私、各務原なでしこ!
いよいよ明日から千代さんの実家、熊本県 芦方町に遊びに行くんだ♪
しかも、旅のお供にリンちゃんがいるの!楽しみすぎるよぉ~♪
「着替えに、スマホの充電器にぃ…… あとは……」
事前に野クルのみんなで作った『旅のしおり』を見ながら最終チェックだ。
リンちゃんにもコピーして渡してある。
「なでしこ、ちょっといいか?」
ノックとお父さんの声。
「どうぞー 」
お父さんとお母さんが部屋に入ってきた。
「どうだ?なでしこ。準備はバッチリか?」
「うん!大丈夫だよー このしおりがあるから。」
「なでしこ? 向こうでは迷惑かけないように、ちゃんとお行儀よくしときなさいね。」
「分かってるよ~ お母さん。お姉ちゃんもいるし…… ね?」
「でも、驚いたなー! まさか、リンちゃんまで行くことになるなんてなぁー」
「そうねー リンちゃんって、けっこう大胆なところがあるのね?」
「リンちゃんは行動力の塊だからねぃ!」
「ともかく準備が終わったら早く寝なさい。明日は学校行ってからなんだし、疲れるぞ。」
「はーい。」
二人が部屋から出ていく。
扉が閉まる前にお父さんが私を呼んだ。
「なでしこ。明日、出発する前におこづかい弾むから、熊本の美味しいお土産、頼んだぞ!」
お母さんには聞こえないように、お父さんは小さな声で私に伝えた。
「分かったー」
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私は志摩リン。明日は千代さんの実家に行く。
今、お母さんとお父さんが私のスマホで千代さんと電話をしている。
「はい、はい…… 本当にご迷惑をおかけしますが、娘をよろしくお願いいたします。」
通話を終えたお母さんからスマホを返して貰った。
「ふぅ…… 千代さんの家族も楽しみに待ってるって言ってたわ。」
「ホント?お母さん?」
「ええ。でも……くれぐれも向こうに迷惑をかけないようにね。」
「うむ。分かってるよ。」
「リン、これは千代さんの家族への山梨土産だから持っていきなさい。」
「分かった、お父さん。」
部屋から出ていく二人……
お父さんがヒョコっと顔を出した。
「リン。その紙袋の中におこづかい入れといたから、お土産頼んだよ。」
「おお……!」
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出発当日になった。と言っても出発は夕方。
今日一日は学校です。
昼休み中、クラスメイトのみんなはゴールデンウィークの予定の話で持ちきりだった。
「え?なでしこちゃん、熊本に行くの?」
私の周りにはクラスメイトが集まっている。
「うん!千代さんの実家に遊びに行くんだよー」
「いいなー」
「なぁ?千代さんって、あの千代さんだよな?」
「そうだよー」
「でも、なんで千代さんの実家なんだ?」
「おー 知らねぇのか?千代さんって、なでしこの姉ちゃんと付き合ってるんだぞ!」
「マジかッ!!?」
「あ!そういえば、コイツと遊んでた時に見たことあるわ。千代さんと若い女の人が一緒にゼブラで買い物してるとこ……!」
「へぇー ねぇ? どんな人だったの?」
「めっちゃ、美人だった!」
「そうそう、なでしことは違うクール美人なんだよ。」
「ねえ?アキちゃんとアオイちゃんは会ったことあるの?」
「会ったことあるし、この間一緒にキャンプしたぞ。」
「なぁー♪」
「じゃー 将来、千代さんが結婚したら、なでしこちゃんは千代さんの義理の妹になるんだね。」
「えへへー♪ そうなんだよー♪」
なんか千代さんがクラスのみんなに人気があって、私、嬉しいような恥ずかしいような……
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私の隣のクラス、リンちゃんのいる教室でもゴールデンウィークの話で盛り上がっているみたい。
「え?リン、なでしこちゃんと一緒に行くの?」
「うん。バイト休みになっちゃったし、思いきって電話してみた。」
「リンって、ホント千代さんのことが大好きだよねぇ?」
「………////」
「俯いちゃって可愛いんだから……♪」
いつものように斉藤にからかわれていると、他のクラスメイトから声を掛けられた。
「ねえ?リンちゃん?ゴールデンウィークはどこか行くの?」
「えっと……」
「リンはね、熊本に行くんだよ。隣のなでしこちゃんと一緒に……♪」
私が話す前に斉藤が全部話した。
「へぇー 熊本かー いいなー それで?熊本のどこに行くの?」
「千代さんの実家……」
「千代さんって、用務員さんの?」
「うむ。」
「なんで?志摩さんって、千代さんとそんなに親しいの?」
なんか色々と集まってきたぞ……
「志摩って、千代さんと一緒にツーリング行ったり、バイクでタンデムしたりするんだよな?この間、斉藤からスマホ見せて貰ったぞ。」
「斉藤…… それ、どういうことだ?」
「アハハ…… 何のことかな?」
あ、目が泳ぎやがった。
「それに千代さんって、元自衛官じゃん…… 私のおじいちゃんの部下みたい。」
「マジか!志摩さんのおじいちゃんも自衛隊にいたんだ!すっげー!」
「千代さんの上司ってことは偉い人ってこと?」
「千代さんはおじいちゃんのことを『一佐』って言ってた。どのくらい偉いのかは私も分からない。」
と私が答える横で、斉藤がスマホで調べている。
「一佐…… 一佐…… なになにー え?ちょっと待って、リンのおじいちゃん、スッゴく偉い人だよ!」
斉藤によると私のおじいちゃんは、約1000人規模の隊員を率いる連隊長クラスらしい。全然知らなかった。
「そいえば、私のおじいちゃんと会った時、千代さん良く震えてたなぁ~」
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学校も終わり、私は家に帰った。
家に帰り、旅行の準備しているとリンちゃんが来たんだ。
「お父さん、お母さん!リンちゃんが来たよー!」
「お、お邪魔します。」
「いらっしゃい。」
「良く来たね。」
リンちゃんとお茶を飲んだり、向こうに行ったら何をしようか、ワクワク全開で話しながらお迎えを待ってたら、家のインターホンが鳴ったの。
「はーい。」
みんなで玄関に行って、ドアを開けたら二人の女の子が立ってました。
「はじめましてー♪ 千代さんが依頼を承けて来ましたー♪ 千束でーす。」
赤い制服?のような服を着た女の子が元気に挨拶をする。笑顔が凄く可愛いんだよー!私やリンちゃんより年上なの…… かな?
「おほー!」
「あ、こっちは私の大切な相棒でぇ……」
「井ノ上たきなです。どうも……」
たきなちゃんはクールな美人さんだ。
リンちゃんに似た雰囲気です。
「それで、なでしこちゃんは……………?」
「あ、私です!あと、こっちのリンちゃんも一緒に……」
「そちらの子も? 千束、どうするんですか?私、聞いてませんよ。」
なんかまずかったのかな?二人でひそひそ話をしてる。リンちゃんも心配そう。大丈夫だよね?
「さあ、二人とも乗った乗ったぁッ!」
千束さんはニカっと笑顔で車に乗るように促してくれた。良かった…… ひと安心。
二人分の荷物を車に載せて、私とリンちゃんは後部座席に乗り込んだ。
「「よろしくお願いします。」」
「あいよー!」
運転手は眼鏡をかけたお姉さん。
助手席に千束さん。後部座席には私とリンちゃん、たきなさんが座った。
「じゃあー お母さん、お父さん!いってきまーす!」
「いってきます。」
「気をつけてねぇー」
「二人をよろしくお願いします。」
「任せてくださーい!」
私たちを乗せた車が動き出しました。
いよいよ、熊本に向けて出発です!
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なでしこ、もう千束さんや運転手のミズキさんと仲良くなってる。
たきなさんはずっと車窓を見てるし…… うーむ、気まずい。ちょっと話かけてみようかな。
「あ、あの……」
「なに?」
たきなさんの視線、氷のように冷たい。
「もー! たきな! もっとドライブ楽しみなよー! ごめんねー たきなは真面目だけど色々と不器用なところがあるの。」
「ちょっと!千束!余計なこと言わないで下さい!それに任務中ですよ。しっかりして下さい!」
「だってー 」
「女の子同士、たきなさんももっとお話しましょうよー!」
ムスっとしてる。千束さんの言うとおり、たきなさんは真面目だ。『謹厳実直』だっけ?四文字熟語好きなおじいちゃんが言ってたな。
「ねえ?リンちゃんはいつからキャンプしてんの?なでしこちゃんは『相当な手練れだぁ!』って言ってるけど?」
「手練れって…… 私がキャンプを本格的に始めたのは、中学生の時。おじいちゃんの影響です。」
「リンちゃんのおじいちゃんもキャンプしてるの?」
「はい。バイクで年中どこか旅に行ってる、さすらいのキャンパーです。」
「リンちゃんはね?千代さんと二人でバイクで山梨から伊豆まで行ったりしたんですよ。」
「おおー 凄いじゃん。ねえ?たきなもそう思うよね?」
「ええ…… まあ……」
たきなさんは相変わらずだった。
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休憩を挟みつつ、私たちは首都高に入った。
大都会東京、眠らない街東京。日も暮れて、これからディープな世界になるんだろうなぁ。
「おほほー!すごーい!」
「おい、なでしこ。田舎モンみたいだぞ。」
「えー?そうかなー? あ、リンちゃん!スカイツリーだよ!」
「えッ? どこ!どこ!」
リンちゃんもスマホを取り出して、写真を撮りだしてます。やっぱり田舎者の性だね。
「ふふ……♪」
リンちゃんの変わりように、たきなさんが少し笑ってました。ギャップ萌えだ。
「まだ、バスまでは時間あるし、私たちが働く喫茶リコリコにおいでよ。美味しいスイーツご馳走しちゃうぞ!」
「おおー!」
スイーツという単語にリンちゃんは目をキラキラさせています。
これからどんなことが待ってるか、とても楽しみです。
次回に続く。
いよいよ二人の長い旅が始まりました。
無事に芦方町に到着出来れば良いのだが……
ご感想をお待ちしております。
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