おじキャン△   作:Shin-メン

59 / 118
お待たせしました。
原作に復帰です。


野クルのサイクリング と キャンプ計画。

午後6時から始まったライブが終わったのは20時を回っていた。千束ちゃんたちとは現地で別れ、俺は一人飲食店に入り食事をする。

ガラガラと背後の引き戸の入口が開き、数人の客が

入ってきた。

 

「いらっしゃい。」

 

店の大将だろう、老齢の男性が向かい入れる。

 

「予約してた伊地知です。」

 

聞き覚えのある声、振り向いて見ると、そこにいたのは結束バンドの子たちだった。

 

「あ、おじさーん!」

 

結束バンドでドラムを担当していた子が手を降る。

 

「やあ……」

 

彼女に続いて、ぞろぞろと六人が入店した。

 

「ねえ、みんな。さっきSTARRYに来てくれた人がいたよ!」

 

「ホントですねぇー さっきはありがとうございました!(キターン!)」

 

ギターボーカルを担当していた女の子の陽キャオーラは未だ健在だ。

 

「なんだ?虹歌?知り合いか?」

 

「お姉ちゃん。この人はさっきウチのSTARRYに来てくれたお客さんだよ。」

 

「そうか……」

 

ドラマーの子のお姉さんなのか…… 妹さんと比べて、なんか素っ気ないな。

彼女たちは用意されていたお座敷へと座る。

 

「かんぱーい!」

 

ドラマーの子が乾杯の音頭を取り、食事が始まった。

この子の行動力には目を見張るモノがある。

 

「ねえ?おじさん……」

 

しばらく自分の食事に集中していると、ミステリアスで中性的な顔立ちの子…… (確かベースを担当していたな) から声をかけられた。

 

「なんでしょうか?」

 

「私たちのパフォーマンス、どうだった?」

 

感想を聞かれた。

 

「私も聞きたーい!」

 

「私も! ひとりちゃんもそう思うよね?」

 

「えッ!!? あ、はい……」

 

他のメンバーも俺の感想に興味津々だ。

 

「お前ら。迷惑だろ……!」

 

ドラマーの子のお姉さんが結束バンドのメンバーをたしなめる。

 

「良いじゃないですかー 店長。」

 

「わたしもきになるなぁ~」

 

しかし、他にいた大人の女性二人も乗り気だった。

一人は黒基調の服、耳や口元にピアスをした黒髪ロングで威圧感のある女性。

STARRYでは音響スタッフをしていた。

 

もう一人は肩に流した三つ編みに大きなリボンを結んだガーリーなヘアスタイルと、常に酔いの回ったぐるぐる目をしており、飄々とした女性。

またスカジャンにキャミワンピという攻めた風貌だ。

 

「はっきり言わせてもらいます。」

 

俺の眼力とオーラに結束バンドのメンバーがゴクリと息をのむ。

 

「サイコーに良かった。久しぶりにエキサイトした。連れの子たちも満足してたよ。」

 

「やったー!」

 

「やりましたね!ひとりちゃん!」

 

「あ、はい……////」

 

「グッジョブ。おじさん見る目があるね。」

 

みんなは喜んでいた。

 

「なんか青春を思い出したよ。」

 

「え?おじさんって学生の時、バンドとかしてたんですか?」

 

「あー バンドは同級生がノリでやってたなぁー まあ、下手クソで見るも耐えなかったけど……(笑)」

 

「おじさんは何か楽器が弾けるんですか?」

 

「小学生の時からピアノをやってたよ。妹たちが習ってて、ウチにピアノがあったからね…… 独学で練習してた。」

 

「すごーい!」

 

「カッコいいですねぇー」

 

「最初は同級生の女の子たちにモテたくて始めたんだ。不純な動機だけど……」

 

「腕前は?どのくらい?」

 

「自分で言うのもなんだけど、人前で弾いても恥ずかしくないくらいかな?プロってほどじゃないけど……」

 

俺はスマホを取り出す。

 

「昔に演奏会で披露した時の動画があるから……」

 

俺はその動画を再生する。

 

「すご……ッ。」

 

当時配属されていた駐屯地のイベントであった演奏会で、音楽隊に混じってピアノを弾く俺の姿に、みんなは釘付けだった。

 

「あ、あの…… この演奏会って…… その……」

 

難儀な性格の女の子がたどたどしく口を開いた。

 

「これ自衛隊の演奏会だぞ。」

 

ドラムの子のお姉さんが気づいたようだ。

 

「おじさん、自衛官なのッ!!?」

 

「まあー 今は離れて山梨県の高校で用務員をやってるけどね……」

 

と盛り上がって話していると俺のスマホが鳴った。

スマホ画面に表示されたメッセージに俺の表情が少し曇る。

 

「残念だけど、もう帰らないと……」

 

「えー!」

 

ドラムの娘が残念そうにしている。

 

「わがまま言うな。困ってるだろ。」

 

「お姉ちゃん!だってー!」

 

「じゃあ、記念に写真撮りましょうよ。」

 

というわけで最後に結束バンドのみんなと写真を撮って、俺はお会計を済ませて店を出ようする。

 

「おじさんとは、またどこかで会いそうだから、名前を聞いてもいい?」

 

ベースの子に聴かれた。

 

「千代だ。野咲千代。」

 

俺は自身の名前を答えた。

俺の名前を聞いて、ボーカルとギターを担当していた女の子の顔が崩壊していたのが少し気になる。

 

「どうしたの?顔が崩れてるみたいだけど……」

 

「名前が……か、かわいい……」

 

「え?……」

 

「千代さんの名前が可愛いんですぅッ!」

 

「またか…… 千代さん、気にしないで。郁代の悪いクセ。郁代は自分の名前にコンプレックスを持ってる。」

 

「別に喜多ちゃんの名前、かわいいし素敵じゃん。」

 

「私はイヤなんです!しわしわネームみたいで!知ってます?千代さんの名前の意味!」

 

「まあ、『千代に八千代に』って言葉あるとおり『永遠にも近い途方ない時間や時』のことでしょ。」

 

「そうです!千代 = 永遠!英語に訳せば『エターナル』!最高のキラキラネームじゃないですかー!」

 

この子も難儀な性格だと改めて思う、今日このごろだった…… その後、いじける喜多ちゃんをなんとか宥めた俺は居酒屋をあとにする。

 

「今夜は帰れそうにはないな……」

 

そして俺は、眠ることのない大都会東京の闇に消えていく。愛車を走らせて辿り着いたのは、都内にある貨物列車の操車場。

今晩、ここで武器の取り引きがあるとの連絡が来たため仲間と合流、強襲して取り引きされる武器の拿捕と関係者の確保にある。

任務の障害となるモノは全て排除せよとことだった。

現場に着いた時には、すでに部下が10人待っていた。

 

「お待ちしておりました。隊長……」

 

俺は特性上、普段から愛車に武器を巧妙に隠している。

 

「状況は?」

 

個人装備を整えながら、話しを聞いた。

 

「了解した。では作戦通り、行くぞ。」

 

「了解。」

 

「状況開始!」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「お疲れ様でした。隊長……」

 

「隊員の欠如及びケガ等はありません。」

 

「そうか。皆、ご苦労だった。速やかに撤収する!」

 

 

武器売買への強襲には成功。売人を初めこの売買に加担した人間と武器は押さえることも出来た。

 

「じゃあ、俺は表の世界に戻るから……」

 

「了解です。」

 

あとの処理は副官に任せて、報告は後日受け取ることにして俺は山梨へと帰ることに…… この時点で時間は深夜2:00を回っている。

 

「はぁ…… 相変わらず、減らないモノだな。」

 

表面上は平和な日本…… しかし、水面下ではテロリズムの火種が燻っている。

俺はそんな現実に頭を悩ませ、考え事をしながら、車を運転していた。

 

都心部の一般道を走っていた時、目の前にフラっと人が現れる。

 

「な、なにッ!!?」

 

俺は慌てて急ブレーキ! かなりの制動音が響く。ギリギリだった……

 

「はぁ、はぁ……」

 

幸い事故にはならなかったが、本当に心臓に悪い。

 

「いったい誰だ!バカ野郎!」

 

疲れやらなんやらで、飛び出した人間に腹が立ってたまらない。俺は車から降りた。

 

「おい!何やってん……だ……?」

 

道路で倒れていた人物に見覚えがある。

 

「この人は…… 結束バンドの子たちと一緒にいた……」

 

肩に流した三つ編みに大きなリボンを結んだガーリーなヘアスタイルと、キャミワンピースの上にスカジャンを羽織り、素足に下駄履きとパンチのある出で立ちの女性…… さらに凄まじい酒の匂いを漂わせており、なぜか一升瓶を大事そうに抱えている。

 

「おい。アンタ大丈夫か?」

 

俺は彼女に声を掛け、さらにペチペチと軽く頬を叩いて、反応をみてみた。

 

「うーん…… 大丈夫ぅ…… まだまだ飲めるぞぉ……」

 

うん、完全に泥酔している。

こんな場所に、このまま放置はいけない。

 

「おい。動けるか?」

 

「うーん……」

 

彼女の肩を持ち立たせる。

そして、そのまま助手席へと座らせた。

もちろん一升瓶は手放さない。

 

「家は……って、そんな状況じゃないな。」

 

俺はグルグルマップで検索して、近くにある休憩できる場所を探し出した。

 

「仕方ないが……」

 

俺は車を走らせて、休憩できる場所に向かった。

しばらく走り、目的の場所へ到着、車を止めて彼女を降ろし、おんぶして部屋に入る。

泥酔した彼女をベッドに寝かした。

寝息を発てて眠る女性。

 

「ったく…… なぜこんなことになったんだ。」

 

俺は頭を抱える。

時間は深夜2:40 ……

 

「考えていても仕方ない。シャワーでも浴びてスッキリして来よう。」

 

俺は彼女が寝てる間にシャワーを済ませた。

夜も開け、時間は朝6:30……

 

「う、う~ん…… あ、頭がいたーーい……! えっと、ここは……?」

 

「起きたようだね?」

 

私が目を覚ました時に、男の人が声をかけてきた。

 

「えッ!!? こ、ここどこ?、私、どうして?」

 

私、何かされたッ!!?

 

「落ち着いて。キミと話しがしたい。」

 

男の人は特段手を出すことはない。

少し話した。頭がガンガンして、思考が追い付かないところもあるけど、だんだん彼の事を思い出してきた。

 

「私、そんなことを……」

 

「そうだよー 本当にギリギリだったんだからね……!」

 

怒られた。危うくこの人の人生をめちゃくちゃにするところだったんだから……

 

「キミ、名前は?」

 

「きくり…… 廣井きくりです。」

 

「改めて、自分は野咲千代だ。 よろしく……」

 

「あ、はい。」

 

俺たちは休憩所から出た。

廣井さんには、知り合いに連絡してもらい、身柄を引き取ってもらうことにした。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「この馬鹿がホントーに、ご迷惑をおかけしました!」

 

何度も頭を下げられる。

どうやら、廣井さんのバンド仲間のようだ。

 

「良いよ。無事に引き取り手がいてくれて……」

 

少し話してみると、この人も彼女に振り回されているのだろう。随分、苦労しているようだ。

廣井さんの引き取り手…… 岩下志麻さんに預け、俺は家へと帰ることにした。

 

「腹へった…… 何か食べて帰ろう。」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

日曜日、帰宅をしたのはお昼前。

 

「疲れた…… 今日は一日寝てよう。」

 

クタクタだしと思いながら、自宅の玄関を開ける。

 

「お帰りなさい。」

 

玄関には笑顔の桜さんが立っていた。

笑顔…… 確かに笑顔だが、目が笑っていない。

それに青筋を立て、にじみ出るオーラも何だか怖い。

 

「さ、桜さん…… 怒ってます?」

 

無謀にも彼女に声をかけてみた。

 

「今、何時だと思ってるんですかぁー!」

 

俺は正座させられ、彼女からマジ説教を受けた。

泣きそうだし、眠い……

 

「聞いているんですかーッ!!?」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

月曜日、放課後…… 野クルの部室にて。

 

「どうしたん?千代さん。今日はずっと落ち込んどるみたいだけど……」

 

俺の暗い雰囲気を心配してか、犬山さんが気づかってくれた。

 

「昨日、お姉ちゃんにしこたま怒られたんだよねー」

 

「うぐッ……」

 

昨日、桜さんに叱られたトラウマが……

 

「でもよー なんでそうなったんだ?」

 

「昨日ね? 連絡もせずに、昼前に帰って来たんだよ?お姉ちゃん、ずっと心配してたんだから……」

 

答えることが出来ない俺の代わりに、なでしこさんが大垣さんと犬山さんに説明する。

 

「あー それは千代さんが悪いよな。」

 

ソッコーで大垣さんツッコミを入れられた。

 

「でしょー?」

 

うぅ…… ここでも肩身が狭いのか。

 

「あとなー? 千代さん?これはなんなん?」

 

犬山さんが自身のスマホを俺に見せる。

そこには土曜日に出会った千束ちゃん達や結束バンドのみんなで撮った写真が……

 

「え…… どうして、その写真を犬山さんが?」

 

「私だけじゃないでぇー」

 

「私も!」

 

「アタシも持ってるぞ!」

 

「千代さん…… LINEのグループチャットで野クルのみんなに送られてるよ。もちろんリンちゃんや恵那ちゃん……」

 

「鳥羽先生も知ってるッスよ。」

 

「そんな。志摩さんたちや鳥羽先生がヨソヨソしかったのは……」

 

「ドンマイやで。千代さん……」

 

昨日に続き、三人からキツイお叱りと尋問を受けていると部室のドアが開いた。

 

「先輩、お疲れさまッス!」

 

「お、来たなー 新入部員!」

 

「おつかれやなー」

 

「や、やあ………」

 

「あ、あれ?千代さん、テンション低すぎません?」

 

中津川さんにまで心配かける始末……

彼女にもなでしこさんが懇切丁寧に説明する。

 

「千代さん、元気出して下さい。」

 

「うん……」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「改めまして!なでしこ先輩、はじめまして!中津川メイっす!」

 

「コチラこそ、二年の各務原なでしこです。(キリッ!) ウワサは聞いているよ。メイちゃん、これからヨロシクね。(キリッ!)」

 

できる女を醸し出す なでしこさん……

 

「早速、サイクリングキャンプの計画立てたるんやけど、今週末にどうやろ?」

 

「マジっスか!!? 行きたいッス!」

 

中津川さんは目を輝かせていた。

 

「あ、でも私まだキャンプ道具を何も持ってないんでスけど……」

 

「それなら私の寝袋とマットを貸してあげるよ!」

 

「え?先輩は行かないんッスか?」

 

「生憎、今週はバイトがあってさ……(キリッ!)」

 

「いい加減、そのできる女をするのはやめろ。」

 

「千代さんは?キャンプ、行かないんッスか?」

 

「自分は………」

 

「お姉ちゃんとデートをするんだよね?」

 

「え?まあ……」

 

「じゃあ、今回はやめときます。先輩や千代さんが行けないなら、また今度でいいッスよ?」

 

「チッチッチ…… 行きたい時に行けるメンバーで行くのが野クルスタイルなのだよ。」

 

「まだやるか、できる女……」

 

「フットワークの軽さは大切だからね。」

 

「そうそう。みんなバイトで休みが合わん事が多いし、全員に合わせていたら、いつまでも行けなくなっちまうからさ……」

 

「ちなみに私は一人でキャンプに行くことあるし……」

 

「まあ、たまに予定を合わせて全員でキャンプをすることもあるんよ。」

 

「へぇー ホントに自由な感じなんッスね。」

 

「だから!この寝袋を私だと思って、初キャンプを楽しんできてね!」

 

なでしこさんは自身の寝袋を中津川さんに託した。

なんだ?この少年マンガのような熱い展開……

 

その後は参加メンバー、キャンプで使う必要な道具類を上げて、さらに自転車組が走るキャンプ場までのコースを話し合った。

 

「じゃあ 自分は仕事に戻るから、きちんと計画書を作成して、前もって顧問の鳥羽先生と自分に提出するように。」

 

「「「「分かりました。」」」」

 

「ヨロシクね。」

 

俺は部室をあとにした。

 

「さてと、週末はどうしようか……」

 

次回に続く。




前半のピアノのくだりは作者が実際に体験したことです。ピアノを弾けることを上官にうっかり話したら、イベント演奏会で音楽隊として臨時編入されました。

あと千代さんにcvつけるとしたら、誰が良いのだろうと最近思っています。ご意見お待ちしております。

千代さんの今後について。

  • 桜さんと旅行中に大事件に巻き込まれる。
  • ぼっち・ざ・ろっく とクロスオーバー
  • リコリス・リコイル とクロスオーバー
  • フィジカルチートでポケモンSVの世界へ
  • 今までの記憶などを持ってEDF6世界へ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。