ゴールデンウィーク編後の話です。行きます。
志摩リン、普通二輪免許を取る。その1
志摩リンです。ゴールデンウィークから帰って来てしばらく経ちました。
放課後、図書室でいつもの席に陣取り、本の貸し借りの処理をしています…… と言っても、図書室には数えるくらいしかいません。
いつものことだけど……
ちなみ今日はバイトは休みです。
「はぁー 暇だ…… 」
ゴールデンウィークで過ごした時間が濃すぎて、いまいち刺激が足りない日々を送っています。
千束さんにたきなさん、ていぼう部のみんなは、元気にしてるかなぁー?
「何、ため息ついてんの?」
「あ、千代さん……」
「私もいるよー♪」
「知ってる…… ってか、なんで千代さんと腕なんか組んじゃてんの?」
「私と千代さんはラブラブなんだよー♪」
「自分は周りの目もあるから、ちょっと困るんだけどね……」
「じゃあ、ハッキリ言ってやらないと…… 斉藤、ずっとこんな調子ですよ。」
「お、分かってるねぇー リン♪」
「あのな?斉藤…… 千代さんはなでしこのお姉さんと婚約したんだぞ? 迷惑かけるなよ……」
「うーん…… それ言っちゃうかぁー」
斉藤さんが俺から離れた。ちょっと一安心。
「それで? 志摩さん、どうかしたの?」
「ちょっと、刺激が欲しいなぁーって……」
「何々ぃ~? 刺激って?」
「ゴールデンウィークで過ごした時間が濃すぎて、日常がなんだかね……」
「あー 向こうじゃ、最終日にデッカイ魚を釣ってたもんね。」
「潮干狩りじゃー ドロドロになった、リンとなでしこちゃん、めっちゃ面白かったよー♪」
「アレはタコさんから、スミを掛けられたんだぞ。ちょー 不本意だ。」
「それに帰りは車ごとスカイダイビングだもんね。外では千代さん一緒に飛んでるんだもん…… ビックリしたよー」
「マジで『映画かよ!』って、言っちゃった。」
「ねえねえ、千代さん……」
「うん?どうした?」
「千代さんって、ホントーに何者なんですか?」
「ふっふっふー♪ 大人には秘密の一つや二つあるもんですぞ……?」
お?それは、なでしこのモノマネか?斉藤の質問はなんかはぐらかされたぞ?
その時、私のスマホが鳴りました。誰からだ?
「あ、アヤちゃんからだ……」
「アヤちゃんって、なでしこちゃんの親友の?」
「うん。」
「それで?なんて来たの?」
「えっと…… 」
綾乃:『新しいバイク、買っちった。』
「「何ぃーー!」」
バイク大好きな私と千代さんがハモる。
斉藤はポカンとしてた。
次に送られて来たのは、アヤちゃんが買ったバイクの写真だった。
「おおー! HONDA CRF250じゃん!」
「千代さん? そのバイク、そんなにいいヤツなんですか?」
「街乗りから、ゲロ道も走破できる便利なヤツだよ。」
「千代さん? ゲロ道って……?」
「オフロードだよ。」
「じゃあ、そう言ってくださいよ……」
「ゴメン ゴメン…… それに250ccだから高速も乗れるし、行動範囲が格段に広がるよね。」
「そうなんだー」
「険道に嵌まったアヤちゃんには、ピッタリのバイクじゃん。これは返信しないと……」
リン: 『納車、おめでとう♪』
良し!これでOKーっと!
「千代さん、私、決めました! 私もアヤちゃんみたいに普通二輪の免許取って、バイクも買う!」
「おぉー いきなり来たね。」
「千代さんの実家に遊びに行った時、妹さんのバイクに乗らせて貰ったじゃないですか。」
「なるほど、NS-1…… 虜になった?」
「はい。私の原付とは全然違う、風と一つになる感じの乗り味が忘れられません。」
「おおー! リン、頑張って!」
「うむ! 任せとけ。まずは家族会議だ。」
早速、私は行動に移します。
まずは帰ってから家族に相談です。
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「ただいまー」
「おかえりー」
家にはお母さんが居ました。
「ねえ、お母さん……」
「どうしたの? リン……」
「これ見て。」
私はアヤちゃんが送ってくれた写真を、お母さんに見せます。
「この子って、なでしこちゃんのお友達の……」
「うん、土岐綾乃ちゃん。今年の春休みに大井川で一緒に走ったじゃん。」
「覚えてるわ。 でもその子、随分、良いバイク持ってるのね? 」
「うん。 今日納車したんだって…… 」
「そうなの? 凄いのね。」
「だから、私も普通二輪の免許を取る。」
「え……?」
「だから、私も新しく免許を取る。」
「二回も言わなくても良いわよ。でも、急ね?」
「伊豆キャンプで千代さんと一緒に走って、この間ゴールデンウィークでも速いバイクに乗ったりしたのが、忘れられないんだ。」
「リンの気持ちは分かるけど……」
「おじいちゃんから聞いたよ? お母さんも高校生の時にはバイク乗り回してたんでしょ?」
「ちょ! どうしてそれを……ッ!!? 」
「それにこんな写真だってあるんだよー」
私はお母さんの若かりし頃の写真……
それはバイクに股がり、ドヤ顔でポーズを取る姿。
「ねえ? 良いでしょー?」
「じゃあ、お父さんが帰って来たら、話し合いをしましょう。おじいちゃんも来るしね?」
「分かった。」
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20時30分 野咲宅にて……
「リンちゃん、バイクの免許取るんですか?」
俺の隣に座る桜さんが、話しかける。
「取る気満々だったね。家族会議だー!って、言ってたから、この時間、やってるんじゃないかな?」
「アヤちゃんのバイク、カッコ良かったもんね。」
なでしこちゃんも自分のことのように喜んでいた。
今日は夕方から、俺の自宅に各務原姉妹が遊びにきている。
二人と志摩さんのことについて話していた。
ちなみに二人は家に泊まる。土日だからね。
「リンちゃん、どんなバイクに乗るんだろう?」
「アヤちゃんのは、大井川の奥地を攻めたりできるオフロードで志摩さんはのんびり快適性の高いヤツが好みじゃないかな? かなりの距離走ったりするし……」
「リンちゃんの走る距離、たまにバグってますからね……」
桜さんの言うとおり、あの娘は普通に原付で片道200キロ以上を走り切る、末恐ろしい娘だ。
「でも、カッコ良いヤツも似合ってるよね。」
「千代さんの実家で乗ってたヤツですね?」
「確かに、結構 様になってた。」
三人でそんな話しをしていたら、不意に俺のスマホが鳴る。こんな夜に誰だ? 画面に表示された相手の名前は志摩さんからだった。
「志摩さんからだ……」
「え? リンちゃんッ!!?」
志摩さん大好きななでしこちゃんの顔が、パアッと笑顔になる。うん、可愛い…… いただきました。
俺は電話に出てみる。
「もしもし? 志摩さん、どうプレゼンはうまくいったかな?」
『おー 千代か? 私だ……』
「いッ、一佐!」
迂闊だった。なんと電話の相手は、志摩さん……… ではなく、彼女のおじいちゃんこと『新城肇(元一佐)』。俺は座っていたソファーから、勢い良く立ち上がる。
「お、お久しぶりです!」
電話越しだけど、陸自の生きる伝説の相手に敬礼した。いきなりのことに桜さんとなでしこちゃんは、目を丸くしている。
『リンから聞いたぞ? ゴールデンウィークの時には世話になったようだな?』
「いえ、自分の家族も楽しかったと喜んでいましたし、 特に祖母は新たに孫が出来たと言っていました。」
『それにお前も婚約したんだってな?』
「え、ええ、まあ…… 」
志摩さんが話したのか。
『おめでとう。彼女は大切にするんだぞ。』
「は! もちろんです!」
『あと、孫のリンたちとも話し合って、普通二輪の免許を取らせることに決めたよ。』
「そうですか。 彼女の希望が通って良かったです。ハハハ……」
『私もリンと色んな場所を巡りたいものだ。 孫を頼んだぞ?』
電話が切れた。
「千代さん?リンちゃんからなんて話しがあったんですか?」
「電話の相手は志摩さんのおじいちゃんだった。」
「それで?」
「婚約おめでとうだって。桜さんを幸せにしてやれと言われました。」
「嬉しいですね。」
「自分は照れくさいけど……ね。あと、志摩さんも免許取るって。」
「おほー!」
「何か一佐から、彼女を託されたよ。」
「責任重大ですね。」
「頑張ってね!お兄ちゃん!」
「お、お兄ちゃんッ!!?」
なでしこちゃんに急に『お兄ちゃん』呼びされ、動揺してしまう。
「あ、お兄ちゃん、照れてるぅ~♪」
「うぐ……ッ!!?」
「大人をからかわないの。」
ポカッ 「あイタ。」
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週明けの月曜日。今日は久しぶりに、顧問の鳥羽先生含めた野クル全員が集まっての活動をする。
「千代さん?私と斉藤、それに瑞浪さんは野クルの部員じゃありませんよ?」
「まあまあ、リンちゃん、良いじゃないですか。」
「うーん…… なんか納得できねー」
「さてと。みんな、久しぶりに揃ったなー! 集まって貰ったのは他ではない!なんと、我らがリンが普通二輪免許の取得に挑戦するそうだ!」
「なんだよ。我らがリンって……」
「リンちゃん、ホンマか?」
「うむ。週末におじいちゃんが来たから、みんなで話し合って決めた。」
「スゲーッス! 志摩先輩。」
「だねー♪」
「これが出来る女ってヤツですか……」
「瑞浪さん?それはちょっと違う気がします。」
「と言うわけで、志摩さんは、免許取得のために教習所で教育を受けないといけない。」
「そうですね。学科と実技、車の免許と同じですね。」
「鳥羽先生の言うとおり。しかし、バイクには車にはないモノがあります。それは……」
「それは……?」
志摩さんがゴクリと息を呑む。
「引き起こしです! バイクはふとした時に、転倒したり、立ちゴケしたりします。緊急時には自力でバイクを起こさないといけない。なので志摩さんには引き起こしに挑戦してもらいます!」
「えぇぇーーーッ!」
過去イチの声だ。
「じゃあ、しまりんビーノでやるんッスか?」
「うーむ…… 私の原付ならワンチャンイケるかも……?」
志摩さんがそんな甘いことを言っている。
「原付……? 違うな…… 志摩さんがやって貰うのは、コチラです!」
マットの上に寝かせてあったのは、俺の相棒であるCBR600RRであった。
「わざわざ千代さんの愛車を倒して上げたんだ。」
「そうだよ。 相棒も志摩さんために一肌脱ぐと言ってるし……ね?」
\オウヨ!/
「ガンバやで! リンちゃん!」
「お、おぅ……」
志摩さんがめっちゃバイブってる。武者震いか?
「ねえ?千代さん、このバイク何キロあるの?」
斉藤さんが逃げ場を無くす。
「多少の装備が付いてるし、だいたい200キロだね。600ccだし、リッターバイクじゃないぶん、楽だよ。」
先ずは俺がお手本を見せて、志摩さんにもきちんとレクチャーした上で、彼女が挑戦する。
次回に続く。
リンちゃん、二輪教習の最難関と言っても過言でもない、バイクの引き起こしです。
ご感想、お待ちしてます。
しまりんに普通自動二輪の免許を取らせたい。
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賛成。
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反対。