おじキャン△   作:Shin-メン

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お待たせしました。続きいきます!


潮干狩り!

「千代さん?その長靴と一緒に履いている物って、何ですか?」

 

と志摩さんに聞かれる。

 

「ああ、これ? かんじきだよ。普通は雪の上を歩くの使うんだ。かんじきが体重を分散して雪に沈みにくくするからね、もしかしたら、干潟の泥の上でも使えるかもって思って……」

 

俺は懇切丁寧に答えた。

 

「やっぱり、千代さんはズルい。」

 

なぜか志摩さんに文句を言われてしまう。

 

「それじゃあ、部長の大野から注意事項。」

 

「えっと、干潟は一般人が採っても良い区域が決まってます。あそこのロープより向こうは、漁業権の関係で超えての採集は禁止となっているから、気をつけて下さい。」

 

「「「「「「はーーい。」」」」」」

 

「了解よ。マコちゃん!」

 

「あと………」

 

大野さんのまだある注意事項をぶった切るように千束ちゃんが喋り出した。

 

「よーし! たきな!たくさん採るよー!」

 

「任せて下さい!」

 

「リンちゃん! みんなに負けないようにたくさん採ろうね!」

 

「がってんしょうちのすけ。」

 

「夏海! ていぼう部の格の違いってのを見せつけるよ!」

 

「珍しいなー 陽渚、やる気まんまんじゃん♪」

 

それに続き、なでしこさんや志摩さん。そして陽渚ちゃんまで……

 

「「「「「「ふおぉぉーーー!」」」」」」

 

なぜか競争する雰囲気になってしまったみんなは、各自各々猛ダッシュでスタートを決めた。

 

「ああ…… ちょっと、まだ注意事項は………」

 

大野さんはまだ言いたいことがあるのに、六人は沖の方へとずんずんと進んでいく。

 

「アイツら…… まだ大野の説明は終わっとらんとに…… まあ、その身持って思いしっとやが。」

 

あきれ顔の黒岩さん。

 

「悠希ちゃん? その含みのある言い方、なんかあるの?」

 

「それはあとのお楽しみたい。 アタシらはのんびり潮干狩りをすったい。」

 

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俺たちはゆっくりと潮干狩りを楽しむことに……

 

「千代さん、なんかいっぱい道具を持ってきたねぇー」

 

「ちょっと家に戻って、おばぁのを借りてきた。」

 

「だから、私たちとは遅れて来たんですね?」

 

俺が家から背負ってきた竹製の籠の中には、熊手に園芸用の草取り鎌、筆、白い顆粒の入ったボトルが入っていた。

 

「何に使うんですか?」

 

桜さんに聞かれたので、実践してみる。

 

「まずは地面をじっくり見て、小さい穴を探す。」

 

俺は見つけた穴を草取りで少し削るように掘った。

 

「こうやって、表面を削るくらいで良いですよ?」

 

次にその穴めがけて、白い顆粒物を入れる。

 

「千代さん、その白いヤツってなんですか?」

 

「舐めてみれば分かりますよ。」

 

彼女の手に白いブツを少し出した。それを桜さんは恐るおそるペロッと舐める。

 

「しょっぱ!これ、塩じゃないですか。」

 

「そうだよ。ほら見てごらん。」

 

塩を入れた穴から細長い生き物が、海水を出しながらにゅ~っと出てきた。

 

「出てきたところをすかさずキャッチ!千切れやすいから慎重に引き抜くと……」

 

俺が採ったのは細長い貝。

 

「すごーい。」

 

「これはマテ貝…… この貝も美味しいヤツ。」

 

「マテ貝っていうの?始めてだわ。」

 

桜さんはすぐにマテ貝採りをマスターして夢中で採り始めた。

 

「千代さん、その筆ば借りて良かろか?」

 

「ん?あ、いいよー ってか黒岩さんは、この筆の使い方、知ってるんだね?」

 

「当たり前やろー アタシもていぼう部の部長ばしとったけんね。」

 

黒岩さんは、マテ貝が潜んでいた穴よりも、大きな穴に筆を突っ込む。

そしてチョンチョンと上下に動かして、当たりをまった。

 

「悠希ちゃんは何してるの?」

 

「見とけば分かっよー」

 

筆が少し動きだす。

 

「お、来たねー」

 

黒岩さんはゆっくりと筆を引き抜くと、筆先をしっかりと何かが掴んでいた。

彼女はその生き物を穴から慎重に引きずり出す。

そこにいたのは、カニのようなエビのような不思議な生き物…… 色は泥のような色をしていた。

 

「え?ザリガニ?」

 

「残念。コイツはアナジャコたい。」

 

「泥抜きして天ぷらにしたりすると美味しい。」

 

「こっちも面白そうね?悠希ちゃん、私もやってみたいわ。」

 

「良かけど、難しかよー? 桜さんに出来っどか?」

 

「任せなさい♪やり方、教えてくれる?」

 

黒岩さんや大野さんから、アナジャコ採りのレクチャーを受けた桜さんは、そう時間も掛からずに、採り方をマスターして次から次へと捕まえていく。

 

「桜さん、うまかねぇー」

 

「うん、筋が良い……」

 

「先生が良いからよ。」

 

三人は仲良く潮干狩りに楽しんでおり、俺はそんな三人を見ながら、ほのぼのとしていた。

 

「きゃあーー!」

 

耳をつんざくような叫び声が聞こえる。

その方向に目を向けると、なでしこさんたちが転けまいと、凄い格好で必死に耐えていた。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

時間を少し戻そう。

競争の雰囲気になでしこさんたちは、あまりある若さと勢いで、俺たちのいる場所から150mほど離れた場所まで行き、そこで潮干狩りをしていた。

 

「リンちゃん!たくさんいるよー!」

 

「うむ! 少し掘っただけで、たくさんのあさりが出てくる!」

 

「こっちもいっぱいだよ!」

 

「この大きいのって……」

 

「すごーい!たきなさん、それ!ハマグリだよ!」

 

陽渚ちゃんに教えて貰って、たきなちゃんは目を輝かせる。光沢のある大きな貝が太陽の光を反射して、テカテカと光っていた。

 

「これがハマグリ……」

 

「うん?何だ?これ……」

 

志摩さんが何か見つける。

彼女が手を伸ばした瞬間、ソイツはギロリと志摩さんを睨みつけた。

 

「え……?」

 

志摩さんの伸ばした手が止まる。

次の瞬間、ソイツは彼女めがけて体内に溜めていたスミと潮の混ざった液体を吹きかけたのだ。

 

「うわぁッ!!?」

 

志摩さんに真っ黒な液体を吹きかけたのは、干潟の泥に擬態した立派なマダコだった。

 

彼女の顔に思いっきりスミがかかる。

 

タコの奇襲を受けた志摩さんは、盛大に驚いて大きく仰け反り、そのまま仰向けに倒れようとする。

 

「リンちゃん!」

 

なでしこさんは咄嗟に手を出した。

その手を志摩さんが掴むが、勢いを止められない。

なでしこさんも必死に支えようと踏ん張るが、如何せん足元はヌタヌタの泥であり、思うよう力が入らなかった。

 

「なでしこー! 耐えてくれーー!」

 

「ごめん!リンちゃーん!」

 

吊られてなでしこさんも顔面から泥に突っ込んでいこうとする。

 

「うわぁぁーー!」

 

 

「なでしこちゃーん!」

 

そこへ泥にダイブする二人を止めるべく、千束ちゃんがなでしこさん手を取ろうとした。

 

「たきな! 頼むぅーー!」

 

「任せてくださ……!」

 

その千束ちゃん手をたきなちゃんが……といっても、三人分の勢いを早々簡単に止めることは出来ない。

 

「い!って無理だぁぁーー!」

 

彼女の手を夏海ちゃんが取った。

そして夏海ちゃんが掴んだのが、陽渚ちゃん手……… ではなく、なんと彼女のジャージだった。

 

「ぎゃーーー! 夏海ぃーー!」

 

ずるずるとズリ落ちる陽渚ちゃんのジャージ。

それを止めようと陽渚ちゃんは必死こいてジャージを押さえている。

 

「見えてる!私の下着が見えちゃってるよーー!」

 

爽やかな青空に陽渚ちゃんのピンク色の水玉パンツが映える。

 

「「「「「「きゃあーーー!」」」」」」

 

六人は仲良く泥にダイブした。

志摩さんは仰向け、その他なでしこさんたちはうつ伏せに顔から突入する。

中でも陽渚ちゃんはパンツ丸見えという、他五人とは群を抜いて悲惨だった。

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

「あーあ……」

 

俺はボーッと六人を見ていた。

大野さんはおどおどしている。

 

「みんな、見事にドロドロねぇ……」

 

「気にすっこたなか。大野の忠告ば最後まで聞かんかったけんね。桜さん、あれが潮干狩りの洗礼ばい。」

 

そして妙に落ち着いている、桜さんと黒岩さんの二人であった。

 

「ぶちょ~~」

 

陽渚ちゃんの力無き声で呼ばれる。

振り向くと六人が全身ドロドロのヌタヌタになっていた。それを見て俺らは大爆笑。

 

「千代さ~ん、笑い事じゃないよ~」

 

俺はドロドロのなでしこさんと、さらにスミ塗れになった志摩さんをスマホで撮り、野クルのグループLINEに送った。

 

千代: 『潮干狩りなう。』

 

「うわ!千代さん、何してるんですか?」

 

「志摩さんたちの勇姿を野クルのグループLINEに送ったんだよ。ほら、斉藤さんからもう返信がきたよ~♪」

 

「斎藤めぇ〜!」

 

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 

潮干狩りを切り上げた俺たちは、俺の家でまずは泥だらけの六人をきれいにすることに…… 庭に設置されていた水道にホースを繋ぎ、六人目掛けて俺は放水した。

 

「ちべたーーい!」

 

夏海ちゃんたちの着替えは黒岩さんたちが、部室へと取りに行ってくれている。

芽島海岸でちょっとドライだった黒岩さんだったが、面倒見が良いことは確かだ。

 

大まかな汚れを落とした子から順に家へと上がり、シャワーを浴びる。

 

「ふぅ~ さっぱりした。」

 

最後にシャワーから千束ちゃんか髪を拭きながら、縁側に戻って来た。

 

「あれ?みんなはー?」

 

「ていぼう部の部室に行ってるよ。」

 

俺は千束ちゃんと二人でていぼう部へと向かう。

 

「ねぇー? 千代さん?」

 

「なんだい?」

 

「昨日、たきなに話してたことだけど……」

 

「あー 桜さんと籍を入れたら、たきなちゃんを引き取るってやつかい?」

 

「そうそう。千代さんたちがたきなの家族になってくれることは私的にスッゴく嬉しいけど、本当に良いのかな?って……」

 

「もちろんだろ? 俺と桜さんで話合ったし、覚悟は出来てる。それに男に二言はないよ。」

 

「そっか…… ありがとね♪ 千代さん大好き!」

 

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俺と千束ちゃんは、ていぼう部の部室までやって来た。先に到着していた他のみんなは海水を張ったバケツ中を覗いている。

 

「お、来たねー」

 

「今、アサリたちの砂抜きを始めたんだよー♪」

 

「そうか。お疲れさま。」

 

俺はなでしこさんの頭を撫でた。

 

「えへへー」

 

「砂抜きには一晩かかるそうですよ。」

 

「さて、なんばしよっか? アタシはツーリングでも行こっかね? リンちゃんはバイクに乗っとやろ?一緒に行かんね?」

 

「黒岩さんの申し出は嬉しいですけど、私が乗ってるのは原付ですし、そもそもバイクが……」

 

「じゃあ、あかりのNS-1を使えば良いよ。あかりは同級生と出かけてるし、コチラから連絡しておくね。家に戻ったらお袋が色々と用意してくれるから安心して…… 」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「じゃあ、決まりたい。」

 

「では、行ってきます!」

 

黒岩さんと志摩さんはツーリングに向かう。

俺は早速、妹や実家に電話して、バイクや道具を準備してもらうように頼んでおいた。

 

「じゃあ、私は…… マコちゃん、一緒にドライブ行きましょ? 車出すわ。」

 

「良いんですか?」

 

「ええ♪ 女の子同士楽しみましょ♪」

 

「ありがとうございます。」

 

桜さんと大野さんはドライブへと行った。

 

「じゃあ、なでしこちゃんは私のおウチに遊びにおいでよ。」

 

「良いの♪陽渚ちゃん!」

 

「うん!夏海も来るでしょ?」

 

「もちろん! 行く!」

 

なでしこさんは夏海ちゃんと共に、陽渚ちゃんの自宅へとお邪魔することに……

残りは俺とリコリス組だ。

 

「みんな、行っちゃいましたね?」

 

「どうしよう? 私たちだけになっちゃった。」

 

「そうだね…… どうしようか?」

 

少し考えて俺は思い付く。

そしてリコリス組の二人を、取っておきの場所へと案内することにした。

 

次回に続く。




次回はそれぞれの組に別れて行動します。
ご感想お待ちしております。

しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。

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