん?くれぐれもケガをしないように気をつけて下さいね。」

 

「任せて下さい!安全第一、現場猫案件にはしませんよ。刃を斜めに構え、上から下へ引っ張るように…… 全身全霊を込めて切っ……!」

 

その時だった。

アタシ達の目の前で信じられないことが起きたんだ。

持参したノコギリの刃がパキって折れたんだぜ!

それもほとんど根元から……

 

「あ……」「え……?」

 

「お、大垣さん?他にノコギリは……」

 

「これだけッス……」

 

はい!しあい、しゅーりょー!

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

俺のスマホが鳴る。

相手は鳥羽先生だった。

 

「もしもし?鳥羽先生……」

 

内容を聞くと思ってた通りで、ヘルプの電話…… なんとノコギリが折れてしまったとの話。

と言うことで、待機していた俺と教頭先生は軽トラで緊急出動することになった。

 

「読みが当たったみたいですね。千代さん?」

 

助手席に座る教頭先生が話しかけられる。

 

「ええ。道具一式も用意出来てたので、出発もスムーズでした。」

 

「千代さん?これって俗にいう、スクランブルってヤツですか?」

 

「うーん…… みたいなモノですかね?それはそうと教頭先生はチェーンソーを扱うことが出来たんですね?」

 

「ええ、まあ…… 人並みには。実をいうと自宅に薪ストーブがあるんで、よく使うんですよ。」

 

「なるほど。趣があっていいですね。」

 

「私自身、この薪配布は毎年楽しみにしていて……」

 

「へぇー」

 

「今年も伐採作業から参加させて貰いました。」

 

うわ!なんだこの人ッ!!? スッゲェー行動力。

そんなことを思いつつ、大垣さんたちが待つ会場へと軽トラを走らせた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

薪の配布会場到着。

1本の丸太を見つめて立ち尽くす、大垣さんと鳥羽先生を発見した。

クラクションを軽く鳴らすと、二人が気付く。

 

「すみません、千代さん。お手数をおかけし…… うぇっ!!? 教頭先生?」

 

助手席に座っていた教頭先生に鳥羽先生は驚いた。

 

「どうも……」

 

「えっと…… てっきり千代さんだけが来てくれるとばかり思ってました。教頭先生はお仕事は平気だったのでしょうか?」

 

「私のことは気にしないで下さい。」

 

俺と教頭先生は互いにチェーンソーを準備する。

 

「教頭先生もチェーンソー扱えたんッスね……」

 

「まあ、人並みです。それで車に載せやすく玉切りにするんですよね?手早くやってしまいましょう。」

 

「そうですね。」

 

「千代さん、安全には細心の注意を払って下さい。」

 

「了解です。」

 

俺と教頭先生は安全具を装備して、大垣さんと鳥羽先生に注意を促した上で周りを確認し、地面に置いていたチェーンソーを片手で押さえ付けながら固定、スターターロープを勢い良く引っ張る。

 

一度目は空振り、二度目でチェーンソーが始動した。

けたたましいモーター音とともに刃が回転する。

エンジンを軽く煽り、回転数を安定させた。

 

準備ヨシ!チェーンソーを扱う上で一番恐ろしいのは、高速回転する刃がコントロール不能の状態で作業者などに向かって跳ね返ってくる『キックバック』という現象だ。

一度起きたらシャレにならない、俺は細心の注意を払って作業を進めた。

 

チェーンソーは安全第一に扱えば、とても便利な道具である。

現にあっという間に車いっぱいになった。

 

「助かりましたー」

 

「ありがとうございます。」

 

「いえいえ、これも生徒のためです。」

 

「そうですね。」

 

「千代さん、カッコ良かったッス!」

 

「ハハ、ありがとう。大垣さん……」

 

何気なく彼女の頭をポンポンと優しく撫でてやると、大垣さんは頬を赤く染めて俯いていた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

学校に戻り、部室棟の空きスペースに薪を仮置きさせてもらう。

 

「それにしても凄い量ですねー」

 

「車二台分ですからね。」

 

「それになんかこの木、くせーッスね。」

 

「ホント?どれどれ……」

 

大垣さんと一緒にクンカクンカと匂ってみた。

 

「確かに…… けっこうクセのある匂いだ。こっちはそこまで匂わないな……」

 

「あ、ホントだー」

 

鳥羽先生も加わり、木材の匂いを嗅いでいると、教頭先生が色々と理由を教えてくれた。

 

「今回いただいて来たのは、クルミとハリエンジュになります。臭うのはハリエンジュの方でしょう。こちらは生木のまま燃やすと臭いもキツく、煤ばかり出てしまいます。」

 

「ってことは、両方…… 特にハリエンジュはしっかり乾かさないといけないですね。」

 

「校内に余ったスチールラックがあると思うので、薪棚を作ってそこで乾燥させてから使った方が、良いと思いますよ。」

 

「なるほど。」

 

「乾燥させると火の持ちも良く、なにせ割り易くなりますよ。」

 

「へぇー」

 

「それでは、私はこれで……」

 

「教頭先生、色々とありがとうございました。」

 

鳥羽先生と大垣さんは頭を下げる。

 

「いえいえ。」

 

「道具などは自分が責任持って片付けときます。」

 

「そうですか。では、ヨロシクお願いしますね。」

 

去っていく教頭先生がスッと足を止め、コチラに振り返った。

 

「あ、そうそう…… 野外活動サークル、今年は新入生が入ってサークルから部活になれるように頑張って下さいね。」

 

「はい!頑張ります!」

 

教頭先生は一言いうと帰っていく。

それを俺たちは見送った。

 

「教頭先生って、アウトドアとか好きなんッスかね?」

 

「なんか自宅に薪ストーブを持ってるみたいだよ。今回の薪の配布会前には、伐採作業もボランティアで参加したようですし……」

 

「どおりで…… でしたら、薪について困ったことがあったら、相談してみましょう。色々と教えて下さるかもしれませんね。」

 

「そうッスね。」

 

「今日の野クルの活動はここまでにして、手分けして片付けましょう。」

 

「はーい。」「ええ。」

 

次回に続く。

 




今回は無事にGET出来ましたね。
教頭先生と千代さんの二人がかりで伐ったので、原作以上に早いです。

あと、おじキャン△の志摩さんは原作とは違い、ヤンデレ成分が非常に低いがゼロではないレベルで含まれています。

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