週末……
俺の自宅には野クルの三人に含め、志摩さんと斉藤さんがいた。さらに桜さんまで……
なぜかって?野外活動サークルの新入部員勧誘のためにピザ会をするためだ。
その試食会込みの仕込みや準備を俺に自宅で集まってやっている。
みんなは役割分担をしてテキパキと準備をしていた。
俺はそんなみんなを見守っている。
「良かったんですか?せっかくの休みに……?」
俺の横に座る桜さんに訊ねられた。
「ええ…… みんなの家だと色々あるだろうし、きちんと片付けてくれたらそれで良いんです。ね?みんなぁー?」
「「「「「はーい!任せてくださーい!」」」」」
「ね?」
「ホント、優しいんだから…… それよりこの装備品の量?いったい何をするんですか?」
テーブルの上には多彩な銃火器(サバゲー用)が並べられている。
俺はそれを手入れしながら、みんなを見ていた。
「言ってなかったっけ?今年の夏に予備自衛官の定期訓練があって元同僚たちも集まるんで、その訓練が終わったあとに久しぶりに本職の…… 後輩の陸上自衛官と一戦交えてみようかと連絡しあってるです。」
「そうなんですか……」
桜さんがちょっと困惑してる。
「俺、本職としては退職してるんですが、予備自衛官としてはまだ自衛隊に席を置いてるんです。」
「どんなことするんですか?」
「同窓会みたいなモノですよ。昔の同僚やらが集まってちょっと訓練するだけです。安心してください。」
「そうですか……」
「それに予備自衛官は後方支援が主な仕事だから、前線に出ることもないから……」
彼女を安心させるために笑顔を見せた。
「無理だけしないでくださいね。」
「もちろん……」
「あのー お熱いところ申し訳ないですが、準備ができました。」
死んだ魚のような目をした志摩さんが俺と桜さんをじぃーっと見ている。
「あ、ああ…… ゴメン。」
「い、今行くね……」
俺はみんなの元へ向かった。
「呼んできたぞー」
「リンちゃん…… どうかしたの?」
「別に……」
みんなで食卓を囲む。
テーブルには2種類のミニピザが並べられていた。
「こっちはオーソドックスなトマトソースでぇ……」
「こっちはエビアボカド+タルタルだぁー」
「段ボール釜でもうまく焼けたなぁー」
「早速、いただこうか。」
「「「「「いただきまーーす。」」」」」
「いただきます。」
それぞれ好みのミニピザを手に取って口に運ぶ。
「う、うまい!トマトソースの酸味が食欲を加速させる…… チーズとのハーモニーも最高だ。」
「エビアボカドも相性抜群で美味しいわ。」
「なでしこのお姉さんからもお墨付きを貰えたし、こりゃあ貰ったも当然だな。」
「確かにぃー お口の中が幸せやぁー」
「なでしこちゃんのアイデアは無限大だねー」
「えへへー♪」
「餃子の皮も一枚じゃなくて二枚重ねなんだ……」
「そうだよ!リンちゃん!一枚だとモノ足りないけど二枚になればパリパリ感がより感じられるよね!」
「うむ。パイみたいでめっちゃうめぇ……」
「三枚だともっと食べごたえあるけど、さすがに
予算オーバーになっちゃうし……」
「二枚でも充分にうまいし、これで良いと思うよ?ね?桜さん?」
「ええ、私も良いと思うわ。」
「下準備は完了!明日の決戦に備えるぞぉッ!野クルぅー!ファイトぉぉーー!」
「「「「おーーー!」」」」
気合いを入れる五人、これなら安心かな?
夕方になり解散することに……
志摩さんは相棒のビーノで残りは桜さんが送って行くそうだ。
「桜さん、よろしくお願いします。」
「任せてください。」
「志摩さんも気をつけてね?」
「はい。また明日……」
みんなは帰っていく。
それを見送って家に戻った。
家に戻ると机に出しっぱなしなっているライフルに拳銃やナイフなどの装備品が目に入る。
それらを眺め、手に取り扱っていると正直ニヤニヤが止まらない。
「夏の訓練が待ち遠しい…… 俺のあとを継いだ後輩たちは成長したか?実戦で確かめてやる。」
俺はスマホで部下たちに連絡を取った。
『準備は滞りなく進んでいるか?』と……
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週開けの月曜日、放課後の部室棟前は野クルの開催したピザ会で大盛況のウチに終わる。
新入生でごった返していた
が、五人で協力してなんとか捌きることができた。
数日間後…… 俺は図書室にいた。
教頭先生からある仕事を仰せつかったのだ。
それは二・三年生を対象にした進路説明会。その一つである特別国家公務員の自衛隊の紹介をしてほしいと言うのだ。
自分のデスクは周りが気になって集中が出来ないから、静かな図書室へとやって来た。
思ったとおり、図書室には志摩さんしかいない。
話のネタには困らないが、どうやって紹介しようか困ってしまう。堅苦しいのは飽きられるしなぁ……
自前のタブレットPCを前に「うーん」と頭を捻っていると「大丈夫ですか?」と貸し出しカウンターに座る志摩さんが声をかけてくれた。
「あ、ああ…… ゴメンね。」
「いえ…… かなり悩んでるようですね?」
「志摩さんたちに飽きられることなく、聞いてもらうにはどうしたら良いのかなぁ……」
「もう千代さんが経験したことをそのまま話せば良いですよ。私たちにたびたび話してくれるじゃないですか?ドン引きするヤツ……」
「そっか……!ありがと、志摩さん。」
彼女からヒントをもらった俺は再び、タブレットPCに向き合う。しばらく資料を作っていると図書室に誰かが入ってきた。
チラッと見ると女子生徒だ。新入生か……
「あの、すみません。」
「はい?」
「ちょっと、ここでタブレットを使いたいんですが、良いですか?」
「タブレットぉ……」
新入生を見る志摩さんから、なんとも言えない凄みが見える。
新入生の彼女も少し怖がっていた。
「音とか出さずに静かに使えば 大丈夫だよ。」
「は、はい。静かに使います。」
ホッとひと安心……
新入生の女子生徒は、俺と対面するように一つ奥の席に座る。
「どーも。」
互いに目が合って会釈した。
再びパソコンに目を落とすと謎のアカウントから写真が送られてきている。
「"chikuwa"が1枚の写真を共有しようとしています。か……」
何だろうと思いながらも、そのファイルを開いた。
そのファイルはとんだパンドラの箱……
「ぶっ……!アハハハ……ッ!」
堪らず大笑い。
なぜか新入生の彼女もカタカタとクスクスと笑いを震えている。
おそらくではあるが、俺と同じモノを見ているんじゃないかな?ほぼ同時だったもんな。
そんな俺の肩に手が置かれる。
そう、志摩さんだった。
「千代さん…… 図書室では静かにしましょうね?」
ドスの効いた声、氷のように冷たい笑顔の志摩さんが俺の傍らに立ちコチラを見ている。
「は、はい…… すみません。ククク……」
俺の肩に置かれた志摩さんの手に力が入る。
あ、普通に痛い。
「キミもだよ。」
図書室の支配者と化している志摩さんは、容赦なく新入生にも圧をかけていた。
「ヒッ…… す、すみません!」
「し、志摩さんッ!!? ちょっと落ち着いて!俺の話を聞いてくれません?」
「……良いでしょう。」
俺は自身のタブレットPCを志摩さんに見せる。
「唐突に送られて来て…… 気になって見たらこれだったんだよ。」
「むぅ……」
「キミもだろ?」
向かいの席に座る、新入生の女の子にも見せた。
「は、はい。全く同じです。」
互いにモニター画面を見せ合う。
確かに同じモノだった。
「ったく…… こんなことをするのはヤツしかいない。斉藤ォーーッ!出てこーい!」
「ちょっと志摩さん?図書室では静かにしなきゃ。」
注意すると志摩さんが睨んだ。
「私は良いんです!」
「んな?横暴なッ!!?」
「出て来ないなら、コッチから行くぞぉー!」
鼻息荒く、志摩さんは本棚の並ぶ方へと歩いていく。
そして…… 「ぬわーーっ!!」
斉藤さんの断末魔が図書室に響いた。
ケルンのようなたんこぶを擦りながら、斉藤さんが俺と新入生に頭を下げる。
「誠にごめんなさい。」
「……ったく、二年生になったんだから少しは自重しろよな。」
「テヘッ♪」
「それで?キミと斉藤さんは知り合いなの?」
「春休みに富士川公園にちくわと散歩に行った時に知り合ったんだよー♪ ねー?」
「そうですね。私は瑞浪絵真です。先輩方よろしくお願いします。」
「私は斉藤恵那だよー」
「私、志摩リン。」
「自分は野咲千代…… ヨロシク。大方の予想だけど斉藤さんって、ちくわと一緒に公園のベンチで寝てそうだよね?」
「千代さんって、もしかしてエスパーっ!!?」
「先輩、確かに寝てました。」
もう笑うしかないね……
「あっ、絵馬ちゃん タブレット買ったんだね?」
「親にダメ元で頼んでみたら、入学祝いってことで半分出してくれたんです。あとはバイトして返す予定なんですけど……」
「バイトかぁー もう決まってるの?」
「いえ、まだです。なかなか見つからなくて……」
「みんな、バイト探しに苦労するんだよね。この辺求人少ないし……」
「そうそう。」
「ところで千代さんは何してるんですか?」
「あ、俺?今週の金曜日の午後から二・三年生を対象した進路説明会があるでしょ?」
「あー 確かに……」
「それで教頭先生から、自衛隊について説明してくれないか?と打診されてね……」
「そうなんだ。千代さんも大変だねー」
「君たちのためさ。」
「千代さんは自衛隊だったんですか?」
「瑞浪さんは入ったばかりだから、知らないんだったね?この学校に入る前は陸上自衛隊にいたんだ。16年間……」
「凄いですね。」
「千代さんはね?リンのおじいちゃんが鍛えてくれたんだよー」
「ほぉー」
瑞浪さんの俺を見る目がキラキラしてる。
こんな尊敬の眼差しで見られるのは久しぶりだ。
「昔はおっかなかったけど、孫の志摩さんが出来て丸くなったんじゃないかな?ある時から変わったのが分かったもん。」
「でも、リンもたまにおっかなくなるし、血は繋がってるんだね。」
「違いない……」
「言ってくれるじゃないか…… お二人さん?」
おー 凄い覇気。
こりゃあ…… 斉藤さんと仲良く逝くなぁー
予想していたとおり、俺と斉藤さんはペナルティで志摩さんから屈み跳躍をさせられた。
「久しぶりだからけっこう効くぅーッ!」
「リン……私、死ぬぅー!」
「ムダ口を叩くなぁー 15.16.17……」
「斉藤先輩、ふぁいとー!」
次回に続く。
千代さん、進路説明会までやるとはけっこう多忙です。
リンちゃんの加工顔の下り、思わず吹き出してしまいました。彼女のキャラがどんどん崩壊していく。
原作に追いついたらどうしようか悩んでます。
少し未来の話を書くか、他の作品とクロスオーバーさせようか?それとも思いきって千代さんを異世界に転生させる……
またアンケートでも取ってみようかと思いますので、ご参加及びご協力、お願いします。
千代さんの今後について。
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